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2142 sun3965 CUB     93/12/22 21:57 レイルマガジン10周年                64



 んー、今月のレイル・マガジンは、10周年記念で「国鉄」の特集・・・・。
 
 10年、ですかあ。思い起こせば、時は「ゴハチ危機」のころ、ふと書店で見掛
けた「創刊号」を、「これも何かの縁」と買ったのが始まりでしたねえ。そう、確
かにあの頃、「国鉄」は改革されていきながら「国鉄」のままであり続ける、と、
それが当然であるかのように思っていましたっけ。それよりも、SGの湯煙を上げ
ながら駆け抜けるゴハチが見られなくなる事の方が、私にとっては差し迫った問題
なのでした。
 
 私にとっての鉄道は、やはり「国鉄」なのです。柵に座って眺めたブルトレも、
遠足で乗ったチョコレート色の電車も、近所を走っていた砂利運搬のDD13も、
幼き日に初めて「美」を意識した機関車であるEF58も、だだっ広い中、ただ連
結の音がこだましていた新鶴見操車場も、母親と添い寝した寝台も、渥美清が車掌
をやっていたのも、私の原体験的「鉄道」のそのどれもが「国鉄」だったのです。
 
 今ではその名残も薄れつつあり、記憶の中に「国鉄」を持たない世代がどんどん
占めつつある状況の中で、なんだか自分の居場所を失ってしまうような寂しさを覚
えるのでした。関水のクロハ181にはJNRマークも付いてこない始末ですし。
過去を振り返るようになったら、もうおぢさんなのねん・・・・。
 
 しかし依然として私の体内には「国鉄」が生き続けている訳で、「それを知る者」
であることの誇りと、そのチャンスに恵まれた(でも現役のSLは知らない・・・)
ことへの感謝の気持ちは、持ち続けていくつもりですし、きっとそうあり続けるで
しょう。そして「今」の鉄道の風景、鉄道の情景を記録し、それを失ってしまった
未来の自分に伝えようと(というほどリッパなものは撮っていませんけど)、私は
クルマを駆り、カメラを構えるのでした。
 
 さてこの「レイル・マガジン」。この雑誌が10年前に参入し、老舗雑誌の犇め
く中で残り続けてこられたのには、当然それなりの理由があるのでしょう。
 
 それはつまり、「他の何物でもない」強烈な個性。いわゆる読者参加形式も含め
た、なんとも「ノリ」のいい雑誌なのです。グラビアに展開されるは、私がよく話
題にする、今はなき「鉄道グラフ雑誌・レール・ガイ」の流れを汲んだ、ただの編
成写真では終わらせない作品の数々。私はかつて「レール・ガイ」を見て「鉄道写
真」にハマったクチだったりするのです。
 
 他にはHOj(1/87、12mmゲージ)の提案、後に単行本化された「鉄道
模型考古学」や、廃線跡探検をはじめとして今や一つのジャンルを形成しつつある
「トワイライト・ゾ〜ン」、「ハイテク鉄ちゃん講座」と称する、電車の制御方式
やなにやらの解説コーナーもありましたっけ。その他、少々辛口なコラムがあった
りするかと思えば、お菓子のオマケや、「踏切戦士・シャダーン」などのイロモノ
(?)まで登場し、もう、なんでもありありな、間口の広い雑誌になっています。
 
 「行動派鉄道雑誌」・・・・これは貴重な存在ではないでしょうか。「俺達、馬
鹿だよなあ」と言いつつも、そこにはあっけらかんとした無邪気さがあるような。
その無邪気さと、「大人の分別」とのバランスが、「狭い」話でさえも「読ませて」
しまう魅力になっているのでしょう。マニアックな「情報処理」に終始しない、「だ
ってそれが好きなんだから」といった、趣味の原点ともいえる情熱がそこに存在す
るようです。今自分の定期購読している鉄道雑誌がこれ1冊になっている理由を考
えてみると、そんなところではないかと。
 
 「レイル・マガジン」10周年記念として、「日本の蒸気機関車」なる単行本も
発売されています。現在生き続けているSL達の現状やSLの各機構の解説など、
ちょっと前の「レイル・マガジン」で特集されたものの再編集、といった感じなの
ですが、単行本化されたことでより内容が濃くなった印象です。
 
 とりわけ「あそBOY」の同乗ルポなどは、峠に挑むハチロクのキャブ内の緊張
感や、機関士と助士の仕事への情熱、誇りが伝わるようで、結構しみじみしてしま
うのでした。
 
 
                          CUB