***** 1996年11月29日 *****
[T:4894] Rail Wars!? ( Re: Akita-Shinkansen ni Gimon )



 こんにちは、深町です。


(略:「ミニ新幹線」や「スーパ特急」や「フル規格」といったややこしい
   言葉と、交通政策がどうとかこうとか)


 さて整備新幹線をめぐるお話ですが、これはつまり、鉄道に対する立場の違う
者同士の争いでもあるわけで。

 建設を要求する側、ことに国政と「我が地盤」との狭間にいらっしゃる代議士
センセイにとって、新幹線は大いなるステイタスであると言えます。これを引っ
張って来た日にゃ、選挙民には感謝され、次期も安泰、ヘタすりゃ銅像も立つか
もしれません。

 そのような立脚点からすれば、鉄道会社が儲かろうが損しようが、地域への実
際の経済波及効果がどう(地域によっては、かえって過疎化を促す恐れさえある)
だろうが、そんなこと「大手柄」の前では些細なことに過ぎないかもしれません。
それだけ魅力的な「新幹線」ならば、当然ながらライバルもあるでしょう。「ア
イツの地盤に通すなら、こっちを通せ」みたいな。整備新幹線建設の優先順序に
は、そこいら辺がイロイロ絡んでいそうです。

 この辺は想像ですよ。(^^;;;


 一方で、もうこれ以上新幹線のような大動脈は必要なのか?、という意見もあ
ります。そもそも東海道本線がパンクしそうなんで最大限の輸送力を得るべく開
発された鉄道です。在来線との互換性が無く専用の軌道を必要とするので、新た
に通すにはコストもばかにならないですし、それがペイできる見込みが無いこと
には、わざわざ通して何になる?、誰が赤字を被る?、と。

 JR各社の立場は、こんなところではないかと想像します。


 整備新幹線建設をめぐる争いは、鉄道を知る者と知らない(責任が無い)者と
の争いでもあるわけです。最近の話では、今度の春に期限の来るJR各社の固定
資産税の控除を延長し、その分を整備新幹線建設に充てたいとする政府の意向に、
JR本州3社が反発しているとか。政府から干渉されない民間会社として自立し
たい、という意思表示でもあるようです。政府の意向にかき回されていたのが、
かつての国鉄でした・・・・・。


 在来線も、線形や路盤など改良すれば160km/hクラスの高速運転は可能
になってきています。これを活かして高速鉄道網を整備することも出来るでしょ
う。新幹線と違って線路規格の互換性が確保されますから、要所要所を高速化し、
駅へは今まで通り出入りすることが出来ます。完成した区間から順次新線なりに
切り替えていく事も出来ます。

 これは非常に有効な筈なのですが、なにせ「新幹線」程の「華」が無い。なの
でセンセイ方も納得してくれない。

 そこで「華」として、妥協案に「ミニ新幹線」と名付けたり、「スーパー特急」
と呼んでみたりする・・・・・・・この辺がこのややこしい呼び名の実際、なの
ではないでしょうか? 一方で「フル規格」というステイタスも生まれているわ
けですがね。

 この辺も、私の想像です・・・。


 JR東日本は、あの「タルゴ」で有名なスペイン国鉄と技術提携し、軌間可変
台車の開発にあたっていると聞きます。「タルゴ」は動力の無い客車で、実際の
運用では軌間の切り替え部分で機関車も付け換えるのですが、これを動力分散方
式が殆どの日本に、どう転用していくのか楽しみなところです。鉄道総研も、あ
る会社と軌間可変台車を共同開発しているらしいです。

 これらは「新幹線信仰」への牽制、なのかもしれませんね・・・。

 TRY−Zの例を出すまでもなく、在来線でのスピードアップへの試みは古く
からありました。ただどうしても新幹線の陰に隠れてしまいがち。もっと冷静な
目を持てれば、その真価はすぐに解かろうというものなのですが、なかなか難し
そうですね。


 こりゃ、行政や代議士を吊し上げれば済むような話じゃなさそうです。

  「センセイ、新幹線信仰は止めて、より現実的な選択をしましょう」

という市民からの声が、無いわけですよね要するに。



  *****
     深町 忠利  ふかまちただとし