***** 1996年11月25日 *****
[T:4760] Re: Why JR use EF58 for OMESHI (simply question)



 こんにちは、深町です。


(略:何故御召にはEF58なのか?、を受けて)


 172両製造されたEF58の中で、60号機61号機というのは、特別な存在
なのでありました。それは、全形式を通じて唯一にして恐らく最後であろう、

     「最初から御召列車牽引機として製造された機関車」

であるという点。EF58−60、61は、生まれながらにして御召列車を牽くこ
とを運命付けられた機関車なのです。

 それまでは、状態の良い機関車が選ばれることが普通であったようです。機関車
にも個々の癖がありますから、その中で整備成績の良い機関車が選ばれると。御召
列車の走る地域で選抜された機関車がその任に就く、というのが一般的であったよ
うです。古くはC51−239や、新しくはEF64−77などなど。

 EF58−60(浜松)、61(東京)は、他のEF58とは装備を異にしてい
ます。(当時の)一般機のブドウ色2号とは微妙に違ったマルーン塗装、側面への
飾り帯といった外観だけでなく、御召列車牽引の際に必要な装備、そして信頼性へ
の配慮・・・・・・電気コードまでが特別であったといいます。

 浜松の60号は既に無く、老朽化もあってか今でこそ「御召指定機」の任を解か
れていますが、EF58−61は、そういう機関車なのです。もう牽くことはない
だろうと諦めていたところに突然返り咲いたのだから、かつての勇姿を知る者は、
皆「長生きはするもんじゃ・・・・・・」と遠くを見つめてしまうのでした。

 御召列車の運行には、鉄道会社の並々ならぬ「気合」が込められます。車両は入
念に整備され、いわばこの国で最高の列車であることを目指して運行されるわけで
す。そこには、最早イデオロギーさえ超えたものがあります。

 さて、現在の新1号編成ですが、1号御料車を除いて戦前に製造された客車です。
新1号御料車だけは昭和30年代に新たに製作されました。当時先端の客車技術・・
・・・・10系、20系といった軽量客車の技術が盛り込まれたと聞きます。
EF58−60、61はこれと前後して製造されており、趣味的に「マッチング」
という観点すれば、EF58−61と新1号編成、というがベストといえますか。


 今回の運行に関しては、これまでの新1号編成の御召列車には前例の無いもので
あった(国事行為の御幸でもなく、国賓へのおもてなしの運行)とのことで、特別
にベスト・マッチングを計らったのかも知れませんね。なにせベルギー国王はたい
そうな鉄道好きとのことですから。


#こういう形でも、この列車を動態保存することに、皇室および宮内庁にはその責
#任・・・・いや義務があると思うです。


 しかしあの色合いといいスタイリングといい、その中にものすごく「日本」を感
じてしまうのは、思い過ごしでしょうかねえ・・・。


(略:もう、ピンと来ない鉄も多い)


 んー、そんなもんでしょうねえ・・・・・・・・・。

 既に「国鉄」さえ知らない世代がどんどん増えてきていて、いわゆる「国鉄様式」
への想いもノスタルジーになりつつある昨今。昭和も遠くなりにけり、今上天皇の
意向とのことで今や「御召列車」も歴史上の存在となってしまいまいた。私達の世
代が昭和の前半のことをまるで知らないように、御召列車への「想い」を知らない
人達には、そこいらのジョイトレとさして変わらない感覚なのかもしれませんね。
それも時の流れというものでしょう・・・・・・・・。

 しかし私は言い続けるでしょう、「御召だけは、違うんだよなぁ」。



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     深町 忠利  ふかまちただとし