***** 3304 sun3965 CUB 95/05/07 23:24 レールバスに乗って、 56 「SLニセコ」撮って、札幌で飲んで「はまなす」でグースカ寝て、帰りに寄っ たのは南部縦貫鉄道。そ、あの、レールバスの。 野辺地で待っていると、年配の駅員(駅長?)が現れ、しかし私達にきっぷを売 る前に湯沸かし器をつけに行ったりなんかするあたり、アジですね。大らかという か。 程なくして列車到着。なんとも可愛らしいレールバスです。昭和30年代のもの で、バス窓といい、あちこちに「時代」を感じます。些かくたびれた車体にクリー ムとオレンジの明るい塗装、「厚化粧」などという下品さはなく、東北にいながら にして南国を思わせる陽気な色です。 ホームでこれをパチパチと撮っていると、「やあどーも」。あ、「SLニセコ」 撮影の1日目に居合わせた人です。この人愉快な人でして、その前日の場所取りか ら盛り上がっちゃったんですよ。東京からクルマで来ていた人で、やはりここに立 寄ったのだとか。そいや同志は他にもいたけど、「ニセコ」帰りの人ばかりかも?ぉ 運転士が現れて、乗り込むなりばたんとドアを閉め、ギアを入れて(トルコンじ ゃなくて機械式ですからね)発車。そそ、観察してたら「ダブル・クラッチ」やっ てましたよ。シンクロ・メッシュなんか無いよね、やっぱ。 乗る前に、色々な人に話を聞いたんですけど、皆が皆、「乗ったら溶ける」とか 言うんですよ。なんとなくそのニュアンスも解ったのですが、2軸だし、とにかく 揺れるらしいことは把握していました。私もトロッコ列車くらいは乗ったことあり ますからね。 でま、走りはじめたところで私、溶けました(笑)。 勿論、一日5往復まで減っているとはいえこれは「輸送機関」に違いないのです が、もう「アトラクション」と呼んでしまいたいような乗り心地です。失礼は承知 ながら、笑いが込み上げて来て仕方ありません。もう、うはうは。 30分かけて、終点・七戸。ここで記念切符やら絵葉書やら買い込みます。鉄道 会社側も、「鉄道愛好者」の存在(乗客の大部分を占めたりして?)を意識してい る様子。硬券のセット売りとかもあるんですよ。 ここでもパチパチと写真を撮っているうちに、堅気衆(笑)の乗客も乗って来て、 その中の一人のおばちゃんに、立派なカメラだねとか、話し掛けられまして、川崎 から来たと言ったら、「わざわざこれ乗りに?」と、あんびりーばぼーな顔されて しまいました。でま、よく聞いてみるとこのおばちゃん、老いて体がいうこと聞か なくなる前に、もう一度だけ乗りに来た、って言うんですよ。十和田の方に住んで いるとのことでしたが、元々この辺りに住んでいたのでしょうか。嫁ぐまでとか。 再びがらがらごろごろいいながら列車は走り、途中運動部らしき女子高生も乗り 込んで来たり(やっぱ生活の足として機能しているんですね)しながら野辺地着。 ホームに降りて、ふう、と息をつくと、それまで曇り空が開けて、日が差して来 ました。オレンジの車体はますます陽気に輝き、再び運転士が戻って来てばたんと 扉が閉まり、列車が出て行きます。その後ろ姿に思わず「がんばれ」と声を掛けた くなる私なのでした。 CUB