AI着色は昭和時代の夢を見るか(その36)旭川機関区2
PhotoshopのAIカラー化のニューロフィルターのプラグインの鉄道写真への利用を実験するこのシリーズ。なんと36回ってもうまる3年もこのネタで引っ張っていることになる。今回も、最初の北海道撮影旅行で1972年7月17日に行った旭川機関区で撮影したカットのカラー化をの続きです。とにかくお目当てのC5530号機が今日の稚内行き321列車の運用に就くべくスタンバっていたので、それがうれしくて撮りまくっています。そういうこともあって今回もC5530号機中心になりますが、お付き合いの程よろしく。

今回の最初は30号機の真正面からのカット。この頃は機関区内で撮影許可を貰っていれば線路内からでも撮り放題だったので、真正面のカットは必ず抑えてました。さすがに走行中はカーブで望遠とか使わなくては撮れませんし、模型の資料としては真正面からの構図も必要になってくるからです。まさに前回から一続きで撮っているカットで、機関車の周りをぐるりと回りながら構図を変えて撮影している感じです。これもまた赤ナンバーっぽくなってますね。もうAI君は赤ナンバーが好きということにしておきましょう。全体の感じは、かなり露出が良くないのですがうまくまとめています。鼻先がちょっとだけ写っている711系は完全に無視しているみたいでモノクロのままですね。

続いて数歩線路外に出て、公式側寄りの正面の写真を撮ります。前照灯は微妙な感じですが、前のカットを見ると明らかにテストで点灯していますので、ここでも点灯しているかあるいは減光に切り替えて点灯しているかでしょう。そういう意味では間違ってはいません。しかし旭川機関区もLP405のリングはちゃんと磨くんですね。キレイに輝いています。お得意の「架線注意」は実にリアルな仕上げ。堂に入ったものです。その割に赤ナンバーなんだよね。惜しいなあ。それにしてもこの時の30号機は前部の標識灯は1灯しか付けてませんねえ。北海道では珍しいかも。この構図だと旭川式の前部ステップが目立ちます。給砂塔のトラスの向こうにいる職員は、トラスの一部と認識されたのか、同じ色に塗られてます。これまたAI君のクセ(というかそういう認識ロジックなのだろう)ですね。

さらに数歩機関車に近寄り、煙室扉の部分のアップを撮影します。全体には質感・汚れ感ともよく出ていると言えるでしょう。もう赤ナンバーは仕方ないです。気になるのなら手作業でレタッチして黒を入れるですね。それにしても「架線注意」はここでもいい仕事をしています。特にヘッドライトの下の半分錆びたヤツなど、迫真の表現です。こうやってアップで見ると、30号機のクルパーはちょっと特殊な形態をしてますね。通常の皿無しのタイプは、七輪の焼き網みたいなのが、ちょっと浮いた形で取り付けられて回っているのですが、こいつは全体に細かい穴の開いた筒状のカバーが付いています。ぼくは撮っていないのですが、煙突を上から撮ったカットを見てみたいですね。30号機作った人多いけど、このタイプで作った人はいるのかな。。

公式側を回り込んで、特徴あるキャブを中心にちょっと凝ったカットを狙います。絞りを開放にして被写界深度を下げ、バックをアウトフォーカスに仕上げてきました。マセた16歳だなあ。ヤなヤツ(笑)。やっぱりこの時期の北海道に何日もいて撮っていると、普通のじゃ飽きてきちゃうんですよね。そんな贅沢な想いができたという意味では、この時期に行けてよかったんでしょうね。AI君はなんか夕暮れみたいな雰囲気でまとめてますね。多分ボケ味を出すために望遠ズームを開放で使っているためでしょうが、当時のズームレンズの限界からバックはいわゆる二線ボケになっています。ですが、それもまあ味わいぐらいの感じに、うまくカラー化しているといえるでしょう。しかしこの角度からだと、苗穂工場式のキャブ吊輪が一層目立ちます。

今回唯一の30号機以外のカット。旭川機関区のD511116号機の煙室扉のアップです。ウェザリング効かせ過ぎで、なんか廃車体みたいになっちゃっていますね。AI君は時々これをしでかしてしまう感じです。確かに北海道のカマは、夏場はテンダの下半分とか錆色しているヤツも居たりするんで、ある意味デフォルメ的な表現という意味ではあるかもしれませんが。まあ、作る人はあまりいないかと思うのですが、鷲別機関区のカマで「団結号」とかなら、かなり錆々にしても雰囲気が出るかもしれません。当時旭川機関区のD51はなぜか戦時型・準戦時型の比率が高かったのですが、その中でのラストナンバーでした。蒸機最末期まで活躍し、最後は岩見沢第一機関区でしたので、その頃撮っている人も多いのではないでしょうか。

テンダの後ろのところまで下がって、30号機の公式側の見返りカットを撮ります。こちらは標準レンズでの撮影と思われるので、先ほどのカットとの画角の違いがわかります。テンダには闘争スローガンの消し跡が残っていますが、元々の汚れと相まってそれほどは目立ちません。これもやはり夕暮れのような光線状態に仕上げてきています。曇天の午前中なんですけどね。光量が弱い分、夕暮れの認識になってしまうのでしょうか。それはそれで絵にはなっているのですが。ここでも「架線注意」は秀悦です。それだけでなく錆びたゼブラ板もちゃんとゼブラに塗り、ウェザリングもそれらしく上げてきました。この手のものは俄然得意なようですね。

今回最後は、キャブ内の職員の後姿を捉えたカット。ヘルメットをかぶっているので、乗務員ではなく整備担当の職員と思われます。これもまた人物にのみフォーカスを合わせて、あとはアウトフォーカスにしてますね。まあ、こういうカットも撮りたくなるお年頃なんですよ。結果的にキャブの内部の様子もちょっと伺える、貴重なカットになっています。ナッパ服はちゃんと紺を入れてきてます。人物は人として分離して認識さえできれば、かなり的確に仕上げてきますね。しかしキャブの外板には茶色を入れてきてますねえ。これ多分、この扉の部分を旧型客車のデッキと判断して、この車輌が客車だと思ってブドウ色2号を嵌めてきたモノと思われます。まあ、それなりに推論を働かせた結果とは思いますが。
(c)2026 FUJII Yoshihiko よろず表現屋
「記憶の中の鉄道風景」にもどる
はじめにもどる