***** 2006年5月21日 *****
[T:44556] Kouhaku Mail 5/14


 こんにちは、深町です。


 とうとう、この日が来てしまいました。2006年5月14日。

 昨日は意外と空いてたが最終日はやはり特別だろう、というわけで気持ちは
勇んでいたのですが、これがまた本番に弱いタチで爆睡かましてしまい、秋葉
原着9:30。もう開いてますがな。

 けれど万世橋には列も無く、人々はすっかり建物の中に吸い込まれた様子。
昨日も、えーこれ全部入っちゃうの!?、と焦りましたが、意外と入っちゃう
んですね・・・・・橋の上では、さよなら看板を写真に収めている人々が。こ
れまで幾度か撮ってましたが、昨日は雨だったしとあらためてパチパチ撮って
ますと、声をかけてくる人あり。

 「あの、立派なカメラを提げてらして、本当にお好きな方かと・・・」

 うーむ、EOS2台(因みにどちらも銀塩)で取っ換え引っ換え、傍目には
濃いぃヤカラと映りもするでしょう(苦笑)。で、どうもテレビの取材らしく。
声をかけてきたスーツ姿のお兄さん1人、カメラもいないので今すぐインタビュー
というのでもなさげ、ひょっとしたら、マニアのモデルとして、ドキュメンタ
リーっぽく1日追われるのかしらん・・・? 実際はどうなのか判りませんが、
予め文脈が用意されてて、テキトーに素材を捕まえて・・・・・という「TV
的な仕立て」みたいなのが脳裏を過ぎりつつ、そもそも面倒臭いのでお断り。
特別な日を、あまり余計なことには費やしたくなく・・・・・フィールドに放
り出された新人クンなのか、いかにも不慣れそうなお兄さんだったけれど、そ
の後成果はあったんでしょか・・・。



 入館の列は殆ど無く、するりと入ってまずはそうそう、記念弁当。入るなり
2階へ上がるとずらずらと列が。後ろへ後ろへと辿っていくと、クルマのフロ
アを過ぎ奥の階段へ、そこを上って3階の踊り場でようやく最後尾。一体何人
並んでんだか・・・・・ソレと思しき袋を提げた人が通りかかれば、そこへ集
まる羨望の眼差し(笑)。時々思い出したように進んでは止まるといった中、
あらためて展示物を眺める。バイク、標識、エンジンのカットモデル・・・・・
これまであまりよく見てなかったかもしれない展示品を、こうしてまじまじと
眺めることになったのも何かの引き合わせでしょうか。しかも今日でこれらも、
見納め。

 マツダのオート三輪を過ぎる頃、ここまでで150人、残り300で足りな
いかもしれないとの話。日持ちするものでもなし、1人でいくつも買うものだ
ろうか?、ということで粘ることしばし、11:00にどうにかありつき。

 ふと横を見やると別の列が。よくよく見れば、をを、領収書切ってもらって
んですね。折角なので私も・・・・・「こだま」とハンコ捺されてました。

 その横では、万世の人がカツサンド売ってます。あー、そーかー、万世橋の
名残に・・・・・これも所望。あんた食い過ぎ。それよか昨日、弁当だけで凭
れてなかったっけかね。大丈夫かね。



 そうこうするうちに、お昼。朝は小雨がぱらついていたここ万世橋も、薄日
が射しています。休憩所の渡り廊下から外の様子を窺うと、入場規制も無いよ
うで、そもそも入場者の列が殆ど無く。ならばと一旦外へ出ることに。用心の
ために入場券だけは先に買い。暫し外の様子をスナップ。フィルムが心細くなっ
てきたのでヨドバシでベルビア100を3本所望。秋葉原も便利になりました。

 14:00頃、再突入すべく戻って来ますと、入口付近は大分賑わってきた
風。0系の前でカメラマンと思しきお兄さん、ケータイ片手に「ウチのヘリ来
てるみたいだけどー」って何故か我々にもよく聞こえるように話しており。主
張は押し付けない新聞だそうですが。(ぉ

 ミュージアムショップ・・・というよりお土産屋さんと呼びたい風情のお店
では、ショーケースに大分空間が出来ており。そういえば私も最後の最後に何
か・・・・・そこでさっき入場券売り場で見かけたアレを思い出し。

 「スミマセン、入場回数券あります?」

 今にして思えば、なんーでコレを使わなんだか? みどりの窓口よりもちょっ
とだけ安いし。それは入口の窓口での扱いだと言われ、そちらであらためて用
件を告げますと、一瞬「ハァ?」といった空気。(^^;; 大人と小人どっちです
かと訊かれ、そう訊かれると何故か「ボク大人だもん」という気持ちが働いて
しまい、使いもしないくせに大人。たーだの色付きコピー用紙みたいな紙に、
¥2,550・・・・・早まったかな(汗)。

 ともあれ、最終日付の回数券。券面にある年末年始やらの休館日の案内に、
尽くペンで線が引いてあります。もう、事実上「発売当日限り有効」なのです
しね・・・。



 高校以来の友人とばったり。これだけいれば誰かに、とも思ってはいました
が、彼と前に会ったのは最終日の東横線桜木町。最終日男といったところか・・・
・・・積もる話など交えつつ、館内を流しながら、これはあっちにあったよな、
あれはこうなってなかったっけか、などと「ボクらの交通博物館像」みたいな
もんに花を咲かせつつ、過去ばっか振り返るようになったよな、と互いに苦笑。

 そんな中、「鉄道博物館」で、今ここにある国鉄時代の渋過ぎる展示品など、
どれくらい残るのだろうかと。例の101系のドアにしても、今時のチャイム
が鳴るアレになるんじゃなかろか、大きい模型にしても、JR時代のものが大
半になるのではないか・・・・・まあ、差し替えるにも費用が嵩むので、その
へんの兼ね合いもあるとは思いますが。

 図書室。この期に及んで何を閲覧するのか、かなり盛況で、席の予約はとう
に終わっている様子。調べもので訪れる人も多かったようですが、「鉄道博物
館」として恐らく再開されるまでの間、それも叶わないとなると辛いんじゃな
いかしらん。

 屋上。あらためて辺りを見回し。最後の午後に見る空はまた雲が厚くなって
きたようで、そして否応無く、間もなく夕暮れを迎える・・・。

 それじゃまたどっかの最終日で!、と時間を抉じ開けて来ていた友人を見送
り、外を窺うと、前の通りにはちょっとした人だかり。入場券を買う列が、万
世橋とは反対の方へ伸び、角を曲がり弁慶号の向こうへ・・・・・そういえば
記念切符を買った列ってこっちに並んだよな・・・・・16:30までに並べ
ば入れる、と案内する声が聞こえてきたけれど、17:00の閉館、大丈夫かぁ?
なんかもう、郵便局の方まで達しそうな勢いですがぁ。



 一日中考えていたこと。最後にどこを見よう・・・・・やはり、花形のパノ
ラマ模型か・・・・・端の方でちょっとだけ覗いているとやがて終わり、拍手。
とうとう閉館かと腹を括っていると、特別に17:00の会を催すとの放送。
おっ!? 時間延長ですか! 今日は完全入れ替え制で、なかなか立ち去ろう
としないお客に、係の人も運転をしないというし、次待ちで並んでる人からも
厳しいお声が。

 ようやく17:00の回が始まり、もう1回ありますから、とのことで、私
はそちらへ並ぶことに。丁度「なかよし号」の前で待つことになり、残された
時間の間、これまで過ごした時間に想い・・・・・シミュレーションの受付を
締め切りまーす!、って今頃締め切ってますが、大丈夫かなこっちも。(^^;;;

 一体いつまで延長するのか見えづ・・・・・お客が引けるまでパノラマ運転
する、とか最初聞こえたし、でもそれじゃ繰り返し繰り返し最後を待つ人だっ
て出て来るだろうに・・・。

 「帰るに帰れず、君が泣いた場所です」

・・・などとしょーもないフレーズが浮かんだりしつつ、そうこうするうち、
17:30の回が最後との放送。そうか、最後か・・・。



 いよいよ、最後のパノラマ模型運転。

 正面の富士山の斜め上の時計の所の、次回案内に「臨時」と入っています。
最後の担当は、殆ど新人クンの頃から、見覚えのあるかもしれない方。色々な
人の時間が、並行して流れてきたのだなと・・・・・いつものように、まずは
HOゲージの説明。ゲージが16.5mmであること、1/80スケールであ
ること、そしてその運転方法は・・・、

 「小さな運転士さんが手を振っているのが見えますかぁ?」

 お。(^^;;

 「いえいえそんなことはありません。
  ひょっとして見えちゃった人いますか? 大丈夫ですね?」

・・・などと小ネタをかましつつ、いつもと変わらず、淡々と進行していく・・・
・・・そのある意味地に着いた感じというか、最後の最後までしっかりこなし
ていく揺ぎ無さにまた、かえってグッと来るような。

 夕暮れの大レイアウトに最後の列車が到着。「本日最後の、そして交通博物
館最後の運転が終了しました」・・・挨拶が終わるや否や、沸きあがる拍手。
方々から「ありがとう!」の声。運転場から出てきたところへ花束を渡され、
労いの声に囲まれる中、

 「模型の車両達も、一緒に大宮へ行って待ってますから!」

・・・と応え。「達」という言葉尻に、模型への眼差しが窺えるようにも。

 ふと思ったんですが、一般公開としてはこれでおしまいながら、暫くはまだ、
自前のを持ち込んだり、お蔵入りの20系あたりでウハウハとか、色々出来そ
うですネ(笑)。もし当たってたらゴメンナサイ。(ぉぃ



 出口へ通じるロビーでは、職員の皆さんが並んで見送って下さってました。
握手を求められながら「来年、大宮で会いましょう!」と繰り返していたのは、
館長さんでしょうか。

 思えば、運営が苦しくてあえなく閉館、というわけではなく、いわば発展的
解消のようなもの。馴染みの土地を離れることへの想いはあれど、これっきり
お別れということでないことは皆知っているわけだし、ある意味、上の学校へ
上がる前の卒業式、のようなものかも、しれませんね・・・。



 外へ出るなりカメラの放列。成田を降りる渦中の人みたいな状態でしたが、
ふと横を見れば、入場券売り場は閉館の挨拶のパネルで塞がれており。通りに
は人がごった返していて、皆、何かを待っている様子。やはり、シャッターが
閉まるところまで、見届けようということでしょうか。私も、暫く待ってみる
ことに。なかなか退出しない人もどうやらいたようです。「セレモニーはあり
ません!」としきりに拡声器の声がするのですが、そうと聞いても、離れられ
ない・・・。

 こうなることは分かってたろう、館長を出せ、と噛み付いているおじさんが。
まあたしかに不慣れな感じはありました、あったけれど、しかしおじさん、よ
くご覧なさい、たしかに大勢帰らずにいるけれど、乱痴気騒ぎするでもなく、
道も空けて、このよく弁えた人々を!

 なかなか事態が動かない中、時々声があがっていたのは、帰宅する職員さん
へのものか?・・・・・出待ちかいな(笑)。職員の方々には、内々なりの想
いもあるだろうし、と思いつつ、とりあえず万世橋へ行って、最後のイルミネー
ションをバルブ撮影。しばらく後にまた戻ってみると、まだまだ残っている人
達が。

 鉄道唱歌の替え歌を歌うグループがいました。今日のために用意したのでしょ
う、想いを残して大宮へ、といった内容だったか・・・・・今のご時世、ネッ
トのどこかで誰か載せてるカモ。

 「我こそは鉄ちゃんと思う人は!」との声にそちらを見やると、D51の前
に集まる人々。「出発進行!」なんて腕を突き上げて、写真に収まってました。
個人的には、出発信号の歓呼以外で言うのは鉄的に非常ぉ〜に違和感を覚える
のですが・・・・・はさておき、何度も撮り直していたようですが、そうそう、
「週刊ポスト」とか聞こえた気が。



 そうこうするうちに、やがてシャッターが降ろされました。2006年5月
14日、交通博物館、ここに幕。



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