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1234 sun3965 CUB     93/03/04 01:56 突然「喜劇・急行列車」                62



 映画の話がでたところで、さらにCHATでも話題に上ったところで、私のお気
に入りの映画の話をいたしましょう。

    「喜劇・急行列車」(1967年・東映・瀬川昌治監督)

 主人公は、一人の車掌。特急「さくら」の車掌長です。演じるは渥美清。彼はこ
の「1列車・さくら」に乗務することを誇りにしています。
 いつものように「さくら」に乗り込み、いつものように車内をまわると、
「あ・・・!」
「あなたは、横須賀線の・・・?」
 彼が横須賀線の車掌をしていた頃、ひそかに思いを寄せていた女性と思わぬ再会。
乗務員室に戻った彼は、横須賀線時代、女学生だった彼女への思いを、独り語るの
ですが、マイクのスイッチが入っていて、車内は大爆笑。気付いた彼は「誰誰作、
何何からの朗読でした」と誤魔化します。
 西村晃登場。車内をうろうろしているところを、渥美に呼び止められます。
 「わしゃ、むかーし機関士をしておってな。気仙沼で。」
 「ほう、気仙沼(以下東北弁)」
一等寝台を見たい、という同郷の老人の願いを聞き、案内します。
 「ほほー、これが一等寝台ですかいな。個室まであってまるでホテルみたいでな
 いの。いったいいくらするんですかいな。」
 「3千円するんですわ。」
 「いやあ、そんなには出せんもんねえ」(以上、ホントは東北弁)
 勿論、当時は20系客車。オロネ20か22でしょうか。物価の違いにも驚かさ
れます。
 その後、スリを捕まえる場面もありますが、無事、長崎着。乗務を終えます。

 主人公は、「あの女性」が忘れられません。しかしその女房は、そんな夫の異変
を見逃しませんでした。「浮気の現場」を押さえてやろうと、次の乗務(「はやぶ
さ」だったかな)のとき、こっそり横浜から乗り込んできます。
 乗客の中に、今度心臓(だったと思う)の手術をする、という少年がいました。
彼はそれをとても恐がっていました。主人公は、体験を元に励まします。
 以前、御殿場線(だったかな)にいた頃、ある日、蒸気機関車の牽く列車が坂に
差し掛かったとき、思うように前に進まず、車掌の自分はただ見ているだけしか出
来なかったけれども、機関車はとっても苦しそうで、機関助手の人が砂をまいても、
なかなか登らない。
 「でもね、機関車は、ちゃあんと登ったんだ。苦しくても、苦しくても、ちゃん
 と登れたんだ。だから、君の手術だって、きっと大丈夫だよ・・・。」
それを立ち聞きしていた女房も、思わず涙ぐみます。ここのシーンは印象的でした。
喜劇の中での、人情味溢れる場面。幼き日にテレビで見た記憶がありますが、車掌
さんって、とても誇らしい仕事だな、と感じたものです。

 なんか、「再会」シーンと、この「励まし」シーンばかりが記憶にあります。と
ころで列車の走行カットでは、カニ22、それもパンタ撤去後のがつながっていた
りして、なかなかマニアックな楽しさがあったりして。
 そうそう、そのあと、乗客の一人が産気づいちゃうんですね。で、居合せた主人
公の女房が産婆の資格を持っているとかで、車内で出産するんです。
 「母ちゃん、ご苦労さん」
 これを切っ掛けに、夫婦はお互いを見直します。

 この映画、シリーズ化されていて、他に「喜劇・初詣列車」というのもあります。
さらに、渥美清の東映のシリーズの他に、松竹のフランキー堺のシリーズもありま
す。監督はどちらも同じ。因みに「急行列車」は、ほぼ1年前にテレビ放映されま
した。ところが私は録画しておらず、いまだに悔やまれるところです。レンタル店
でも、置いているところがあるようです。


 ところで、「皇帝のいない八月」の14系はいただけないなー・・・。


                         CUB