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1708 sun3965 CUB     93/09/17 19:55 失われしもの                          35



 ふと、古い18きっぷ(はじめの頃は「のびのび」がついていたんですよね)を
眺めていたら、当り前の事だけど寂しいことに気が付きました。
 
 途中下車印・・・・。
 
 「豊橋」「天竜峡」「伊那市」なんて付いていると、あ、これは飯田線に行った
時のものだな、と、当時の記憶が蘇ってきます。田切で凍えながらシャッターを切
ったこと、天竜峡で、満天の星空にたじろいだこと(都会育ち・・・)、タブレッ
トを放り込んで三河槙原を通過する急行「伊那」、雨の「渡らずの鉄橋」・・・。
 
 ああ、また独りの世界へ入ってしまふ。
 
 で、まあ、切符がサーマル印刷になり、改札が機械になり・・・・気が付けばこ
んな「情緒」も失われていたんですね。最近のJRも、「旅の思い出」に配慮して
使用済みの切符をくれるようになった、と聞きますが、CMで「旅情」をアピール
するからには、これくらいのフォローは当然でしょう。外国ではもっと以前から、
こうした「配慮」があったようですけどね。そいや国鉄時代も、ある時期までは結
構寛容だったような気がします(「無効」印がついていたりする)。
 
 改札の鋏の音も、ひとつの「音の風景」(というFMの番組があったけど)でし
たなあ。
 
 時代に逆行するようなことを言うつもりもないのですが、しかしやはり、「知っ
ている者」としては、寂しいな・・・・。ま、これは仕方の無いことなのでしょう。
 
 ところで、日本で高速列車を走らせるためにロングレールが開発されていた頃、
その研究者の脳裏に「ジョイント音とともに、旅情も失われてしまうのではないか」
という心配がよぎったそうです。
 
 こういう人に支えられている鉄道って、いいな。
 
 
                            CUB