逆転の発想
Mr.地方創生の石破茂氏が自民党総裁になった。これから地方経済の活性化が喧しく語られることになるのだろう。しかしこのために新たな資金はいらない。各種の補助金を都会に住む貧しい人にばら撒くのを止め、地方にのみバラ撒くことで、貧しい人ほど地方に住むとメリットがあるようにすれば自ずと人が集まり地域振興になる。
これにはいい前例がある、屯田兵に代表される政府資金を注ぎ込んだ北海道開拓だ。そもそも明治時代の北海道への拓殖とかは、そういうカタチのバラ撒きで人を集めたではないか。おいしい思いができるのなら、人は集まる。そういう意味では、流石に江戸時代に武士としての教育を受けていた明治の政治家はクレバーだった。
公明党とか共産党とかの支持者は、バラ撒きを期待してあんぐり口を大きく開けて待っている人達ばかりだ。人並みの生活をしている上にいろいろな補助金を受けようとするから、「公金ちゅーちゅー」と言われるのであって、世の中の役に立つことをして補助金を受けるのであれば胸を張って受け取れる。
そのためのスキームが作れるのだから、バラ撒きにありつきたい人は、地方に行けば堂々とたんまり受け取れるようにすれば、群がるように集まってくるはずだ。こういうスキームにはすぐ割り込みたがる怪しいNPOでも、私腹を肥やした理事とかが毎日酒池肉林の宴会を地元でやれば、資金はその地域に還流し充分地域振興になるではないか。
もし地域への還流が不充分なら、その地域だけで使える兌換券のような紙幣で配ればいい。
みんながみんな地域で使わず日銀券に交換しようとすれば、市場原理でどんどん交換レートが悪くなる。その反対に地域経済が振興すれば、日銀券とは等価交換になるか、全国平均を上回れば地域紙幣の方がレートが高くなることだってあり得る。
今でも多くの補助金は都道府県にまとめて渡し、細かい分配業務は地方公共団体に任せているものが多いのだから、このために新しい組織やコストが必要になることはない。それどころか、各省庁ごとに縦割りになっている補助金がより大きな単位で一括して地方公共団体に渡るので、中央官庁的には行政の改革・スリム化に繋がる。
当然、霞ヶ関は既得権を否定され天下りの椅子が減ってしまうため猛反対するだろうが、ここは政治力である。政治家が地方創生の錦の御旗を立てれば、どんなにイヤでも官僚は正面切って反対できなくなる。面従腹背で抵抗はするだろうが、最終的な人事権を持っているのは政治の方だから押し切ることは可能だ。
新たな資金を投入することなく地方創生が可能となるとともに、行政改革・官僚機構のスリム化が同時に実現できてしまう。まさに「一粒で二度おいしい」プランだ。確かにバラ撒き・公金ちゅーちゅーは本質的には問題だが、やり方によっては毒も薬になる。まさに今求められているのはこの逆転の発想である。
(24/10/04)
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