1997.4.1号

Cub'sweek


あなたもモバイルのサルに!? 〜 MRS大流行か



 電波が命令する、手ぶらで列車に乗れない、散財が激しくなる、サルのようにメールを書きまくる・・・・・・・これがMRS(モバイル鉄症候群)の主な症状だ。今このMRSが、鉄道趣味界で猛威をふるい始めている。この現代の新たなる奇病に、決定的な治療法はまだ無い。「モバイルのサル」になる危険が、あなたにも迫っている。





気が付くと発病

 列車内でメールを書く、ビジネスマンが仕事しているような、一見何のことも無さそうな状況でもしかし、「車内実況」を書いていたとしたら、それはMRS(モバイル鉄症候群)の可能性が高い。バッテリー残量を気にしながら、せっせとメール打ちに勤しみ、携帯電話を繋いで送信して、ほっと息をつく。そしてまたメールを打ち始める・・・・・・・・。
 始めは、車窓を覚えていない程度だったものが、病状が悪化するにしたがって、寝台車に乗っていながら寝ていなかったり、トンネルの合間からの送信を試みたり、グレ電依存症に陥ったり、車内洗面所のコンセントを無断借用したり、旅館の電話がモジュラーじゃないと文句を言うようになったりする。また自動車の中からや、さらには崖や木の上からも送信するようになった、酷いケースでは車内販売員とチャットしようとした、という症例までもが報告されている。
 また散財傾向も多く見られ、携帯電話、ノートパソコン、大容量バッテリー、モデムカード、デジカメなどを突如次々と買い込むこともあるとのことで、自覚症状の無いまま破産した患者も既に少なからずいるようだ。

解明進まず

 MRSウィルスが発見されたのは昨年のこと。「寝入ちゃー」誌でも取り上げられたが、社会のMRSへの認識はまだまだ低く、「自分はそれほどのマニアじゃないから大丈夫」と安心する向きが多かった。しかしこの春、「シュプール戸狩野沢深夜の横軽実況」「こまち一番列車実況」とMRSが猛威をふるい始めるに及んで、そういった楽観論は、感染ルートの特定と感染の予防、治療法の確立を願う悲鳴へと変わって行った。


 感染ルートについては、未だ特定されていない。目下、空気感染、伝聞感染、みかか感染、LAN感染、電波感染、クレジット感染などが有力視されているが、その特定には今しばらく時間がかかりそうだ。

いっそサルに?

 感染の予防法として、感染者と一緒に列車に乗らない、MRSウィルスを含むと思われるメールは読まずに削除する、鉄道趣味ページのイベント企画は決して覗かない、ノート・パソコンや携帯電話、デジカメ、クレジット・カードを持たない、まとまったお金は定期預金にする、といったことを徹底するよう、更正省は呼びかけている。
 治療法はまだ確立されておらず、破産しない限り完全治癒は今のところ不可能だ。患者の苦痛を和らげることが、現在の治療の重点となっている。電源の確保や携帯電話のサービスエリア、宿泊先の電話線タイプなど、モバイル鉄のケース・スタディと対処法、特定割引の活用、プロバイダの紹介といった情報提供が、主な治療法であるが、どれも病状の進行を食い止めるものではない。

 今年は春のダイヤ改正に続き、秋には北陸新幹線長野開業/横軽廃止が控えており、MRSのさらなる大流行が予想される。一刻も早い、決定的な予防法と治療法の確立が待たれる。






MRSの勢い留まらず〜「MADエクスプレス・碓氷峠電波鉄」(TRAINWWW)


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