"hiroto的"玉照定真経 原文と訳


■ はじめに

 「玉照定真経」は「玉照神応真経」とも言われますが、テキストによって若干異なります。順序が違ったり、使っている言葉が違ったりでさまざまです。
 ここでは、いくつかのテキストやHPを参考にしながら、標準的と思われるものを採用、一部"hiroto的"に使っている文字や語句の切り方を見直したりしています。もちろん註も参考にして訳していますが、他の書の注解と若干異なるところもあります。全く原本通りということではないので、その点ご承知おきください。

■ 本文

四陽俱立、定知難有陰尊。
陰覆全逢、不是陽尊老寿。
卦逢生気、天徳合世世長年。
身命逢刑返剋、而必須夭賎。
時来破日支凶、而干見還軽。
患難官災遠近、而自分得失。
両分交戦、識取尊卑。
三犯月胎、祖宗尤禍。

四柱がすべて陽干支であるのは、おそらく母親の尊さを受けにくいと知る。(母親を早く亡くす)
四柱がすべて陰干支であるのは、父親が長生きすることはない。
四柱に長生があり、天徳合があるのは長寿である。
四柱に刑がありまた剋が多ければ、必ず夭折するか貧賤である。
時柱に日破が来るのは凶であるが、時干の剋はそれほどではない。
剋刑冲破害の作用の強さで、得失を判断することができる。。
天干と地支の剋関係は、尊卑を取ることを知る。(地支が天干を剋するのはよくない)
四柱の納音が胎月を剋すのは、先祖に禍がある。


 最初の2つの句は陰を母、陽を父として、四柱にないとどちらかを早く亡くすということでしょうが、ちょっと踏み込み過ぎのような気がします。そういう傾向があるという程度でしょうか。
 「三犯月胎」は注を参考に訳しましたが、年日時柱が月柱を剋するという意味にもとれそうです。


丙戊丁甲時連戌亥、道士僧人。
魁罡見其往來加臨、獄官屠訟。
寅申庚甲、商途吏人。
子午逢之、他郷外立。
癸乙壬加卯酉、男女多有私情。
乙辛丁巳亥酉、陰人之事常有。
干神支墓、須詳上下吉凶。
徳合與吉干相逢、視於遠近。
丙戊甲丁日戌亥時生まれは、道士僧人となる。
魁罡日生まれで官殺や刑冲や衰死などあれば、訴訟や刑務所の役人となる。
天干に庚甲、地支に寅申があるのは、商業に携わる商人や役人となる。
天干に庚甲、地支に子午があるのは、他郷に行って事業を行う。
天干に癸乙壬、地支に卯酉があるのは、男女関係が乱れやすい。
天干に乙辛丁、地支に巳亥酉があるのは、隠し事や訴訟事が常にある。
天干が墓に坐しているときは、吉凶を詳しく見る必要がある。
天干に徳合がある場合、その遠近を見るべきである。


 魁罡日とは、一般的には庚戌、庚辰、壬辰、戊戌の4日です。
 徳合とは、陽干の場合比肩にあたる干、陰干の場合正官にあたる干です。遠近とは日干への作用の度合というぐらいの意味かと思います。


甲寅辛未、定因官事刑凶。
癸未庚申、必為盗賊亡没。
火逢盛土見庚、而生自途中。
戊己忌卯寅、休囚而生大疾。
丙丁亥子、投於江水波河。
巳午庚辛、男女病多心血。
甲申乙酉、小児風病肝経。
辛卯庚寅、尤忌大人労骨病。
門中有土、土金而腰脚須沈。
申巳雙加遇刑、則臂肢有患。
丙丁歳日癸壬、眼目有疾。
甲乙若見庚辛,忌疾生於頭面。
水土同来寅卯、平生膈気風痰。
再入天罡、小腸腹急。
五行十干、略定一端,其外参詳,依経用法。
甲寅辛未が命式行運にあれば、おそらく訴訟ごとで刑罰を受ける。
癸未庚申が命式行運にあれば、盗賊や亡没することがある。
火が強い土に逢い庚を見れば、道路往来に関することが生ずる。
戊己は卯寅を忌む、休囚すれば大病を生ずる。
丙丁に亥子があるのは、江水波河に投げられる。(凶である)
庚辛に巳午があるのは、男女とも心臓血液の病気が多い。
甲申乙酉は、小児に風病、肝臓病がある。
辛卯庚寅は、大人が筋肉や骨の病気を最も恐れる。
門中に土があるのは、土金にして足腰が必ず重い。
申巳の刑があれば、手足に患いがある。
丙丁年で日が壬癸であれば、目の病気がある。
甲乙が庚辛をみれば、頭や顔に病気が出るのをおそれる。
水土があってさらに寅卯がくると、普段から飲み込みが悪かったり痰が出たりする。
さらに辰があれば、小腸など腹部の急病がある。
五行十干のおよその意味の一部を示した。その他は詳しくみて用法によって判断する。


 この部分はもっぱら凶事や疾病に関することが述べられています。
 いうまでもありませんが、これらの句を文字通りにとってはいけません。あくまでも病気やケガ、災難の象意としてはこのようなものが考えられるという例示ととらえてください。もっとも、そのままピタリと当てはまる例もあるので、その理由をよく考えてみる必要があるでしょう。


東金西木,定生忤逆之男。
丙北壬南,必見波濤之客。
壬多艮坎,道士須尊。
戌亥連陰,家生盗賊。
丑中立癸見甲、而釈教之人。
乙犯天罡,陰人媒氏之女。
甲乙同来寅卯,定出長髮師姑。
庚辛申酉同方,必亡於兵刃。
当生有虎,怕入山岩,狼虎之傷,歳刑足病。
雀逢天后,翅翼而中道難安。
戊己朝仁田宅,而腫瘡獄訟。
癸丁加於干位,鬼賊心血常行。
青龍六合逢金,男女尊人之禍。
太陰失路,多生婦女之憂愁。
天后狂情,到魁罡忌於身厄。
東に金があったり西に木があったりするのは、親不孝者である。
丙が北にあったり壬が南にあったりするのは、必ず浮き沈みの激しい人生である。
壬が多く丑や子があるのは、道士として尊ばれる。
戌亥に壬癸が多いのは、家に盗賊がいる。
丑中に癸があり甲を見れば、僧となる。
乙が辰を剋するのは、占いや仲人、助産婦などになる。
甲乙と寅卯があるのは、髪を伸ばした老尼となる。
庚辛と申酉が同じ方にあるのは、必ず戦争によって亡くなる。
虎(庚)があって生まれるのは山岩(寅)に入るのを恐れる。狼虎の傷をうけ、歳刑(丙申年)は足の病。
朱雀(丙)が天后(壬)に逢うのは、羽根があるが道中心配が多い。
戊己が甲乙寅卯に向かうのは、田宅や腫物やケガ、刑罰に関することがある。
癸丁が天干にあるのは、悪人の心配や心臓血管などの病に見舞われる。
青龍(甲)六合(乙)が金に逢うのは、年長者やつまらぬ人の災いをうける。
太陰(辛)日で辛が弱いのは、多くは女性の心配事(婦人病?)を生じる。
天后(壬)日で壬が弱く、辰戌に到るのは身体に不調を生じる。


 ここでは、五行関係が剋関係の句がまとまってあります。後半は十二将で十干を示しているので、四柱推命の知識だけだと読み解くのが難しいでしょう。例えば、「虎」は寅ではなく白虎のことと取るのは、註がなければなかなかわかりません。
 中ほどの「当生有虎」のところは、注によると、虎は白虎であり庚日のこと。山岩というのは艮卦で寅のこととあります。これからいえば庚寅日ということになります。狼虎の傷というのはよくわかりませんが金木交戦のことでしょうか。また歳刑というのは庚寅日であれば、七殺は丙で寅の刑は巳申、すなわち丙申年ということになります。
 最後の句の「魁罡」はここでは魁罡日のことではなく単に辰と戌を指します。


六癸還生,四柱旺相,鬼賊奔流,休囚腎病。
休囚十干墓地,而久病之源。
返戦無功,定乃出軍人作賊。
生逢酉戌,小人奴婢憂患焉。
丁旺巽坤,女子詩書好酒。
龍常未亥寅卯同,経商利賂綿綿。
甲乙壬癸全逢,主作煙花之女。
艮金瘦小,離坎高雄。
三丁二丙到金,口舌生瘡。
南多北少,家破人亡。
東方全見,妻児則難保長春。
西旺東衰,金盛則家不吉。
癸壬亥子,工巧之人。
癸甲壬金,胡人狡佞。
歳日朝時,自身舎立。
癸日で地支に亥子申が多くて、強すぎるのは、悪人に振り回され、弱すぎるのは腎臓を病む。
十干が弱く墓があるのは、長病いの原因である。
日干が剋を受けて弱ければ、おそらくは軍を出て賊となる。
地支が酉戌のときは、使用人となる心配がある。
丁巳、丁未で丁が強い女性は、詩書、酒を好む。
辰酉の合があり未亥寅卯があれば、商売上手で利益があがる。
甲乙壬癸がそろう女性は遊女となる。
丑寅申酉があるのは痩せて小さい、火と水が適度に強いのは勢いがある。
丙丁が多く地支が金なのは、口舌で傷を生じる。
火が多く水が少ないのは、家を破り子孫は断絶する。
寅卯辰がそろう場合は、妻子を長く保つことは難しい。
申酉が強く寅卯が弱く、金が強いのは家に良くないことがおこる。
癸壬亥子がるのは、器用な人である。
癸甲壬がそろい地支に金があるのは、人をだます。
年干日干が時干と合するのは、自分の出身地を捨てて身を立てる。


 ここはとくに剋とか生とかにこだわらず、まるで思いついた順に書かれているような感じです。といって、それぞれの句について全く意味がないというわけでもありません。それぞれを詳述するのは別の機会として先に進みましょう。


合逢四柱,後来妻再産児郎。
隔合居中,妻子財間須見破。
造於偏地見多,而二姓三名。
時日暗投逢合,孤児義女。
地刑所見,次母所生。
壬丁於命敗之郷,出於偏房外妾。
干合身敗,須信男女娼淫。
身到旺郷,有鬼者自須貴顯。
坎離子午丙壬,重見児女雙生。
時與胎運月合,必須延月而生。
四柱に合があるのは、後妻をもらい再び男子を得る。
隔合居中、妻や財を必ず失う。
干合が墓絶に地にあるのは、養子に出される。
日干と時支の蔵干が干合する場合は、一人っ子か養女をもらう。
地支の刑を見る所、次母の生ずる所。(だから何なのか意味不明)
壬丁の合があって沐浴があれば、外に妾を作り家を出る。
日干との干合があって地支に沐浴があれば、間違いなく男女関係が淫らである。
日干が強く地支に建禄帝旺があり、官殺があれば貴命である。
水火すなわち子午丙壬を重ねてみれば、子女に双子がいる。
時干支と胎元が合であれば、必ず生まれるのが遅い。


 ここは主に干合について書かれていますが、相変わらず整理されたものではありません。
 2句目の「隔合居中」とは註によると年干と日干、月干と時干が干合することのようです。
 3句目の「造於偏地見多」とは干合があってその化五行の墓や絶にあたる地支があることのようです。例えば乙庚であれば化金ですから、丑寅が地支にあることをいいます。
 5句目のくだりは意味不明ですが、「次母」とは註によると、申子辰の人は戌、巳酉丑の人は未、寅午戌の人は辰、亥卯未の人は丑ということです。申子辰は水ですから水を生じる金の墓支というような感じでしょうか。巳酉丑の場合は火生土、土生金ということで火の墓支である未をとっています。
 最後の「胎元」とは生月干支の9か月前の月干支をとる方法が一般的です。すなわち甲子月生まれならば胎元は乙卯というわけです。


辛多旺相,老婦長年。
金盛逢刑,非法亡没。
甲逢壬癸,生於江水之中。
運泛他郷,孤木柱逢多水。
辛乾丙巽,術士醫流。
陽干支有相刑,主人斜眼之疾。
旺中戊己,児孫後代為官。
太乙與神后休囚,陰謀争訟。
五陽前建,定出清官。
五陰後逢犯刑空,盗賊非橫。
相冲壬戌,丙戌居墓者凶。
辰多而斗訟官嗔。
戌見而凶頑小輩。
辛が多く強い女性は、長生きする。
金が強く刑に逢うのは、普通の亡くなり方をしない。
甲が壬癸に逢うのは、海や川のそばで暮らす。
故郷を離れて転々とする人は、木生まれで助けがなく水が多い命式である。
辛亥丙辰は宗教者、占師、医者などになる。
陽干支で刑剋があるのは、斜視である。
戊己が強いのは、子孫が地方の役人になる。
巳と子があって(日主が)弱いのは、陰謀や訴訟に巻き込まれる。
陽干に建禄があるのは、清廉な役人となる。
陰干に刑や空亡があるのは、盗賊や災害などにあう。
壬戌、丙戌に冲剋して墓にあるものは凶である。
辰が多いのは訴訟や役人につかまる。
戌を見るのは凶暴頑固でつまらない人間である。


 干関係、干支関係についての諸説を並べたというところでしょうか。しばらくこういう感じの句が続きます。
 「相冲壬戌、丙戌」は壬戌、丙戌を並列にとりましたが、註によると丙戌、丙辰、戊戌、戊辰のことだとあります。もし前者なら、戊戌、壬辰になると思います。まあ実際には墓が凶になるかどうか命式全体で判断しないと何ともいえません。


旬中六甲,多主尊栄。
天罡如逢日時,散失人口。
木逢金盛,配遁児郎。
金上安土,門中耗散。
八方之卦,能推陰女盛衰。
癸巳與乙卯庚申戌亥,九流之士。
各推前五,祖宗運後代皆知。
丙丁多或到深山,陽孤陰乱。
己庚同會,女子娉婷。
乙庚旺相之郷,男子和明進顕。
空中有合,門生虚道閑人。
丁巳與丁卯各生,門内官進納。
土居四季見全,而多有田林。
四柱五行,定於内外。
命之前後,陽前陰後五辰,定見家宅禍福。
命中に旬首(甲子、甲戌など)があれば、多くは家、先祖が栄える。
癸が日時にあれば、家系は失われる。
木が強い金に逢うと、子どもは散り散りなる。
金の上に土があれば(己酉)、家の中はバラバラである。
八卦の象意をみて、婦女の盛衰を判断することができる。
癸巳と乙卯庚申戌亥があるのは、九流の士である(学問が高い)。
各柱の5つ先の支をみれば、先祖や子孫がどうなるかを知ることができる。
丙丁が多いまたは寅が強いのは、男性は孤独になり女性は乱れる。
己庚があるのは、女性はあでやかである。
乙庚が旺相の地にあるのは、男子は賢く名をあげる。
空亡と合するのは、良い家に生まれても何事も成せない人となる。
丁巳、丁卯で日主が強ければ、官位についたり富を得たりする。
己生まれで辰戌丑未が全部あるのは、田林を多く所有する。
四柱の五行は、子卯午酉とその他の支の作用の違いを見極める。
命の前後、陽支は五つ先、陰支は五つ後ろをみえれば家宅の禍福を見ることができる。


 2句目の「天罡」は癸のことと註にあります。
 下から2句目の「内外」とは子卯午酉を外、その他を内とよんで区別するという意味だと思われます。
 途中四柱の5つ先や5つ後ろの支で判断する方法が出てきますが、私はあまり信用していません。むしろ六壬的な考え方からいえば占時と月将の関係で見た方がいいと思います。


生逢兄弟不相親,終見交争。
視於日時,識辨子妻。
観其胎月,知於父母。
巽離旺相,丙丁俱全,足見高明。
壬癸庚辛,土木同法,亦當貴顕。
刑冲破害戊辛多,定出軍人。
從魁與亥木,丁辛遇太常,酒家利路。
亥逢金盛,癱瘓長生。
水立金中,門生陰病。
太沖辛乙無気,而道士抽簪。
從魁辛乙相加,主還俗和尚。
辛亥来卯上,定生唇缺之人。
酉上逢丁,後須絶嗣。
戊己如生四柱,未申中三四同行,必主甘香肥寿。
庚辛向無火之郷,出不義軍人孤女。
有気逢官,定為顕赫。
癸壬旺中,必須流落。
四清本主俱全,而文武両升。
四柱見之有旺,則門中生貴。
季中全犯有気,而庫蔵之官。
我去刑辰,必主兵法之任。
生が兄弟に逢うと親しまず、ついには争いとなる。
日時を見れば、子どもと妻のことがよくわかる。
胎月を見れば、父母のことがわかる。
巳午は火の旺相であり、丙丁がそろえば、高い地位にのぼる。
壬癸庚辛に土木があれば、また富貴が顕れる。
刑冲破害戊辛が多いのは、おそらく軍人となる。
酉と亥木があり、丁辛が未にあうのは、居酒屋をやれば利がある。
亥が強い金に逢うのは、中風に悩まされる。
壬癸が金の地支にあるのは、陰病を生じる。
卯の上に辛乙があって弱ければ、官位を辞して道士となる。
酉の上に辛乙があれば、還俗して僧侶となる。
辛亥が卯上に繰れば、顔の病を生じ唇に傷ができる。
酉の上に丁がくるのは子孫が絶える。
戊己日主で未申が三四同行すれば、甘香で太って長生きである。
庚辛日主で地支に火がないのは、不義の軍人、独り身の女となる。
日主が強く官に逢うのは、名があがる。
壬癸日主で(土がなく)強いのは、必ず落ちぶれる。
四柱が清で孟支(寅申巳亥)のバランスがよいのは、文武両道にすぐれている。
四柱で仲支(子午卯酉)のバランスがよいのは、高位の職につく。
四柱で季支(辰戌丑未)が強ければ、庫を管理する役人となる。
日支が年月時支を刑すれば、軍や法をつかさどる役職につく。


 この部分も引き続き干支から象意を導く句が並んでいます。
 1句目の「兄弟」とは劫財のことで、劫財奪財のことを言っているとのことですが、最初の生はたぶん印綬のことであり、劫財奪印のことを指してるのではないでしょうか。
 中ほどの「戊己如生四柱~」の「中三四同行」はよくわかりませんが、四柱のうちに3つ4つあるということでしょう。また「未申」ですが、これは「坤土」であり地支に土が多いというぐらいの意味ではないかと思います。
 原文からは意味がとりにくく、ほとんどは註にそって訳しています。


乙庚旺相,方外聲名。
戊癸炎輪,多生禮徳。
丙辛真化,水盛陰淫。
甲己同交,交之有信。
丁壬化木,旺多仁義。
木中有土,鬼怪當聞。
金上安仁,門中虚耗。
火加金位,孤独貧窮。
火到水郷,女人癱瘓。
巽離同住乾宮,世出冷労男子。
丙壬同居震位,陰陽淫乱之宮。
木人煙中,疾為下小。
旺相休囚,問於進退。
壬来朝申有貴官,中女須栄。
乙庚が旺相なのは、内外に名声を広める。
戊癸で火が強いのは、多く礼徳を生じる。
丙辛が真に化すると、水が盛んで陰でみだれる。
甲己が化すれば、交際で信義を重んじる。
丁壬が木化して強ければ、仁義にあつい。
木中に土があれば、奇怪な事が起きる。
金の上に木があれば、家庭内で疲弊する。
火が金の位に加われば、孤独で貧窮である。
火が水の地支にあれば、女性は中風になる。
巳午が戌亥とあれば、男子は冷えに悩まされる。
丙壬があって卯をみれば、男女とも淫乱の傾向がある。
甲乙日主で地支に巳午があるのは、つまらない人間である。
旺相休囚というのは、進退を問題にする。
壬が申に向かうのは貴で官職につき、中年女性は栄える。


 「旺相休囚」の句の進退とは、出処進退でなく進気退気のことだと思います。作用と言い換えてもいいかもしれません。
 最後の句の「中女須栄」は上のように訳しましたが、註によると中女は子のこととありますので、壬申に子があれば栄えるという意味の方がいいかもしれません。


帯刑全申巳寅,定有官刑嗔訟。
自刑重見,自死自凶。
子卯相刑,門無禮徳。
丑逢戌未犯支刑,肢病難痊。
辰卯相加,必有獄刑腰脚。
寅来加巳,子孫憂労熱焼身。
巳立功曹,必見両宮所失。
午逢丑位,久病内気之災。
丑人炎陽,必有四肢深厄。
子臨井宿,須生脾胃之災。
未到子郷,定見尊凶婦厄。
亥申二勢争強,不久道路散失。
建逢酉戌剋戰,鬼賊門病終憂。
旺中有卦本全,而出自清名。
申巳寅の三刑を帯びれば、刑罰訴訟に関することがある。
自刑を重ねて見れば、自殺や自ら悪事を働く。
子卯の相刑は、家に礼徳がない。
丑が戌未に逢う支刑は、四肢の病が治りにくい。
辰卯が加わるのは、必ず刑罰や足腰に問題を生じる。
寅が来て巳に加わるのは、子孫の心配や高熱や火傷を生じる。
巳が寅とあるのは、必ず家財を失う。
午が丑の位に逢うのは、身体の不調、長患いに苦しむ。
丑生まれで火が強いのは、必ず四肢に重い病がある。
子が未に臨むのは、必ず脾や胃の病を生ずる。
未が子の行運に行くのは、家長や婦人に凶厄がある。
亥申が二つとも強いのは、遠からず道路を失う。
酉戌の剋戦が成立すれば、悪人や病の心配に終始する。
三合があって強ければ、世間に名をあげることになる。


 この部分はもっぱら地支の刑について述べています。
 下から5句目の「子臨井宿」は子未の六害ですが、実占的にも不思議と胃腸病を示すことが多いものです。
 下から3句目の「亥申二勢争強」というのは亥申の六害が強く出ることを意味しますが、申は伝送で道路の象意がありますので、下の句で道路が出てくるわけです。ただこの道路は伝送の意味からして通信とか手段とか別の意味に取った方がよいでしょう。
 最後の句の「有卦本全」とは三合がそろうことで、この場合は従格または一行得気格が成立し、それが清であれば貴命となります。


子来合丑,宮観閑人。
丑到子郷,復為貞吉。
亥朝寅位,滋養外人。
寅人天宮,顕然之兆。
天魁到卯,破敗土田。
木人天魁,復為吉兆。
罡到金中,和中有訟。
巳刑傳送,道路長行。
申到巳中,行人返復。
未午合,分得失,未吉午凶。
子が丑と合するのは、家にいて隠居する。
丑が子と合するのは、また良く吉とする。
亥が寅の位に向かうのは、他人を養う。
寅の人が亥に行くのは、名をあげる兆しである。
戌が卯に到るのは、田畑土地を失う。
卯の人が戌に行くのは、また吉兆となす。
辰が酉に到るのは、平穏の中にもめごとがある。
巳が申と刑するのは、物事の進み方が遅い。
申が巳に到るのは、出て行った人が戻ってくる。
未午の合は、得失を見極める。未は吉で午は凶。


 この部分は支合に関することをまとめてあります。もちろん文字通りの物事が起きるわけではありません。
 訳を読めば意味はわかると思います。


全逢下剋,四親孤,尤忌二尊。
復剋於上,多常退陰人小口。
三来剋下官嗔。
三制上時鬼賊。
二上二下同類,
一剋論於勝負,尤分彼我之情。
四時分弁吉凶,災福自然明矣。
地理山罡,足見清濁之用。
上推日月山河,中見人之内外。
将十神言其面色。
地支神見,身貌俱詳。
干傷頭面之災,支損者四肢為患。
四柱とも地支が天干を剋すのは、父母兄弟子孫が孤独となる。父母に最も悪い。
四柱とも天干が地支を剋すのは、多くは女性がおらず家は衰退する。
三柱で天干が地支を剋すのは、刑罰に関することがある。
三柱で地支が天干を剋すのは、時に悪人の仇を受ける。
二柱ずつが上剋下剋なのは同じようなことである。
一柱しか剋がないのは勝ち負けを論じて、自分と相手の状況をよく見極めるのがよい。
四季を見極めて吉凶を分析すれば、災いと福はおのずと明らかになる。
地理(陰支)と山罡(陽支)は清濁の作用をよく見る。
天干の象意を照らして、人の外見内面を見極める。
また十干にはそれぞれの色がある。
地支の五行を見て、身体や顔つきを詳しくみる。
天干が傷を受ければ頭や顔の災い、地支が損なわれれば四肢の患いとする。


 註には「地理」とは丑卯巳未酉亥、「山罡」とは子寅辰午申戌のこととあり、地理は濁、山罡は清とありますが、地支自体に清濁はないと思います。
 「日月山河」とは、註によると「甲は日、乙は月、丙は天上、丁は地下、戊は山、己は城、庚は国、辛は人、壬は水河、癸は海」とあります。ここでは象意というふうに訳しました。
 註によると、十神の面色とは、甲青、乙碧、丙赤、丁紫、戊黄、己紅、庚白、辛淡白、壬黒、癸緑。

■ あとがき

 これで「玉照定真経」の原文と訳を終わります。
 たいていの詩賦には、最後に詩賦の宣伝文が付くことが多いのですが、何とも唐突な終わり方です。私の(単なる)憶測では、おそらく原文はまだ続いていたのでしょうが、残念ながら散逸して残っていないと思われます。また本文もところどころはまとまりをもっているのですが、順番も雑です。実は異本もあり、字句も違っていたり句の順序も入れ替わっていたりします。ですから、他書と異なるところがあっても、それは異なるテキストをもとにしているということです。どちらかが間違っているわけではありません。また、私もいくつかの異本を参考にしてこのページを作りましたので、ある意味では、"hiroto的"版本と言うべきかもしれません。

 一読するとわかると思いますが、何かまとまりのある説ではなく、思いついた説を羅列した感じです。まあ江湖の術士がいろいろな神殺を作って名前をつけたのと同じような感じかもしれません。古い四柱推命の古典にはこういう書が多いのだろうと思います。しかし、それぞれの句には意味や由来、理由がありそうな気がしています。順序も大胆に並び変えてそれぞれの句を詳説してみるのも面白いかもしれません。

 ところで、「玉照定真経」の翻訳にとりかかり始めたのは10年以上前でしたが、この古典じっくり取り組んでいる時間がなく、また翻訳にあまり大きな意味を見出せないでいたのでほったらかしにしていました。今コロナ騒ぎで家にいる時間が増えたのと、「古法推命」に本格的に取り組むために、あらためてこの古典に向き合いました。
 おそらくほとんどの人にはあまり参考にならないと思いますが、一つ一つの句がいったいどういう理由で生まれたのだろうかと考えてみるのは、面白いし勉強になるかもしれません。




   作成 :  2021年 7月25日  

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