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1852 sun3965 CUB     93/10/29 21:07 ベルの音でフラッシュバック            40
 
 カイシャの机に座って、定時になるのを待っていると(じょほだんだってば)、
「火災報知器の試験をする」由の放送があり、しばらくするとそれが鳴りだしまし
た。
 
 ジリリリリリリリリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・
 
 なんだか懐かしい音・・・・・・・・
 
 「13番線、特急はやぶさ号、西鹿児島・熊本行き、発車いたします。神田、中
央、南、乗車終了! はやぶさ号発車いたします、はやぶさ号発車いたします。お
見送りの方は白線までお下がり下さい・・・・・・」
 
 ポォォォォォォォォォォォォォォッ
 
 ゴクン・・・・・ギシッ・・・・・ゴッ・・トッ・・・・ゴットッ・・・・・
 
 小学校を卒業した3月の暖かい日の夕刻、私の「旅」は始まったのでした。その
年のお年玉をはたいてA個室の寝台券にあて、祖母の待つ九州へと向かったのです。
 
 西日を受けて、列車はゆっくりと身をくねらせながらポイントを通過して行きま
す。やがてオルゴールが鳴り、停車予定時刻の放送が入ると、これから出会うかも
しれない未知の「何か」への期待に包まれます。
 
 ・・・・その時の感覚に、すぅーっと引き込まれてしまったのでした。ぼぉーっ
とモニターを眺めている自分に気付いた時、背後から
 
 「どお? 調子は」
 
 「え? あ、いえ、こ、ここんところがですねえ・・・・・(汗)」
 
 神田方から、PFに牽かれて滑り込んで来た25型客車。PFのブロワー音。電
源車の唸りと排気ガスの匂い。ホームの片隅に立て掛けられたサボ。トロッコ。荷
物を積み込む人達。白い制服の乗務員。ドア越しに手を振っていた両親・・・・。
 
 あの日の東京駅13番線・・・・忘れません。
 
 
      うるうるしてんじゃない!           CUB