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2433 sun3965 CUB     94/03/15 00:09 名前、それは燃える命                  94



 むう・・・・・・。
 
 列車の種別、ですかあ。こりはむつかしひ。
 
 まず、日本の商人(あきんど)の常として、「きめ細やかな対応」というのがあ
ると思う(例えばクルマ1車種に、グレードやオプションのやたら多いこと!)の
ですが、「MADE IN JAPAN」の品々が世界を席巻した背景にも、少な
からずこの「きめ細やかな」の努力ががあったものと思われます。
 
 それが輸送業界にまで応用した(?)ものだから、通勤ナントカだの、特別ナン
トカだの、ナントカライナーだのと、バリエーションが異常に増えてしまったので
しょう。
 
 さてさて、こんなに種別があるのは、恐らく日本位なのではないでしょうか?
海外経験に乏しい私には、詳しいことはよく分からないのですが。でまあ、とする
と、日本独自のものに半ば無理矢理英語名などを命名するものですから、ややこし
い訳です。
 
 例えるなら、「紅色とワイン・レッドとの間の、赤」という色に何か命名しなく
てはならない、というのと似ています。実際には数値で表わす方法があるんですけ
どね。
 
 ところで、「特急」という概念、ヨーロッパには日本のそれと同じものが無いと
聞いたことがあります。あちらは駅をいくつも通過する「えくすぷれす」や、「ら
ぴっど」というものがあるものの、それらの中に階級を設けていないような感じを
受けています、私は。でまあ、「特急」は、「りみてっど」(取って置きの?)な
「えくすぷれす」、と。
 
 というよりも、どっちが優等で、ではなくて、それぞれが住み分けているような、
といったらいいのでしょうか(飛行機と自転車とどっちがエライかなんて、比べた
りします?)を。インター・シティ(IC)やユーロ・シティ(EC)などは「都
市間列車」といった役割で(「インター」という言葉が示すように)、「特別で速
くてエライ」と言うのとは違ったようです。
 
 「カローラよりもベンツの方がとにかくエライ」と信じている日本人と、「街乗
りにでっかいクルマでどうしようっての?」という価値観の人達とでは、まあ色々
違ってくるのでしょう。
 
 で、ドイツのICEは、「インター・シティ・エクスプレス」という英語名の略
だそうで、そのICの速いもの、ということになります。
 
 因みに「スーパーエクスプレス」は、「超特急」なんて訳がありますね。「GA−
LAXY EXPRESS」は、「急行銀河」・・・・・・イテテ
 
 んで、なんでしたっけ?
 
 そうそう、だから、元々日本にしかないものを英語化する訳ですから、色々と難
しいんですよ。「キモノ」のように、結局そのまま伝わったものがあるくらいです
から。大体、日本語の中でさえイメージが統一されていないんですもん。「特急」
一つにしたって、全車指定からロング・シートまでイロイロですよ。
 
 
 ところで英語表記。私も兼ねてから、「外国人というのは、皆視力がいいのであ
ろうか?」という疑問を抱いていたのですが、そういう訳ではないみたいですね。
表意文字である我々の漢字、これって結構パターン認識しやすいですよね。半面、
そのために沢山の文字を覚えなくてはならないのですが。
 
 かたやアルファベットの場合、基本的には英語で大文字小文字合わせて52文字。
これだけ。この組み合わせであらゆる単語を表現します。
 
 とゆーと、忌々しき私のボキャブラリーでは例が浮かばないのですが、スペルの
似た単語などは、やっぱり結構判読しにくいのでしょうか? 日本の地名なんか、
それっぽいですよ。その世界で育ってみないことには分からないんですけど。
 
 そして日本語というものは、実にくどくどと母音が付いてまわります。そのため、
日本語をローマ字化すると、だらだらと長いスペルを書き連ねることになるんです。
これは外国人にとっては、高いハードルでしょうね。
 
 んじゃどうする? ということになるんですけど、ここはやはり、日本語独自の
文字や発音の習得をあまり要求しないように、「駅ナンバー」が有効でしょうね、
やっぱり。路線への「系統番号」の導入も同様です。路線は色で識別出来るように
なっていますけど、でも東西線と三田線の色の違いを、英語で説明出来ます?
 
 難しいですねえ。もっと現状をよく調べ、言語学やら認知科学やらなにやら、様
々な知恵を借りないことには、なかなか解決出来ないでしょうね。
 
 
 ところで、ロール式のヘッド・マークが絵入りになった時、英語表記が無くなっ
たんですよねえ・・・・・。
 
 
 おまけ。
 
 単語の豊富さは、その文化の特徴を表すといいます。ステーキの焼き方には何段
階もの表現がありますし、アラビア語では、「ラクダ」を意味する単語が物凄く多
いと聞きます。オス、メスの区別から、痩せたラクダ、若いラクダ、妊娠したラク
ダ・・・・日本でも、「出世魚」というのがありますよね。
 
 んでまあ、列車の種別の単語が多いということは・・・・・あ、落ちないや。
 
 
                        CUB



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2446 sun3965 CUB     94/03/16 23:40 列車種別名、其の出生の秘密(ぉ       106



 名前の由来を考えてみましょうか。
 
 まず、路線には駅があり、列車は駅に停まります。駅は列車が停まるための施設
であり、それを前提に作られています。よって、列車の基本は、各駅停車、という
ことになりますよね。「普通列車」と呼ぶくらいなんですから。
 
 さて、そのうち、拠点間を結ぶような列車の需要が高まってくるでしょう。途中
はいいから、早く目的地へ着きたい、と。ここで、列車の役割が近距離、遠距離に
分かれ、「急行列車」の誕生です。そいや普通列車を英語で「ろーかる」と呼ぶの
は、近距離列車ゆえの「地域限定」的なニュアンスが含まれているのでしょうか?
 
 さらに早く着くために、「特別」な急行、その名もそのままの「特別急行」が出
来ました。「急行」よりも速いから「特急」なのですから、私鉄のそれがロングシ
ートだから云々というのは、本質ではありません。しかし現にJRをはじめとした
「特急」では、車内設備などで付加価値を高め、特別料金を設けているので、「そ
ういうもの」であるという認識が一般的ですね。
 
 一方、急行列車を、よりリーズナブルに、といったアプローチで誕生したのが、
「準急」です。「準」の字のごとく、急行の弟分ですね。
 
 これらは、語源的に「急行」を軸にした言葉であることは明らかです。
 
 各駅停車 − 準急 − 急行 − 特急 ・・・・ここまではシンプルですね。
 
 ここでは「特急」が一番速いんですけど、それより速いものが出来てしまった場
合・・・・そこはよく考えたもの(場当たり的ではありますが)で、「超特急」だ
ったりなんかして。その先は、もう知りません。
 
 さてさて、「快速」という言葉が、どういう経緯で列車種別に取り入られたのか
は知らないんですけど、その文字からして、なんとなくニュアンスは分かるような
気がします。「快い」んですよきっと。
 
 恐らくは、既に優等列車としての地位の確立していた「急行」等ほどの付加価値
も無く、特別料金を徴収するのも気が引ける・・・・的なスタンスの、比較的長距
離ではない、しかし通過駅もあるし、ちょっと速い列車・・・・だったのでは、と
いった解釈が可能です。
 
 これは、旧国鉄を見てのことなんですけど、「快速」は、各駅停車(というより
も「普通列車」と呼んだ方が適切か)に、「無料御奉仕」的な付加価値(速さ)を
加えたものであるようです。見方を変えれば、優等列車の停まらない駅の間にも、
その利用者数によって階級(「快速停車駅」)を設けた、といったところでしょう
か。
 
 「普通」に「無料御奉仕」が、「快速」であると。
 
 これをあてはめると、「急行」にプラス「無料御奉仕」が「快速急行」、「特急」
にプラス「無料御奉仕」が、「快速特急」・・・・なんとなく見えて来ませんか?
 
 ただ、この「快速」にも、「特別」や「新」がくっついちゃったりして、さらに
細分化されてますよね。ううううむ。
 
 そして「通勤」というのがくっつくものもあります。ただこれは、通勤輸送に特
化されたともいえ、これまでに並べた列車種別とは、そのアプローチが違うようで
す。
 
 でまあ、随分と多くなってしまった列車種別ですけど、しかし最近は再編、縮小
傾向にあるのではないのでしょうか。特にJRでは、国鉄時代に既に準急は消え、
急行列車でさえ、特急への格上げや快速列車の台頭の前に、その存続が危ぶまれて
います。昨今の京阪神や中京地区の「新快速」なんかに乗った日にゃ、それも肯け
てしまうのですが。
 
 うううむ、「急行」が消えたら、「特別な」急行、というのは成り立つんだろか
・・・・。
 
 そいや謎なのが、「新特急」ってやつ。いったい何が「新しい」のでせう?
 
 
 ここからは、おまけ。
 
 さらにさらに「L特急」というのも、なんだかなー。一応、その定義として、
「毎時○○分発」と決まっていることや、他にもいくつかあったと思うのですが、
とにかく互いに連携してネット・ワークを形成するように「L特急」が設定された
ように記憶しています。この考え方は、ヨーロッパの「TEE(トランス・ヨーロ
プ・エクスプレス、だったか?)」、あるいは「IC(インター・シティ)」にな
らったものなのでしょう。
 
 しかしヨーロッパの鉄道に詳しい人に聞きますと、日本の「L特急」は、とても
とても「IC」の足元には及ばないそうです。
 
 「本場」・・・・恐らく「DB」(ドイツ連邦鉄道・・・・あ、民営化したんで
すよね。今度の名前は・・・?)を指しているのでしょうけど、とにかくそこのIC
ネットワークでは、接続駅での乗り換えが、極めてスムーズに出来るそうです。と
いうのも、違う行き先のIC同士、なんと同じホームに同時刻発着なんです!
 
 例えるなら、お茶の水での中央快速と総武線(中央緩行)、田端での京浜東北と
山手線、等々のような便宜が、都市間列車で図られているのです。乗客は荷物を持
って階段を上り下りすることもなく(ポーターもいますけど)、ホームの反対側ま
での何メートルかを歩くだけで、乗り換えが出来るんです。しかも1等車の連結位
置なども揃えてあり、自分の乗る車両を探しまわることもないそうです。
 
 勿論、毎時の発車時刻もきっちり揃っているそうで、日本の「L特急」が、それ
でも前後何分かの変動があったりするのとは違い、2桁の数字(分、ね)さえ覚え
ておけばOK、ということになります。
 
 まあ、都市が2次元的に分散し、地形がなだらかで人工密度も低いヨーロッパと、
海と山に挟まれた帯状の地帯に人がひしめく日本とで、それを比べるのも酷という
ものなのですが(地方分散と一極集中というのもありますね)、しかしこういった
「交通文化」の厚さのようなものでは、やっぱアチラが上ですなあと。
 
 鉄道に限らず、「ハードは凄いんだけどねえ・・・」というのが日本、みたいで
すね、残念ながら。
 
 
                        CUB