***** 3439 sun3965 CUB 95/10/17 01:50 しばしの別れと信じ、さらばシロクニ 73 一日の仕事を終えて、シロクニは静かに呼吸をしてその巨体を休めていました。 丁度日が暮れかかるところで、空のグラデーションが、黒い身体を染めていきます。 そんなシロクニをしばらくぼーっと眺めていたら、今日の「撮り鉄」組と再会。 塩谷の発車を撮って、ようやく着いたとのこと。ドライブした日に室蘭線で出会っ た人達も一緒で、どうも途中で拾ってきたようです。さらに見知らぬ少年・・・・・ 苫小牧の高校生だそうで、なんだか「パシリ」にされていたみたいです?ぉぃぉぃ そうこうしているうちに空のグラデーションはますます深みを帯び、私は三脚を 立てて撮影にかかります。私にとってはこれが最後の「シロクニとの時間」。この 美しい瞬間を少しでも多く切り出して持ち帰りたくて、シャッターを切る手にも、 自然と気持がこもります。 オレンジ、赤、紫、群青・・・・・・・・・名残惜しむ気持とともに、「舞台」 はゆっくりとフェード・アウト。我々はこれから千歳へ向かわなければならず、い よいよシロクニともお別れです。時計を気にしながら、一行はクルマへ向かいます。 秘かに一人、もう一度だけ振り返って「ありがとう」と。 「C62ニセコ号」の運転は、10/14、29、11/2、3の、残すところ あと4回(10/14はもう過ぎましたか)。まだあるんじゃないかという声も聞 かれますが、とにかくあと僅か。みんなまだ行くらしいけど、私はこれでおしまい。 撮影の成果はあまり芳しくなかったけれど、とても良い体験だったし、「パニック」 に遭わずにこのままきれいに終えた方が良いかな、と思ったので。 今年のGW、友人に誘われて「いっぺん見ておくか」程度の気持でついて行った のが、そもそものはじまりでした。しかし気がつけばその後2回の渡道。これを残 したい!、と思うも北海道鉄道文化協議会はその活動を終えることを既に決定、新 規入会もとうに〆切。これといって何もすることが出来ず、悶々とした気持でシロ クニを見ていたのですが、もしも再びシロクニが甦るようなことがあったら、甦ら せようという動きがあったら、是が非でも参加したいと考えています。 白状すると、復活蒸機なんてたーだの客寄せパンダだろう位にしか最初は考えて いなかったんですよ。しかし、間近でその雄姿を見た瞬間、そんなものはすっ飛ん でしまって「これを守らなければ」と考えるようになったのだから、分からないも のです。恐らく体験者でなければ解らない感覚なのかもしれませんけどね。 鉄文協の活動の顛末については、とやかく言う人も多いでしょう。確かにいささ か「潔癖」過ぎる部分があったかも知れません。しかしその「志」は大いに評価す るべきであると考えます。この大いなる「実験」は、結果として失敗に終わってし まいました。これは我々「鉄道趣味人」の在り方に対する大いなる問いでもあった わけで、その点において、我々はまだまだ未熟であったと認めざるを得ません。そ う、私も「何もしていない」んですよ! JR東日本のD51−498は相変わらずの活躍ぶりで、こちらは商業ベースに 乗せた、一応の成功例と見ることが出来るでしょう。しかしあまりに商業主義に走 るあまり、EF55との重連(人気者同士一緒にすれば盛り上がるだろうという発 想がなんとも陳腐)など、既に「鉄道」本来の素朴な魅力からかけ離れた展開を見 せるに至っています。 答えは、それらの間に隠されているような気がします。 ともかく、シロクニを動かした全ての人達に、月並みな表現ですが「ありがとう」 と。そして再び、再び夢が叶う時が来たら、今度こそは「叶える側」として加わら せて頂きたいと思います。 しばしの別れと信じつつ、シロクニよ、さらば。 シロクニが縁で知り合った人達とは、もう「同窓会」の話が出ています。人気 (ひとけ)の無くなった「お立ち台」へ、残る「気配」を感じに行こうかとか、梅 小路へ行って1号機と2号機を見て偲ぼうかとか、大井川でのんびりとか、なんの 脈略も無しに碓氷峠で遊ぼうとか・・・・・・・・・さて何が始まるやら?ぉ ようやく峠へ帰れる? CUB