保守・右翼こそ自立した生き方





最近、ネトウヨではないが、右翼的なオピニオンが増えているという声がしばしば聞かれる。特に「進歩派」を語る既存ジャーナリズムの方々が、そのような意見をよく主張しているようだ。しかし、明確に自分の立ち位置を保守・右翼のスタンスに置くモノからみれば、笑止千万。そんな連中は右翼でもなんでもない。一緒ゴタにくくられる方がいい迷惑である。

彼らは、単に権威にすがり甘えているだけである。口先だけ、格好だけ。寄らば大樹の陰で、強いもの、格好いいもの、威勢のいいものに擦り寄って、その威光を借りているに過ぎない。こういう根性なし野郎が、右翼だったり保守だったりするワケがない。どうしても右翼という文字が入った称号がほしいのなら、「エセ右翼」がいいところだ。エセウヨと呼んでやろう。

本物の右翼なら「侍」をめざさなくてはならない。「侍」、すなわち江戸時代の武士は庶民とは違い、有責任階級であった。戦国時代までの中世の武士とは違い、近世の江戸時代の武士は戦うところにアイデンティティーがある戦士ではない。西欧の絶対王政の時代の官僚貴族と同様な上層階級であり、腹をくくって責任を取るところ、すなわち自己責任で行動するところにアイデンティティーがある。

しかし、右翼を自称して威勢よく格好つけるヤツは、決まって腹をくくって自ら責任をとることなど及びもよらないヘナチョコの根性無しばかりだ。いや、自分のそういうセコさを自覚しているからこそ、「虎の皮を被った狸」よろしく、強いもの、威勢のいいものに自分を仮託することで、あたかも自分の弱さを克服したように思い込みたがるのであろう。

昔、1970年代には、「ヤクザ映画」の大ブームがあった。この当時のブームを支えたのは、ヒーローへの感情移入である。特に気の弱いやつ、今ならメンヘルになりそうなヤツほど、主人公に感情移入し成り切ってしまう傾向が強かった。映画を見終わって劇場から出てくる時には、エラく威勢が良くなり、肩で風を切って歩いている。自分が強いヒーローになった気がして満足するのである。

エセ右翼が右翼にあこがれるのも、これと同じメカニズムである。右翼は、威勢が良くて格好がいいから、あこがれるのである。それもそのはずだ。ちゃんと理由がある。彼らは自己責任で行動している。きっちりと自分を持っているし、美学を持っている。だから、格好いいのだ。本来右翼にあこがれて成り切ろうとするならば、まず学んで真似るべき点は、この「自分をしっかり持ち、自己責任で行動する」というポイントである。

しかし、それにあこがれるフォロワーのやることは、全く正反対。威勢のいい発言の受け売り。格好つけたスタンドプレイのモノマネ。表面的で枝葉末節的な行動面をコピーするだけ。右翼のアイデンティティーとも言える、その生きかたや心意気については全く視野に入っていない。行動を真似るのは簡単だが、生きかたを真似るのは誰にでも出来ることではない。だからといって、形だけ真似てその気になるというのは、余りに幼児的だ。

けっきょく右翼シンパを自称するエセ右翼のザコ共は、「虎の威を借りる狸」なのだ。さらに困ったことには、連中はすぐに群れたがる。そもそも、「群れる」のはキンタマの小さいサヨクの専売特許のハズではないのか。本当の右翼は、志士でなくてはならない。志士とは、クールな一匹狼の侍だ。格好から入るのはまあ許すとしても、格好を真似るだけで終わってしまうのでは、全く意味がない。

そもそも、草食獣の群れよろしく、なんでも数を頼りにし、数で圧倒し生き残ろうとするのは、サヨクの手口である。右翼は、組織に頼らず、一人でも信念に従ってテロを起こせるぐらい行動的なところがスタイリッシュなのだ。群れるだけのヤツ、信念のないヤツに、「一人一殺」はできまい。何かやるにしても、数にモノをいわせた示威行動しかできない。それではまさにサヨクではないか。

今や、右翼、左翼の最大の違いは、思想やイデオロギーではない。生きかたである。右翼が自立した志士であるのに対し、左翼は無責任で群れる。そういう意味では、虎の威を借りるエセ右翼は、実は左翼的なのだ。対立しているように見えても、格好だけのエセ右翼と、組合や市民運動のような左翼とは、甘え・無責任なところでは瓜二つ。ある種の内ゲバだ。寄らば大樹の影の「大樹」が違うだけである。

同様に、マイノリティーが弱者ぶって左翼に走るのはおかしい。それは、マイノリティーとしての固定化しかもたらさない。世界遺産にされてもしょうがない。マイノリティーだからこそ、毅然として生きる志士を目指すべきである。真の右翼はそこにある。本当にスタイリッシュとはどういうことか。わかっているひとだけが、右翼になれるのだ。


(15/04/17)

(c)2015 FUJII Yoshihiko


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