*****1997年1月21日 *****
[T:5603] "Jukan"



 こんにちは、深町です。


 さてさて南部縦貫鉄道、予定通り行って参りました。お蔭様で無事にクルマ
でマルヨすることが出来ました。野辺地と七戸とでは気候が違う(丁度八甲田
山の陰になる?)という情報を下さった方、何方か失念してしまって申し訳な
いのですが、この情報は非常に有効であったことを付け加えるとともに、特に
お礼申し上げます。


 1日目。1/18(土)の朝、鉄道移動としては‘95年のシロクニ撮影以
来の重装備で出発。荷物の総重量は多分20kgを裕に超え、恐らく30kg
さえ超えていたかも・・・・・・・碓氷より遠いところへサンニッパを持ち出
したのも初めてで、リュック型のヘタリ気味のバッグも、はち切れんばかり。

 始発「やまびこ」に乗ったのですが、私が座ったのは集団離反座席の、その
背中合わせの部分。発車を待っていると、そこの隙間に銀箱を詰め込む人・・・
・・・・なんか夜明け前から鉄分濃いですよこれは。乗り継いだ「はつかり」
ではますますその色濃くなり、11時半頃野辺地着。結構な人が降りました。

 仙台から参加のもう一人と、早速駅前でレンタカーを借りたのですが、ここ
の人に「七戸へですか?」と聞かれて苦笑い。やはり多いみたいで、この日も
あと3人予約があるそうです。でま、まずはその七戸へ。天気は晴れ。道もよ
く除雪されていて、気負って来ていた私には、こりゃ楽勝々々と・・・・・・・
しかしそれが甘い認識であったことは、後で知らされるのでありました。


 七戸でお目当てのレールバスを拝んだ後、坪まで戻って6列車、5列車と1
往復撮影。小雪舞う中薄日を浴びてやってくるレールバス・・・・・なんとも
可愛らしいじゃーないですか。

 そうそう、最近買ったカンジキを持参したのですが、いやいやいやいや、な
かなかに有効です。カンジキ無くても歩けないこたないんですけど、ね。長靴
で水溜まりに入る子供みたいに、ニコニコで歩き回ってました(笑)。

 お次の8列車は夕刻の中の走行。西日の反射か、逆光のシルエットかと楽し
みにしていたのですが、天気が悪くなって、暗く青い情景で撮るのがやっと。
うーん、仕方ないけどこういうのも良いですね。その返しの7列車七戸行きは、
西千曳で流し撮りを。


 最後の10列車、9列車の折り返しを撮ろうと、野辺地の駅前で支度をして
いると、「はつかり」で居合わせた人達(私の同行者の知り合いで、偶然会っ
たらしい・・・)と再会。けれども彼ら、タクシーに乗ったというんです。な
んとレールバスが不調で運休、なのだとか。

 それでも一応と思って、ともかく南部縦貫のホームへ。そこでは年配の駅長
さん(?)が雪かきをしています。運休なんですかと訊ねると、その連絡は受
けていないとのこと。あらためて七戸へ問い合わせて、結局運休であることが
確認されたのですが、その連絡不行き届きに、駅長さん(?)は不快そうでし
た。そらそうですよね、来もしないレールバスを、お客に待たせることになり
かねないのですから。


 結局、楽しみにしていた夜間撮影は果たせなかったのですが、この駅長さん
(?)に、お茶を奨められてしまいまして、駅の暖かい事務室で、色々お話な
ど伺うことができました。

 この方、元国鉄マンなのだそうで、ずっと地元で鉄道に携わってきた由。ひ
ょっとしたら、南部縦貫の開業の折に、移ったのかもしれません。さて野辺地
には鉄道記念物の防風林があるのですが、その管理のあり方について、色々語
っておられました。曰く、木を知らないものがお役所的に管理していたものだ
から、木そのものが非常に不健康な状態にある、最近間引いたけれどもう手後
れかも・・・・・・・・樹齢100年の杉という割には、ひょろひょろと頼り
ないんですよね。

 そして、南部縦貫鉄道廃止のことについて。

 確かにそういう話は伝え聞いているけれども、正式に社内の通達にはなって
おらず、この方自身も正式には聞いていないそうです。マスコミで報道されて
いるのはいわば上層部の「意向」であり、まだ正式にそういう手続きには至っ
ていないと。その建設同様、鉄道を廃止するには、様々な許可や手続きが必要
で、明日からやーめた、というわけにはいかないだろう、1/20に株主総会
が開かれ、恐らくそこで本決まりになって初めて動き出すのだろう、とおっし
ゃっていました。どうなったでしょうね。


 このあたりの気候の事なども聞いたりして、失礼させていただき、私達は予
定通り七戸駅前でマルヨすべく、国道4号線をクルマで走ります。いやいやい
やいや、吹雪いてきてしまいまして、ライトの前が真っ白、肝心な道が見えず
に難儀しました。それも七戸手前数キロのあたりでがらりと変わってこちらは
殆ど雪も降っていなかったのですが、その頃には私、半べそでした(苦笑)。

 ううう、ここは東北。しかも青森。


 2日目。

 空が白み出す頃に目を覚ますと、七戸駅に人がやってきて、やがてエンジン
の音。ラッセル車の始動です。昨夜に野辺地の駅長さん(?)からラッセルの
運転(始発2列車を10程先行する)のことを教わっていたので、早速、目星
をを付けていた坪〜後平間へ。この辺まで来ると(東京の感覚では)ドカ雪で、
役場の雪かき車が走り回ってました。

 やがて遠くに2つ目ライトが見え、ラッセル車登場。いやいやなかなか速か
ったです。モーターカーのラッセル車が黒い羽を広げて雪を蹴っていく・・・・
小さな身体で精一杯頑張っている姿が、これまた可愛らしく愛しく。しばらく
してレールバスも登場。こちらも快調に雪を蹴っていきました。

 その返しを撮ろうと、お次は道の上〜坪川間へ。雪原状態の田んぼの中を、
小さな車体が駆けていきます。続行でラッセル車も帰ってきて、降りしきる雪
の中へ消えていきました。


 その後4列車、3列車を撮って、七戸へ。いよいよ次の6列車、5列車に乗
るのです。この頃には晴れてきて、ああ午前中に乗ってこっちを撮影に充てれ
ば・・・・・・・と思えど乗りたいものは乗りたいので、諦めました。

 ‘95年のGWに来た折には、各駅の硬券のセットなどもあったのですが、
記念品といえばTシャツくらいなもの。とりあえずこれ買って、あと、「七戸〜
盛田牧場前」の1ヶ月定期券を購入。なんだかなー。

 しばらく車庫やラッセル車やレールバスを撮って、駅前のジャスコで昼食を
とって、駅に戻るとラッセル車がまた出掛けていきました。ををを。つーこと
は野辺地で転回しているところを拝めるかも? と淡い期待とともに、乗車。
鉄ちゃん多かったです。日曜日とあってか、家族連れもいました。でま、待ち
かねてたあの乗り心地に、ウハウハ。

 ウハウハのままに、野辺地着。奥ではラッセル車が、もう既に向きを変えた
後でした。うーん残念。ここで帰りの切符を買うのですが、私は盛田牧場前ま
で。だってほら、定期あるから。(^^;

 七戸へなかなか帰って来ないラッセル車。辛抱強く待っていたら、8列車が
出る直前にようやく帰って来ました。車庫に入れる前に、もう一度転回をしま
す。ラッセル車自らジャッキ・アップして、人が押して回すのですが、その作
業をしている人は「こんなの撮って面白い?」。面白いに決まってるじゃーな
いですか。(^^;


 野辺地へ戻ってクルマ返して、発車待ちの7列車撮って、「はつかり」乗っ
て「Maxやまびこ」乗って・・・・・・・仙台で同行者と別れてから、殆ど
記憶が無く(笑)。

 しっかし、僅か一泊二日でしたがいやいや楽しかったです。


 私の記憶が確かならば、鉄道友の会よりエバーグリーン賞が贈られたレール
バス。C62ニセコ号といい、この賞を受けると消えてしまう!? なんてい
うジンクスが囁かれていたりするようなのですが、それは偶然に過ぎないでし
ょう。よくぞここまでと、ギリギリのチャンスで贈ることが出来たことを、大
切にしたいところです。私は会員じゃ無いんですけどね。3月一杯ではなくて
もう少し延びるんじゃないかとの観測もありますが、果たして? 清算事業団
の地所代なら、皆でカンパ出来ない金額じゃなさそうです。ただ、設備の全て
が老朽化しているとなると、今後維持するだけでも相当のエネルギーが必要に
なるでしょう・・・・・。七戸駅だけでも今のままの状態で、記念館として残
ってくれたら、と思います。

 予めそうなるだろうと危惧(?)していたのですが、また行きたくなりまし
た。幸い東日本エリアには「ウィークエンド・フリー切符」があり、新幹線利
用なら東京から日帰りで1往復半は乗れそうです。近くで1泊すれば、さらに。

 週末とはいえ、こんな雪の中でも既に沿線の鉄ちゃんもよく見かけるように
なってますし、案の定というか今月の鉄道雑誌にも載りました。雪の季節はま
だまだ続きますが、いよいよ過熱のラスト・スパートに突入なのでしょうか?
そうと判っていても、また行きたいですね・・・。


 長々と失礼いたしました。



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     深町 忠利  ふかまちただとし