最近のファン心理





あいかわらずメガヒットが出ているけど、あれ、本当に気に入ったり好きだったりするからヒットしてるというのとちょっと違うみたい。ファンのコたち見てると、あんまり思い入れないよね。CDとか買ってるけど、そもそも「ファン」という感じじゃない。もっとも昔から、「かわいい」思うこととか、「自己同一視」することだけが、ファンになる条件というわけでもなかったけど。もっというと、最近のティーンズにとっては、自分が気に入ってたりいいと思ったりすることと、ファンになる、好きになることは、ぜんぜん違うこと。心から気に入ることと、ファンになることの間にギャップがある。だれそれのファンだってのが、なんていうか、戦国時代のどの武将につくかという「旗印」みたいなモノになってる。

ルーズソックスでも、ユルパンでもいいけど、ティーンズのなかで本当に「ファッショナブルだ」「スタイリッッシュだ」と思って着ているコは少ない。じゃナゼそんな格好するかというと、いわば制服と同じで、ひとと同じ格好しないと、いじめられる、村八分にされるネガティブな心理から、みんな一緒にやってる部分が大きい。こんなワケだから、いままでのどんな世代よりも、セオリーだけで売れちゃう世代なんですよね。自分の「感覚」で行動するんじゃなくて、強迫観念や周囲が自分をどう見るかという「相対判断」でなんでも決めますから。

こういう状況のなかで、たとえば「アムロはキライだ」っていえるのは、よほど世を捨てた「をたく」か、自分の個性をしっかり持ってる、最近あまりみない硬派の熱血漢かどちかでしょう。この状況は、特に男の子でひどいみたい。心の中では、実は食べたいモノ、飲みたいものがあっても、それを注文したら、周りからのけ者にされてはじかれちゃうと思ったら、絶対頼めないのが、いまのティーンズの男の子。だから、そういう周りの状況、周りの視線を作ってやれば、簡単にモノが売れる状況が作れるんだよね。特に、「女のコからの視線」は必要以上に気にするから、そっちから攻めていけば、男のコは簡単にオチる。

女のコっていったって、程度問題で、やっぱり村八分が恐い付和雷同型が多いからね。どうしてあんなに、自立することを恐がって、群れてるんだろうね。ただ、女のコの中には大体2割前後、強烈な自己主張を発している個性派がいて、この層だけはオトしにくいです。本当に個性が光ってるコって、この2割の女のコ層と、あとおたくしかいないよね。まあそれでも、個性のある連中がいるから、まだ希望があるけど。まあ日本も終わりだね。マーケティングとしては狙いやすい市場だけど。小室氏のマーケティング戦略は、うまくこの辺の構造を突いていると思うよ。


(96/09/10)



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