2022年の日本の予測 ~ 大六壬による測局


■ はじめに

 測局とは、世の中の情勢を予測するということで、中国占術の独特の用語です。
 本来、大六壬は個別の事件に対して占うために使われるものですし、そもそも期間の長い占いには向きません。しかし、大六壬の可能性を追求するのもまた私のテーマのひとつであり、ここに大六壬測局占法へのチャレンジとしてあげるものです。
 ここでは、2022年の予測をあげています。過去の予測(と反省)は別のページとしました。


- 目 次 -

■ 2022年の日本の予測の反省 その2

 今日は2022年12月31日土曜日。2022年ももうすぐ終わりです。
 毎年の恒例となりました2022年の予測の反省です。ただいつも言っていますが、六壬においては立春が年の始まりですので、あと1か月少々あります。しかし、私の仕事の都合でまとまった時間がとれるのは年末年始なので、1年の予測の反省を先取りすることになります。あしからず。

 以下、例によって2022年の予測を箇条書きにまとめてみますと。

(1)渉害課であり、障害が多く物事は順調に進まない。
 キーワードは、朱雀からは文書、知恵、学者、派手、華美。
 螣蛇からは怪異、災禍、心配、悪事、小人、腫物、血など。
(2)全般的には晴れ。年の前半は晴れた風の強い日が多くなりそう。
 後半は水害や雪害が懸念される。冬の竜巻にも注意が必要。
 異常気象は続くので安穏に考えてはいけない。
(3)地震が多い年。とくに2月から5月。
 場所は、南海トラフ海域、日本海~中国地方、千島列島~北海道、東北沖、富士山~フォッサマグナ。
 火山の噴火による被害はなし。噴火があるなら九州地方か富士山?
(4)参議院選は粛々と行われる。政治的な混乱はあまりない。
 女性議員が増えるか、選挙違反や汚職事件がありそう。
 しかし、表に出ず闇に葬られる恐れがある。
(5)年の後半になると物事が一気呵成に進む、あるいは何かで政治的な混乱を引き起こす。
(6)外交は多少軋轢を生みながらも岸田、林のコンビで上手に立ち回る。
(7)2月あるいは年の前半に驚くべきニュースが入ってきて、これに一年中振り回される。
 驚くべきニュースとは外部要因。火事や噴火等の災害とか火器や武器を使った騒乱とか。
 台湾有事や尖閣での動きがあるか??
(8)年の中盤にスキャンダルや暴露、金銭的犯罪や詐欺など。表に出ないかもしれない。
(9)年の後半はコロナとのせめぎあい。コロナは解決する可能性あり。
 あるいは交通関係の事故が起きる(これは当たらないかもしれない)。
(10)自分の生活を重視する方向に向かう。戦いや混乱に疲れ,暮らしに目を向けるようになる。
 また日常的なものや衣食住にお金が使われる。
(11)バブルが弾ける予感。為替は基本は円安方向。
 しかし一方で年の後半、22年末に向けて円高に向かう。
 経済の立て直しに期待。
(12)経済的に厳しさが続くが、比較的好調な業界は女の子向けのアクセサリーや貴金属。
 非鉄は上げは収まる。ファミリー向けの不動産。また農業に期待。

 以下に各項目の結果と反省を記します。その1で書いた内容についてはあまり触れませんのでご承知おきください。

(1)について
 新型コロナの規制は緩和され以前の日常が戻りつつありますが、コロナ対策が順調に進んだとは言い難いです。また政治も停滞気味。他のキーワードについては皆さんの判断にお任せします。

(2)について
 12月22日に気象庁から発表された2022年の日本の天候の記事をもとに以下に記します。元データは気象庁のHPをご覧ください。
 奄美・沖縄地方を除くと、全国的には日照時間は平年を上回り全般的には晴れが多かったようです。しかし7月ぐらいから雨が多くなり8月も降水量が多く、北日本では梅雨明けが特定できなかったとあります。また9月からは台風の影響もあり西日本は雨が多く、逆に北日本は晴れが多かったということです。これを書いているのは年末ですが、日本海側を中心に記録的な豪雪となっています。予想通りの状況ですが喜んではいられません。異常が異常でなくなってきているということでしょうか。
 暴風についていえば、竜巻の件数自体は例年並みですが、感覚的には強い竜巻が多かった気がします。4月には知床遊覧船事故がありましたが、それは強風によるものでした。また2022年は超大型で非常に強い台風14,15号が立て続けに来たなど、風の強い日が多かったと思います。繰り返しますが、私の予測は2023年の節分までですので冬の竜巻やダウンバーストが今後も発生するかもしれません。

(3)について
 地震については「反省その1」でも記載したので省略します。
 秋以降はさほど強い地震は起きていませんが、何度も言うように「備えあれば憂いなし」です。
 火山については、7月に桜島の噴火が起きて全国ニュースになりましたが、鹿児島出身の私から見ても別に騒ぐほどのことではなかったです。
 これを書くちょっと前の12月28日に磐梯山が警戒レベル2に引き上げられるかもしれないとの発表がありましたが、その後火山性地震回数は減少したようです。何事もないことを祈ります。

(4)について
 確かに参議院選は粛々と行われたわけですが、選挙運動期間中に安倍元首相が暗殺されるという事件が起きました。これは全く予測しなかったことです。そのためかどうかはわかりませんが、選挙自体は与党の勝利となり、自民党も事前の予想ほどの凋落はありませんでした。しかし国葬問題を端緒として岸田首相の支持率は大きく低迷することになりました。
 中伝の太陰から女性議員が増えるか選挙違反や汚職事件という予想をしたのですが、女性の当選者は過去最高でした。また目立った選挙違反というよりも、旧統一教会の問題が急浮上して山際氏が辞任、その後も寺田氏の辞任や薗浦氏の議員辞職もありカネの問題が次から次に起こっています。ただ、表に出たのは一部でまだまだ隠されたものもあるのではないか、と私は邪推しています。

(5)について
 前項に書いたことと一部重なりますが、安倍元首相の暗殺に始まり旧統一教会の問題、政治資金の問題などが出てきて政局は混迷を深めています。そんな中でも安保関連3文書の改定は予想外に(というか知らないうちに)まとまり、さらに増税の動きとくに防衛費増のための増税など、物事が(国民的な議論がなく)どんどん進んでいるような気がします。一気呵成とは白虎の象意からのものですが、何となく危うさを感じますね。

(6)について
 外交については人によって評価は異なるでしょうが、おおむねそつなくこなしたと私は見ます。とくにウクライナ戦争ではいち早く西側陣営に立ったのは賢明な判断だったと思います。岸田首相は外務大臣時代からプーチン大統領をよく思っていなかったのかもしれません。またそんな中で安保関連文書の改定も行いました。もちろんこれは賛否両論あるでしょう。
 林外相については媚中との評判もありますが、といって欧米ともまずまずの関係のように思えます。もっとも米国サイドは彼をどう思っているかはわかりません。(ひょっとすると米国から強く釘を刺されているかもしれません)
 (日本にとって)幸い韓国は尹氏が大統領選に勝ち保守派が政権を奪還しましたが、議会はねじれ状態が続き予断を許しません。ただ今のところは文政権時のように次から次に問題が起きるということはなく小康状態と言えるかと思います。安心はできませんが…。
 北のミサイルについてはとくに予測はしていませんでした。何ともしようがないでしょうし、すぐに何かをやるべき局面でもないでしょう。

(7)について
 これについてはすでに「反省その1」で述べたとおりです。2022年1月時点では「驚くべきニュース」の中身がわからなかったのですが、まさにウクライナ戦争に1年中振り回されています。今後の展開については「反省その1」で述べたこととあまり変わりません。ただこの戦争は甲辰年まで続きそうな感じが強くなってきました。あるいは甲辰年で新たな展開になるかもしれません。

(8)について
 金銭的な犯罪や詐欺とは今のところ断定できませんが(私は詐欺まがいだとは思いますがそれは司法で判断してもらうとして)、旧統一教会や宗教二世の問題が取りざたされました。また東京五輪の組織委員会の問題は現在も操作が続いています。経済界ではエネオスの会長が女性がらみの不適切な行為で辞任、SMBC日興証券の副社長逮捕とかがありました。これ以外にも表に出ていない話があるのかもしれません。N党の東谷議員はまだネタがあるようなことを言っていましたが、今後もいろいろな話が出てくるのでしょうか。

(9)について
 新型コロナについては感染者の増減を繰り返しながらも社会経済活動の回復を目指してきており、ほぼもとの生活を取り戻しつつあります。マスクとか在宅勤務とかはまだ残っていますが、私の場合はインフル対応や花粉症対応のため、以前から夏以外は外出時にマスクをしていましたので別にマスクは気になりません。暑いタイでのマスク生活にも慣れました(もちろん一人のときはマスクはしていません)。一応新型コロナは終息に向かっていると考えていいのではないかと思います。まあスペイン風邪の例からもパンデミックはそろそろ終息(収束)してもおかしくはありません。
 交通関係の事故といえば、22年の前半に知床半島での沈没事故がありました。年の後半は、大雪による立ち往生などはありましたが、目立った大きな事故はないようです。「まあ当たらないかも」という予防線のとおりになることを祈ります。

(10)について
 これはコロナ以降ここ数年の風潮であり、六壬でなくとも予測できたことではあります。またエネルギー価格の上昇や輸入品(食料全般を含む)の高騰(不作や円安の影響もある)でいやおうなく生活の防衛に走らざるをえないという事情もあるでしょう。一方でミニマルな生活が再びブームになりつつあるような感じを受けています。日本人の考え方や気質はどんどん変わってきているのではないかと思う昨今です。

(11)について
 バブルが弾けるというのは外れましたが(バブルというほど株価も上がっていませんでしたし、弾けるというよりもジリジリと下がった)、為替については今のところ予測の通りの展開となっています。経済の立て直しに期待と書きましたが、これは2022年のうちに手を打っておかないと23年は大変なことになるという危惧から書いたものです。政府日銀や経済界をみても、日銀の方針が多少変わってきただけで、今現在は経済を立て直そうという感じはあまりありません。金融界も経済界も他人事のように言っているのが気になります。

(12)について
 実は金属業界に身を置いているので金属関係については多少知っているのですが、非鉄、とくにアルミ、スズ、銅については上げは収まるどころか値を下げました。一方金やプラチナなどはかつてのような値上がりこそしていませんが、価格は堅調に推移しています。
 女の子向けのアクセサリーが売れたのかは統計を探せていないのでよくわかりません。ただタイにいるとわかるのですが金製品はよく売れています。まあ女の子向けではなく投資、あるいは自己防衛でしょうが。
 不動産についていえば、専門家の予測は大きく割れています。しかし2022年に関していえば都心のマンション(ファミリー向けも含め)は値を上げているようです。都市部の不動産は上昇傾向ですが、一方でそれ以外のところではとくに不動産が上がったという話はなく、全般に二極化(人によっては三極化とも言っていますが)が進んでいるようです。
 農業については期待を込めてあげたものです。ウクライナ戦争をきっかけに食糧安保の重要性が語られるようになりました。そういう意味では話題には上っているのですが、現実には燃料や輸入肥料・飼料の高騰などで厳しい状況のようです。しかしながらスマート農業や農産品の輸出増など期待をもてるところも出てきました。いわゆる第一次産業(と呼ぶのはふさわしくないのかもしれません)を支えるべきはその従事者や組合、国や地方ばかりではなく、国民一人ひとりなのだと思ったりもします。もっとも私自身が今更農業に従事しようとは思っていませんが、支えていきたいとは思っています。

 以上でそれぞれの予測に対する結果のまとめ(?)を終わります。「予想しないこと」がウクライナ戦争だとは断定できなかったものの、私自身の評価としては、2022年の予測は9割方は当たっており、世の中の動きはほぼ私の予測していたとおりに進んできたと思っています。まあ、私はもともと悲観的な物の見方をするので、今の時代には適合しているということかもしれません。
 予測しなかったことで最も大きなことといえば、安倍元首相の暗殺です。実は22年6月(だったかな)、日本に一時帰国したときに渡邊庄一郎著『発見・新運命学「追い風」』という本を買ったのですが、その中に安倍元首相の四柱命式が載っています。後でよく読んでみようと思って命式もよく見ていなかったのですが、こんなことならよく見ておくべきでした。
 またワールドカップ16強も大きな話題ですが、サッカーには興味がないのでワールドカップを開催することなど直前になるまで知りませんでした。ですからそもそも予想のしようがありません。
 あと、円安はある程度予測はしていましたが150円を超えるとは思っていませんでした。130円超えて反転かなあ、ぐらいの感じでいましたので、ちょっと驚きです。
 2022年の予測がほぼ当たったことに気をよくして、今後も六壬による予測は続けていきます。

(以上 2022年12月31日に記す)

■ 2022年の日本の予測の反省 その1

 今日は5月21日土曜日。今年の節分から約3か月半、一年の3割が過ぎました。
 例年は半年たったところで予測の的中の度合をみるのですが、今年は2月からいきなりロシア侵攻(特殊軍事作戦と言っていますが)が始まり、今も緊迫した情勢が続いています。ということで、その1として、ロシアの情勢がどうなるかを大六壬で大胆予測したいと思います。

 その前に、今年に入って増え始めた地震について。
 私は予測の中で、「(2011年と同様)地震は多発すると予想します。」と書きました。今までのところ、ここ数年に比べると中規模程度の地震があちこちで起きています。実は私自身は南海トラフ域と日本海側が危ないとにらんでいたのですが、そこも含めて全国的に起きています。
 また5月までを最も警戒すべきと書きましたが、まだ被害甚大というほどの地震は起きていません。幸いというか、中程度の地震が頻発したため世の中の防災に対する意識はひところよりも高くなっていると感じます。地震の発生を防ぐことは無理なので、防災につとめ減災をめざすことが大事でしょう。「災害は忘れたころにやってくる」とは「忘れなければ災害を最小限に食い止められる」ということだと思います。

 もう一つついでに、為替について私は「基本的に円安傾向は続く」と予想していました。これは今のところ的中ですが、今年終盤に円安が反転して円高に向かうと予想しています。はたしてどうなるでしょうか?

 さて本題のロシアの軍事侵攻について。
 私は社会の予測のなかで、「2月ないし5月の間に予想もしないようなことが起きて、これに一年振り回されることになる」と書きました。そのあとに予想もしないこととは何かを考えているのですが、その中で「火器や武器を使った騒乱」ということも書きました。この予想を書いたのは2022年1月であり、まだロシアが動き出す前です。そのころロシアの軍事侵攻を予想していた人はほとんどいなかったと思います。もちろん一部専門家の間では想定以上の軍事訓練の状況からロシアの侵攻が噂されていたようですが、私のような一般人には全く考えも及びませんでした。基本的に日本にかかわることだと思っていましたので、尖閣とか台湾とかを例として上げましたが、まさかウクライナの問題で日本がここまで引きずられるとは思いませんでした。
 具体的に予想できなかったのは残念ですが、「予想もしないようなこと」というのは予測のとおりでした。(ちょっと言葉に矛盾がありますが)

 しかしながら、「予測は的中した」と喜べるような予測でもないので、ここではさらに踏み込んでみます。すなわち、ロシアの軍事侵攻の今後について大六壬で予測をしてみることにします。
 ロシアの軍事侵攻について、どの時刻を占機にとるか?ロシアの行為ですので、ロシアの正式な発表を占時としましょう。ロシアが特殊軍事作戦を行うと発表したのは2月24日モスクワ時間で6時ごろでした。ウクライナ時間だと5時になりますが、発表や作戦の指示はモスクワから出ていたと思いますので、この時刻で課式を立ててみましょう。
 なお、モスクワ6時は日の出前ですので夜貴人を使うべきとの意見もあるかもしれませんが、卯時は昼貴人という考えのもとで課式を立ててみます。


日干支 戊申 占時 卯 月将 亥 太歳 寅  寅卯空亡

初伝螣蛇螣蛇玄武勾陳貴人
中伝青龍
末伝玄武

 課義をみますと「干乘旬尾,支上旬首,遞互暗謀,四季財喜。」とあります。これは丑の遁干が癸であり、辰の遁干が甲であることから、甲辰旬の旬首と旬尾が干支上神になっていることで交流があるということ、しかし干が尾で支が首ですから逆となり「暗謀」というふうに言っています。四季というのは春夏秋冬ではなく土用のことであり、もしこれが土用の占であれば土が強くなりますが、そうでなければ財は喜びにならないという逆説的な意味となります。今年2月は寅年寅月であり季節的に土は弱いですから、むしろ思うようにならないということになるでしょう。

 さて、この課式においてはモスクワの発表時刻をとったので、日干がロシア、日支がウクライナと考えられますが、実はこの考え方は微妙で、日支をロシアの目的ととるか敵国であるウクライナ自体ととるかで判断が分かれます。このことは後で説明します。

 課は潤下格ということになりますが、三伝の並びが「子申辰」すなわち「旺孟季」の順でしかも末伝は旬首なので、本件は長期化しそうな感じを受けます。前にも書いたように事は長引き思うように進まないというのが全体的な感じです。
 以下課伝を個別にみてみましょう。

 まず注目すべきは一課が貴人であること。これはまさに今回の軍事侵攻がプーチン大統領の判断(一存?)で下されたということを示しているように思います。さらに二課は酉であり戊日干の寄宮巳と三合金局をなしています。これは卯時亥将ですから当然といえば当然なのですが、すなわち大統領は民衆の支持を得ていることも表しているのかもしれません。
 対する日支、三課、四課も三合水局ですから、ウクライナ側もまとまって対応しているという感じを受けます。ただ一課と四課、二課と三課は支合であり、三合支合がからみあっています。支合については後で触れます。

 初伝は螣蛇ということで、予想もされなかった電撃的な侵攻であることを示すと思います。初伝は四課ですのでこれは内事、すなわちロシア側の心情的なことが原因ということがいえますが、三課四課をウクライナ自体と考えると、干上神と四課が合であることから、ウクライナの一部の勢力とロシアの中枢とがつながっていることも示唆しているようにも思われます。子をきっかけの時期と考えると、軍事侵攻作戦がすでに昨年12月から本格的に開始されていたのかもしれません。
 中伝は戊申青龍で、日干日支にあたります。青龍は活動的なことを示しますが、争いの意味も含みます。これを読み解くと、夏にかけて戦闘は激化し一進一退の攻防が続くものと思いますが、申は戊土を洩らすので、ロシア側がやや疲弊してくると考えられます。しかし遁干は戊ですからロシアの一方的な敗退ということは考えにくいです。

 そして末伝となるわけですが、この末伝辰をどう判断するかが実は悩ましいです。辰月とすれば、すでに今年の辰月は終わりましたので来年の辰月、すなわち2023年4月で一応の決着を見ると判断できるのですが、六壬の三伝はそれほど単純ではありません。末伝が甲辰ということはすなわち旬首であり、これは終わりにはならないことを意味しているように思います。あるいはダイレクトに甲辰年、すなわち2024年ということを意味しているのかもしれません。
 一方「中黄歌」の応期のとり方だと丑上神、すなわち酉ということになり、年内の酉月である9月ごろに結果が出るかもしれません。まあ「中黄歌」の応期は私は採用していませんので、これはないと私は思っていますが。

 応期の話は別として、末伝には玄武が乗じています。この玄武は癸亥に属する凶将です。象意は盗賊、横領、陰謀など良い意味があまりありません。辰は三課でもあります。すなわち末伝と三課は同じ辰で自刑となりますが、一方で二課の酉とは支合の関係になります。前に書きましたが、日支をウクライナ自体ととらえると末伝と二課の刑でウクライナ不利ということになりますが、日支をロシアの願望や目的ととらえると、願望や目的は果たされずロシア不利ということになります。つまり日支をどうとらえるかで結果の解釈が異なるということです。ただし、玄武には強弁の象意もありますので、どちらにしても敗北は絶対に認めないということが考えられ、ということはやはりこの問題はなかなか解決に至らず、数年にわたって続く可能性もあるとみます。

 ちょっと強引な解釈ですが、一課と四課、二課と三課が支合ということは、穏当に解釈すればそれぞれの国に相手にシンパシーを感じる国民がいるということでしょうが、大胆に踏み込んだ解釈をすれば、お互いに政府の中にスパイがいるということも考えられます。

(以上 2022年5月21日に記す)


2022年の日本についての大胆(?)予測

 さて、毎年の恒例であります新しい年の日本を大六壬で予想します。ここでの予想は2022年2月立春から2023年2月の節分までです。
 日本の立春の時刻は、国立天文台暦計算室によると2022年2月4日5時51分です。卯時ですが、地域の時差を考えても日本のほとんどの地域が卯時に立春を迎えることになりますので、この時刻で課式を立てることにします。


日干支 戊子 占時 卯 月将 子 太歳 寅  午未空亡

初伝螣蛇青龍太常太陰螣蛇
中伝太陰
末伝白虎

課 義

 この課は上剋下が寅午の2つありどちらも陽支なので渉害をとることになり、初伝は寅となります。渉害というのは上下の剋関係が複数あって、より困難な方をとるということから、文字どおり害を渉る、すなわち障害が多く物事は順調には進まないという意味があります。
 この課については、次の句が添えられています。
 「身及初伝、皆被鬼覘、墓恃申酉、甲乙天干」
 この意味は干上神が初伝で官鬼である。申酉で木を剋することができるが、遁干をみると甲申、乙酉であり、木は依然として強い、というような意味です。墓とあるのは戊土のことでしょう。
 またこの課は玄胎課であり、三伝が申金生亥水、亥水生寅木と三伝逓生となっています。ということは末伝が初伝と剋することになりますが、『六壬尋原』には末伝が初伝を剋するのは吉とあります。
 この課の吉凶をどう捉えるかはちょっと悩ましいですね。

占時・太歳

 占時卯は官鬼で朱雀です。朱雀は火神であり文書や知恵、学者、派手、華美などの象意があります。太歳寅は官鬼で螣蛇です。螣蛇には怪異、災禍、心配、悪事、小人、腫物、血などの象意があります。

気象・自然災害

 まず1月までの予測ですが、前の予測で年の後半は雨の傾向と言っていたとおり、1月までは寒くて雪が多いと思います。この文章を書いているのは大晦日から正月にかけてですが、大雪に警戒との天気予報も出ていますし、実際年末に大雪が降ったところも多かったようです。

 さて2月からですが、『六壬直指』には昼占は晴、夜占は雨とあります。ちょっとどっちつかずの感はありますね。いちおう昼占なので全般的には晴れということになるんでしょうか??
 一課二課は初伝と中伝にあたり、寅亥の合でこれは木ですから晴雨というより風の類です。それぞれ遁干に庚丁がついていますので、全般的に、とくに年の前半は晴れた風の強い日が多くなりそうです。後半もその傾向が続きそうですが、中伝末伝の亥申は水を含み、申金は水の長生で亥水を生じて雨の象が強いです。白虎もあり水害や雪害が懸念されます。また遁干甲に着目すれば冬の竜巻にも注意が必要かもしれません。ただ申に乗じた白虎は必ずしも凶意ばかりではないので、そこまでひどい害にはならないかもしれません。とはいいつつ昨年も書いたように昨今は異常気象が通常になってきましたので、あまり安穏に考えてはいけないでしょう。

 地震について。初伝に螣蛇がきます。これは2011年、あの東日本大震災と同じです。そのときと同様、地震は多発すると予想します。しかも官鬼螣蛇ですから凶意が強まります。ただ2022年の螣蛇は月将子についており遁干は戊土でした。今回は寅で遁干は庚で、2011年とは大きく違います。しかし地盤は戊ですから地震の懸念は大きいとします。とにかく「災害は忘れたころにやってくる」で、備えるにこしたことはありません。地盤戊の寄宮は巳ですから、場所としては南北方向、あるいは西方、戊から日本の中央部も警戒が必要です。具体的には南海トラフの海域、日本海から中国地方にかけて、あるいは千島列島から北海道、東北沖、日本の中央部といえば富士山からフォッサマグナの地域。こうしてみると日本のほとんどの地震域が危ないということになり、これでは「数打ちゃ当たる」予測ですね。ただある地域に限定するとその他は安心と思われてもいけないので、あえていくつもあげました。
 時期としては初伝なので2月から5月ぐらいが最も警戒が必要でしょうが、2011年と同様一年中地震が多いといえるでしょう。

 火山の噴火も地震と連動することが多いのでやはり同じ地域に注意が必要です。課式から受ける私の感覚では、火山の噴火で大きな被害という感じはしないのですが、戊土の上に螣蛇がありますので、活動が活発化する火山はあると思います。富士山や九州地方は警戒が必要でしょう。

政 治

 2022年は参院選がありますが、コロナも落ち着きをみせつつあり予定通り粛々と行われるでしょう。

 首相を示す貴人は課伝に出てきません。首相はそのキャラもそうですが、あまり目立ったことはしないでしょうし、政治的な混乱もあまりなさそうです。ただ年の前半に驚くニュースが入ってきて、やや政治的な混乱があるかもしれません。寅月(2月)はとくに要注意です。そういえば2月は北京オリンピックがありますが、このときに何らかの事件が発生するのかもしれません。
 夏の参院選では自民党が大敗するとか派手なことは起きないと思いますが、水面下ではさまざまな攻防がありそうです。太陰を女性とみるなら女性議員が増えるとかはあるかもしれません。あるいは亥は財を示すのでカネにかかわる汚職事件や選挙違反などはあるかもしれません。それでも政治問題化することはあまりなさそうです。闇に葬られるのかもしれません。
 末伝申白虎は気になるところです。申に乗じているので白虎の意味が強められそうです。良く解釈すれば物事が一気呵成に進む、悪く解釈すれば大きな犠牲を払うということになるという象です。政治的にはこれをどう判断すればいいのか。諸問題が解決されるのか、それとも何かの災害の発生で政治的な混乱が生じるのか、まあ前者を期待したいところです。これについては社会の項でも考えたいと思います。

 毎年みている外交はどうでしょうか?貴人丑の陰神が辰で六合です。長らく外務大臣をやっていた岸田首相ならではという天地盤となっています。辰は兄弟で競争相手でもあります。軋轢は多少ありながらも上手くこなすというところでしょうか。というより是非そうあってもらいたいと思います。
 とくに2022年、中国は党大会があり習主席の3期目を迎えられるか、韓国では大統領選があり保守進歩いずれが勝つかまだわからない。とくに中国の動向は目が離せず、岸田首相、林外相がどう立ち回るかが気になるところです。二人とも賢いので、まあまあうまく立ち回ると思いますが。

 中伝に太陰があり、前に女性議員が増えるかも、と書きましたが、ちょっと勢いに欠けるように思われます。太陰はや女性によるトラブル、スキャンダルの意味の方が強いと思われます。

社 会

 全般的なイメージからすると、玄胎課ということもあって、いろいろな物事が始まったり変化したりという年でしょう。順貴人ですし変化は早いでしょう。しかしながら、三伝に螣蛇、白虎と凶将がつくので悪い方の変化ということになるでしょう。とくに初伝(発用)が官鬼螣蛇というのは良くありません。2月ないし5月の間に予想もしないようなことが起きて、これに一年振り回されることになるように思えてなりません。
 では「予想もしないようなこと」とは何でしょう。まあこれがわかれば「予想もしない」とは矛盾するのでわからないとしか言いようがないのですが、ちょっと考えてみましょう。予想もしないとは寅螣蛇のことですが、その地盤は巳もしくは戊で、遁干は庚です。占時は卯、また初伝寅は一課であり日干を剋するのでこれは外事ということになります。
 普通に考えればコロナの第六波でしょうが、あるいはコロナではない別の感染症や疾病かもしれません。しかしこれは予想されることですから別の何かのような気がします。
 少々大胆な予想をすれば、広域にわたる山火事、地震に伴う火山の噴火、あるいは火器や武器を使った騒乱、ひょっとすると尖閣や台湾、日本海でひと悶着起こるかもしれません。政治の項で外交は上手く立ち回ると予測したので、海外との悶着はないかもしれませんが…。
 年の中盤は亥太陰が示すようなスキャンダルや秘密の暴露など起きそうです。しかし太陰は派手な天将ではないので表には出ないかもしれません。また亥は財なので金銭的犯罪、詐欺などもありそうです。
 末伝は白虎で、ここ最近三伝に必ず顕れています。最近は白虎はコロナや災害を示すことが多く、おそらく2022年も年の後半にそれらと同じようなことが起こりそうです。ただ、政治の項に書いたように、申についた白虎は必ずしも悪いばかりでなくまた寅を剋するので吉に働きそうな気もします。
 申は子孫ですから医者や薬剤師の象意もあります。(ちなみに占師という象意もあります)白虎は疾病であり、医者と病気のせめぎあいでしょう。これは個人的な願望も含んでですが、白虎には一気呵成という意味もありますから、これでコロナが一気にかたづいてほしいと思います。
 この他、申は伝送で旅行や道路、兵卒という象意があります。白虎は基本的に凶将ですから交通関係の事故が懸念されます。この予想は実はあまり当たったためしがないのですが、一応は触れておきます。

 話は変わって三課に着目すると、酉で太常が乗じています。酉は金銭であり太常は日常生活です。この点は経済の項でもふれますが、市民は世の中の動静よりも自分たちの生活を重視する方向に向かうのではないかと思います。国民全体の雰囲気がどちらかといえば内向きというのかそういう見方をするのではないかと。もちろんそうでない人もいるのでしょうが、大半の人は新型コロナとの戦いや世の中の混乱に疲れ、自分たちの暮らしの大事さを見直すようになるのではないかと思います。
 ただ、これは今でもそうだといえば、そうなのかもしれません。
 2021年のギスギスした社会が少しでも緩和されることを望んでいます。

経 済

 毎年悲観的なことを書いているので狼少年的になっていますが、経済については今年もあまり景気のいい話にはなりそうにありません。

 まず金銭を示す酉は三課にあり太常が乗じています。この陰神は四課であり午で青龍がついています。これだけ見ると経済は上向きで景気は持ち直してくるという楽観的な予想となるのですが、午は空亡です。空亡とは空しいの意ですから、実態をともなわない好調というのか、もっとも青龍に空亡とはいかにもバブルがはじけそうな感じが私にはします。
 酉に話を戻すと、酉は三課であり太常がついているので、衣食住に関することにお金が使われることになるでしょう。とくに飲食業については今も徐々に客足は戻ってきているようで、この傾向は続くと思います。政府が水を差さない限りは。
 また太常は日常ですから、日常に必要なものへの消費が戻ってくるものと思います。一方で占時は卯であり朱雀が乗じています。朱雀には華美や贅沢という意味があり、太常とは全く異なります。ところが卯は日支子と刑でありあまりいい意味になりません。また卯は日干を剋す官鬼です。ちょっと考えすぎかもしれませんが、以前から言われていた二極化が進むものの、隆盛を誇っていた人々も行き詰まり日常に戻るというような動きになるのではないかと。
 このように書くと、またまた(バブル崩壊と叫んで回る)狼少年と言われそうです。私個人的にもあまり株価には暴落してほしくないのですが、どうにも悲観的にならざるをえません。まあ悲観的な予想をしておけばそうならなかったときはラッキーと言えば済む話ではあります。

 昨年問題となった半導体不足や物流の混乱はどうなるでしょうか?半導体不足についてはしばらく続くでしょうが、物流の混乱は中盤から徐々に解消していくと思います。というのは中伝亥はいわゆる丁神であり、また末伝は申伝送で駅馬です。これらは往来が活発になることを示していると思います。物流だけでなく人の往来も徐々に始まっていくのではないでしょうか。これで景気が持ち直すという感じではないですが。

 為替については基本的に円安傾向は続くものと思います。しかし22年末にかけて円は上昇傾向に向かうのではないかと思っています。というかそれを期待しています。今の日本にとっては円安でいいことはあまりありませんし、やはり経済の強さは通貨の強さに反映すると思っていますので。白虎というのは基本的に凶将ですが、果断という象意もあり、経済の立て直しを一気に図ることを期待するものです。

 最後に恒例の業界予想ですが、2022年も引き続き経済的には厳しいものと思われます。その中で期待できる業界は何でしょうか?
 十二支を見渡した時、三課である酉がもっとも有力のように思います。また酉と合である辰や丑もよさそうです。酉は太常、辰は六合、丑は貴人です。
 酉は金、宝飾品、少女で、太常は日用品ですから、女の子向けの衣服とかアクセサリー、あるいは金製品なども売れるかもしれません。酉は貴金属ですので、非鉄はこれ以上上昇ということはないでしょう。といって下がる気配もあまりありませんが。
 辰は不動産や墓地ですが、六合から考えるとファミリー向けのマンションや戸建てと言えるでしょうか。
 丑も不動産を示しますがどちらかといえば農地です。貴人がついていうところから、政治的にも食糧安保の重要性が認識され農業が重視されるのではないでしょうか。私は農本主義者ではなくまた農業に従事しているわけではありませんが、農業の発展を期待するものであります。

(以上2022年1月2日午後3時に記す)