***** 1999年7月17日 10:02:45 *****
[T:29991] Sayonara NSE



 こんにちは、深町です。


 めろんぱーん・・・・・ロマンスカーのミュージックホーンを、そう
表現してました。(^^;;;;

 NSE(3100系)が引退しました。実は最後のさよなら運転を、
昨日見てきたのです。(^^;;;;;;;;;;;;;;;;

 私の世代ですと、ロマンスカーといえばNSE、勿論HMがホームベー
ス形の頃の。画家に依頼したと聞くその塗色が上品で、多分その色合い
とライト回りの雰囲気のせいなのでしょうけど、何故だかウルトラセブ
ンと重なってしまった、NSE・・・。

 「ケーキ屋ケンちゃん」なんかの、河原のシーンで時々、ミュージッ
クホーンを鳴らしながら渡る姿が登場してた、NSE・・・。

 名鉄パノラマカーとどっちが先か? いやそもそも「セッテベロ」が
あったじゃーないかと思いつつ、ぢつわ今だから言いますが私、パノラ
マカーを「ロマンスカーのカッコ悪いニセモノ」と思っていたフシがあ
るんですよね・・・。

#犬山橋出入り禁止?(^^;;;;;;;;;;;

 恐らく、中京地区の人なら逆のことを思ったりもするのでしょうから、
まあそこはそれ、親しんだ方を贔屓してしまうという心理です、ハイ。(^^;;;
でもNSEは曲面ガラスだもーん。(ぉ

 ロマンスカーとしてはもうひとついたSSE(SE、3000系)、
今は渋いと思うこの車両も、子供の頃は「展望室も無いオンボロ」など
と思っていたりして・・・・・そんなもんです、子供は(笑)。


 成城学園前へ、やってきました。喜多見の車庫からの出庫を撮ろうと
思って、成城学園前の小田原寄りの切通しの跨線橋へ・・・・・以前こ
こへ来たのは、撮影目的でなくただ通りかかっただけなのですが、複々
線化の気配などまだ無くて、喜多見の車庫の一帯も、まだテニスコート
なのでした・・・・・その面影は辛うじて残る程度で、小田急のこの辺
りもすっかり様変わり。成城学園前が地下化するというのもオドロキ。
かつて荷物ホームがあった辺りは、今は仮設ホームが造られつつありま
す。馴染みのホームも見納めが近いか?・・・・・木のベンチが昔なが
らで、ちょっとしみじみ。高校時代、ここの駅とはちょっとばかり深い
かかわりがありまして・・・・・しかし変わったものですねぇ。

 で、この日車両故障があったとかで、ダイヤが乱れている様子。上り
について見ると、成城学園前のホームに電車がいて、そこへのアプロー
チの切り通しにもう1本いて、そこへ喜多見駅を出た電車が・・・・・
さらに出区してきた電車も合流できず、切り通し似は2本並んで止まっ
ていて・・・・・とまぁ、モノスゴイことになっていて、果たしてさよ
なら運転はどうなるんだろ、と聊か不安に。結局、NSEの出区〜成城
学園前通過は5分程遅れたようで。


 今度は多摩川の堤へ行って、下りのさよなら列車を待ちます。前日か
ら急に晴れに恵まれて、河原では日光浴する人、バーベキューやってる
人・・・・・カメラの放列の前で日光浴の人、ナニゴトと思ったでしょ
うね(笑)。

 程なく、ほぼ定時にさよなら列車がやってきました。ガガン、ガガン、
ガガン、ガガン・・・・・連接車独特の足音を響かせて、渡って来ます。
周囲では一斉にモータードライブの唸る音、川を渡りきらんとするとこ
ろで、

    めろーんぱーん、めろめろぱーん

 をっ!

 懐かしの、ミュージックホーン。ライヴで聞くのは、SSEの引退の
頃以来かも・・・・・ロマンスカーは、コレを響かせながら多摩川を渡
らないといけないのですよ、やっぱ。v(^^;;;


 若干の間を置いて、新宿駅で最後の到着を待つ私。我ながらミーハー
です。(^^;;;;; ホームでは赤絨毯にくす玉、セレモニーの式場が設え
られて、忙しそうに準備が進められています。周囲にはどんどん人が集
まってきて、マスコミ筋にそれを撮られる始末。

 やがて列車が入ってきます。「どうぞ拍手でお迎えください!」・・・
・・・カメラ軍団はちょっと応えられづ。(^^;;;;;;;;;;;;;

 整備に当たってきた人達、運転をしてきた人達が花束を受け取り、鉄
道友の会から、感謝状が読み上げられます・・・・・そういえばブルー
リボン賞は、初代SEのために新設されたような賞で、その後代々のロ
マンスカーが受賞してきたのでしたね・・・。

    めろーんぱーん、めろめろぱーん

 ホームで止まったままミュージックホーンを鳴らしつづけるNSE。
音量は控え目か? セレモニーは締め括りに、関係者によってくす玉が
割られます。拍手が沸き起こるのを横目に、ただ佇むNSE。黙々と
(ミュージックホーン鳴ってるけど)、己の36年の足取りと、その日々
の最後の余韻に浸っているようにも。周囲の騒ぎに、主役の方が取り残
されているようにも・・・。

 隣には「ゆめ70dB」(をゐをゐ)が来ていて・・・・・今回特別
に計らったようで、小田急もなかなか、粋なことしてくれます。こちら
の編成はまだしばらく、走るのでしたね。

 やがて、さよなら列車のNSEが、最後の新宿を後にしていきました
・・・・・初めてNSEを撮ったのは、やはり新宿。当り前に繰り返さ
れてきた光景も、これでおしまい。そのまま喜多見へ引き上げたようで
す。まだ回送で本線を走ることはあるのでしょうか?


 ロマンスカー・・・・・これに乗る事自体が目的になりうるような、
夢のある列車でした。時代は流れて、技術の進歩か当初の設計思想(低
重心、軽量、連接構造・・・)とはやや違う車両に変わってきて、最新
のEXEでは、輸送力とその効率化が主眼に置かれているような印象。
ブルーリボン賞は逃してしまったと聞いた気がしますが、私の感覚では
これは既に「ロマンスカー」ではないので致し方なし、といったところ
か・・・。

 NSEの直系として、LSE(7000系)がまだいます。これの登
場当時、洗練されたスタイル共々これこそ正しい後継車であると気に入っ
たものでした。次のHiSE(10000系?)からはハイデッカーと
なって塗色も変わってしまったので、少し違和感があるのですが、まぁ
この辺までを「ロマンスカー」としておきたい、というのが私の感覚で
すか。考えてみるとこれだけの長編成の連接車というのは、日本では珍
しいのですね。見慣れているのであまり考えたこと無かったのですけど。


    めろーんぱーん、めろめろぱーん

 NSEよ、さらば。



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     深町 忠利 > ふかまちただとし
        E-Mail > cub@t3.rim.or.jp
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