***** 2003年10月19日 *****
(独り言)


 出かける度に記しているものでもないとはいえ、少々ご無沙汰気味ではあっ
た。「鉄道の日きっぷ」の、最後の1日分は碓氷に。体脂肪燃焼方々(苦笑)、
丁須へ登ろうか。新緑の頃以来、紅葉にはまだちと早いが、暑さに参る心配
も無い。

 そういえば、山の上でお茶とか、久しくしていなかった。富士山頂ではやっ
たけれど、碓氷ではホント、久しい。いつ買ったかも忘れた、きっと横軽廃
止前後の頃のボンベが、まーだ使い切れないで転がっているのである。コー
ヒーを啜りに山に登る・・・・・言葉にするとなんだか気障なんだが、そう
いうのを楽しみに登るというのも、悪くない。ホレ、600マイルブレンド
ってあったじゃん(古?)。



 空模様を睨みながら結局1日ずらして、上野6:47発の高崎行。読みか
けの本を片付けようかと思ってたのだが、どうも寝不足なののか赤羽の辺り
からもう、記憶が無い。最近活字見ると眠くなるし・・・。

 高崎で乗り継いで、横川着。ピーカン。空が高いとはこのことかと、すこー
んと青い空。光線が硬い。ざんげ岩から遠く五輪岩までクッキリ。来たよ来
たよベルビア日和(笑)。無論カメラには、最近常用のベルビア100。デ
ジで撮ってフォトショップでちょいちょいなこのご時世にあって、ベルビア。
これぞ知的道楽というものである・・・デジ買えないからじゃないもん。

 まずおぎのやドライブインで土産物チェックだなと駅の逆サイへ回り、行
きがかりにまだクルマの少ない駐車場で、丸山出戻りのロクサン+189系
をぱちり。ん、ロクサンのガラスが割られている・・・今回初めて気付いた
のか、ごく最近の出来事なのか分からないけれど、自然現象やうっかりで割
れるような場所じゃ無し。受難続きで不憫なロクサン・・・・・こういうの
を放置すると、「コレ位ならやっても良いのか」と勘違いするバカタレが続
いたりするのが世の常、ちと心配である。限られたリソースでそうあちこち
に手も回らないだろうけれど、「文化むら」敷地内へ通じることでもあるし、
なんとかならんもんだろか・・・。

 おぎのやドライブインでは、特に新しい物は見当たらづ。飲み物など調達
して再び駅前に戻る。忘れちゃいけないと駅前の水道で水を汲む。こいつを
忘れては今日の企みが根底から覆るのである。さて・・・・・ちょいと丸山
行こ。コスモスが気になったのである。丁度咲いてる頃だ。というわけでま
ずは丸山を目指して「アプトの道」を進む。今日はグループでのハイカーも
ちらほら、行楽には良い陽気。

 第16中山道踏切跡まで来た。

 無い。

 郵便局が無い。

 横川郵便局は、既に「文化むら」の傍らに移転しているのだったが、とう
とう、その旧横川局跡が、更地になってしまった。馴染みの風景がまた、消
えた・・・。来るトロッコ列車運行に備えここの踏切を立体交差化すると聞
くのだが、交差する旧中山道、郵便局跡地へ通し、その間に坂を下ってクリ
アランスを稼ぐのであろうか。平地でないので大仰にならずに済むのは幸い
だけれど、さて踏切跡はどうなるのだろう、「招魂碑」の前は、どうなるの
だろう・・・。ともあれ、変わり行く風景に、ぱちり。

 予報では前橋で22℃くらいまで上がるとのことながら、碓氷はまた気候
が違うしなー、と迷いつつも結局今シーズンの名残で短パンなんぞにしてし
まったのはちと早まったかとも思ったのだが、日が高くなった中をずんずん
歩いていると、少々汗ばんできた。読みは正解か。日が暮れるまでには引き
上げる予定だから、寒い思いもしないで済みそうである。

 変電所跡前。コスモスはちとピークを外してしまったけれど、ベルビア日
和の空の下、鮮やかな色彩を見せてくれていた。今年もそんな風景に会えた
ことに、そして会わせてくれたことに、感謝しつつ、今日も爆裂の予感のベ
ルビアで、ぱちぱち。お約束でかつてのVポジに立つ。待ったところで来る
のは観光客ばかりなのだが、いずれまた、形を変えてやって来るのであろう
「列車」に、想う。また早朝から場所取りせにゃならんのかいな・・・。



 暫ししみじみしたところで、登山口へ。軽く筋など伸ばして、靴紐を結び
直す。このGTホーキンスを買ったのは横軽廃止後なのだが、いい加減くた
びれていてエッジが立たない。今度の富士山まで、いやいやもう一度丁須ま
で・・・とズルズル来てしまった。怪我しないうちに次の買お。修理も出来
るのかなとも思うのだが・・・・・先代の靴が、結構臭ったんである。生乾
きで放置という愚を犯したためなんだが、いつぞや交通博物館で展示された
折、どこかの子供が「この人死んじゃったの?」と言うのを聞いてそういや
こりゃどう見ても遺品だわなと笑ったあのショウケースの中でも、相当充満
していたに違いないのである。周囲の人は口にこそしなかったが、履いてい
た本人が気にしていたくらいだから・・・・・そういうコトもあったからば
かりではないが、まあ、買い換えるが吉である。

 靴のことはさておいて、順調にざんげ岩着。なーんか今日は乗れてるカン
ジ。眼下に「文化むら」。24号か25号か、体験運転のロクサンがゆっく
りと歩みを進め、「アプトくん」が国道を行くクルマに挑むような(笑)、
ぐわしゃぼぐわしゃぼという息遣いが、上まで届いてくる。高崎から列車が
やって来て、また折り返して行く。

 うーん、長閑な。

 6年、か・・・。

 今日はやはりヌケも良く、あれは榛名か、あれは赤城か、遠く山々、海の
ような関東平野が見通せて、磯部あたりはその入り江かといった風情。振り
返れば丸山、坂本、刎石。ロクサン22号も今日は近い・・・・・ここで茶
にしようかとも思ったが、まだまだまだまだ、楽しみは先に取っておくので
ある。

 あらためて「文化むら」の展示車両達を俯瞰。こんなベルビア日和にあっ
て、なんだか霞んだように見えるのは、その塗装の焼けのためであろう。新
参であったハズのD51も、グレーに見える。歳月というものは、容赦が無
い・・・・・我が身にも思う所があるのだがそれはさておき、保存とは「継
続」であり、歳月との闘いなのであるな。長期戦である。そしてノウハウの
蓄積の連続である・・・先は長い。ヤンキースに移った松井が調子の出るま
でボロクソに言われたように、近視眼な外野がピーチクパーチクやるのもま
た、世の常だろうが、まあ、どっしり構えて、先を見据えて取り組んで欲し
いと、崖の上より願ふ。ふと大井川鐵道の新金谷に、募金箱があったのを思
い出す。タカが知れてるだろうけど、PRも込めて大っ広に募っても良いと
思うんだケド・・・・・こちらが知らないだけだったらゴメンナサイ。



 んなこと考えたりしながら、さてと、御岳へ向かう。やはり今日は調子が
良いらしい。あまり息切れしないんである。バームをぐびぐび、これで順調
に体脂肪が燃えてくれれば、言うこと無し(苦笑)。御岳手前の、岩を巻く
ような斜面の鎖場を登り切った、眺めの良い所で小休止。尾根を越える風が
ひんやりと心地良い。丁度湘南色の115系がやって来たので、これをぱち
り。上信越自動車道下へ至るS字が、ざんげ岩アングルより綺麗カモ、今更
ながら。

 もう少し行って御岳頂上。丁須の頭が間近にくっきり。碓氷橋の方を見や
ると、もう昼を回ったというのに、まだまだ陽が射していて、しかもくっき
り。400mm超望遠越しに覗くも、眼鏡橋がまだまだちっちゃい。うーむ、
テレコン忘れてきたのが痛いな。それでも橋の上に結構人がいるのが、判る。

 いつものざんげ岩〜御岳〜丁須〜鍵沢の時計回りコース、この先が最も好
きなんである。ほんの僅かの間だが、イカニモ尾根といった岩の上を歩く。
両側に広がるパノラマ。あー、なんか健康的(笑)。

 いよいよ丁須の下の、国民宿舎への道との分かれ目まで来ると、なんだか
「中高年からの登山」風なパーティー。丁須から降り始めて、国民宿舎へ向
かうところらしい。横歩きの鎖場では、鎖にザイルをかけてキャッキャとは
しゃぎ気味(?)に、行き違いを待つこちらへ渡って来る。聊か大袈裟とも
思われたが、傍らの引率らしき人がそれを察してか否か、「すみませんねえ、
練習なんですよ」と教えてくれた。なある。私もきちんと教わった方が良い
かな・・・・・どう見ても日帰り以上は無理な歩き方なので。

 切りの良いところで譲って下さったので、遠慮無くひょいひょいっと渡る。
嫌味カナと一瞬頭を過ぎったが、だってそれくらいの場所なんだもん・・・。
すぐ次の登りの鎖場でも、また通して頂く。親子連れやらいくつかのパーティー
なんだろか、次々と丁須から引き上げる所らしかった。時計は14時を回っ
てる。日没前に国民宿舎まで、団体でマージン見ると、そんなところか。



 すっかり人のいなくなった丁須着。早速ストーブやら鍋やら出して、湯を
沸かす。その間にまんま丁の字の岩の元の、肩まで登る。写真を撮ったりし
つつ、今回も天辺まで登る度胸無し。鎖もあるし大した距離じゃ無いんだが、
ほんの少しオーバーハング気味の絶壁、落ちるとなると結構下まで落ちると
あって、ビビリまくりなんである。いつかはと思うのだが、体力は下り坂・・・。

 何年越しか不明のボンベがとうとう尽きて、交換して暫し後、沸いたとこ
ろでコーヒーを淹れる。ずずっ・・・・・ふはぁ。

 この時のための、今日の全てであった。

 寒くない程度の心地良い微風に吹かれながら、マグカップ片手に、丁須岩
を見上げる。西大星、上信越道、五輪岩・・・・・遠く浅間山。空は相変わ
らずすこーんと青い。西へと傾きつつある陽光が、岩に硬い陰影を刻む。秋
だな・・・。

 かつて列車を待ったように、しばしまったり。

 日没までには降りておきたい・・・そろそろ荷物を片付け鍵沢コースへ。
しばらく降りたところで、すってーん! 岩の上で滑った。鎖を握った手が
捻られ、肘と腰を強かに打つ。うー・・・・・しばらく動けずも、幸い大事
には至らづ。やっぱ靴買お・・・気の緩みか。第二不動の滝で一息。ここま
で来れば、あとはたーだの林道なのでよゆー。いつものように頭から水をか
ぶったり、足を洗ったりして一息。最近、ここいら辺まで来る頃には頭が痛
くなったりしてたんだが(大汗)、今日はやはり、コンディションが良いら
しい。ランニング・ハイよろしくスイッチが入って、ひょいひょい走れちゃ
うくらいである。自己ベスト1時間の道程を今日はのんびりと2時間見てい
たが、結局1時間半で登山口に出る。

 「文化むら」に差し掛かる頃、「紅葉」のメロディーの鐘が聞こえ。丁度
17時か。ご当地ソングを口ずさみながら、今年は紅葉見に来ようかなーと
か、考えてみたり。ところがところが朝にバス停で時刻表見たら、復活した
熊ノ平までの散策バス、「めがねバス」ってば、10月一杯で今シーズンの
運転を終えてしまうらしかった。をゐをゐ、紅葉の盛りを前に止めちゃうん
かい・・・。



 115系が来たのをなんとなくラッキーとか思いつつ、シルエットのざん
げ岩と織り交ぜてぱちり。高崎線でうつらうつらして、ついでにちょいと寄
り道、お馴染みの地雷原に足を踏み入れる。すると店長氏、「ワールドの
ED40完成品、入ってますヨ」・・・あうぅ。蝕雷。

(終)