***** 2004年1月30日 *****
(独り言)


 横浜高速鉄道みなとみらい線、2/1開業。白状すると、この日にそれを
迎えると認識したのは、ぢつわ年が明けてからだったとゆー(爆)。全くの、
ノーマーク。東横線もせいぜい渋谷〜武蔵小杉くらいしか乗らないし・・・・・
本より片っ端から「イベントドリブン」という鉄でもなく。

 しかし、一応は地元・・・・・とするには聊か無理があるが、まあ、県民
のよしみでちょっと、「ミーハーかましてよかですか?」と東横線へ行って
みたのである。いえいえこの期に及んで、分は弁えておりますとも。



 ちょっと遡る。1/28の夜、桜木町へ寄ってみた。「大清水」の復刻缶
が目に止まったのでまずは所望(笑)。道路の逆サイより、輝くランドマー
クタワー(常々思うのだが自ら「ランドマーク」を名乗るとは相当なものだ)
をバックに、息を止めてスローを切る。ブレてないか怪しいところだが、本
気ならとうに三脚持って来ているハズであり、そこいらへんが偽らざる距離
感、ブレさえもいわばリアリズムであると、悟りの境地(?)を気取ってみ
たりする。

 時折過ぎる電車を眺めつつ、高島町までぶらぶらと流す。見る目が段々と
ロケハン・モードになってくるのは悲しい習性だが、既に時間切れ、最早ジ
タバタしようもない。

 高島町で記念の硬券入場券が。既に1/30の日付が入っているとのこと
だったが、今日の日付はと訊ねてみると、ちょっと待っててくれれば印字機
の日付を変えるとの由。聊か恐縮しつつお願い。若い駅員氏は早速印字機に
向き直って、ピンセットか何かでちょこちょこやってる。おもむろにテスト
用の切符を通し、よし、とばかり記念硬券をかちゃん、と通した。お待ち遠
様と渡されたところで、厚かましくも鋏は無いですよねえ、と訊く私に、さ
すがに、と駅員氏は笑う。ならばと改札スタンプを捺してもらい、私なりの
記念切符・・・その時の状況などを沁み込ませる・・・の完成を見る。あと
でこれを見て、以上の一連のやり取りを思い出せると思う。ついでにスタン
プには「東急」の文字と駅名が。

 パスネットで改札を抜け、そういや背面に印字されたんだなこれでとか思
いつつ上がったホームの、細い先から横浜方を望めば、これがなかなか良い
S字カーブ。朝日を顔に受けて電車がやって来る様を思い浮かべつつ、今更
ながらにこれは惜しいことしたカモと。

 着いた下り電車の最後尾に乗り、桜木町へ。降りるなり「桜木町」から
「渋谷」に変わる前に顔を撮る。改札横の窓口で、今度は桜木町の記念硬券
入場券。こちらは国鉄の観光入場券よろしく、横長の左側に青の単色刷りで
絵柄が入った仕様。日付は入れながらの販売なのであっさりと今日の日付、
こちらも改札スタンプを入れてもらう。

#後で気付いたことには、高島町と桜木町と切符のシリアルNo.を合計す
#ると丁度10000になった。そんだけだが。

 またホームへ戻って軽くスナップ。仕事帰りらしき人が次々と、通りがか
りに電車や駅名票や発車案内の写真を撮っては、去って行く。電車の到着後、
記撮しようとモタモタするうちに方向幕が変わって「あ゛ー!」なんてお嬢
さんがいたりして、寂しさというよりも一種の和やかさとともに更けて行く、
桜木町の夜。

 改札前ではこの駅の古い写真が掲げられていた。今の姿もいずれ、こうい
うスパンで語られる日が来るのか・・・。



 翌1/29。昼間も撮っておくかぁ、と意を決し早起きモード。それでも
鶴見線で朝日を撮るよりは幾分か楽なので、割とのんびり構えて横浜へ。最
早、記録と呼べる最低限しか望めないと観念しているつもりだったが、顔面
に朝日が当たるのを狙おうというわけで、ここで桜木町行に乗る。

 朝の下りとあって、車内はガラガラ。鞄からカメラを取り出そうとガサゴ
ソやってると、居合わせた鉄氏が、今まさに跨いで行くJR横浜駅、そして
京急と絡み合う辺りをカシャカシャ撮ってる。しまった! これも「失われ
行く風景」ではなかったか! 己の不明を思い知る。こりゃ明日も来なけれ
ばなるまい・・・。

 そうこうするうち高島町を過ぎ、桜木町着。降りるなりまた、方向幕が変
わる前にぱちり。ここで望遠に付け替えて、ホームの先から横浜方を狙おう
かと・・・・・7時をちょっと回り、そろそろ陽が射してくる頃である・・・
・・・と、振り向けば東の空のグラデーションも捨て難く、超広角に付け替
えてぱちり。

 まだ明日があるからか、ホームの先はほんの数人がいるだけ。1人三脚を
立ててるのがいて、装備を見るに場慣れしてそうなものなのだが、工夫のし
ようもあろうに絶妙なまでにデッドスペースの出来る邪魔臭い伸ばし方をし
てくれる。三脚そのものの是非はさておき、悪気は無いのだろうけどここ何
年か、気配りというかこのへんなーんか違うんだ、なーんか。はさておき僅
かに光の射したあたりを顔が通るところをすかさず狙う・・・・・渡って6
番に入るところの方が良いな、LED車じゃ全然字が見えねえじゃんか、く
そぉ方向幕回しながら来るヤツがあるかえ・・・・・というわけでなかなか、
この場を離れられづ(苦笑)。

 そろそろ良いか、とホームのスナップへ。方向幕や東急マークとランドマー
クタワーをからめてみたり、証拠写真程度のものだが、ちょこちょこ撮る。
おおそうだ、とこのホームから京浜東北線を狙う。これも見られなくなるわ
けだから・・・・・時折やって来る貨物が気になってしょうがない(笑)。

 外へ出て、これまたランドマークを中心にちょこちょこ撮って、こりゃ明
日もだな、と色々頭の中で組み立てつつ、出勤モードへ移行。



 そして1/30。天気は曇りとあって、フィルムも手堅くネガカラーの
400にする。まずは横浜駅でちょこちょこと。さすがに今日はガードマン
がそこかしこにいて、万全の体制。白線に近寄るとマークされてしまう(笑)。
彼らに負担をかけぬよう配慮しつつ、LED車が続いたりして焦れながらも、
ちょこっと撮らせてもらう。

 しかし、ここのS字を見ると今も9000系デビューの頃を、思い起こす
んだなこれが・・・・・いやいや本当に。鬼のように防護レールが敷かれて
いるのにも、ワケがある。

 ホームにある停車駅表だのとちまちましたネタに走りつつ、駅名表と電車、
行先表示と電車、などとこれまた証拠写真程度なシロモノを撮り、そろそろ
と桜木町行の電車に乗る。今度こそは忘れずと車窓をぱちぱち。すれ違う京
浜東北の電車を、「乗務員室」と入ったガラス越しに、ぱちり。

 桜木町に着くと、ホームの先にはガードマンの人達がわらわらと、いるわ
いるわ。「あなたどこ?」「どこそこ支社」「みんなバラバラだなあ」・・・
・・・あちこちからかき集められた混成部隊の様子。そのうち「今日一日よ
ろしくお願いします」なんてミーティングが。いよいよ最後の1日である。
ミーハーかましておいて大いにナンだが、今日の日を、そしてここの鉄道の
歴史を平穏のうちに終えることを、祈る。

 さて外へ出ようかと・・・・・改札付近はごった返していて大変。硬券記
念入場券も列になっている・・・・・ん、台紙が付いてたの?? あとで聞
いたところによれば、たまたま一昨日の夜は切らしていたらしい・・・・・
そうなんかよ。ズ氏が1日だけの定期券を買ったそうで、少し揺れるものが
無いではなかったのだが、この混雑を見て、なんだか吹っ切れた心地。

 また外から駅を狙う。おおそうだ、と横浜市営バスと絡めて狙ってみたり。
壁画ネタも記録しつつ、高島町まで歩く。ラッシュのピークは過ぎてしまっ
たようで、段々電車のやってくる頻度が落ちてきた。そろそろ潮時かもしれ
ぬと思いつつ、あと1本、あと1本、とズルズル。味わいのある高島町駅を、
そしてホームで駅名標絡めて、横浜へ。横浜では東海道線のホームから、あ
の鉄橋を渡っていく様を狙う。丁度上りの113系を絡められて、良い記録
になったか・・・・・一緒に写ってます程度だけれど。そして最後に「みな
とみらい線」工事の看板を絡めて、いつしか射した日に余計なお世話でギラ
ギラと光って、霞んでしまいそうだがぱちり。これをもって、東横線に別れ
を告げ・・・・・一旦(笑)。



 夜、思いの外フィルムが進んでしまったので補充しつつ、再び桜木町へ。
京浜東北線で高島町を過ぎる頃、タイフォンがパンパン鳴っているのが聞こ
え。夜闇の中に黄色い警戒色がチラチラ見え、ホームの賑わいとガードマン
達の奮闘(?)が窺えるようだった。分を弁えて程々にと襟を正す。

 時刻は21時を回っていたか。桜木町で降りると、駅前はそこそこの人出。
手に手にデジカメで、駅名看板などを撮っている。TVのクルーらしきもい
る。記念きっぷらしき列は相当なもので,どこまで続いているのか確かめる
気も起こらづ。

 早速道路の逆サイへ渡り、ランドマークタワーを背景に、また手持ちだが
ネガカラーであらためて撮っておく。今夜はこちら側にも結構人が来ていて、
立派な三脚を据えた人、携帯電話を掲げる人、それぞれが思い思いに最後の
夜を記録に留めている。オラオラって調子の「ド鉄」の殺気(笑)とは対極
にある感じ。きっと、鉄道が舞台でありながら「みんなの東横線」としての
空気が優って、それで「鉄分」が薄まっているような、そんな感じか。

 またまた、高島町へと歩く。横を行く東横線の電車は淡々と、過ぎて行く。
高島町駅前の交差点までやって来ると、ここでも交差点越しにバルブする人
が。「みんなの東横線」の空気に気分が良い私は、みんなそれぞれオンリー
ワンの記録を残してくれ、といつになく我が事のように応援してしまうので
ある・・・・・ってじゃあ普段はどうなんさ。

 高島町はさして窮屈という程混んでる風でもなかったが、ホームへ上がる
とこれが狭いものだから、人数の割には犇くような様相。ホームの端から1
両分位は尚狭いので、安全第一でもう入らせてもらえない。ガードマン氏が
ストロボは止めてくれと繰り返すも、多勢に無勢、通過列車にもバシバシ焚
かれてる。暫く佇んでみたがどうも落ち着かないので、桜木町行に乗る。



 さすがにもうホームの先にはロープが張られ、電車の顔の前に出られない。
しからばと制限一杯まで出て、魚眼でどーんと無理矢理、ランドマークタワー
とからめたり。うーむ、どかな。

 22時頃の桜木町は意外と、人がどんどん回転するためか混み具合もまだ、
一昨日あたりとそう変わらないか。さてどうしたものかとぼーっとしている
と、高校時代の鉄道研究部(笑)の同期のヤツにばったり。東急グループと
は割と縁のあるお互いだったりするのだが(ぉ、それはさておき久しぶりの
再会にどうよ調子はなどと雑談。横浜のS字のコトを持ち出すと、やはり同
じ連想をするらしい(笑)。丁度入ってきた8000系を見ながら、コイツ、
よく「偽クーラー」に騙されたよな、キセの向こうが透けて見えてサ、など
と冷房化率がまだ100%に満たなかった頃の話。一応補足しておくと、車
両の統一感云々と称して(?)、8000系の非冷房(準備?)車でクーラー
のキセだけ乗せているのが、いたのである。駅へ進入する際に正面がちに見
る屋根の上には、嬉しい「箱」が乗っている。或いはホームでキョロキョロ
していると屋根に「箱」載せた車両がある。よぉーしとガッツポーズも束の
間、近付くと何故か窓が全開、そこで「クソッ」と思い知るいうわけである。
中身が入っていないキセは、穴から向こうが見えた。ナメられたものである。

 初乗りが¥70だったよなぁなんて・・・・・お互い、いいオッサンにも
なる道理。



 構内放送で「8時までにお申し込みいただいた方の定期券が出来上がって
おりますので・・・」と流れてる。うへぇ、やっぱみんな買ってたんだ。し
かし今日のうちに受け取りに行きそびれると、自動的にキャンセルなんだろ
かやっぱり。

 ズ氏より入電。HM付の電車がこっちへ向かっているらしい。そーかそー
か、ソレ見たら潮時かなと考える。花束贈呈があるらしい、最終元住吉行に
乗っても、元住吉からなら1時間ちょいも歩けば帰れるよな、見送る側になっ
ても、ちんたら横浜へ歩けばそのうち上り「ながら」が来るわな・・・・・
などと考えないでもなかったのだが、さすがにそこまでやる気は起きづ。も
う若くないんである。

 同期のヤツ氏が携帯電話をぽちぽち打ち、ソイツが桜木町に着くのは、
23:07と推定された。これがもう1往復して、最終になるのだろうか?
・・・・・聊かギリギリに思われたが、ラッシュでもないし急行や特急の退
避もなくなるこの時間では、妥当かもしれない・・・・・ともかく、どちら
のホームに入るか判らないので、発車案内で成り行きを判断するしかない。
駄弁っているうちに知った顔が現れややOFF気味になったりしつつ時間は
過ぎ、5番線「23:05」の表示が現れた。こいつだ。こいつが出て入れ
違いに入って来るに違いない。長年のノウハウってヤツだね〜、といいオッ
サン2人はにんまりするのである。にんまりしつつ、先頭車付近のロープの
前に陣取る。鉄現場的独特の緊張感は然程無かったが、ペンタ67なんぞ据
えてる人がいたから、知ってる人は知っていたのカモ。

 やがて、それは入って来た。う・・・・・下敷きのような小さいのが窓に
掲げてある。これが、HM?? 一瞬怯むも気を取り直し、とりあえず撮る。
まあお気楽モードなのでそれなりに・・・。

 と。

 「オエァ!」後の方から吼える声。う、オラオラ鉄のお出ましだ・・・・・
翻訳すると「オマエラドケ」ということである。あのね、撮りたいのはお互
い様、無い物強請りしちゃ駄ー目だってば。前の人が写り込むくらいが、リ
アリティがあるってものだと個人的には思うのだがな・・・。

 さて、押さえる物は押さえた。いつしかホームはかなりの賑わい。いよい
よ大団円が近いのである。電車の正面に群がる人達、携帯電話を掲げて駅名
票等を狙う人達、そんな様子をぱちぱちと写し取る。やや無造作に切り取る
構図には現代の風俗をも写り込んでいるに違いなく、記録とはそういうもの
だなと思う昨今。10年後、20年後、それが判るハズなのである。



 そうこうするうちズ氏も到着。暫く駄弁ったところで、そろそろ退散する
かと、24:01の電車で横浜へ。横浜でまたぱちり。国鉄仕様をネガにし
たような風情の「よこはま」という駅名標をぱちり。終電後の出番を待つ資
材やらを、ぱちり。

 皆と別れ、京浜東北ホームへ。夜闇にぼぉ、と浮かぶ東横線の橋。遠い昔
の幼き日、横からひょいと現れて、国鉄線を跨いでいく東横線を見上げてな
んとなく、スカしたヤツだなと思ったのを覚えている。どうしてそうまで思っ
たのか、今にして判らないが・・・・・ゴゴゴゴと電車の渡っていく様を、
もう見ることもない。



(終)