メタボリックシンドローム


価格コムの価格コムマガジンに掲載していただいた記事です。

<<1−.基礎知識編>>

■■メタボリックシンドロームとは?■■

ドクターに聞く「脱メタボリックシンドローム」のための基礎知識

高野医院 院長 高野英昭先生 に伺いました!

■→→→今、世間で話題となっている「メタボリックシンドローム」という言葉。一体どのような意味なのでしょうか。

内臓に蓄積された脂肪により、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などの動脈硬化性疾患が引き起こされやすくなるのですが、生活習慣が原因で、内臓に脂肪がたまってしまい、ふたつ以上の成人病になってしまっている、もしくは成人病になりかけている状態のことです。

内臓脂肪型肥満をベースに

@     (高血圧)か、少し血圧が高め(正常高値血圧) 

A     (糖尿病)か、血糖値が少し高め

B     (高脂血症)のうち、中性脂肪が高いか、善玉コレステロールが低め

@ABのうちのふたつ以上になると、一つだけの場合に比べて、動脈硬化性疾患のリスクが断然高くなると言うことです。

つまり、脳卒中や心筋梗塞にいたるような生活習慣の結果が、お腹に現れ、健康に影響していますので、生活習慣を見直しましょうと言う意味です。

<<<あなたは大丈夫?メタボリックチェック!>>

メタボリックシンドロームは症状がないから怖いのです。脳梗塞や心筋梗塞、狭心症といった深刻な病気を予防する為に、まず、自分がメタボリックシンドロームかどうかを診断してみましょう。診断の基準は、以下のようになります。

●チェック1 胴回りを計測

内臓脂肪の蓄積量のチェック。ウエストのくびれた部分ではなく、へそのラインを測定します。

男性の場合 85cm以上

女性の場合 90cm以上  ⇒メタボリックシンドロームの可能性大

     内蔵脂肪の蓄積量はCTスキャンなどで測定するのが望ましいのですが、上記のウエスト周囲径が内蔵脂肪面積およそ100?に相当します。

     女性は皮下脂肪が男性に比べて多いので5cmの違いがあります。

     男性で84cm、女性で89cmならOKとは言えないと思います。診断基準ですから、数字を決めましたが、お腹が出ないように気を付けましょうと言う意味と解釈しましょう。

●チェック2 健康診断の数値をチェック

健康診断の結果から数値を見てみましょう。少し高いだけだからとのんきに構えていたあなた、チェック1に該当して、以下の3つのうち2つがあてはまると「メタボリックシンドローム」ということになります。

@       収縮期血圧「130mmHg以上」または、拡張期血圧「85mmHg以上」

A       空腹時血糖値「110mgdl以上」

B       中性脂肪「150mg/dl以上」または低HDLコレステロール値「40mg/dl以下」

■→→→なぜ「ぽっこりお腹」は要注意なのか?「肥満」はいけないのか?

「肥満は万病の元」というのはコレまでも多くの人が持っていた認識と思いますが、根拠は不明確でした。遺伝子工学による研究により、脂肪組織はエネルギーを蓄積するだけでなく、高血圧、動脈硬化、耐糖能異常、脂質異常、免疫異常、節食、生殖などに関わる様々な因子(アディポサイトカイン) を血液中に分泌していることが示されました。肥満時つまり脂肪蓄積状態では、アディポサイトカインのバランスが崩れ、成人病の発症、動脈硬化の進展の原因になります。

それぞれ別々であると思われていた高血圧、糖尿病、高脂血症といった成人病の発症に、蓄積された内蔵脂肪細胞が大きな役割を果たしていたのです。

逆に考えると、お腹をへこませれば、成人病を予防し、成人病を改善できると言うわけです。これまで、何をすれば良いのか分からなかった皆さんに、お腹をへこませると言う明快なテーマが示されたわけですね。

<<「毎日測る」を習慣に!>>

メタボリックシンドロームは生活習慣が原因です。欧米では食生活や運動に気を配るのは当然のようですね。脱・メタボリックを目指すのは、メタボリック型生活習慣を改善することです。忙しいからしょうがないと知らんぷりをしているあなた、忙しくなくなってからでは遅いのではないでしょうか。せめて体重を毎日測ることぐらいは心がけましょう。ぜひ、自分の体の状態を把握する習慣をつけてほしいです。体組織計や血圧計などは、最近では手頃な価格で操作も手軽なものが多いので、導入してみてはいかがでしょう。毎日測定すればその数値から自分の健康状態がわかり、自分で生活をコントロールできるようになります。例えば「体脂肪率が上がってきたから運動を増やそう」とか「最近血圧が高いのでお酒を週2回にしよう」といった具合に。毎日体重や体脂肪、血圧などを測定し記録しておくと、自分なりのテーラーメイド脱・メタボリック対策が出来上がり、成果を実感でき、前向きに脱・メタボリックに取り組めるようです。

<体組織計紹介>

<血圧計紹介>

血圧計は、上腕部で測定するタイプのものをえらぼう。手首などでは正確な数値が得られません。

     →→→「脱・メタボリックシンドローム」のために心がけることは?

腰をすえて正しく取り組めばダイエットは必ず結果がでます。皮下脂肪に比べて内臓脂肪は思いのほか容易に落とせます。お腹は月単位で出たりへこんだりするものです。体重は摂取カロリーと消費カロリーで決まります。「食べてないのに太る」と言うあなた。魔法にかかってしまったのでしょうか。「脱・メタボリックシンドローム」のためには、まず「自分の摂取カロリー」をちゃんと自覚することがスタートです。特に男性は食品のカロリーに疎い方が多く、また、「ダイエット=食べない、激しい運動をする」と思い込んで実行してしまう方もいるでしょう。しかし、そのような方法では一旦は体重が落ちてもすぐにリバウンドするうえにストレスにもなりかねません。日本糖尿病学会から出版されている《食品交換表》では、食品を栄養素別に6つの表に分類し、各食品の80Kcal(1単位)の量が掲載されています。食品を量る量りと合わせて活用して下さい。糖尿病の方だけでなく、ダイエットのアイテムとして最適です。無理の無い目標カロリーを決めてください。例えば1日2000Kcal 25単位の食事は次のようになります。表1の4単位はごはんで200g小さなお茶碗2膳分です。表3の3.5単位はステーキ140gです。決して飢えを耐えるような食事ではありません。間食をしないことがポイントですね。

 

1

2

3

4

5

6

調味

合計

ごはん

くだもの

おかず

乳製品

野菜

 

 

 

いもなど

 

肉魚

 

 

きのこなど

 

 

1日合計

13

1

7.5

1

1

1

0.5

25

朝食

4

 

2

 

0.3

 

6.3

昼食

4

 

2

 

 

0.3

 

6.3

夕食

5

 

3.5

 

 

0.4

 

8.9

朝食、昼食、夕食を平均して摂り、摂ったエネルギーをすぐに消費していく体質に改善していきましょう。栄養素のバランスにも気をつけましょう。健康に良い三栄養素の配分は、1日摂取エネルギーのうち糖質は55〜60%、たんぱく質は15〜20%、脂質は25%以下となっています。糖質の摂取割合が減って、脂質の割合が増えたことが、肥満増加の原因です。流行のダイエット法には注意して下さい。

ダイエットも「−1s/月」などといった具体的な無理の無い目標を決め、あせらず長い目で評価しましょう。2週間で0.5kg落とせば、3ヵ月後には3Kgダイエットできます。

「バランスの良い食事」と「適度な運動」。脱メタボリックシンドロームはこれにつきるといって良いでしょう。

※「食品交換表」(日本糖尿病協会・文光堂)

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<<2−.運動編>>

<ドクターコラム> ポイントは、「有酸素運動」

適度な運動は、糖を代謝するインスリンの働きをよくして、体脂肪を燃焼します。カロリーを消費しやすい体質に改善します。また、体内の余分な塩分を尿中から排出して、血圧を下げる作用もあります。

内蔵脂肪を減らすには「有酸素運動」が効果的です。激しい運動を集中して行うのではなく、ウォーキングやサイクリングなど、脈拍が少しあがる(個人差はありますが110/分)程度、話ができる程度の軽い運動を日々続けましょう。強度で脈拍が上がりすぎるような運動では筋肉中のグリコーゲンという糖質が燃えて、脂肪は燃えません。うっすらと汗をかき、人と会話ができる程度の運動が脂肪燃焼には効果的なのです。

出勤前や退社後にスポーツジムに通う、urban型のエクササイズもおしゃれですね。川辺をウォーキングやサイクリングする、rural型の運動も粋なものです。ご自分のスタイルに合わせて運動しましょう。

運動の目安
歩行 20分 水泳 7〜8分
自転車 15分 ランニング 7〜8分
階段昇降 10分 ラジオ体操 15分

上記それぞれの運動を「1エクササイズ」とし、メタボリックシンドローム予防の為には1週間で「23エクササイズ」になるように奨励。
参考:厚生労働省「エクササイズガイド」

それぞれを「1エクササイズ」とし、メタボリックシンドローム予防の為には1週間で「23エクササイズ」になるように奨励。

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<<3−食事編>>

<ドクターコラム> 「健康食ブーム」に踊らされない!

最近は、テレビ番組や雑誌などでも「血圧が下がる」「ピロリ菌を倒す」「ダイエットに効く」などのうたい文句で、様々な食品がとりあげられています。健康に良いなどとテレビで取り上げられた食品が、翌日スーパーで品切れになったなどという話を聞く事もあります。

確かに、その食べ物に含まれるある成分が健康維持に何らかの効果をもたらしていたとしても、食べ物はエネルギーを摂取する為のものなのでいろいろな成分が含まれているということを忘れてはいけません。

例えば、ヨーグルトが健康によいと紹介されたからといって、毎食動物性脂肪を多く含むヨーグルトを摂取していたらどうなるでしょう。内蔵脂肪も増え、コレステロール値も上がってしまいます。

ブームに踊らされて、その食品ばかりを集中して摂取することにより健康を害するきっかけを作ってしまう可能性もあるのです。


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