オリンピック





なんといってもぼくらは、冠詞なしで「オリンピック」といえば、即「東京オリンピック」になっちゃう世代ですからね。その擦り込みは、恐るべきものがあります。当時は、小学校3年生でした。そしてぼくらにとってオリンピックとは、生まれてはじめて見た「国家的盛り上がり」だったんですから。もっとも、それ以降もあれほどの盛り上がりを示したイベントは日本ではないのも事実ですが。

さてぼくは、学校の所在地が外苑に近かった関係で、オリンピック期間中、学校が休みになりました。で、そのかわり「オリンピック日記」みたいなのをつけて出させる課題がありました。オリンピック関係のスクラップブックとか作ったり、競技の中継とか見て感想文書いたりといった宿題があったっけ。

そんなわけで、どこからともなく券が湧いてきて、クラスメイトと国立競技場へ見に行った。見に行ったのは陸上だったけど、なんかよく見えなかった。とにかくグラウンドのあちこちでいろいろやってるんだけど、ちっちゃくてなんだかわからない。「国際青年年コンサート」の高中みたいに、遠くからでもわかる格好ならいざ知らず、みんな同じようなウェアだし。

結果が、電光掲示板でわかるだけ。スタジアムは全然盛り上がらない。友達と弁当喰って騒いでるだけだった。でも一歩スタジアムを外に出ると、とにかく盛り上がってる(笑)。国中の盛り上がりが尋常でない。あれほどの熱気は空前絶後ですよね。まだ、「国家意識」も残ってたし、国威発揚なんて言葉もあったし。傷痍軍人という言葉もあったし、敗戦の色も所々に残ってたし。そういう中でのオリンピックですからね。

で、源初体験がこれだと、後が大変。その後のどんな大会でも、盛り上らないこと甚だしい。ほんとオリンピックなんてつまらない。そう考えると、擦り込みも罪作りなものです。

(96/07/02)



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