ロック川柳

(その1,その2)





というわけで、前回のJAZZ川柳の反省もなく、今回はいきおい余ってお送りする期待の「ロック川柳」。

まずはロック界の御大、この人から。

           コーラスも
             ソロに聞こえる
                ボブ・ディラン

さすが、御大。この存在感、なんて笑ってもいられない。
そう、あの今は昔の「ウィー・アー・ザ・ワールド」。
あの時、ぼくの友達で、誰がいちばん多くソロで登場するか、綿密に調べようとしたヒトがいるんだけど、そこでこまっちゃったのが、このディラン。
ここは本人、ハモってる気なのか、ソロを取ってる気なのか、どうにもわからん。
そういうのは、完全に超越してるのでしょう。
大物とは、えてして、俗世間には縁遠いものです。

さて、コーラスというと、こういうヒトもいます。

           マイケルが
             入ってコーラス
                クサくなり

そう、マイケル・マクドナルド。
ドゥービーズをダメにした、張本人。
かれは、いろんなアルバムのコーラスによく登場するんだけど、これがまた、
一人だけ浮くんだ。それも、クサーい、鼻声。
これが出てくるだけで、曲全体、興ざめですね。
ほんと、ハナにつく。
インタビューなんかでも「自分の声は、ロック向きでないから残念でしょうがない」とかいってる。わかってるなら、でしゃばるなっつーに。

しかし、クサい声のコーラスといえば、日本にも、この人がいます。

           達郎は
             放送コードで
                顔出せず

ははは、出た出た。
業界周辺に語り継がれる、まことしやかな伝説として、
「達郎がTV出演を拒否するのは、昔一度だけTVに出たとき、画面が、全部ヒキのショットで、アップがワンカットもなかったのに、自尊心を傷つけられ、それで意地になっている」
というものがあります。
真偽の程は知りませんが、さもありなん、というのが、大方の感想であります。
マクセルのCFに出たときも、ロングショットだったし。
やっぱ、ディレクターの良心として、アップはまずいね。

で、顔の話題で、もう一つ。
顔といえば、なんたってこのヒト。

           リッチーに
             似てるといわれ
                にが笑い

まあふつうはさー、欧米のスーパースターに似てるといわれりゃ、そりゃ、誰でも悪い気はしないよ。
でも、モノには例外というものがある。
そう、ライオネル・リッチー。彼こそ例外だ。
まあ、そう似てるヒトもいないと思うのが、シロートのあさましさ。
いるんですよ。広尾の、某美容院の美容師に。
これ、ほんとそっくり。常連客は、言いたくても言えないこの焦燥感にイライラしながら、パーマをかけてもらっているそうです。
見たいヒトはmail下さい。そっと、店名と場所を説明いたします。

さて、去年は、このライオネル・リッチーをはじめ、マドンナ、マイケルと、スーパースターの来日が相次ぎました。
銀座の飲み屋の女をつれた、放送局、代理店関係の「紳士」が、客席を埋め、コンサートの客層拡大に果たした成果は大きいといわれていますが、その一方で、こういうアーチストもいます。

           いつ来ても
             メンツは同じ
                ボズの客

来たか、AOR仮面。
この手の音楽のファンと言うのはほんと限られていて、今25から30の間ぐらいのヒトしかいない。
で、ボズがミドルマンの時きて、その後に85年の科学万博のオープニングできて、この2回のコンサートって、ほとんど客席にきていたメンツが同じなんだよ。ほんとに。
しいて違いをあげれば、
(1)前はみんな学生だったけど、二度目はみんな社会人、
(2)前は恋人とか、単なるカップルだったのが、夫婦モンが多くなっている、
というとこでしょうか。
AORとか、フュージョンとか、こういうファン層が拡大しない音楽のヒトは、今後、どうやって食っていくのでしょうか。
新橋第一ホテルの、クリスマスディナーショーとかに、活路を見いだしたりして。

コンサートというと、今や冠付きが主流。
しかし、音楽界の状況をよく知らない、広告屋が仕切ると、こういう悲喜劇が起きます。

           読み外れ
             招待券の
                客あふれ

これはよくある。
ちょっと前にあった、国際青年年のイベントなんて、その最大のモノ。
はっぴいえんどの再編とか、ユーミン入りミカバンドとか、いろいろ目玉があったモンで、招待券が引っ張りだこになり、スゴい歩留まり。
満員をオーバーしちゃう大盛況。
こうすると、スポンサーに抗議するバカとかいるんで、後がたいへん。
タダ券まくのも、むずかしい。

タダ券と言えば、こんな呼び屋もありました。

           ユニバーサル
             タダ券ばかりで
                倒産し

ふふっ。こりゃちょっと、内輪ネタすぎたかな。
知るヒトぞ知る、ユニバーサルでした。

しかし、いかんなー。今回は、業界ネタに頼りすぎだ。
というわけで、最後は、無条件の一発。


           「JAZZの人」
             この一言で
                カタがつき

これには、コメント無し。
よくかみしめて、味わって下さい。

では、また次回をお楽しみに。

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さて、早速第二回。
では、今回はこれから。

           オリコンの
             一位はなんと
                ツェッペリン

あははは、こりゃ笑った。
なんだよ、最近のチャートは。
1位が、レッド・ツェッペリンIV。
2位が、イーグルスのホテルカリフォルニアでやんの。

その感想も川柳で、

           ベストテン
             今はいったい
              いつなんだ。

というわけで、

           CDの
             チャート支える
                30代

前の、ビートルズの時は、なんといっても団塊の世代だけど、今度は、もうちょっと下があやしい。

「ツェッペリン。そーいやー、実家に置いたまんまだなぁ。でも、なつかしいな、このジャケット」
手にとって見る。
「お、2000円か。安い。これで、学生時代を懐かしむのも、悪くないな」

とかいって、買ってるの。あなたは、笑いとばせますか。

今回は、このセンで行こう。
はい、おつぎ。

           学園祭
             オハコは昔と
                同じ曲

これも、困ったモンだ。
いまだにやってるんだよ。
ビートルズとか、さっきのツェッペリンとか。
学園祭から印税取ったら、この辺の曲はスゴいよ。
これだけで、御殿が立つ。
その中でもいちばん身入りのいいのは、なんてったって「スモーク・オン・・ザ・ウォーター」でしょうね。

でも、これは、ちょっと昔と違う。

           パープルを
             ディーパーと呼ぶ
                若いガキ

そーなんですよ。
そういうカルチャーも、最近はあるみたいで。
「らりほー」の、どこにアクセントがつくかで、歳がわかるようなもの。

おっと、個人的趣味で、話題がかたよりすぎた。

話題を変える意味で、プログレからお題をいただいて、一句。

           カール・パーマー
             フィルイン余って
                変拍子

でた。
リズムキープができない。パターンが叩けない。メンバーと合わせられない。
夢の、三重苦ドラマー。カール・パーマー。この、「カール・パーマー」って字余りから入るところが、なんとも彼らしい(笑)。
ヤケんなって、ドンすかドンすか、めちゃくちゃタム連打してる分には、なんとかなってたけど、ASIAではかわいそう。
下手な中学生ドラマー以下という、その実力がさらけ出されてしまったのでした。

ま、この話題は、深入りするとまずいので、この辺で。
次は、ちょっと古い話題ですが。

           死人出て
             ラフィンノーズは
                全国区

あぶね、あぶね。
でも、あれで、彼らも一流バンドの仲間入りしたんだから、宣伝としちゃたいしたモンだよ。
RCの原発とならぶね。
このセンだと、こういうヒトもいた。

           クサいメシ
             食って尾崎も
                アオさ抜け

「ヤツも、これで、一人前のロッカーだ」なんちゅう、おじさんロッカーの声。
このネット上でも、話題になりましたねえ。
ひとは、こうして、オトナになってゆくのです。

というわけで、おじさんのグチになってきたところで、このシリーズも失礼致します。
どうもご声援ありがとうございました。


(1988年8月)



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