***** 2001年9月30日 *****
(独り言)


 4年経ったのである。4年か。4年、4年・・・。

 さて、189系の「思い出のあさま」が走るというのである。昨年末に4両
編成という史上最短の「あさま」が走ったが、運転区間は熊谷〜横川、どうに
か体裁を保てたのかどうかという、聊か厳しい内容であった。傍観する身とし
ては、4両でちょこちょこやって来る姿というのも面白かったのだが・・・・・
一方で、企画した高崎支社が東京支社にイジワルされた結果がアレだった、と
いうような噂も聞こえて来た。支社を跨る企画は色々面倒らしいとは以前より
聞いていたが、噂の本当のところは、知らない。知らないけど妙に納得。(ぉ

 ここのところ満足に鉄らしい鉄もしていないのだが、現実逃避方々(?)、
出掛けてしまおうかという気になった。イケイケというより、むしろあまり気
乗りしている感じではなかったのだが、リフレッシュになるかなー、などと企
てたのである。



 昨日は、回送があった。職場の近くを通るので(ぉ、カメラを持って行く。
ところが中央線はいきなし人身事故。復旧はしたもののダイヤが乱れまくり。
さあ困った。しかし、セオリーに則り、優等列車はバンバン先に通しているよ
うである。客扱いの無い回送とはいえ、中央線の先もあるスジだからこれも通
すのではないか・・・・・果たして、お目当ての回送列車は4分程の遅れで現
れた。丁度待避線で草刈りが始まっていて、見張りが旗を揚げてる所を、パチ
リ。もっと寄れる玉を持って来るべきだった・・・。

 止まっている姿を撮ったりして、よく見ると随分キレイ。先頭車はクハ183。
あ、塗り替えたのだったか? そのへんの事情に疎いのだが、とにかくキレイ。
ついチェックしてしまう・・・

            ■ASAMA■

・・・のロゴ、これはさすがに無かった。ま、無いに決まっているわな。

 長い停車中に内緒の俯瞰ポイント(?)へ移動して、発車をパチリ。グリー
ン車の無い6両編成の189系は、明日への仕度の待つ・・・・・ええとどこ
に泊まるんだったか・・・・・とにかくどこぞの基地へ向かって行った。



 そして今日。編成写真にはあまり関心も無く、大体そういうのは自分よりい
くらでも上手い人のが雑誌に載るから、お任せで良いやと。それよか、何かし
ら自分なりに「意味」のある写真にしたい・・・・・などと生意気なコト思っ
てたりするのであった。何か象徴的なシーンは無いか・・・。

 鴬谷。ダイヤを見ると、その発車時刻がかつての「あさま3号」と同じくし
ているではないか。かつてはここで、「ひたち」との併走が見られたのである。
そして一方の「ひたち」を見れば、こちらも相変わらずの発車パターン。「スー
パーひたち7号」が同時刻発車となる。横川で「おぎのや」の売り子とのから
みは昨年のアレで撮った。今回は折角の上野発、「上野特急小僧」で行くので
ある。並ぶか否かは完全にギャンブルになるが、そこはそれ、うまいこと並ば
なかったらそれもまた、リアリズムというものである。

 現場へ行く前に上野に寄る。既になーんか、キてる。私は関係アリマセーン、
と内心ちょっと思ったりしたのだが、己を誤魔化しても仕方が無いので、構わ
ず記念イオカの列に並ぶ。前の方から、「お値段は¥2Kと、¥3Kのセット
が」云々と聞こえてくる。なに、そんなに出しているのか? まあいい、きっ
ちり使い切るつもりだから。

 ¥2Kの方は、今回普通に発注したであろう厚手のアート紙に奇麗に印刷し
た台紙。¥3Kの方は厚手の紙にそこいらのカラープリンタで刷った風なヤツ。
オレカの袋が両面テープで貼られた手作り風味のそれ、どうも便乗臭い。前者
が支社、後者が上野駅の発行では、と睨む。さーらーに、発車が特急ホームの
16番なわけだが、有料ホームとは考えたな、というのはさておき、ここに入
るための入場券も、やはりそこいらのプリンターで刷った風な紙っぺらを付け
て、売っていた。なかなか周到である。

#買う方も買う方だが(自爆)。

 ま、そんな時に、潮時かなーとか、思うのである。

 にしても、である。どうも昨年の企画は完全に、「無かったコト」になって
いる風である。高崎支社も立つ瀬無しである。支社間の力関係だののアレコレ、
部外者には知る由も無いが、今回色々見せつけられたような、気もする。この
構図は他の企画でもチラチラ見えたように思うが、勘繰り過ぎであろうか?



 さて鶯谷である。いつもの跨線橋の上には、先客が5、6人といったとこか。
よゆーかまして空いてる場所に立ち、仕度する。超広角で狙おうと思ったのだ
が、両者の間隔が結構開いているので、真ん中の線路ばかり強調される気も・・・
・・・むむ、ちょっとアレか? 「あさま」だけ撮るなら50mmでよゆーな
アングルなのだが。

 8:00。いよいよ発車である。出発式もあるとかで、少々遅れが出るので
はという読みは、我ながら至極妥当というかそれくらい読めんでどうするといっ
た話なのだが、スジの詰まった線区のこと、なんとか収めるだろうし、ともか
く、並走に賭けてみたかったので、ここに立っている。

 イン側のカーブにヘッドライトの反射が見えた。と同時にアウト・カーブの
向こうで気配がした。来たか! やがてアウトの「スーパーひたち」の顔が先
に見えた。そこへインから「あさま」が射して行けば完璧なタイミングである
・・・・・しかし「あさま」がなかなか来ない。「ひたち」は加速しながら旋
回して来る。たまりかねて「ひたち」のみでまず1枚。「あさま」を待つも、
ようやくのろのろと現れた顔は架線柱にかかってまだ撮る段階に無い。傍らで
「ひたち」の車両がどんどん過ぎて行く。早く来い、早く来い・・・・・よしっ、
カシャカシャカシャ!

 ふう。

 どうやら、顔並びはままならなかったものの、並走、だけは撮れた。現役時
代でさえ、そう易々とは撮れなかったのである。「在りし日の」風には、これ
で十分であろう。ただ、やはりというか両者の間の開きが気になる。立ち位置
を誤ったか・・・?

 さてよくよく見るとこの「あさま」、先頭車には例の・・・

            ■ASAMA■

・・・がしっかり入っていた。昨夜の塒で粧したのか。最近のJNRマークな
どからしても、このへんはお手の物なのか。そばで観察してみたかったところ。



 当初、ここで切り上げるつもりだった。だったのであるが、ここのところ累
積している鉄的悶々を、ちょいと発散させてしまうか、と横川へ行くことにし
たのである。上野で送り出し、横川で出迎えるという、少々スリリングな作戦
を採る。今まさにこれを、実行に移す・・・。

 まずは走らねばならない。

 カメラを片付けるのももどかしく、鶯谷駅へ取って返し、山手線で上野へ。
「MAXたにがわ433号」、8:14発。「あさま」が定刻通り出てくれた
ので、どうやらこいつに間に合った。滑り止めの「MAXあさひ309号」も
あったものの、これでは高崎で走ることになる・・・。

 やって来たE4系の列車はガラガラ。ことに1階は殆ど空気ばかりで、乗り
込んだ1号車では、自分しかいなかった。大宮でも、ちょろ。3列席を向かい
合わせにして、しばしの間よゆーをかます。実のところ、横川へ行くと決めて
いながら、イマイチ気分的には「まあ行くだけ行って」程度だったのだが、こ
の頃になるとじわじわと、忘れていた感覚を身体が取り戻すようであった・・・。

 高崎着。デゴイチを見る。今日はこいつも来るから、沿線も大賑わいであろ
う。信越線の電車に乗り込む。横川で素早く改札を抜けんが為、先頭車へ。先
頭車故か、既に車内はかーなーり鉄分が充満している風。自分のことは棚に上
げて、少々引いてしまう・・・。沿線のソレな場所には既に鉄軍団が陣取って
いるのが見えた。軽井沢へ遊びに行くらしい地元の女の子達が、右に左に現れ
るそれを見ては、えー、なんだろー、なんだろー、と半ば呆れるようにしつつ
もキャッキャとやってる。そういえばこの電車も・・・と見回す女の子。思わ
ず目を逸らす(苦笑)。



 横川着。ここのホームで撮っても仕方が無い。極めて個人的なアレで、フォー
マルな出迎えの場所であるところの、やはりざんげ岩なのである。空模様は思
わしくないが、多少霞んでいようとも、やはりここから出迎えたいのである。
しかし、「あさま」到着までは50分弱しかない。この間に登って仕度を済ま
せ、出来れば呼吸を整えておかねばならないのである。しかも遠くを来るとこ
ろから狙うことになるから、実際には横川着数分前に、撮影準備が終わってい
なくてはならないのである・・・。

 今日の、勝負ドコロである。

 駅を出て、足早に登山口へ向かう。荷物は一頃より大分削ってあるのだが、
それよかなまった身体の方が、重い・・・ううう。経験的には、最近のペース
で登山口まで15分、登山口から35分程度だったか。頑張ればトータル40
分、という読みは聊か楽観的過ぎるか。それなら回送だけでいっか・・・・・
と低きヘ流れそうになる気分を、ぷるぷると振り払い、急ぐ。

 走るとも歩くともつかない調子で「文化むら」脇の細い道を、進む。途中、
コスモス越しにロクサンとすれ違う。今日も体験運転が行われているようであ
る。走るとも歩くともつかない調子で進みながら、ふと運転士に目をやる・・・。

 あ。

 峠仲間であった(笑)。昨年もこの日にロクサンを転がしていた友人である。
やはり来ていたか。元々碓氷でばったり会うことが多かったのだが、今日のこ
の会い方というのも、ここまで来ると恐いくらいの縁である。



 前に登山口へ来たのは2ヶ月前か。丁須まで歩いたのである。身体を動かし
たことで結構リフレッシュになったものの、恐らく熱中症であろう、丁須へ着
く頃には二日酔いの朝のような状態で、うーうー言う始末であった。そこへ軽
井沢の方から怪しい雲がもくもくと迫って来るものだから、ゆっくりする間も
なく追われるように降り始めれば、さらに追い討ちをかけるようにトレッキン
グ・シューズの片方の底が半分剥がれてしまった。碓氷での撮影に活躍した靴
で、既に大分くたびれていたのだが、またひとつ、馴染みの品との別れ・・・。
足場の悪い沢をベカベカいわせながら第二不動の滝まで辿り着き、頭に水をか
けて気分の方は少し持ち直す。しかしどうも、丁須ヘ登る度に続けて具合が悪
くなっているようで、ここは一考を要するかもしれない。

 とにかくざんげ岩へ行かねばならぬ。登山口までは10分で来られた。あと
30分で登れれば、なんとかなる。絶好調の頃は軽量にして20分くらいで登
れた気がするのだが、今ではもう、遠い遠い昔の、殆ど他人事のお話である。
しかし、今日は急がねばならない。列車の時間を気にしながら登るということ
はとうに無くなっていたわけだが、こういうことがたまにあると、燃えるもの
である。いや、そういうノリに飢えていたのかもしれなかった・・・。

 あー、うー、といいながら、お馴染みの「井上昌子」岩も過ぎ、とうとう着
いた。さてどうか?、列車は?、まだ来ていない。時計を見る、まだ5、6分
ある・・・!

 やれば出来んじゃん。

 ささやかな勝利宣言である。しかしうかうかしてはいられない。すぐさまカ
メラを取り出し、レンズを着け、三脚に据える。誰か来ているかと思ったがざ
んげ岩、結局独占。この霞では致し方無しか。1番にはデゴイチが入っている。
登る途中で汽笛が聞こえたのは、これか。

 やがて遠くヘッドライトが見えた。霞んではいたが「あさま」と判った。今
回も短い6連とはいえ、4連よりは「らしい」感じか。尤も現役時代は9連や
11連、日によってはフルの12連もあったのだから、団栗の背比べのような
気もするが。ともかく遠い直線をやってくる「あさま」、山の向うへ隠れ、や
がて右手からカーブを描いて回り込んできて、最後の上り坂をやって来る「あ
さま」、そしてかつてロクサンと挨拶を交わした待機線を横目に、ゆっくり横
川のホームへ滑り込む・・・。

 んー・・・。

 3番に入って行く「あさま」。4番には丸山から出戻りの189系編成がい
るから、なかなかの賑わいである。さらに1番にはデゴイチ。ただ生憎、肝心
の今日の「あさま」はホームの屋根に隠れて顔も見えづ。

 わずか7分で回送だそうである。普通列車が入るホームが無いのである。デ
ゴイチのスジはいつもと同じなのだろうが、そこへちょこちょこ入って来るの
だから、自ずと遠慮がちになるのであろう。それにしても、7分とは・・・。

 しかし、ホームにいる間は見えないのだから、手前勝手な話として、幸いと
いえば幸いか。そうこうするうちに回送の「あさま」がホームを離れ、軽やか
に駆け降りて行く・・・・・これだけは変わってないか。国道沿いに進み、回
り込んで山の向うへ隠れ、再び直線を行く・・・・・編成も短ければ、行先も
上野ではないけれど、何度も見た風景を思い起こさせるには十分だったか。ファ
インダー越しに「あさま」を見送る。昨年はこれで最後と思ったが、さて今回
のでどうだろう。



 下界で別の鉄仲間と合流。今日はここまでで帰るつもりだったのだが、行程
通りだと途中ですれ違うハズだったロクイチ+PFレインボーの臨時列車を、
横川駅で迎えることにする。1本遅らせて帰りも新幹線でいいや・・・やや気
が大きくなっていた。

 やがてロクイチ入線。なんと足回りが磨き出されているではないか。カプラー
こそ銀に塗っていなかったが、殆ど御召状態である。どうしたどうした。

 ホームでは制服の人達が横断幕を持ってお出迎えであった。なんだかえらい
感じである・・・・・とそこへ歓迎の構内放送が入って、この一行の素性が明
らかになったのである。JR東の労組関係の団体ツアー。この御召並の気の遣
いようは・・・・・うーむ、恐るべし。(ぉ

#後で聞いた噂では労組の企画で、ハンディキャップのある人達を招待したツ
#アーだったとか・・・詳細は不明。そういえば車椅子の人が幾人も。



 そろそろ帰ろうか、と普通列車に乗り込もうとすると、列車の最後尾で人だ
かりがしていた。皆カメラを持ってる。なんだろー、と覗き込むと、車掌さん
が若い女性なのであった。そういえば見習いを見たことがあるような気もする。
で、ま、たしかに、彼女がプライベートで電車に乗っていても・・・・・目に
止まったカモ。(ぉ

 しかしこの男ども、貪欲に撮る撮る。撮った写真をどうするつもりであろう
か?、などと余計な心配などしてみたり。仮にも勤務中で発車間際の乗務員な
わけであるが・・・・・要望に応えて敬礼なんぞして笑顔を作りつつ、しかし
目はイマイチ笑っていないようにも、見えた・・・。



(終)