好きなアルバム BEST5





まあ「無人島に持っていきたいアルバム」っていう良くあるヤツですが、こういうシリーズみて相手の性格を見抜いてやろうという方も多いようなので、選んでみました。しかし、ベスト5っていうと4つめまではすぐ出るんだけど、5つめでつまるんだよね。帯に短し襷に長し、ってね。でもまあ、なんとか選んだのがこれ。もっともよく聞くアルバムとはちょっと違うけど。もう、ほとんどアタマの中に覚えちゃってるからね。でも、疲れたとき、落ち込んだときとか、これが効くんですよ。いつも新しい発見もあるし。ということでオリジナルの発表年代順に行きます。全部リアルタイムで聞いてるし、その「ファーストインパクト」が心に残ってる部分も大きいので。

Led Zeppelin "Led Zeppelin" 1968
やはりこれですね。最初は。清水の舞台から飛び降りて、渋谷のヤマハで買った輸入盤。2800円はやはり半端じゃなかった。そのインパクトだけでも大きい(笑)。何回もこのネタだしてるけど、それで2800円もう元とったよね。ホームページの話題だけでも元とれるかも。でも若いヤツにこのハナシすると、ホントに目を輝かせて聞くんだよね。70年代大好き少年とか。そっちでも元とってるな。でこのアルバム、最初に聞いたときから、なんだかわからないけど、とにかく気持ち良かったことは確か。理解不能でも、気持ちいいだけは最高に気持ちいいという。はじめてのオナニーの快感に近いか(爆)。たちまちハマるところも(笑)。段々わかってきて、コピーとかできるようになっても、やっぱり気持ちいい。自分で奏いても気持ちいい。その後のZepももちろんいいし、好きなアルバムもいっぱいあるんだけど、心の奥深くに刻み込まれたインパクトは、圧倒的にファーストですね。でもこれ深いんだ。たとえば「Good times Bad times」のウラのりがきちんとわかるようになったのって、フュージョンの洗礼を受けたあとなのだったりするし。で、その奥深さが一段と心に染みる、と。今でも、聞くたびにますます気持ちいいのであります。

Marlena Shaw "Who Is This Bitch, Anyway" 1975
真の銘盤ですね。20世紀を代表する音楽作品の一つと行ったら言いすぎか。でもぼくにとってはそう。唄がいい、最高。そのヴォーカルの良さはもちろんのこと、それを支えるバックがまたいい。完璧。ぼくは、唄のバックは「バンドという楽器の奏き語り」状態になっているのが理想なんだけど、こいつはその域に達してる。フォーリズムのリズムセクションのみという、ヴォーカルものとしてはシンプルなバックなんだけど、それだけに見事に一体化して、唄を支えているのがいい。無駄なくがっちりと、鉄壁のアンサンブル。何度聞いてもスリリングなインタラクションで、発見があります。チャック・レイニーにハービー・メイスンのリズム隊、スゴいよね。このグルーブ感。1曲目の4ビートから16へと自在に動くグルーブとか。これ聞くとライブやりたくなるんだよね。でもこんなのなかなかできないし。一つの理想境です。バンドとしての。4ピースものでブルースロックもいいけど、こういう唄伴もいい。そういえばデイヴィッド・T・ウォーカーも、一世を風靡しましたね。コロンブスのタマゴ状態。こんなバッキングがあるんだって。それでいてスゴくインパクトあったし。

Lee Ritenour "Gentle Thoughts" 1977
このアルバムはもともと、当時ハヤっていた「ダイレクトカッティング」のLPとして発売された企画盤なんだよね。アーティストのオリジナルアルバムじゃないんだけど、好きなものは好きなんだから仕方ない。というより、企画盤ゆえのメリットが出ているともいえる。当時のフュージョンのアルバムは、その音楽性もあってどうしてもオーバープロデュースになりがちなんだった。だけど、このアルバムはダイレクトカッティングという特性上、スタジオライブの一発録りにならざるを得ない。そのおかげで、サウンドはフュージョンながら、インタープレイはジャズを感じさせるという結果オーライのアルバムとなった次第。ほんとに全盛期のブルーノート・レーベルでのセッションを思わせるような、スリリングなライブ感がいいんだよね。そこが何とも好きな理由。ところで、ぼくが本気でギター奏きたいなって思ったのは、実はリー・リトナーが発端なんだよね。カールトンでも、スタッフでもなくて、リトナー。16の唄もののバックやると、いまでもリトナーフレーズ出てきちゃうし(笑)。赤ドットの335は結局買っちゃうし(苦笑)。

Van Halen "Van Halen" 1978
彼らがデビューした時点ですでに、4ピースバンドの方法論って、いろいろなビッグネームによって相当につきつめられていたのは確かだ。で、このデビューアルバムはそういう先人たちの「業績」をすべてふまえた上で、ロックの4ピースバンドの完成形を示しちゃったんだよね。これは、彼らにとっては辛いことで、それからのアルバム、とりわけデイヴィッド・リー・ロス在籍時のアルバムって、ファーストで完成した自己のスタイルを守りつつ、その自己解体をせざるを得なかったという「縮小再生産」のプロセスになっちゃった。ある意味では、その後20年に渡る歴史の時限発火装置は、この時点でビルトインされていたとも言えるだろう。ただそれは聴き手からすればスゴいインパクトにつながる。とにかくプレイのみならず、サウンド的にも計算され尽くしていて無駄がない。高次倍音のてっぺんまできれいにバランスしている感じ。圧倒的なドライブ感と、サウンド的な緻密さ。これを彼らが両立できたからこそ、80年代以降も4ピースバンドという形式が、クリエーティブな意味を持ち得たのは間違いないところでしょう。ホントにキレイなギターの音だこと。この音だけで幸せに浸れます。

Gregg Mathieson Project "Baked Potato Super Live" 1982
これも、ある種の日本独自の企画モノと言えないことはないアルバムだけど、このアルバムで人生決まっちゃった人も多いよね。ある、特定の世代だけだけど(笑)。この世代がまた主要なインターネットユーザーで、ホームページとか作ってる人も多い。インターネット上なら、相当な人気アルバムだと思うよ。ぼくなんかは、いろんな音楽的遍歴の「果て」に、とうとうここに行き着いたという感じなんだけど、のっけがこれというヒトもいるよね。そういうの体験してみたかった。5歳ぐらい若けりゃなぁ。フュージョンに対して求めて続けていたものに、最後に出会えたという感じ。この達成感はスゴかった。大作のゲームやり終えて、幻のエンディングをとうとうみたぞ、って感じ。そこが、ぼくの到達点でもあり、スタート地点でもあるんだけど。しかしこのアルバム、妙に相撲のBGMにいいんだよね。「大相撲ダイジェスト」とか見ながら、このアルバムをかけると、あらびっくり。まさに絵と音がぴったりシンクロする場面が次々と繰り広げられて、抱腹絶倒。なんか、そんな使いかたしちゃもったいないんだけど。ストレス解消にはこれが一番です。

と、深く考えずに、心に残るアルバムを5つ選んだんだけど、けっこう面白い傾向に気がついた。ロック系とフュージョン・ソウル系、ヴォーカルものとインストもののバランスがなんかいいなってのもあるけど、そういうことじゃなくて。
まず、基本的に「青春」してるんだよね。十代から二十代はじめのころにリリースされたアルバムばっかり。やっぱり、こういう時期に出会ったモノって、一生引きずるんだろうね。純粋な音楽的な気持ちよさもさることながら、背負ってるモノは、なんだかんだといって大きいし。70年代って、やっぱり音楽にとってはいい時代だったんだと思う。
あと、これはちょっと専門的になるんだけど、ここにあげたアルバムってすべて、ライブか、リズムセクションの一発録りでレコーディングされてるんだよね。これ、自分がバンドやってる人間にとっては、気持ちよさに大きく影響すると思う。グルーブの一体感や、スタジオの中の空気感が、一発録りとマルチバラ録りじゃどうしても違ってくるからね。
最近の新作がつまんないのは、そういうとり方のできるアーティストが減ってきちゃったってこともあるのかな。いい曲、いいプレイはあるけど、気持ちが良くなる音楽ってあんまり出会えなくなっちゃったから。



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