Fender Ampの音とは





フェンダーアンプというと、シルバーパネルのツインリバーブを思い浮かべうヒトが多いでしょう。しかしシルバーパネルのフェンダーアンプと、それ以前のブラックパネル、ツイードのアンプは、全く別物です。どちらかというと、シルバーパネルのアンプが、フェンダーアンプの歴史の中では異端児なのです。シルバーパネルのヤツは、当時ハヤっていたサーフミュージック向きのチューンで登場しました。ですから、ロックには向きません。でもそれ以前のヤツは、ロックをはじめブルースベースの音楽には最適な音がします。

オールド・フェンダーアンプならば、アンプ側をフルテンにしておけば、ギターのヴォリュームと、ピッキングのニュアンスで、超クリーンから、太いディストーションサウンドまで、縦横にコントロールできます。それでいて60年代アタマのプリンストンとか、デラックスなら、かなり状態のいいのがけっこう安くて買えますから、変な新品やレプリカモデル買うなら、絶対得です。一台持っていても損はないでしょう。

とても素直なアンプですから、あとは使い方と、楽器次第です。こういう勘違いはギターにもあって、フェンダーのギターも、オールドだとびっくりするぐらい太くて豊かな音がでます。ジミー・ペイジとか、ジェフ・ベックとかの例が有名ですが、しろうとさんがアルバムの音を聞いて「レスポールだ」と思ってるプレイのうちテレキャスターでひいてるのがずいぶんありますよね。だからオールドフェンダーのギターに、オールドフェンダーのアンプなら、コピーモデルで育った人なら、「これがフェンダーの音なの」っていうぐらい太い音がでます。

だからオールドギターの世界では、純粋に音だけでいえば、オールドフェンダーとか、オールドマーシャルとか、アコースティックでナチュラルな特性(音じゃなくて、あくまでも特性です)をもったアンプを使えば、フェンダーだ、ギブソンだ、というギターの違いは些細なもんです。オールドの楽器は、反応がとにかくナチュラルなので、太く、ねばっこくひけば、そういう太い音になるし、ドライにひけば、ドライな音になります。一度、いい楽器をいじってみると、人生観が変りますよ。


(95/12/13)



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