過去の日本の予測2020~202X - 大六壬による測局


■ はじめに

 測局とは、世の中の情勢を予測するということで、中国占術の独特の用語です。
 本来、大六壬は個別の事件に対して占うために使われるものですし、そもそも期間の長い占いには向きません。しかし、大六壬の可能性を追求するのもまた私のテーマのひとつであり、ここに大六壬測局占法へのチャレンジをここにあげるものであります。
 このページは過去の予測を保存したものです。


- 目 次 -



■ 2021年の日本の予測の反省その2

 中国占術の大半は立春から翌年節分までを1年としています。よって予測はあと1か月ほど残っているわけですが。毎年年末年始の休みを利用して反省と予測を書いていますので、例年どおりまずは反省から行いたいと思います。

 すでに年前半の予測の反省は8月にしましたが、以下は前半も含め例によって2021年の予測を箇条書きにまとめてみました。

(1)変動がないようでいて変動が結構ある1年。玄武は空亡。
 キーワードは陰険、陰謀、偸盗、看護、秘密、消極、潔白、引退、同僚など。
(2)天候は全体には曇りではっきりしない。前半は晴れ、後半は雨の傾向。全般に温かい。
 気象は水害か、どちらかといえば暴風、竜巻?ただし大風は単なる勘。
(3)大地震はなさそう。あっても10月ごろ。東南ー西北ライン、南海トラフ周辺は注意。
(4)前半は首相が強権を発動しようとしても四面楚歌。
 後半は首相が変わるか政治環境が変わるかにより上手く立ち回る。
(5)オリパラは開催されるが限定的な開催。経済的負担大。
(6)外交的には苦労する。下手すると孤立化。
(7)女性の活躍は期待できない。むしろ女性問題、スキャンダルが起きる。
(8)殺伐として思いやりのない、気の滅入るような社会となる。
(9)年の中盤、オリパラの頃コロナが蔓延、対策が厳格化される。
(10)経済対策(バラまきに近い)は効果を発揮しない。
 株価は年の中盤(前半に近い)にバブルがはじける。
 為替は円安傾向。狭いレンジで推移する可能性もある。
(11)好調な業界はあまりない。
 巳の示す衣料、台所用品、陶磁器、楽器、薬などは売れる。
 非鉄金属、銅、アルミ、亜鉛、チタンなどは価格上昇。

 以下に各項目の結果と反省を記します。その1で書いたことははしょります。

(1)について
 新型コロナの変異株がいろいろ出てきたりオリパラがあったり選挙があったりで、世の中目まぐるしく変化しました。ししかし、コロナに振り回されましたが、結局年の初めと状況はたいして変わっていないようにも思えます。キーワードの中の看護とか引退とかは思い当たることもありました。

(2)について
 先日気象庁から2021年の天候のまとめ(速報)が発表されました。それによると、年平均気温は1898年以降最高水準となる見込みです。まあ近年の温暖化は、原因は何にしても進行しているのは明らかなので、これはさして驚くことではありません。降水量のデータをみると、東日本や北日本は年の後半が雨という傾向がみられるのですが、西日本は後半の雨量は少なく、西日本に関してはハズレれています。
 大雨については、7月8月に豪雨がありこれは予測のとおりでした。すでに予測の反省その1で述べたとおりです。白虎の凶意が出たという感じです。
 暴風や竜巻ですが、ここ数年増えており、2021年も5月の牧之原市を中心とした(おそらく竜巻)風害、12月の藤沢市や志摩市で起きた暴風被害が起きています。台風自体は少なかったのですが、台風9、10号のダブル台風で一部地域で暴風被害が出ています。まあこれも当たった感じです。悪いことは当たらない方がいいに決まっていますが。

(3)について
 結論から言えば今のところは大地震は来ておらず、まあこれは当たったとまではいえないでしょう。大地震はないものの地震活動は比較的活発で福島沖や茨城などはそれなりの規模の地震が発生しています。10月ごろ東南ー西北、南海トラフが危ないと予想していたのですが、9月から11月に東南方向では東海道沖や和歌山沖、鳥島付近、西北方向では日本海でM6クラスの地震が発生しています。南海トラフということでは宮古島や台湾近海でも比較的規模の大きな地震が起きています。これは注意が必要かもしれません。

(4)について
 前半についてはすでに予測その1で書きましたので省略します。
 後半についてですが、「私の六壬実占記」にも書いたとおり首相の交代はある程度予想していました。さらに調整型というか周囲との軋轢の少ない人が首相に就くだろうとも思っていました。そして菅前首相が辞任、後継は岸田首相と聞いたときに、衆院選も自民党が過半数をとって年の後半は岸田首相で決まりだなと確信しました。
 以前から、とくに個人的なことに関しては、あらかじめ予想していても固有名詞を出して断言することを控えているのですが、今回も予想していたことがその通りになりました。

(5)について
 オリパラについては反省その1で書いたとおりです。

(6)について
 外交上は大きな失態はなかったと思います。COP26では批判も浴びましたが、まあいつものことですので日本だけ浮いたということはないと思います。この点は今のところ予想は外れです。22年1月にどうなるかはわかりませんが。

(7)について
 自民党や立民党の党首選に女性候補が出ましたが、これをもって女性の活躍とはいえないでしょう。連合会長に芳野氏が就任したものの、逆に小池都知事は過労で入院したり辻元氏が落選したりなど2020年までに活躍していた女性の政治家や論客も姿をあまりみなくなった気がします。SDGsで多様性をうたわれている割には現実には女性の活躍はみられていません。また女性についてのトラブルといえば森元首相でしょうか。
 まあこの項も当たった方でしょう。

(8)について
 これはとくにコメントは必要ないでしょう。もう言わずもがなで、私はネット、とくにいろいろな人のコメントをみるたび結構気が滅入ります。

(9)について
 これもほぼ的中でしょう。今年ほど白虎の象意がはっきり出たことはないと思います。とくに戌白虎は今後も注意しようと思います。

(10)について
 これは当たると自信をもっていたのですが、為替はまあまあとして、株価はちょっとハズレてしまいましたね。確かに日経平均で8月に2万7千円を割り込んだのですが、私が予想したほど下がる(バブルがはじける)ことはありませんでした。まあ株が下がらなかったことは日本経済にとっては(私にとっても)よかったと思うのですが、予想が外れたのはちょっぴり残念です。

(11)について
 この項もまずまずという感じです。調理家電や薬でもジェネリックなどは好調のようです。陶磁器や楽器はよくわかりませんが、巣籠もり需要と高齢化で堅調だと思われます。非鉄金属はすでに前半の予想で書きましたので省略。
 しかしよく考えると六壬でなくても予想はできたことかもしれませんね。

 以上でそれぞれの予測に対する評価を終わります。全体的には合格点を与えてもいいのではないか、と我ながら思います。もっともここ最近は、悲観的な予測をしておけば半分以上は当たりそうな気もしますが…。
 上で予測しなかったことは、経済面では世界的な半導体不足と物流の混乱、スポーツ芸能では大谷翔平選手や藤井聡太棋士の活躍(大谷選手はアメリカの話なので範囲外です)やオリパラでのメダルラッシュ、その他真子様と小室圭氏の結婚がありました。とくに半導体不足や物流の混乱について予測できなかったことは、経済予測に力を入れてきた者としては残念です。2022年はそういう現象もきちんと予測できるようにしたいものです。
 ということで、性懲りもなく六壬による予測は続けていきます。

(以上 2021年12月31日に記す)

■ 2021年の日本の予測の反省その1 ~ 半年たったところで

 今日は2021年8月1日(日)です。六壬というか中国占術の1年の始まりは立春ですから、ほぼ半年が過ぎたことになります。半年たってみて、私の年初の予測がどの程度当たっているかを検証してみようと思います。
 2021年1月に立てた予測ですが、今年は珍しくかなり的中している(もしくは的中しつつある)と思います。まあ自慢はともかく、今年の前半を振り返ってみましょう。

 今年の話題を3つあげるとすれば、新型コロナとオリパラと気象災害でしょう。さらにあげるなら政治の劣化でしょうか。それぞれについて順に振り返ってみます。

 新型コロナについては、私は次のように書いていました。

残念ながら、年の前半では多少落ち着きを見せていた新型コロナも、年の中盤からは急拡大しそうです。ひょっとすると変異種の蔓延かもしれません。
「変異株」ではなく「変異種」と書いているところがご愛敬ですが(苦笑)、7月31日の新規感染者は全国で1万2千人を超え、東京都は4千人を超えました。まさに「急拡大」の様相を呈しています。もっとも「前半では多少落ち着きを見せていた」かどうかは議論の余地はありますが、今日現在では予測が的中しています。皆さんお忘れかもしれませんが、1月ごろはワクチンの効果が出て、年の半ばから後半にかけてコロナが収束に向かうと予想していた人が結構いたのですが(とくに政府関係者)、残念ながら今のところは私の勝ちですね。まあ勝ち負けの問題ではありませんが。
 とにもかくにも早く収束してほしいものです。私もタイから一時帰国できずたいへん困っています。

 次にオリパラですが、私も開催の予測についてはさんざん迷いました。それは書いてあることをみてもらうとして、で結論としては、

思い切って予測すれば、私は限定的な開催の方向になると思います。いくつかの競技は取りやめになるかもしれません。
と書きました。今のところ取りやめになりそうな競技はなさそうですが、出場できなかった選手はいるようです。台風が近づいたときには競技の取りやめもあるかなと思ってみていましたが、幸いそういうことはなくよかったです。
 まだオリンピックは終わらず、パラリンピックはこれからです。パラリンピックも中止ということはないと思いますが、この感染状況では「いくつかの競技」ではなくパラ自体中止ということもあるかもしれません。私はオリンピックよりもむしろパラリンピックの方を応援したいと思っていて、競技の中止がないことを祈っています。

 3つめは気象災害です。熱海で起こった土砂崩れは記憶に新しいところです。7月はとくに全国的に大雨による災害が多かったですね。
 私は課式からみて大雨と考えたあと、直感的に暴風とか竜巻とかと考え直したのですが、素直に大雨と判断しておけばよかったですね。へたな考え休むに似たり。まあ保険を掛けた感じもしないではないですが。
 あらためて見直すと辰戌が螣蛇白虎であり、これは地震とか土砂崩れの可能性があります。中伝に戌白虎がありますが、これは土砂災害による死者を示しているようにも見えます。ただ、どちらかといえばこれは疫病(新型コロナ)を示していると思います。(実際そう判断しました)
 占いの結果はともかく、悪いことは当たらないに越したことはありません。年の後半は大きな災害が起きないことを祈っています。

 あともう一つの話題、政治の劣化については次のように書いています。

首相が表舞台にあまり出てこない、(中略)少なくとも年の前半は強権を発揮しようとしますが、四面楚歌状態に陥り苦境に陥りそうです
これは、私としてはかなり当たっていると思うのですが、まあ菅首相のキャラクタからすれば、六壬を使わなくても予想できそうなことではあります。

 この他の予想としては経済があります。経済については、最近は的中率が上がってきていると自分では思っています。まあ自分の資産にも影響するので読み解きに真剣になっているというのは確かです。
 で、経済についてはこう書いていました。

2021年にはそれ(株価バブル)がはじける可能性が高い、(中略)年の中盤といっても前半の方でしょう。
これはまだ当たっているとは言い難いですが、今日現在株価は低下傾向で、来週には2万7千円を割り込む可能性もあります。私はこの夏はもっと下がると思っていますが。
 円ドルについては、基本は円安、あるいは狭いレンジでの動き、と予想しましたが、現時点では円安というよりは狭いレンジで推移しています。これもまあ当たっているといえばいえます。
 業界予測で金属価格の上昇を予想しましたが、これも当たっています。というか、これは私の想定を超えた値上がりを示していて、原油高もあいまって商品価格は軒並み上昇している状況です。2年前の商品市況とはだいぶ変わりました。今年はこれがたぶん続くでしょう。来年どうなるかはまた来年の予測で検討します。

 その他にもいろいろな予測を立てていますが、ほとんど的中していると思います。現時点では80点以上つけられるのではないか、学校の成績なら優、確率なら天気予報並み、と自己評価しています。
 全般的な評価は今年が終わってから、来年のお正月に全般の反省をしたいと思います。そのためではありませんが、いくつかの予測には今回触れていません。あしからず。

(以上 2021年8月1日に記す)

2021年の日本についての大胆(?)予測

 さて、性懲りもなくというか、毎年の恒例であります新しい年の日本を大六壬で予想します。ここでの予想は2021年2月立春から2022年2月の節分までです。
 日本の立春の時刻は、国立天文台暦計算室によると2021年2月3日23時59分です。一日の境という微妙な時刻ですが、私は大六壬では23時で日が変わるとみているので、2月4日と同じ日干支ととります。


日干支 癸未 占時 子 月将 子 太歳 丑  申酉空亡

初伝太陰勾陳勾陳太陰太陰
中伝白虎
末伝勾陳

課 義

 占時月将がともに子であるので伏吟課ということになります。三伝は上剋下である一課丑を初伝として、あとは刑をとります。すなわち三伝が丑戌未の無恩の刑となります。
 通常伏吟課というのは上下の剋がないのですが、日干が癸なので一課のみは剋関係になります。さらに三伝は刑の関係ですから、ほとんどは土支というものの結構変動があると解釈した方がいいでしょう。さらに、刑の関係ということは変動といっても凶意の方が大きいでしょう。
 この課については、次の句が添えられてあります。
 「四丁分布、勾人火庫、僥倖得財、切勿再願」
 この意味は、丑の遁干が丁で未は丁の寄宮であるので四課に丁が並ぶ、戌の陰神は勾陳、僥倖で財を得るかもしれないが、再び得ようとしてはならない、というような意味です。戌は火の墓であり癸にとっては財庫にあたるので、財を求めようとするのですが(貪財)、癸は土の剋を受けて財を継続して得るには弱いということを意味しているのだと思います。

占時・太歳

 占時子は兄弟で玄武です。玄武は陰険、偸盗、陰謀、看護、一網打尽などの象意がありますが、空亡ですので良い意味は出てきにくいでしょう。太歳丑は官鬼、太陰です。太陰は陰私、秘密、消極、引退、潔白、同僚、清潔などを意味します。

気象・自然災害

 三伝四課が土支であり、全体として曇りが多くはっきりしない天候だと思います。三伝の遁干をみると初伝は丁であり、また戌未は火を含む土支ですので、晴れる傾向の方が大きいでしょう。しかし末伝遁干は癸ですので、年の後半は雨が多くなると思われます。
 このところ年平均気温は毎年年平均を上回ってますが、2021年も同様で温かい一年となりそうです。まあ温暖化が進んでいるので、これは六壬でなくとも予想されることではありますが。
 最近は異常気象が異常気象でなくなったので、天災は普通にあると考えた方がよいのでしょう。どちらかといえば水害の方が考えられます。一二課が癸丑で構成されている点、占時が子である点からそう考えるのですが、「四丁分布」という課義にはちょっと結びつきません。迷うところです。私はこの課からは直感的に大雨というよりも暴風や竜巻の害を想像します。しかし本課式では青龍が乗じる申は空亡なので大風という象意は導きにくく、あくまで単なる勘なのですが。

 地震について。螣蛇が辰についています。辰は課式には顕れませんが辰は土支であり注意が必要です。場所は辰が東南であり東南-西北のライン、また三合は西北と北方です。一応南海トラフや九州周辺、北海道西方あるいは青森秋田周辺が注意すべきところかと思いますが、ただ課伝には辰は顕れていないのでそれほど心配する必要はないかもしれません。時期的には辰と冲にあたる中伝戌、すなわち年の中盤あたりから10月ぐらいと思います。毎年書いていますが、地震というのは不思議と忘れたころにやってきます。常に過去の震災を教訓に、備えをおこたらないことが必要なのは言うまでもありません。
 火山の噴火については、2021年は大規模噴火はないと思います。

政 治

 2021年はいずれにしても衆院選があります。任期満了前に解散があるかどうかが政治ウォッチャーたちの焦点のようです。政治ではありませんが、それに非常に影響を与えるのがオリ・パラの開催です。果たしてオリ・パラは開催できるのか?そういうことも含めて、日本の政治や外交について予測しようと思います。

 その前に、1月までは2020年の課式で判断しますので、まずは1月の話を。
 1月から通常国会が始まりますが、予算編成時期でもありますし、コロナの感染の先が見えない状況では、普通は解散はしないでしょうしできないでしょう。では野党から不信任案提出ということがありえるかといえば、それもないでしょう。あるとすれば、通常国会開催直前の内閣改造ですが、コロナ対策の行き詰まりで国民からの批判が高まれば一部閣僚の交替はありえると思います。昨年の課式の末伝は辰でしたので、それは十分に考えられます。しかし常識的に考えれば普通は改造も解散もやらないでしょう。

 さて2月以降どうなるかを予測してみましょう。
 貴人卯は空亡ではありませんが、課伝にはでてきません。これは首相が表舞台にあまり出てこないことを意味していると思います。課伝はすべて土であり卯木は土が強すぎて剋しきれません。すなわち、少なくとも年の前半は強権を発揮しようとしますが、四面楚歌状態に陥り苦境に陥りそうです、しかし中伝戌とは六合、末伝未とは会ですから、実力はともかくとして年の中盤からは上手く立ち回れるでしょう。このことが首相の交替を意味するのか、それとも衆院選で勢力図が変わり、首相周辺の環境が変わるせいなのかははっきりしません。しかし年の中盤に何らかの変化がおきるものと期待したいですね。

 さてオリ・パラですが、これはどう考えればいいでしょうか?まず常識的に考えてみましょう。新型コロナの蔓延が21年前半で全世界で収束しているとはいくら何でも考えられません。ワクチンの効果があったとしても数に限りがありますから世界中に行きわたるとも思えません。そのうえでオリ・パラを開催するためにはどうするか。唯一考えらえるのは無観客ないし観客をごく少数にしぼり、ワクチン接種、PCR検査の上、選手や観客は隔離しての開催です。そのときの医療体制がどうなっているかわかりませんが、各国に医師看護師の派遣を依頼することになるかもしれません。ただ世界各国にその余裕があるかどうか?そうなると、選手はまあいいとしても観客は満足するでしょうか?また経済効果はほとんどなく、出費だけがかさむということになりそうです。
 過去には世界大戦で中止になったことや、モスクワ五輪のように多くの国がボイコットしたまま開催という例もあります。今回の五輪はロシアはもとより参加できないし、ロシアに追随するわけではないにしろ不参加を表明する国は少なからず出てくるでしょう。これは感染症との世界大戦だと考えれば中止ということも考えられますし、さらに不参加を表明する国が多ければ、開催することには象徴的な意味しかなくなり(”世界的なスポーツの祭典”とはいえなくなるという意味)、果たしてそうまでして開催する意味があるのかどうか?そのあたりは五輪の理念の問題になります。五輪に詳しくない私には何ともいえません。

 では六壬的にはどうでしょうか?五輪の示す十二支が思いつきませんが、人が集まることを考えると六合午あたりがそれに当たりそうです。また金銀を争うとか、人の往来、競争ということでは青龍申というのも考えられます。
 午の場合は戌と会、未と六合です。申の場合は特別な関係はなく土生金の関係になります。しかし申は空亡です。これは判断が難しい。午と考えればこれは開催の方向となるでしょう。申と考えれば開催は無いということになります。結論を出さないのはちょっとずるいと思いますので、思い切って予測すれば、私は限定的な開催の方向になると思います。いくつかの競技は取りやめになるかもしれません。また開催後はコロナが一層蔓延する可能性があります。そのあたりは「社会」の項で述べたいと思います。

 オリ・パラの開催が決まり、暖かくなってコロナが一段落することが見えれば、先手を打って春ごろ解散する可能性はありえるとみます。その動きは表に出なくても政権内部ではせめぎ合いがあるはずです。ただここで解散すると与党が大敗する可能性が見えれば、太陰丑には現状維持の象意もあるので、強行はしないでしょうが。

 外交はどうでしょうか?オリ・パラがあってもなくても外交的には苦労しそうです。仮にオリ・パラが成功したとしても、それこそ無恩の刑の象意である、恩を仇で返されるようなことになりそうです。初伝末伝が冲なのですから(一課と三課もそうだが)相反した結果しか得られない可能性があります。同盟国には裏切られ、関係の良くない国には袖にされるというところでしょうか。下手すると孤立しかねません。

 政治における女性の活躍はあまり期待できません、というか伏吟課であり、多様性そのものがあまり進展しないでしょう。太陰丑が初伝で一課なので期待したいのですが、この場合の太陰は女性の政治家や役人というよりは女性によるトラブル、スキャンダルの意味の方が強いと思います。

社 会

 課式全体からの印象を書くと、殺伐とした社会というふうに感じられます。新型コロナがなかなか収束せず、社会全体がいら立ち、医療関係者への感謝も吹っ飛んでしまうようなかなり気の滅入るような感じの雰囲気になるのではないかと。 残念ながら仮にオリ・パラが開催されたとして、表面上は歓迎ムードになるにしても、その底流では反発を生じてしまうといった、そういう思いやりのない社会になっていくと思います。ちょっと救いや希望がない予測ですね。
 残念ながら、年の前半では多少落ち着きを見せていた新型コロナも、年の中盤からは急拡大しそうです。ひょっとすると変異種の蔓延かもしれません。おそらくそれまでには特措法の改正が行われ、緊急事態宣言の発令もあるでしょう。それは、もしオリ・パラが開催されればその後、開催が中止になれば早めに出るかもしれません。いずれにしても、2021年の改正後の緊急事態宣言は前回よりも厳格なものになる恐れがあります。罰則も強化されるものとなるでしょう。

 そうなった場合には、警察による取り締まりが強化されるので、犯罪自体は減ってくるかもしれません。それは社会全体が厳しくなっているということで、もろ手をあげて喜ぶようなことではないと思われます。ただ犯罪者はゼロにはなることはないので、また新たな手口での窃盗や詐欺などが起きてくるのかもしれません。

経 済

 申酉空亡の年ですので、経済についても悲観的にならざるを得ません。
 「課義」のところで、かっこを付けてで(貪財)と書きました。おそらく景気回復や経済的支援に対する要請は2020年以上に高まるでしょう。さらにさらなる経済対策予算、金融緩和がなされると思います(バラまきに近いかも)。しかし金銭を示す十二支酉は空亡でしかも天空です。おそらくその効果はないかごく限定的でしょう。

 昨年の予測で、2020年は株高でバブル的な様相を呈してくる、としましたが、2021年にはそれがはじける可能性が高いと予測します。それについての経済理論的な裏付けはないのですが、六壬課式からはそう判断します。それはいつごろかといえば、年の中盤といっても前半の方でしょう。そして「課義」に僥倖で財を得ても再び願ってはならないと書きましたように、一度落ち込んだ株価は、2021年中には戻らないでしょう。

 為替についてはちょっと予想が難しいですが、円安傾向に動くものと思います。もちろん為替というのは相手(外国)のあることですので、日本国内の状況だけで判断できるものではありません。しかし、申酉が貨幣価値を示すものとすれば、空亡あるいは天空で円安方向ということになるのではないかと思います。あるいは空亡は動きが乏しいことも表しますので、昨年同様せまいレンジで推移する可能性もあります。

 最後に恒例の業界予想ですが、2021年は厳しいものになると予想され、好調な業界を見出すのは難しいことを、まずはお断りしておきます。
 課伝に土が多く、土生金で金に関する業界がよさそうですが、申酉空亡でありあまり期待できそうにありません。
 癸水の財庫である戌も白虎が付いていて、一時的には儲かりそうですが後が続きそうにありません。
 財に関係する支はあきらめて三伝と合や会をもつ支をさがしてみましょう。丑であれば子や巳が候補ですが、子は未と六害です。戌であれば寅、午、卯です。未であれば亥、卯、午です。午は癸日主の財ですが丑との六害です。六害を除くと寅、卯、巳、亥が一応残ります。このうち巳は日干癸水の財にあたります。巳は朱雀が付き朱雀は火将です。よって、この中では巳がもっとも有望だと思われます。
 巳が示すものといえば、衣類、台所用品、陶磁器、楽器、薬(煎じたもの)、炉かまどなど火を使うもの、巳は雑金であることから金属、などがあげられます。巣ごもり需要ということ台所用品や楽器はうなずけますし、コロナだけでなく薬の需要はますます高まるでしょう。面白いのは金属です。昨年は金が大幅に値上がりしましたが、巳は雑金を示すので、銅やアルミ、亜鉛、チタンなどの非鉄金属は注目かもしれません。

(以上2021年1月2日午前11時に記す)




■ 2020年の予測の反省その3 ~1年をふりかえる

 この項を書き始めたのは2020年12月31日で大晦日です。
 いつも書いていますが、私の1年は立春から翌年節分までなので、予測はあと1か月ほど残っています。しかし毎年年末年始の休みを利用して反省と予測を書いていますので、今年も例年どおりに、まずは反省から行いたいと思います。

 例によって2020年の予測を箇条書きにまとめてみました。

(1)先が見えず(愚かしく)、事の成就しにくい1年。
 キーワードは君子、神仏、首長、財物、俸禄、文書、陰険、偸盗、陰謀、看護、一網打尽など。
(2)天候は全体には曇りではっきりしない。前半は晴れ、後半は雨の傾向。日照不足が心配。
(3)大きな地震や噴火などは発生しない。あるとしても北海道、東北。被害は出ない。
(4)首相は力を発揮できない。
 後半、政変が起こる可能性あり。解散や内閣総辞職があるかも。
(5)外交はそれなりにうまくいく可能性がある。
 ただし年後半日本の態度次第で周辺国と軋轢を生む可能性あり。
(6)女性が表に出てくる。小池都知事は再選。
(7)ポピュリズムが進み理性的な議論や意見が引っ込む。
(8)男性優位、仕事優先の考え方が逆転する。
 戸惑いや錯綜という感じの静かな混乱がある。
(9)子供、高齢者に関する犯罪がとくに多い。
 また金銭や文書に関する大きな事件が起きそう。
(10)経済は専門家の予想が割れるほどの予測不可能な展開。
 株価は上昇、年末からバブル的な様相を呈する。
 為替は小動きというか先が読めない。
(11)よさそうな業界は不動産、農業、結婚、飲食、競馬
 また白虎の示す医療、葬祭、刃物業など。
 家具、出版、銀行などは苦戦するかもしれない。

 以下に各項目の結果と反省を記します。すでに反省その1、その2で書いたことは省略します。

(1)について
 先が見えないというのはその通りになりました。2020年1月時点で新型コロナがこれほどの問題になると誰が予想していたでしょうか?(一部の専門家は予想していたかもしれないが)ほとんどの人がオリンピック・イヤーということで盛り上がっていたでしょう。「昏晦」という言葉の通りです。

(2)について
 気象庁が12月22日に発表した「2020年の日本の気候(速報)」によると、全般的に高温で、また7月は記録的な大雨と日照不足を観測しています。ちなみに日照時間や降水量のグラフを見ますと、7月が極端な降水量の多さと日照時間の少なさが目立ちますが、その両側では顕著は差はあまりなさそうです。はっきりしない天気というのはそのとおりですが、地域によってもバラツキが大きく、当たったのか外れたのか判然としません。夏が終わった時点ではほぼ的中と思っていたのですが…。

(3)について
 これはご存じのとおりで、とくに大きな地震や噴火は今のところありません。

(4)(6)については省略します

(5)について
 2020年は外交どころではありませんでしたね。上手くいく、いかないもなかったです。新型コロナの蔓延を全く予想していませんでした。ということでこれは大外れ。

(7)について
 これはある程度当たっているとは思いますが、近年の世界全体的な傾向ですので、あまり当たったと自慢できるものではありません。
 しかし、ワイドショーでのコメンテータ(だけでなくMCも含めて)の意見やヤフコメなどが何だか極端というか感情的というか、そういうふうに変わってきているような気がするのは私だけでしょうか?

(8)について
 これもまあ雰囲気としては当たっていると評価しますが、これというのもコロナによって在宅勤務が進んだ結果ともいえるわけで、コロナ自体を当ててないと、単純に当たった!とは言えないでしょう。しかしながらこれは以前からの潮流であり、コロナはそれを加速したにすぎない、2020年にはコロナがあろうとなかろうとそういう問題意識が高まる、ということであれば、まあ当たったと言ってもいいかも。(自分に甘いなあ)

(9)について
 子供や高齢者に対する犯罪は、あったのかもしれませんが、あまりマスコミをにぎわすことはなかったように思います。確かにいわゆる振り込め詐欺や高齢者が狙われた押し込み強盗も続いているようですが、2020年だけ特徴的に多いということはないようです。(増えてはいるようですが)
 子供は、犯罪というよりはコロナのとばっちりで学校に行けなくなったりして大変な目にあったと思います。
 金銭や文書の犯罪ですが、いわゆるGoToのクーポンの詐取とか給付金詐欺とか、1件1件はしょうもない犯罪が流行りましたね。金額としてはジャパンライフ事件がありますが、これは今年に始まったことではないですし。
 あと安倍元首相の桜とか、文書といえば文書ですが、結局秘書の不記載で終わり。
 全般的に、コロナのせいか、あまり事件や犯罪で派手なものはなかったように思います。もちろん各事件の当事者にとっては重たいことだとは思いますが。

(10)について
 専門家の意見が割れるほどの不透明さだったかはさておくとして、株価と為替については私の予想どおりの結果で推移してます。これは予想的中と言っていいのではないでしょうか。(またまた自分に甘い)
 さて来年はどうなることでしょうか?

(11)について
 毎年業績の伸びそうな業界を予想しているのですが、2020年は残念ながら四半期のGDP成長率も大きなマイナスを記録し、また個人消費は伸びていませんから、全般に悪かったと思います。そういう状況で好調そうな業界をさがすのは難しいです。そんな中でも、(11)であげた業界は、飲食を除き、大きな伸びはないもののそれなりに堅調です。飲食でも、家飲み用のアルコール飲料、ファストフードや焼肉などはいいのですが、居酒屋は全くダメというように、2極化する傾向にあります。また出版でも、既存の雑誌等はよくありませんが、電子書籍は伸びているというように、業界ひとくくりでは語れない状況になっています。おそらく今後業界全体が良くなるという構図はなくなってきて、生き残れるところが選別されていく、そういうことになりそうです。
 予測ではあげなかったのですが、コロナの影響で情報通信関係の業界は、部品や素材も含めて全般的に好調です。私も実は電子関係の材料の業界に身を置くものですが、物によっては過去最高の受注量を記録し、それなりに(工場は)忙しかったです。もちろん物によるので、一律にどれも良かったとはいえません。が、おかげで給料もボーナスもとくに減らされることもありませんでした。もっとも2020年の業績は2021年の賞与に反映されるわけですが。
 もう一つの注目業界はアニメ関連でした。今さらですが、「鬼滅の刃」がこれほどヒットするとは予想しませんでした。関連グッズなども相当の売り上げだったと聞いています。「刃物」で予測とつながってはいますが、これはまあ偶然でしょう。
 こういう業界を予測できていれば鼻高々だったんですけどね。ま、2020年は特別な年だったということで、勘弁してください。

 毎年のことですが、部分部分をみると予測どおりというところもあるのですが、そもそもコロナによるパンデミックの影響をみていないということで、あまりいい成績(?)は得られませんでした。ただ、反省その1にも書いたように、2019年の後半で疫病を予測しており、もう少しそれを膨らませれば、ほとんど人が予測しなかったパンデミックを指摘できていたかもしれません。「大胆予測」と銘打っているのですから、もっと踏み込めばよかったかな。
 まあ何度も言うように後知恵ですが。
 ということで、懲りずに2021年の予測をします。その内容は別のページで。

(以上 2020年12月31日、大晦日にタイのホテルにて記す)


■ 2020年の予測の反省その2 ~菅新政権とその後

 2020年の立春から半年以上たちました。
 その1では新型コロナについて「反省」したのですが、8月になってどうも安倍さんおかしいなと思っていたら、あれよあれよという間に安倍退陣、そして9月に菅新内閣発足となりました。今年の予測は散々で「反省」ばかりしているようですが、この状況を全く予測していなかったわけではありません。
 予測の反省の第2弾では、このあたりの話をしたいと思います。

 2020年の予測の政治の項を振り返ってみますと、こう書いていました。

安倍首相はあまり力を発揮できないとみます。(中略)
日本選手の活躍が大きなものとなり、日本全体が高揚感に包まれれば、衆院解散や内閣改造ということになるでしょう。それはパラリンピックが終わる9月以降となるはずです。とここまでは六壬ではなく、あくまでも常識的に考えた予測です。(中略)
子年は政変が起こりやすい年といわれていますので、衆院解散や内閣総辞職的な動きがあるかもしれません。
 この予測はオリンピック、パラリンピックが東京で開催される前提で書いていましたので、それ自体外れたと言われればその通りで何の反論もできませんが、オリパラの開催とは関係なく課式から安倍前首相は力を発揮できないと判断していました。その点はそのとおりになっていると思っています。
 ふと今思いついたのですが、というか今さらですが、貴人が空亡ということは、やはり国(あるいは首相)にとって重大なことが成就しないということであり、オリパラは開催されない、あるいは開催されても期待したほどのことはない、という予想をするべきだったかもしれません。まあ、これは後知恵ですね。

 8月に安倍首相辞任、そして9月に内閣総辞職で菅政権となりました。今(9月22日現在)のところ、TVやネットを見ると菅政権になり変化に期待するところが大きいように思います。確かに閣僚のメンバーをみても、仕事しそうな内閣に私にも見えます。ところが、私の立てた六壬課式についていえば、今年の途中で課式が変わるわけではないので、今年中に何かが劇的に変化するということはないのではないかと思います。もちろん、私もこの何となく漂う閉塞感は打破してもらいたいとは思っています。

 さて、今年の中盤を過ぎ後半に入っていきますが、年の後半では辰の自刑や辰戌の冲からさまざまな軋轢が発生すると予想しました。軋轢といっても、そのときの情勢から判断するしかないのですが、辰の自刑は自らのこだわりにより傷つく、辰戌の冲は結果的に孤立するという象意があります。自らのこだわりということからは行政改革へのこだわり、あるいは立法機関である衆院解散も考えられますし、結果的に孤立ということから考えると菅内閣だけが宙に浮くとか、あるいは外交関係も難しい局面に入るのかもしれません。私には、あまりに急ぎすぎてなかなか思うように事が運ばないように思えます。これは自身の仕事の経験からそう思うので、実際にはそうならないことを祈ります。

 はなし変わって、コロナについて。
 私は前回の反省(5月10日)で、希望的な観測を含めて、6月には収束すると予想しました。確かに5月から6月にかけていったん抑え込んだ感じにはなりました。確かに5月10日の時点ではピークを過ぎていた感じだったので、6月にはいったん落ち着くというのは、六壬でなくとも予想できたのかもしれません。しかしながら6月終わりから第二波と目される感染の広がりをみせました。前回の反省も外れてしまいましたね。希望的過ぎましたか。
 6月と予想したのは、コロナを示すと思われる申が午月に抑えられるという読みからでした。ところが7月は未月で土生金で申を生じ、8月は申月でコロナを助するということになりました。当面は秋ですので収束することはなさそうです。さらに冬に入ると常識的に考えても収まる可能性は低いと考えざるをえません。来年までこの状況が持ち越しそうな感じです。

 来年のことをいえば「鬼が笑う」と言いますので、それはまた来年の正月に考えるとして、2020年もあと3か月となりました。
 今年もみなさま無事で過ごされますことをお祈りしております。

(以上 2020年9月22日、秋分の日に記す)

■ 2020年の予測の反省その1 ~新型コロナをどうみるか

 2020年の立春から3か月過ぎました。
 私は、時間に余裕のある正月に予測を立てて、その後は見直すことはしないのですが、今年は立春を迎えるときに一度見直しておけばよかったと思いました。というのは、その前にすでに新型コロナは中国で騒ぎになっており、これは日本にも少なからず影響が出るだろうと思っていました。またクルーズ船の問題もありました。しかし、そのときはまさかここまで拡大するとは思っていませんでした。
 ということで、緊急事態宣言が延長された今、予測の反省の第1弾として、新型コロナの予測はできなかったのかという反省と、この後どうなるかの予測をしたいと思います。

 新型コロナはCovid-19と呼ばれているように、すでに2019年には発生して、日本にも1月(すなわち節分前)には感染者が出ていました。そこで、2019年の課式を再掲しますと、


日干支 壬申 占時 午 月将 子 太歳 亥  戌亥空亡

初伝螣蛇白虎螣蛇勾陳太陰
中伝白虎
末伝騰蛇

 私は2019年の予測の中でこう書きました。

年の中盤は申白虎から類推すると、航空機事故も含めた交通関係の事故、刃物を使った殺人や犯罪、肺や腸に関する疫病などが考えられます。昨年起きた通信関係のトラブルやネット上の詐欺も多いかもしれません。反面、起業や新規の政策や事業など、果断を要するものは吉なので(白虎には破竹の勢いという象意があります)、チャレンジ精神というか活力が生まれてくるのではないかと期待しています。
 書いた通り、2019年の中盤には肺や腸に関する疫病に触れています。これは申に白虎が乗じていることからの予想でした。中盤というのはだいたい6月ぐらいから10月ぐらいのイメージで書いていますが、新型コロナが確認されたのは武漢市で11月とのことですので、時期としては残念ながら外れています。(一説には9月にはすでに発生していたとの話もありますが) しかも、私は「日本の予測」を書いているので、10月には全くその気配はありませんでした。もっとも2019年の立春の時刻からすれば、日本と中国は同じ課式で見ることになるので、ほぼ同じ予測となりますが)
 ただ、末伝は螣蛇で凶神であり、螣蛇にも疾厄とか驚事の象意がありますので、それからすれば、中盤での疫病の発生が2019年の後半から2020年の1月で本格的に広がると予想できなくもありません。まあ後知恵ですが。

 で、2020年立春を迎え、得られた課式は昂星課でした。課義にも書いたように、この課は物事がはっきりしない、先が読めない課です。しかし、この課だけでは私には疫病と読み取ることができません。そういうわけで、まさか五輪まで先送りになるとは思ってもおらず、全く的外れの予測となってしまいました。

 しかしながら、新型コロナやそれによる東京五輪の延期は置いといて、あらためて2020年の予測を見てみますと、あながち外れてもいないかもしれません。「安倍首相はあまり力を発揮できない」「ポピュリズムが進み理性的な議論や意見が引っ込む社会状況」「女性の進出と生活重視」「戸惑いや錯綜というような静かな混乱」という予測は、現時点では実際そうなりそうな気がしています。まあ「女性の進出」が小池知事かどうかは議論のあるところでしょうが、世界的にみても女性がキーパーソンというのは大きな流れとなっており、米国や日本はその点でやや立ち遅れています。今後注目したい点の一つです。

 では、新型コロナが続いているという前提で、いつ収束(終息ではない)するのかですが、ひとまず午月すなわち6月と予想します。疾病の象意をもつのは申であり、初伝午は申を剋するので、いったん午月には抑えられると判断します。希望的観測をこめて。

 予測の中でそれとは別に注目したいのが経済です。「良くない状況で先が見えない」と書いていますが、これは私が予測しない、できないという意味ではなく、明確な指標がなくエコノミストの判断が割れるというような状況ということです。私の予測は「景気とくに株価は上昇傾向」「いったん年の中盤で調整局面がある」「年末から21年年初にかけてはバブル的な様相を呈する」との見立てです。株価は立春前に下がると思っていたのですが、それは外れました。それでも3月から4月にかけて下がりましたが、ここへきてまた上昇し、先週時点では日経平均は2万円台を回復しました。これはこれで予想外の動きです。もしこのままコロナが収束に向かうと、意外と戻りは早いかもしれません。経済動向にも引き続き注目です。

 ということで、2020年の予測で新型コロナや五輪の延期は全く予想の外の出来事ですが、予測の基調というか傾向自体は現時点ではそれほど悪くないと考えています。(まあ手前味噌というか自分に甘いというか)ただやはり新型コロナや五輪の延期は2020年の大事件なので、これが予測できないというのは大きく外れていると言わざるをえません。そこで、何か別の立課法はないかと考えました。
 一つは昼夜の逆を参考にするというもの。今回の課は夜貴人は酉なので、貴人酉で十二天将を付けていますが、昼貴人亥(すなわち簾幕貴人)で十二天将を付しますと、初伝青龍、中伝螣蛇、末伝白虎、四課は順に勾陳、白虎、太陰、螣蛇となります。2019年で見られた螣蛇と白虎が課伝に顕れてきます。これをどう解釈すればいいかは今のところわかりません。また立春の時刻は18時3分で、立春の東京の日の入りは17時11分なので日没後で夜とするのは間違いありませんが、まだ若干明るい時間ではあります。昼貴人の影響も残っていると判断できるかもしれません。
 もう一つは旧暦の元旦の時刻(すなわち旧1月朔)をもって立課するという方法です。私としてはこれまで立春で見るという方針を変えることになるので気が進まないのでありますが、東アジア(西暦の年末年始休みが長いのは日本ぐらい)では旧正月を年の始めとしているわけで、まるっきりおかしい話ではないと思います。旧正月の立課についてはまた後日検討します。
 さらに、別の測局占法、例えば皇極経世や太乙、七政を使うということも考えられますが、ここは六壬による方法を追求していくことが目的ですので、これらは別に考えます。というか、皇極経世や太乙については、私自身もっと勉強が必要です。

 ここまで、5月までの反省をしました。果たして新型コロナは、そして日本はどうなっていくのか?ある程度の見通しがつけば、また反省その2を書くことにします。

(以上 2020年5月10日に記す)

2020年の日本についての大胆予測

 さて、性懲りもなくというか、毎年の恒例であります新しい年の日本を大六壬で予想します。ここでの予想は2020年2月立春から2021年2月の節分までです。
 日本の立春の時刻は、国立天文台暦計算室によると2020年2月4日18時3分です。
 日本標準時と東京の時差は19分であり、占時は酉時です。19時までは38分ありますから、北海道釧路市まではだいたい酉時で年が変わるということになります。北海道東部を無視するわけではありませんが、首都は東京ということで、2020年は酉時で課式を立てます。


日干支 丁丑 占時 酉 月将 子 太歳 子  申酉空亡

初伝六合朱雀青龍太常天后
中伝天后
末伝青龍

課 義

 四課ともに上下の剋がなく、昂星課ということになります。陰日ですので酉の地盤支である午が発用となります。中伝は日干上神、末伝は日支上神をとります。上下剋がないので動きに乏しく状況ははっきりしない、よほどのことをしないと事は成就しにくいという課です。
 この課については、次の句が添えられてあります。
 「干支乗墓、昼占蛇虎、両貴皆空、略無少補」
 この意味は、四課(日干寄宮を含む)がみな墓支であり、昼占は螣蛇、白虎がある。昼夜貴人とも空亡であり、およそ貴人の力は期待できない、というような意味だと『六壬直指』にはあります。なお私は「乗墓」というよりも「墓乗」もしくは「覆墓」とみるべきかと思います。ここではそれについては詳述しませんが、いずれにしても昏晦の象であり、あいまいで先の読めない状況が続くという意味です。あるいは愚かしいという意味でもあります。

占時・太歳

 占時酉は妻財で貴人です。貴人は君子、神仏、首長、財物、俸禄、文書などの象意がありますが、空亡ですので良い意味は出てきにくいでしょう。太歳子は官鬼、玄武です。玄武は陰険、偸盗、陰謀、看護、一網打尽などを意味します。

気象・自然災害

 この課は風雨や雷、虹の象あり、とされます。それはそれとして、四課土支であり昂星課であることから、全体としては曇りが多くはっきりしない天候だと思います。いくぶんの傾向としては、初伝中伝は午戌の火の合であり、年の前半は晴れる傾向であり、末伝辰は水の墓であり庚金が遁干して青龍が乗じているので雨の多い傾向だと思います。ちょっと日照不足が心配されます。
 最近は異常気象が異常気象でなくなったので、天災は普通にあると考えた方がよいのでしょうが、本年の課式を見る限り、大きな災害があるような感じではありません。螣蛇である申は空亡であり、地震や火山の噴火なども、大きなものは起きないのではないかと予測します。ただし、地震というのは不思議と忘れたころにやってきます。寺田寅彦先生は実にいい格言を残してくれたものだと感心します。常に過去の震災を教訓に、備えをおこたらないことが必要なのは言うまでもありません。
 仮にあるとすれば、螣蛇白虎は東南-西北のライン上にあり、また三合にあたる東北と西もまた要注意の場所とします。とくに東北から北海道は地震に要注意としておきます。ただしそれほど大きな被害は出ないだろうというのが私の予測です。

政 治

 今年の最大の政治イベントはアメリカ大統領選であり、日本にも少なからず影響がありますが、ここでの予測はあくまでも日本国内で起きることですので、大統領選の行方はここでは論じません。で、日本国内に限っていえば、予定されているのは東京五輪とその直前の都知事選ぐらいなもので、あとは衆院解散があるかどうかが話題になっているぐらいでしょうか。

 ということで課式をみてみると、貴人は空亡でありまた課式にも出てきません。例年貴人を日本の首相とみているのですが、それから判断すれば、安倍首相はあまり力を発揮できないとみます。では衆院解散はあるのかどうか?六壬を離れて常識的に考えれば、東京五輪まではやらないでしょう。桜問題自体はまあそういうこともあるわな、で済ませられるにしても、その後の官邸の対応は非常にまずく、その後IR問題で自民党への不信感は徐々に増しつつある印象です。国会が始まり、さらに問題となっていくでしょう。ここで解散すれば、与党は勝利はするでしょうが、議席を減らして憲法改正は遠のくことになるでしょう。しかし、東京五輪後はわかりません。日本選手の活躍が大きなものとなり、日本全体が高揚感に包まれれば、衆院解散や内閣改造ということになるでしょう。それはパラリンピックが終わる9月以降となるはずです。とここまでは六壬ではなく、あくまでも常識的に考えた予測です。で、次から課式をみて考えます。

 まず目を引くのは、初伝午六合です。午は日干の兄弟ですから、何らかの政治的妥協があるかもしれません。それは日韓関係とみたいところですが、今のところ官邸、日本政府とも韓国に対して妥協はしない姿勢ですので、そうではなく中国の習主席の来日により、日中関係が好転することを示しているのかもしれません。国賓としての来日になるでしょうから、令和の新天皇とも会うことになるでしょう。新天皇の面目躍如となることを期待しています。

 日干上神、中伝は天后です。天后は女性で、戌は初伝と日干から生じられますから、これは女性が表に出てくることを示します。年の中盤にある都知事選は小池都知事の再選でほぼ間違いないでしょう。昨年のマラソン会場の変更に対する対応は実にうまい大人の対応であったと思います。「都として札幌開催には同意できないが、IOCの決定は妨げない」との発言は多くの識者から批判されてましたが、私はうまい言い回しだと思いましたね。もっとも北方領土云々の発言は(私は直接聞いていないのですが)余計でした。天后が必ずしも小池都知事を指しているかはわかりませんが、いずれにしても年中盤は女性の活躍が期待できるでしょう。とくに干上神ですから、政治や経済のキーパーソンとしての女性が出てくる可能性は高いとみています。逆に、それぐらいのパワーをもった女性(男性でもいいですが)が出てこないと、課式の示すあいまいな状況は打破できないのではないでしょうか。

 で、年後半となりますが、末伝には青龍があります。青龍は男性であり、また高位や財物の意味があります。辰は初伝から生じられます。しかし辰と辰は刑の関係、辰と戌は冲の関係であり、勢いがあるといっても軋轢を生みそうです。年の後半にかけて憲法改正論議がうるさくなるのではないかと思います。なお、子年は政変が起こりやすい年といわれていますので、衆院解散や内閣総辞職的な動きがあるかもしれません。

 外交については、先に述べたように東京五輪まではそれなりにうまくこなしていくでしょう。しかし五輪後は日本の態度次第です。トランプが再選され安倍が続投ということになれば、アメリカとの関係は良いにしても、周辺国とは軋轢を生むことになりそうな感じがします。

社 会

 昂星課から私なりに読み解くと、あいまいで先の読めない中、ポピュリズムが進み理性的な議論や意見が引っ込む社会状況になるのではないかと危惧しています。東京五輪で気分が高揚する中で極端な言論で世論が左右されるようなことになりはしないかと。また別の私の予測では、女性の進出と生活重視です。このこと自体は決して悪いことではありませんが、日本社会がこれまで続けてきた男性優位、仕事優先の考え方が逆転するわけで、それによる軋轢や混乱が生じるかもしれません。混乱といってもデモとかで社会が騒然とするわけではなく、戸惑いや錯綜というような静かな混乱です。

 それでも五輪後も高揚感はある程度持続しそうです。”ジャパン・アズ・ナンバーワン”的な言説が飛び交うかもしれません。「好事魔多し」でそういう風潮が起きてきたときには警戒が必要でしょう。

 一方、昨年同様いろいろな犯罪が起きると思いますが、四課は土支で子孫、墓支ですので、子供、高齢者に関することがとくに多いと思います。また三課四課に青龍朱雀があり、金銭や文書に関する大きな事件が起きそうな気がします。

経 済

 経済については、今のところ昨年の予測は外れています。年初に株の暴落や円高などが起きれば、予測は遅ればせながら一部は当たったことになりますが、今のところ(1月3日現在)はそのような兆候はありません。かえってアメリカ株は上昇しているようです。
 と書いたところで、イラン革命防衛隊の司令官が殺され、原油先物価格が上昇しているというニュースが入ってきました。若干不透明感が漂ってきた感じで、株安、円高方向に動きそうです。

 まあ、ともかくも2020年立春以降の経済を予測してみましょう。
 まず全体的な流れから。

 昂星が示すのは昏晦です。経済については、乱高下というよりは予測不可能、判断できないというべきでしょう。専門家の意見も割れ、景気がいいのかよいのかよくわからない状況が続くのではないかと思います。課式自体はあまり良い意味はないので、あまり良くない状況で先が見えないということでしょう。
 三伝の流れからいえば、景気、とくに株価は上昇傾向といえるでしょう。20年1月に下げがあればなおさらそうなると思います。そして、いったん年の中盤で調整局面があると思いますが、年末から21年年初にかけてはバブル的な様相を呈すると思います。そう思う理由は、金銭を示す酉は貴人ですが空亡であり、その陰神は子で玄武であることです。結局実体を伴わない財が思惑だけで膨張していく感じが否めません。したがって、株を売るならアメリカ大統領選の影響がまだ明らかにならないうち、まあ五輪直後ぐらいでしょう。もちろん大統領選の結果次第ではまだ上がる可能性はあります。しかし私はそのころには慎重になるべきだと考えています。

 為替についていえば、引き続き小動きで推移するものと思います。というか先が読めません。こういうときは円高傾向になりがちですが、さてどうでしょうか?円安を予想している専門家も多いのですが。

 次に業界予想ですが、例年あまり当たっているという感じはしませんので、今年も一応は業界をあげますが、あくまで参考というかお遊び程度と受け取ってください。
 日干が丁で、課伝に土が多いので、土に関係する業界、また午が発用なので午の示す業界が期待できるとします。ちょっとトリッキーですが、火の長生である寅が示す業界も面白いかもしれません。土の示すのは土地であり田畑です。不動産業や農業というところでしょうが、ちょっとバブル的な儲け方になるかもしれません。ただ、食料安保上も農業の発展には期待したいところです。
 午は六合です。六合の示すところは結婚、飲食、生産であり、そのような業界に期待したいところです。ただ結婚業界に関しては地味婚など客単価が下がってきていますので、いかに中高年の需要(例えば銀婚式とか)を掘り起こすかがカギかもしれません。
 また午をダイレクトに馬ととれば、競馬が思いつきます。私も若い頃競馬場に通ったクチですが、最近徐々に人気が復活しているようです。これは結婚業界とは逆で、いかに若者を取り込むかがカギでしょう。
 最後に寅について。寅は木器、文書、書籍、財帛などの象があります。また寅には白虎がつきますから、白虎の類神をみますと、疾病、喪服、流血、金属機器、凶器など物騒なものが並びます。凶神の最たる天将ですからしょうがありません。これから類推すれば、家具、出版、銀行、医療、葬祭、洋食器、刃物などの業界が思いつきます。ただ金と木は相剋ですから、寅自体が示す業界(家具、出版、銀行等)はかえって苦戦するかもしれません。

(以上2020年1月4日午前9時に記す)