Gallery of the Week-Aug.14●

(2014/08/22)



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「慶應義塾大学鉄道研究会80周年記念展示会」
東京交通会館2階ギャラリー 有楽町
日本の大学鉄道研究サークルの嚆矢であり、戦前からの伝統とOBの強い団結を誇る、慶應義塾大学鉄道研究会。その結成80周年を記念し、今までの足跡を振り返るイベントである。この場に取り上げるのにふさわしい内容かどうかは疑問な面もあるが、夏休み進行の最中ということでお許し願いたい。
1934年に創立され、戦時中の中断こそあったものの、終戦度再び関係メンバーにより活動を再開し、現在に至るまで脈々とその伝統を保っている。もともと慶応義塾の校風として、仕事だけでなく趣味でも一流の人材を多く輩出しているだけに、実物趣味でも模型趣味でも、多くのキーマンを生み出してきたことがよくわかる。
また、誰もトライしていないことに挑戦し、新たなジャンルやスタイルを築いてきたヒトが多いのも特徴である。これもまた慶應らしさにつながる。こういうマインドを持っていることが、趣味界のメインストリームにいながら、慶應鉄研らしさ、鉄研三田会らしさを失わない秘密があるのだろう。
OBには知り合いも多く、伺ったときにも何人かの方とお話ができた。しかし、80年の歴史とは言っても、そのうち50年以上は趣味としてリアルタイム体験している計算になる。同時代という意味では、60年近い。改めて、昭和30年代と昭和10年代はバブル期から今までよりも近かったんだと、時の流れの不思議さを感じないではいられない。



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にほんのうたと鉄道
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室 新橋

鉄道が人々の暮らしになくてはならないものとなって以降、小説にしろ、歌謡曲にしろ、映画にしろ、鉄道がその主題となったものは、古今東西を問わず数多く存在する。そのくらい、鉄道は人々の生活を大きく変え、人々の心の中に深く印象を刻んでいた。日本においても、鉄道が歌いこまれた曲は数多くある。そういう「歌と鉄道」にスポットライトを当てた企画展である。
明治中盤、東海道線をはじめ主要な幹線が開通したころに生まれた「鉄道唱歌」から、高度成長も一段落した昭和50年代の「津軽海峡冬景色」まで、誰もが知っている鉄道が歌い込まれた曲と、そこに描かれている鉄道について、鉄道の側から掘り下げて考察しているところが、鉄道歴史展示室らしい展示ということが出来るだろう。
鉄道がライフラインを支え、社会や経済を成り立たせるもっとも重要なインフラだった時代、人々の鉄道への思い入れやロマンは、今では考えられないくらい大きなものがあった。それは、社会の構造が変わり、経済のあり方が変わった今からは、想像も出来ないものがある。
その時代を知っている人は、なつかしい時代へのノスタルジアを、その時代を知らない人も、かつての日本にはそういう時代があったという事実を、それぞれ思い出せてくれる。コンパクトな会場なので、小規模な展示となったが、もっと対象となる曲も増やして、大規模に行なっても、それはそれで面白い企画かもしれない。




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