***** 1997年10月1日 13:55:23 *****
[T:12633] [uf][Mo]Tasogare Mail



最後の列車が去った時が「脳死」だとするなら、
送電が断たれ信号機が光を失った時は、
「心臓死」にあたるのだろうか。

横軽が、死んで行く。私がそれを、見取ってやろう。

やがて施設は取り壊され、朽ちて行き、
つまり壊死が始まり、土に返って行くのだろうか。

横軽が、ゆっくりと死んで行く。愛すべき鉄道が、想い出に変わって行く。

あの無骨な山男の、ブロワーの熱気が、
重量感溢れる足音が、
ぐいぐい押し上げる力強さが、
列車の矢面に立って降りる優しさが、
私の中には残っている。

ただこれを外へ取り出す術を、私は知らない。
私の密かなるロクサンが、今私の中にいる。


・・・・・・・大分、黄昏てます。



  *****
     深町 忠利 > ふかまちただとし(モ)
        E-Mail > cub@t3.rim.or.jp
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***** 1997年10月1日 16:56:47 *****
[T:12636] [uf][Mo]Tasogare Mail 2



かつて立てた場所に三脚を立て、
来る筈の無い列車を、待つ。

馬鹿げているようだが、あることに思い当たった。

変わっていないのだ。

最早かつての「あの日々」だって、
目の前にいない列車を思い描きながら、三脚を立てていたではないか。
列車の「実体を見ていない」時間の方が、はるかに長かったではないか。
待ちながら、想い続けていたではないか。

では、「実体を目の当たりにした」ほんの僅かの時間が、
減っただけに過ぎないのではないのか?

列車を想うことは、いつだって出来る。
列車を待つことは、これからだって出来る。

静けさが戻ったここで、
しばらく待ち続けてみたいと思う。



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