考えるえんぴつ屋
 
 
 
 
9.10.Updated
Miyuki Negishi : ライター
 
  フリーランスライター。最近興味があるのは、エコロジーな暮らしについて。いま環境家計簿に、はまってます。貧乏くさくない、説教くさくない、押し付けがましくない、3ない主義のエコ生活のアイディア募集中!太陽発電、雨水利用、ベランダ菜園等々の夢のエコハウス実現に向けて、少ないライターの稼ぎをやりくりする日々。けっこう、素敵な奥さんですわよ。  
 
 
 

ペンギン的知識とは何か》

 みなさん、英語は得意ですか?私は、全くだめなんです。もともと文系だし、言葉に は興味があるので、嫌いじゃないんですよ。ペーパーブックを買ってきて、私なりに読 む努力もする。だけど、根本的にどこか「わかってない」。辞書片手に日本語に置き換 えようとしても、ぼんやり霧がかかってるような理解しかできない。正直いって、どこ がわかってないかも、よくわからない状態。ここ3年くらい、ずっとこんな感じで英語 と格闘しておりました。

  でも、読みたい本が読めないのは、とても気持ちが悪い。何とか読めるようにならな いものかと考えたあげく、もしや文法的知識がゼロなのでは??という疑いが濃くなっ てきました。学生の頃は『文法なんて役に立たないじゃん』と、文法を小馬鹿にしてい たようなところがあったのですが、本当に英文を理解しようとすると、文法の知識は欠 かせないことに今さらながら気付いたのです。

 そんなわけで、30代半ばの今になって、英文法の参考書売り場をうろうろする羽目に 。で、すばらしい本があったんですよ。「山口英文法講議の実況中継・上下」(語学春 秋社)。山口俊治センセイの受験生向きの講議を、口調までそっくり紙面に再現してあ る本なんですが、これが面白い。英文法の参考書で面白いなんて、嘘みたいでしょ。で も、授業中のくだらない冗談や、一度聞いたら忘れられないようなユニークな文例に引 き込まれて、まるで予備校の最前列を陣取ってるような気分が味わえました。

 その中で、いままで自分がいかに英文をいいかげんに読んできたかが、明白になって きました。そもそも私は、「単語を拾って推測でつなぎ合わせる」というパズルのよう な感じで英語を読んでいました。日本語に訳したそれぞれの単語を、まるでおはじきの ように頭の中でぶつけあわせてみて、使えそうな組み合わせを拾ってきていただけだっ たんです。でも、こういう状態だと、短い英文はなんとかなりますが、長文になるとも うお手上げ。いつのまにかオリジナルな作文(!)をしていることも多いんです。これ じゃ、ペーパーブックを読むのに苦労しない方がおかしい。やっと覚えた英単語、熟語 を総動員しても、?マークが頭に浮かぶ状況からなんとか脱出したい!!

 ちなみにペンギンという生き物は、泳ぐ魚は捕まえるくせに氷の上に打ち上げられた 魚には気付かないのだだそうです。ある状況では理解できても、ちょっと状況が変わる と理解できなくなる状態を、山口センセイは本書の中で「ペンギン的知識」と呼んでい るのですが、今までの私の英語はこのペンギン的知識の集積にすぎなかったことに気付 いて愕然としました。基本形に目新しい単語がひとつ混じっただけで、簡単に混乱する 単純な私。もっと早く、受験生の時に気付いていたら、希望大学にも進めたのでは?な んて思いもしないわけでもありません。中学までは英語が得意だったのに高校に来たら なぜか伸び悩んでしまった学生さんや、私と同じように推測と運だけで英語に取り組ん できた人には、この本はお勧めですよ、ほんとに。

 

 
 
 
 
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