きらびやかな鐘の音が私を震えさせ、酩酊させる。
音のうなりとリズムの渦に巻き込まれ、
夢見心地な心はどこか遠くへと連れ去られる。
ガムランの響きはうなりでできている。
同じ音程の楽器が一対あるのだが、わざとわずかに音程をずらしている。
音程がずれている一組の楽器が一緒に音を出すと、音がうなる。
西洋音楽ではうなりは良くないものだ。
完全にハーモニーになっていなければならない。
ところがガムランでは、そのわずかな音程のズレから生まれるうなりを美しいものと解釈している。
だから、ガムランの響きはあれだけきらびやかになる。
バリの湿った空気のなかで、ガムランを聞きたい。
鐘の音から生まれるうなりやリズムにからだを浸したい。
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