「the Sheltering Sky」と
「Melodies of Love」と
「浄められた夜」
について

 回を追うごとに、使う曲のポピュラーさが減退していくこのコーナー。読者の皆様からの反響もそれに比例して低迷中である。最初にやった「ソフマップのテーマと今日の料理」は、結構評判もよかったのだけれど、前回の「硝子坂とMovin' on Without You」までくると、ほとんどレスポンスなし。いや、さすがに「硝子坂」まで持ち出すとなると、知らない人が圧倒的だろうから仕方ないことなのであるが。

 で、本来なら初心にもどって衆知の曲を使わねばならないところだが、どうしても都合のよい曲を思いつかない。是非無く、冒頭に掲げた3曲を持ち出すことにする。しかし、これでは低落傾向に歯止めがかからないこと必至か。ま、そういうのもよかろう、とちょっと達観を入れておく。

 とりあえず、芯の曲となる「the Sheltering Skyのテーマ」の紹介をしておかずばなるまい。この曲はベルナルド・ベルトルッチの1990年の同名映画のテーマ曲である。「ラストエンペラー」に続いて坂本龍一氏が音楽を担当していて、今回取り上げる曲も坂本龍一氏作曲。アカデミーをとった「ラストエンペラー」に比べると、宣伝も少なくて、客の入りもそれほどよくなかったようだけど、なかなか奇麗な映画で、砂漠を主人公の夫婦が自転車で連れ立っていくところは印象に残った。音楽に関してはもテーマを含めいい曲が多く、個人的にはラストエンペラーの音楽よりもこちらのほうが好み。

お聞きのように、リッチなストリングスの曲。しかし、何か気になる事がある。確か、どっかで聞いたことがあるぞ?何だろう。と、小骨が喉にささった状態だったのだが、映画を見てから10年たって、やっと分かった。Crusadersの「Melodies of Love」だ。

Crusadersってのは確か70-80年代フュージョングループ。元はJazz Crusadersという名前だった。実は私はフュージョンはほとんど聞かないのであんまり詳しくないのだが、大昔、今は無きイベント「Live under the Sky」を見に行った時に出演していて、聞いたことがある。「Melodies of Love」もその時にやっていた曲の一つ。

ピアノはメンバーのJoe Sample。作曲も彼。聞き比べてみると、やはりメロディーラインが似ている。そっくりといっていい。いつものごとく、テンポとキーの調整。両方とも、sheltering skyに合わせることにする。Melodies of Love は sheltering sky よりも一音半高いので下げた。二曲をつなげてみる。 お聞きのように違和感がない。続いて、二曲同時演奏。Melodies of Loveは続く展開部も入れてみた。 ちょっとMelodies of Loveの展開部は、流石に違和感があるが、前半部は、奇麗にはまっている。

 いつもなら、ここで終わるところであるが、今回はあんまりメジャーな曲でもないし、歌詞もついていないので、このままでは芸がない。大サービスでもう一曲追加というので、取り出すのが、三曲目Schoenbergの「浄められた夜」。この曲はの1899年の作。Schoenbergといえば、十二音音楽や無調音楽で有名な新ウィーン学派の大家であるが、この曲は、それらの実験的な手法以前のもの。この中の一節にこんなところがある。

Melodies of Loveほどは似ていないが、曲想は近いように思える。またテンポとキーをSheltering Skyに合わせる。キーは半音あげた。 続いて二曲同時演奏するとこんな感じ。 どちらもストリングスのボワーとして曲なので、合奏するとどっちがどっちのパートなのかよく分からないが、ともかく違和感なし。

 せっかく3曲揃ったところで、豪華3曲そろい踏み合奏といってみる。坂本龍一とJoe SampleとArnold Schoenbergの夢の競演(って誰の夢やねん)。

この3曲が何となく似ていると言われたところで「フーン、そうなの」ってなか方がほとんどだと思われるが、ま一応検証してみたということで、以上、ご報告まで。


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