2023年の日本の予測 ~ 大六壬による測局


■ はじめに

 測局とは、世の中の情勢を予測するということで、中国占術の独特の用語です。
 本来、大六壬は個別の事件に対して占うために使われるものですし、そもそも期間の長い占いには向きません。しかし、大六壬の可能性を追求するのもまた私のテーマのひとつであり、ここに大六壬測局占法へのチャレンジとしてあげるものです。
 ここでは、2023年の予測をあげています。過去の予測(と反省)は別のページとしました。


- 目 次 -

■ 2023年の日本の予測の反省

 今日は2023年12月31日土曜日。2023年ももうすぐ終わりです。(なお1月2日に一部追記しています)
 毎年の恒例となりました2023年の予測の反省です。六壬においては立春が年の始まりですので、もうしばらくはありますが。

 以下、例によって2023年の予測を箇条書きにまとめてみますと。

(1)返吟課であり、動きが激しく予想しないことが起きたり収まりがつかなかったりする。
 キーワードは、騰蛇から恐怖や怪異、心配、盗難、災害など。
 太陰からは消極、隠遁、陰私、秘密、潔白など。
(2)雨が多い傾向だがはっきりしない。
 年の中盤は晴れる傾向。突然天気が変わりそれによる災害が発生する可能性あり。
(3)地震はあるが被害は少ないと思われるが、月将が絡むのではっきりとは言えない。
 時期は春過ぎと秋の前半か。
 場所は、日本海~フォッサマグナ~伊豆大島~和歌山沖、三陸沖、内陸では京都、岐阜
 九州南部から南西諸島も注意。
 火山の噴火はある。地震との連動を警戒。被害の程度は不明。
(4)首相の人気は上がらず、統一地方選でも与党は苦戦をしいられる。
 広島サミットは期待外れ、政局はますます混迷を深める。経済的にも低迷。
 サミット後には与党内は騒がしくなり政治に動きがある。解散かも?
 その場合首相は変わるか変わらないかは読めない。
 経済が最大のテーマとはなりそうだが、首相のリーダーシップは発揮できず。
 政治は何もできないまま2024年に入る。
(5)ウクライナ戦争は2024年まで続くが2025年にはロシアが変わる可能性。
 ロシアと軋轢を生ずる。
(6)中国の内政は2025年にかけて不安定さを増し、台湾への圧力が増してくる。
(7)国内は変化が激しいが閉塞感や空虚感が漂う社会となる。
 国民の関心は財的な方面、経済や税金に向かうが、経済は低調。
(8)宗教問題や訴訟事はうやむやになりそう。
(9)パンデミック(新型コロナ)は収束しエピデミック化する。
(10)市民の中から「何とかしなければ」という気風が芽生えてくる。
(11)経済は不安定化、年の中盤に株は大きく下がるかもしれない。
 為替相場は落ち着かず円安円高の予想は難しい。FXのプロなら儲け時?
(12)比較的良い業種は医薬、看護、旅行、交通、木製に関係するものなど。
 農業は天災もしくは外的要因(飼料高騰等)で苦戦する。

 以下に各項目の結果と反省を記します。

(1)について
 世界的に見れば予想のつかないことは結構ありました。例えばイスラエル・ハマス紛争とか(戦争というべきかもしれませんが)
 一方、日本国内で予想もしなかった大事件とは何でしょうか?藤井聡太八冠?ビッグモーター?インフレ?…まあ藤井八冠は順当なところで予想通りなのかもしれませんが。
 他のキーワードについては皆さんの判断にお任せします。

(2)について
 12月22日に気象庁から発表された2023年の日本の天候(速報)によると、記録的に降水量が多いとかいうことはなかったようですが、日照時間は結構長く、多くの都市で記録を更新したようです。雨についていえば、夏に台風や線状降水帯の影響により大雨が降ったところも多かったようです。また年の中盤というか9月ごろは全国的に晴れの日が多く、気象の変化の激しさを感じた人も多かったのではないでしょうか。全般的には高温の傾向でしたが、降ったり晴れたりがはげしく、はっきりしないというよりも、突然変化するという予想の方が正しかったといえるでしょう。
 気象災害については、例年のごとく大雨による災害が目立ちました。しかし竜巻などの風による被害はあまりなかったように思います。一方海外では干ばつや大雨、ハリケーンなどの気象災害が数多く発生しており、原因は何であれ、かつてない気候の変化が起きつつある(すでに起きている)という感じが強くします。

(3)について
 地震については、緊急地震速報レベルの地震は5月に集中して発生しており、9月、10月にも1回ずつ発生しています。時期は春過ぎと秋の前半という予想はほぼ当たりでした。被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。
 と、2023年の年末に書いたところで、元日の夕方に令和6年能登半島地震が発生しました。。被害の全容はまだわかっていませんが、震度7は最高震度であり、かなりの被害が予想されます。心よりお見舞い申し上げます。私の予想としては三伝の変わり目が変動の時期(すなわち地震発生の時期)と思っていたのでちょっと予想外でした。午の地盤で冲でもある子月(12月から1月初旬)も考慮しておくべきでした。月将がからむ地震は被害が大きいというのが2011年のとき(東日本大震災)の予測の反省ですが、今回も月将子がからむ地震となりました。
 余震はまだ続いていますが、早く収まることを祈っております。(ここまで1月2日に追記)
 火山については噴火はあると断言しましたが、桜島など活火山は別として目立った噴火はありませんでした。しかしながら鳥島近海で地震が発生、火山由来と思われる軽石が見つかっていることから海底での噴火活動があったものと推測されます。場所も含めてこの点はまあまあ的中しているようですが、予測自体があいまいなので(我ながらそう思います)、あまり自慢できるものではありません。
 まだ立春までは1か月ありますので、何もないことを祈ります。

(4)について
 「解散かも?」という予測を除いてはほぼその通りになっています。もっとも首相が替わるかどうかはわからないと書いているので自慢するほどのことはありませんし、ある程度予想されたことでもあります。
 それにしても、年の中盤にジャニーズ、後半には安倍派のみならず政治資金や選挙違反の問題やら宝塚のいじめ問題ががクローズアップされてきたのは、太歳卯太陰の状況が表に出てきたということかもしれません。

(5)について
 ロシア・ウクライナ戦争については大方の評論家の予想どおりで、当たったからどうということはありません。ただ2025年まで続くかどうかは今のところはさだかではありません。これについては2024年の予測でも触れたいと思います。
 ロシアとの軋轢については、目立った事件はありませんでした。ひょっとすると尼港事件みたいな在露日本人に対する圧力や騒動が起きるのではないかと心配していましたが、今のところは何もないようです。

(6)について
 中国については大六壬での予測によらなくても今の事態は予想されていたので、とくにコメントはありません。2025年にかけてどう変化するのか様子見です。

(7)について
 これはまあ予測の範囲内と言えましょうか。2023年の「今年の漢字」は「税」で、また首相のあだな(?)が「増税メガネ」となり、まさに国民の関心は税金に向いたといえるでしょう。減税論議もされていますが、さて来年は実現されるのでしょうか。

(8)について
 統一教会の問題については政治資金の問題やら何やらで世の関心は遠のき、また赤木さんの裁判は二審が請求を棄却しました。もちろん赤木さんの裁判は上告されましたのでまだ結果が出たわけではないのですが、時間がたてば関心が薄れてしまうのが世の常ですから、まあうやむやといえばうやむやになるんでしょう。
 そういえばガーシー(東谷義和氏)の話はどうなっているんでしょうか?

(9)について
 コロナのエピデミック化は予想されていたことなので、とくにコメントはありません。しかし2024年は気になるところです。

(10)について
 この予測は当たってほしかったものの一つですが、残念ながら表立って「今の日本を何とかしなければ」という声が上がってきているとは言い難いです。もちろんネットのコメントにはそういうものが増えてきているような気はしますが、具体的な活動にはなっていません。統一地方選挙では日本維新の会が大躍進(大といっていいでしょう)したのですが、その後は大阪万博の不人気もあり、尻すぼみになっている感があります。
 ところで首相のあだなについていえば、「ミスター現状維持」「検討使」から「増税メガネ」「ばらまき眼鏡」などさまざまです。これが直接的に市民の声を示しているわけでもないのでしょうが、首相がここまで言われることも私の記憶にはあまりなく、庶民の中にある危機感というか雰囲気を表しているようにも思えます。

(11)について
 株価(日経平均)は7月ぐらいから10月ぐらいにかけて下落傾向だったのですが、大きく下げるということはありませんでした。この点は明確にハズレです。
 一方為替については、年初は130円/ドルを切るぐらいの円高だったのですが、11月には150円/ドルを超える円安となりました。その後はドル安方向となり年末は140円前半となっています。このように1年に20円以上も振れるのは近年にはない為替相場で、乱高下と言っていいのではないかと思います。私は実際にいくらに落ち着くかという予測を放棄しましたが、それぐらい為替相場は読めなかったです。ただこれだけ円ドルが動くと、おそらく大きく儲けた(または大きく損した)人も多かったのではないかと思います。当たったと自慢できるほどではありませんが、まあ予測通りだったかと思います。

(12)について
 業界天気図や就職情報を参考に、予測でとりあげた業界をみてみます。
 医薬については天気は曇りで、株価もとくに上がってはいません。ただ医薬業界の不調は主にはジェネリック薬品の製薬メーカーの落ち込みが大きく、新薬メーカーの方はまずまずのようです。薬価改定の影響は今後注目です。看護、介護についてはやはり曇りで、介護保険や介護報酬の改定がどう影響するか注目です。
 旅行、交通は全体的には上向きでした。コロナによるもろもろの制限が終わり、これは当然予想されたことではあります。
 木に関する業界というのは難しいのですが、林業、家具、紙・パルプ、建設などが考えられます。株価などをみると林業を除けば総じて堅調といえますが、今後は人手不足の影響が出てくると思われます。とくに環境の点からは日本の林業にはがんばってほしいと思います。
 農業については厳しい状況は続いています。ただ価格転嫁は徐々に進んでおり、また食糧安保の課題もあって、必ずしも将来を悲観するばかりでもないように思います。昨年の反省でも述べましたように、私自身が今更農業に従事しようとは思っていませんが、支えていきたいとは思っています。

 以上でそれぞれの予測に対する結果のまとめ(?)を終わります。私自身の評価としては、2022年の予測は7割程度は当たったと思っています。まあ、当たりそうなことが当たったといえばそのとおりで、反論はしません。
 予測しなかったことをあげれば、もちろんいろいろあるのですが、私にとって最も大きなことといえば、実は東電の処理水の海洋放出の開始です。これが岸田政権において実現するとは思っていませんでした。さらに驚いたのは、当然諸外国から反発を招くと思っていたのがそれほどでもなく、大きく反発したのは中国のみであったのは意外でした。これは当局(経産から外務まで)の周到な準備のおかげかと思います。ちょっと日本の官僚を見直しました。
 その他の事件、例えばジャニーズにせよビッグモーターにせよ政治資金にせよ、秘密が公になるという点では共通しており、個々の事件までは予測できませんでしたが、これが市民の「何とかしなければ」という機運の顕れで、その流れが具体的な形、沈滞する日本の復活のきっかけになることを臨んでいます。

 もちろん今後も大六壬による予測は続けていきます。

(以上 2023年12月31日に記す。1月2日に地震の項を追記)

2023年の日本についての大胆(?)予測

 さて、毎年の恒例であります新しい年の日本を大六壬で予想します。ここでの予想は2023年2月立春から2024年2月の節分までです。
 日本の立春の時刻は、国立天文台暦計算室によると2023年2月4日11時43分です。ほぼ正午に近く、地域の時差を考えても日本のほとんどの地域が午時に立春を迎えることになりますので、この時刻で課式を立てることにします。


日干支 癸巳 占時 午 月将 子 太歳 卯  午未空亡

初伝貴人貴人天空太常朱雀
中伝天空
末伝貴人

課 義

 立春で午時ですから必ず返吟課となります。返吟課でも下剋上を採りますから四課の巳が初伝となります。
 返吟は基本的に剋関係となりますので動きが慌ただしいことを示します。
 この課については、次の句が添えられています。
 「皆馬皆丁、不容少停、貴雖難靠、財卻豊盈」
 この意味は、亥は駅馬で丁神がついており、また干上神は未で未の寄宮は丁であるから、少しも留まることがない、また貴人は日干や亥水から剋を受けて弱く頼りないが、財であるから却って財は豊かである、というような意味です。
 返吟課は必ずしも凶というわけではないのですが、動きが激しいだけに予想しないことが起きたりや収まりがつかなかったりなどという象意があります。

占時・太歳

 占時午は財で騰蛇です。騰蛇は丁巳火神であり恐怖や怪異、心配、盗難、災害などの象意があります。太歳卯は子孫で太陰です。太陰は辛酉金神であり消極、隠遁、陰私、秘密、潔白などの象意があります。

103年前(1920年)のできごと

 今回から103年前のできごとを書いてみることにしました。103年前は1920年庚申年で立春は2月5日癸巳日午時となります。すなわち六壬課式は2023年と同じです。なおできごとの多くはWikipediaに依っています。
 まずスペイン風邪ですが、日本では第3波が発生しますが死者は第2波の方が圧倒的に多く、第3波も1921年には収まります。なお欧米では1920年に終息しました。
 世界的には、国際連盟の設立があり、日本も1月に加盟しています。アメリカでは禁酒法が施行、9月にはテロ事件が発生。注目のロシアですが、内戦状態の中、ソビエト・ポーランド戦争は継続(1921年まで)、また日本軍との間に尼港事件が発生します。なおソ連の正式な成立は1922年です。中国では軍閥どうしの争い(安直戦争)が起きますが短期間に幕を閉じます。
 日本ですが、3月に第一次大戦後の戦後恐慌で株が暴落、5月に衆議院選挙、7月に八八艦隊計画承認、などがトピックスとしてあげられます。また箱根駅伝の始まった年であり、アントワープ・オリンピックでは男子テニス熊谷選手の活躍でシングルスおよびダブルスで銀メダルを獲得しました。
 以上が1920年の主なできごとです。過去のことはここまでで、次項から2023年の予測に入ります。

気象・自然災害

 まず1月までの予測ですが、前年の予想では雪害や竜巻の恐れがあります。そこまでひどくはならないかもしれませんが、昨今の気象をみるとあまり安穏に考えてはいけないでしょう、というのが1月までの予想です。

 さて2月からですが、『六壬直指』には晴れれば雨、雨かと思えば晴とあります。返吟課なのでそういう予測にならざるを得ないかな、と思いますが、一課二課は土支ですから雲の多いあまりはっきりしない天気になるのかもしれません。しかしながら、まあ雨の傾向が強いでしょう。中伝は亥に天空ですから、年の半ばは晴れの傾向でしょう。梅雨明けは早いか雨は少ない可能性が高いと判断します。
 この課からは天候による災害の感じはあまり受けないのですが、毎年書いているようにもはや天候は例年の状況とは変わってきています。六壬的にいえば返吟課ですので突然天候が変わり被害が出るということはありそうです。普段から注意しておく必要があると思います。

 次に地震について。時支午に騰蛇があり子に坐しています。午は空亡なので普通は地震の心配はなくあっても被害は少ないと予想したいところです。しかし子は月将であり月将については空亡は見てはいけないという(2011年の予測の)教訓があります。また子の遁干は戊であり油断はできません。場所となると子午のラインが心配です。また寅方も怪しいとみます。具体的には日本海からフォッサマグナに沿った地域、伊豆大島から和歌山沖、また寅方ということで三陸沖から房総沖というところでしょうか。内陸ではフォッサマグナから岐阜、京都ぐらいでしょうか。また申方が活動的になると思われ、九州南部から南西諸島も要注意。時期は午は占時であり特定しにくいのですが、春過ぎと秋の前半と予想しておきます。単なる勘ですけどね。被害の程度は、月将がからむのでちょっと決めかねています。すみません。
 また騰蛇が午についているので火山の噴火は考えられます。地震との連動に警戒でしょう。被害の程度は地震と同様決めかねてます。

政 治

 首相を示す貴人が初伝と末伝にあります。課義に「貴人は靠し難い」とありますように、その立場は弱いでしょう。政治日程をみてみますと、4月に日銀総裁の交代、さらに統一地方選があり、5月下旬にはG7広島サミットがあります。巷のうわさによると、岸田首相は今年5月の広島サミット後に衆院を解散するのではないか、とのこと。三伝をそれぞれ4か月と考えますと、初伝から中伝へ移行する時期は5月から6月ということになり、サミットの時期に符合するのがちょっと不気味です。また課は返吟課であり、特に中伝は丁神があり少しも留まることがないというのですから、何が起きても不思議はありません。三伝が貴人天空貴人の順ですから首相が代わるということも大いにありうると思います。

 この三伝の象意を字義通りに解釈すると、次のようなストーリーが考えられるでしょう。
 日銀総裁は順当に選ばれるでしょうが、首相の人気は上がらず、統一地方選でも与党は苦戦をしいられるでしょう。そして5月広島サミットを迎えますが、議長国としてのリーダーシップはとれず期待外れにおわり、政局はますます混迷を深めます。経済的にも低迷、サミット後にはロシアとの軋轢も発生し、国民の中には徒労感というか虚無感が漂います。そういう中で与党内は騒がしくなり、解散風が吹くかそれとも解散を思いとどまらせ首相の辞職に持っていくのか、はたまた首相続投で内閣改造にとどまるのか?いずれにしても政治には動きがあるでしょう。解散とすれば秋ぐらいに衆院選挙ということになりそうです。首相は変わるかもしれませんし変わらないかもしれませんが(ここはちょっと読めません)、経済が最大のテーマとはなりそうです。これまた私の勘ですが、夏ごろ落ち込んだ経済も秋から冬にかけて若干持ち直すかもしれません。ただし首相のリーダーシップは発揮できず、政治は何もできないまま2024年に入るということになります。
 以上が三伝から導きだした2023年の国内政治の流れです。

 では外交はどうでしょうか?
 まずウクライナ戦争ですが、これは2022年の反省その1でも書いたとおり長引きそうです。その1では末伝が辰だったので2023年4月ごろかもと書いたのですが、別の考え方である甲辰年すなわち24年まで続くと考えた方がいいと思い始めました。前々項に書いた103年前のできごとから類推すると、1921年の103年後、すなわち2024年ごろまで戦争は続き、2025年にロシアが新たな段階(大統領が変わるのかそれとも国の形が変わるのかはさておき)に入ることになるのかもしれません。
 なお103年前には尼港事件(どういう事件かはネットで調べてみてください)がありましたが、2023年にはロシアで邦人とのいざこざが発生するかもしれません。何もないことを願ってはいますが…。
 中国についてみると、『推背図』の私流の解釈からすれば、今年から来年にかけて中国国内は不安定化し、さらに台湾への攻勢(まさか戦争は始めないと思っていますが)も強度を増してくるものと思います。このとき日本はどう対応するのか?残念ながら(少なくとも)今年は日本もそれどころではなく、あまり上手く対処できず右往左往して2024年を迎えることになるのではないかと心配しています。

社 会

 課の示すように物事の変化の激しい年となるでしょう。その割には閉塞感というか空虚感というか何となくもやもや感がただよう1年となりそうです。
 発用、末伝、四課、占時が財であり、国民の関心は財的な方面、経済や税金などに向きそうです。しかしながら状況が変化するので、安心して積極的な投資に向かうということはできず、警戒感から全般に経済は低調でしょう。詳しくは経済の項で述べます。

 一課は朱雀でこれは派手とか文書とかが象意ですが、官鬼ですので訴訟事の意味が強いです。しかし未は空亡ですから、太歳卯が太陰であることと考えると、あまり大ごとにはならない、もしくは隠される感じがあります。また卯は子孫で宗教の象意がありますから、2022年に引き続き宗教問題は続くのでしょうが、うやむやになりそうな予感です。
 ここ数年は四課三伝には白虎がありましたが、2023年の課式には見当たりません。一応パンデミックは収束、あるいはエピデミックへの移行となるのではないでしょうか。もちろんエピデミックだからといって油断はできませんが。

 話変わって世の中の雰囲気について。三課中伝が天空なので空虚感が漂うという予想ですが、四課、末伝の巳貴人・財には期待するところがあります。初伝の巳貴人はどちらかといえば今の政権の人気のなさというか頼りなさを示したものと考えていますが、中伝亥天空を過ぎた後の末伝巳は一年後の市民の心情や風景を表しているように思えます。私はこの貴人をリーダーとしての自覚と思いたいです。市民の中から「どげんかせんといかん」(別に東国原氏を応援しているわけではありません)という気風が芽生えてくるのではないかと。
 こう考えたのは、103年前の1920年に、日本初のメーデー、普通選挙を求めるデモ、新婦人協会設立等々、市民の動きが出てくることを知ってのことです。その頃の日本は大正デモクラシーという時代でした。もっともその後日本にとって厳しい時期を迎えることになります。103年周期説を元に考えると、日本が低迷を抜け出すのは2050年頃(1945年の103年後以降)でしょう。
 2050年は今の10代、あるいは子供たちが社会を牽引する時期です。その萌芽が2023年の年末に見られるといいなと思っています。今の少年少女たちに心底期待しています。

経 済

 毎年悲観的なことを書いておりそうすればだいたいの年は当たるのですが、今年もまたあまり景気のいい話にはなりそうにありません。

 まず金銭を示す酉について、太歳卯の地盤が酉ですが課伝には表れてきません。一方財である火は占時午と発用巳にあり、また中伝には丁が遁干しています。人々の関心は財に向かうということを示していると思います。
 ところで2022年の経済については「実態を伴わない好調」という表現をしていて、これはこれで予測は当たっていたと思っていますが、今年も中伝である丁亥が天空であることから年の中盤に株価は下げるのではないかと思います。とくに黒田日銀総裁が退任して新総裁になる4月ごろから(あるいはもう少し早い時期から)株や為替は不安定化するのではないかと考えています。ただ断っておくと、私は日銀総裁が変わろうが変わるまいが、米国の景気の後退から株価は早晩下がるだろうと以前から思っていましたし、今もそう思っています。
 ところで103年前の日本の経済をみてみると、戦後恐慌で株が暴落しています。この原因はいろいろ言われていますが、基本的には世界的な供給過剰で、日本の輸出が急減したためとされています。これと同じようなことが起きるとはいいませんが、世界的な供給と需要のバランスの変化、金融政策の変化、財政状況の悪化など経済の不安定化要因は多く、恐慌に近いようなことも起きかねないと危惧しています。
 ただ、末伝が財で貴人ですから、年末には景気や株価はやや持ち直すように思われますし、それを期待したいところです。

 為替については変動が大きく傾向が読めないでしょう。FRBが米の景気悪化に予防的に対処し、日銀が金利上昇を容認するようになれば円高の方向に向かうのでしょうが、日本のインフレ率が上昇し、さらに経常収支が赤字に転落、定着するようになれば、円安の方向に向かうように思います。このあたりは基軸通貨であるドルを持つ米国とは事情が違います。これは六壬というよりは常識的な判断です。一方六壬課式からみれば為替相場は落ち着きのないものになり、円高円安の判断は難しいものになりそうです。FXのプロならこのボラティリティの高さは儲け時かもしれません。

 最後に恒例の業界予想ですが、2023年は変動が激しく、一年間業績を維持するのはどの業界でも難しいでしょう。
 十二支を見渡した時、有望な(活動しそうな)支は、貴人巳、夜貴人卯、長生申ぐらいでしょうか。月将子も活動的ですが兄弟ですので基本的には財を壊すことになりそうです。
 巳は財で貴人ですから高価で気品のあるもの、巳自体からは台所用品や楽器、陶磁器など。卯は子孫で太陰ですから女性向けのものや医薬品、卯自体からは木製のもの、申は父母で玄武ですから旅行や看護関係、申自体は交通や通信関係。
 こうしてみると巣ごもり需要の継続(例えば楽器とか)とコロナ規制緩和による需要(旅行とか)、そして高齢者向け需要(医薬品とか看護とか、旅行もそうだが)という何だかあたりまえの産業や業界の羅列となり、ちょっと面白味に欠けますね。
 昨年も書いてますとおり、私は農業の発展を期待するものです。一課二課は土支であり、食糧安保の重要性はますます高まるものと思いますが、いかんせん丑未は互いに冲刑であり、天災かあるいは外的要因(例えば飼料の高騰など)でかなりの苦戦を強いられるか、大きな被害を受けるのではないかと心配しています。

(以上2023年1月2日午前7時(タイ時間)に記す)