***** 2005年7月2日-3日 ***** (独り言) ホタルの里まつり。今年も坂本で行われる。ホタルといえば、丸山でマルヨ なんぞかましてて、ふぅっと飛んでいるのを見たことがあった。実のところ、 ホタルも天の川も、碓氷通いの中の丸山で、あらためて見たような気が。都会 っ子の哀しさよ。 さて、今年はちょっと違った。「シェルパくん」がこれに合わせて運行され るというのである。定期運行初日に西日ギラリを狙ったが、以降日脚は延びる 一方で塩梅良いのは当分お預け、日没後などは夢のまた夢・・・・・いやハナ から論外かと思っていたのだったが、つひに、というか、こんなに早く、チャ ンスに恵まれようとわ。 行くしかあるまい。 あくまでホタルの里まつりの送迎輸送なのだろうから、「文化むら」そのも のは、いつも通り閉園しているのだろう。梅小路の夜会(と勝手に呼んでいる が時間延長のライトアップの催し)など覗いては、こんなの「文化むら」でも どうだろねーと夢想するのだったが、まあ「文化むら」にも都合というものが あるだろうし・・・・・ともあれ、碓氷での、いや碓氷線での、久方ぶりの夜 汽車(?)・・・くぅぅ。 今回、機材はキヤノンのFD軍団、廃止前の横軽でブイブイいわせた猛者達 だ。横軽廃止後、事実上のメイン機材がEOSに移ってしまい、手許には置き つつ出番は減る一方だった。尤もここぞという時には、NewF−1にドラ着 けて、サンニッパ振り回すことも、たまーにはあったが・・・・・今回は高速 な単玉が欲しかったという部分もあって、そうなると俄然、FD軍団。選ぶの も面倒なのでアタッシュ銀箱ごとクルマに放り込み・・・・・いやいやこんな のなんて、これまた実に久しぶりなノリ。ひょっとしたら今世紀初めて?・・・・・ なんだか「あの日々」の再現と化してきて、独り勝手に盛り上がってたり。 さて7/2。そんな気合とは裏腹に、うだうだするうちに昼を過ぎてしまい。 お目当ては夜だしなー、とよゆーかましていたのだったが、そういえば「氷ま つり」訪問でもそんなことあったっけと思いつつ、おっと、そろそろそのお目 当てさえ危なっかしくなってきた。出立せねば。 なぜか平日のつもりでいて、環八の渋滞に巻き込まれながら土曜日であった ことに気付く。ようやくにして乗った関越はスイスイ、午後の下り、空模様も 生憎とあっては、行楽客もそうはいない道理。 幸いよゆーで明るいうちに松井田妙義。そのまま「峠の湯」に直行。ダイヤ を見ながら色々段取りを考えていたのだが、どうもやはり、ここに駐車するの が良さげ。あとからでは満車で往生する恐れもある。今回「まるやま」は流石 に通過だろうから、停車中のバルブは「ぶんかむら」か「とうげのゆ」。前者 はアングルが限られる気がして、屋根の下ではざんげ岩からも苦しく第一この 天候では既に選択肢に無く、それに照明はともかく毎晩そこににいるのだし、 というわけで「とうげのゆ」軸足で行くことに。ホタルだって観たいし。 知った顔と駄弁ったりするうち、そろそろ19:00発の初便の時間が近い。 機材をセレクトし、イソイソと「アプトの道」を降りて行く。まずは丸山で走 行を狙う。御用達の海保のページで得たところでは、初便が発車して間もなく、 日没となる。尤もこの辺りではそれより大分早く、山の向こうへ没してしまう のだが、そんな中、ざんげ岩のシルエットをバックに、直線を向かってくる 「シェルパくん」のライトが、ぼお・・・・・てな寸法。生憎の空模様は、光 線的にはむしろ好都合で、より蒼く沈む情景が期待される。どうかな。どうだ ろね。 変電所後の前を過ぎ、上信越道の橋の下を過ぎ・・・・・そういや誰も見か けづ。そんな酔狂なヤツはいないってことなのか、それにしても桜の季節の時 といい、ご同輩に会いそうでなかなか、これが会わづ。よしここらでどうかと 三脚を立て、レンズを・・・・・やややっ、ゴロゴロ持って来た中に、丁度良 い85mmだけが無い。135mmじゃ長過ぎた、50mmじゃ引き過ぎだ・・・ ・・・参ったな。そうこうしているうちに、横川方の先に光が! !!! をゐをゐ、まだ3分くらいあると思ったのに・・・・・かくなる上は、撮り 損なうよりはマシと急いでコンパクト・デジカメに換えて、あわわあわわと焦 りつつとにかく、ぱちり・・・・・あ゛ー、手応えボロボロ(涙)。今回慢心 がありはしなかったか・・・自戒。 ときに、HM、付いていたようだけど・・・・・「ホタルの里まつり」仕様 かしらん? あとでよく見とこ。 さて、今の返しを・・・・・今度は変電所跡の前に陣取った。降りて来る 「シェルパくん」のライトで向こうが明るくなり、変電所の建物がシルエット で・・・・・とどこかで見たような構図。かつて狙った構図で「シェルパくん」 を切り取ることの妙については前にも記した気がするが、単なる焼き直しでは なく、単なるパロディでもなく、そこには歴史の延長にいる「シェルパくん」 への、敬意を込めているつもりである。私の中では、ロクサンや「あさま」と 区別は無いのだ。 でま、今回はこの情景を是非に、収めたかった。幸い初便の返しが光線的に 丁度良さげで、ダイヤと日没を知った時点で、これだと決めていた・・・・・ やがて、カーブの向こうに光の気配。そして徐々にそれは、ぼお、としかし確 かな明るみへと変わっていき、次いで架線が、架線柱が、諸々のケーブルが輝 きだす。変電所の建物も、とうとう降りだした雨に濡れて、キラキラと輪郭を 浮かび上がらせる・・・・・蒼い闇を満たしていた空気が、俄かにざわめきだ す。 あの日も、こうして立っていた・・・・・レリーズを握り、目を凝らし、耳 を澄まし・・・・・あの時の自分に、今や同化しようとしていた。過去と現在 とがこの場に交錯し、時空を超えた同調が・・・って「ムー」かよ。(ぉ かつて闇を透かしてきたブロワー音の代わりに、ディーゼル・エンジンの音 が、微かに耳へ届く。今「シェルパくん」が坂を降りている。まだ姿は見えな いが、あの小さな機関車が、小さな客車を庇いながら、坂を降りてくる。一端 に、ロクサンと同じ役をこなしている・・・・・くぅぅ、健気じゃないかぁぁ。 物凄く今更に、そんな感慨が。直接見えないことで深まるものも、ある。 いよいよレールが輝き、そしてヘッドライトが現れた。「まるやま」の駅に かかる頃には勾配も緩くなり、心なしか「シェルパくん」の足取りにも安堵の 響き。カメラを持ち替えて傍へ寄り、思いっきりライトに照らされながら(恥)、 流して、かしっ・・・・・あ゛あ゛っ、シャッターが異常に長い! 露出間違 えたくさい(涙)。 やれやれ・・・・・降りだすとは思っていなかったので、既にずぶ濡れ。と もかく「峠の湯」までトボトボと登って行き、クルマに戻って次の支度にかか る。 と。 ゴロゴロゴロゴロ・・・。 降りが激しくなり、雷鳴と電光。「峠の湯」に雨宿りの人達が、その都度きゃー とか盛り上がって・・・るわけでなく、折角の「ホタルの里まつり」、訪れた お客も、迎える地元の人達も、気の毒という他無く。 それでも「シェルパくん」は次の便も来るだろう。正直少しばかり萎えかけ ていたが、あとで後悔するぞと自らに言い聞かせつつ、傘を出して「とうげの ゆ」駅へ。 モタモタしていたら「シェルパくん」が入ってきてしまった。ともかくバル ブ撮影を・・・・・うーむむ、元々駅の照明設備が無く、仮設の電灯の下では、 煌々としたヘッドライトをなかなか消さない「シェルパくん」、なかなかテー ルランプに切り替えない「シェルパくん」、絵的にちと辛いがぁ・・・・・ま あ勝手に撮らせてもらってる身なので、その中で頑張るしかない。 そういえば機関車の屋根上のライトが、クルクル回るのである。ボンネット にもヘッドライトはあるのだが、丸山で見た時も、カーブの向こうでなーんか ヘンだなと思っていたら、サーチライトよろしく方々を照らせるのだ。元はと いえば保線用の機関車、それ故の仕様だろか。にしても、辺りをキョロキョロ 見回すような様は、なんともユーモラス。 あわわあわわと撮っているうちに、やがて発車。汽笛を残して、坂を下って いく。雨が少し収まったので、次が登ってくるまで、ホタルを鑑賞。んー。お、 模擬店で鮎の塩焼き・・・じゅるる。 先程の手応え芳しくなく、同じ構図で次も狙ってみる。もうちょい、もうちょ い、とやっていると、まだ10分くらいあるというに、降りてしまい・・・・・ ありゃりゃ、見切り発車かぁ? 客足的に、もう打ち切りなのカモ・・・。 #翌朝知ったところでは、変更があったのか事前にネットで調べたこちらの単 #なる誤認か、3往復目の返しが少し早めで、もう1往復設定されていた。そ #れとは知らずにこの日は以下続く。 まあ、もう一晩あるから、と希望を捨てぬことにして、撤収。タラタラと横 川へ降りると、終電が終わってて途方に暮れてる人あり。その後何とかしたの だろうけど、そういえば今回の「シェルパくん」、信越線との接続についての アナウンスなど、あったのかしらん?・・・・・信越線の上り終電ときたら、 これがちと早く、一方「シェルパくん」はというと、それに合わせた運行をし ていたわけでは、なかったようで。仮に今回電車でホタルを観に来ようとする と、接続から逆算するに、初便で登って、次の便でもう降りねばならづ・・・・・ ちと忙しない。 雨の中、もう活動する気力も無く、ぐぅ・・・・・車中泊。 明けて7/2。うだうだしてて気付けば9:45、おっと定期の「シェルパ くん」が出るぞとまずは「文化むら」の前で柵越しにぱちり。さて気になりし HM、明るいところであらためて見るに「ホタルの里まつり」に因んだのかと 思いきやさにあらづ、「シェルパくん」常用に誂えたようで。いつから付いて いたのだろう??・・・・・少なくともGWを過ぎるまでは無かった。でま付 いたら付いたで、両側の先頭とも押さえておきたくなる悲しい性、坂本へ先回 りして、客車側も、ぱちり。絵柄は同じでぽっぽさん。 今日は空模様も生憎とあって、昼間はユルユルなのだったが、HM拝んだと ころで久しぶりに、安中榛名。駅案内の道路看板、今度は100系と思しき絵 柄のに気付き。以前よりどう見ても200系らしいのはあって、まあF80編 成という解釈も成り立つわな、きっとそのうち看板屋さんでE2系っぽいのも 用意されるだろう、と思っていたら、今度はコレ。700系あたりじゃない分 マシと言えなくもないがぁ・・・・・新幹線の「顔」となると依然、0系100系 200系、なんだろか。東京駅だって0系が今なお現役だし。 あまり代わり映えの無さげな駅を一眺め、「キッス道祖神」なんてのを備え 付けの案内地図に見、ゴルフ観音だのなんだかなーとか思いつつ駅を後にして、 程近くのコミュニティプラザに寄ってみれば、いつの間にかコンビニが入って おり。少なくとも、半年前には無かったハズ。そういえばこれ、駅周辺初の 「店舗」ではあるまいか!? 「もののけ駅」と呼ばれた開業から、もうすぐ 8年になるが。 お次に碓氷郡役所跡。以前訪れた時は閉まっていて見学すること叶わず、あ らためて。ときに安中市と松井田町は近く合併する予定で、なにげに新幹線の 駅も高速ICもある自治体になるのだったが、気になるその名は「安中市」。 「松井田町」も、そして「碓氷郡」も、その名を消すことになる・・・・・そ もそも安中も松井田も、元はといえば碓氷郡、いっそ「碓氷市」に、なんて思っ たりもするのだったが、そう簡単な話でもないのだろう、こういうものは・・・ ・・・あ、もっと遡れば安中藩か。 #そういや「松井田妙義」ICはどうなる? 高崎の書店で地元本をチェックするも特に触雷無く、倉賀野の14号機を覗 く。後から来ては先に解体されていくカマの数からして、やはり特別な扱いに はあるようだが・・・・・続けて安中のカインズホームにえらく久々に立ち寄 り、烏龍茶を箱買い。くぅぅ、一頃、毎週末のように碓氷へ来てしまうものだ から、日用品をこうして買っていたことがあるのである。撮影機材に始まり、 車中泊にカインズに、すっかり再現モード入ってるな・・・。 そろそろ夕刻、さてと横川へ舞い戻り、昨日と同じ流れでバルブ大会。また また雨に祟られ、こちらも辛かったが「ホタルの里まつり」の方こそ、いよい よ気の毒で・・・・・こればっかりはどうしようもないけれど。初便で狙う筈 のざんげ岩シルエットは霧雨に霞んで全く見えず、リターンマッチは叶わづ。 後は昨日と同じメニュー。出発前にあれやこれやと考えていたものは雨の前に 萎え萎え、何か写ってればいいや状態になりかけ。 「とうげのゆ」駅でのシェルパくんは、今宵もなかなかライトなど「絵にな る」風にしてくれないのだったが、3往復目だったか、客車のヘッドライトを 点けたまま、テールライトも点けて降りて行き・・・。 こ、これわ・・・。 夜道を登るロクサンが、よく後向きにヘッドライトを点けていたのを、ふい に思い出し。それを狙ってのことではなかろうが・・・・・多分展望車からの 眺めを照らしたのだろうけど、こちらはこちらで、すっかり回顧モードでしみ じみ。 3往復目から4往復目に移る折り返しを狙うべく、「文化むら」へ行ってみ ると、機関車はアイドリングしたままなかなか出る気配無く。ともかく三脚を 伸ばし待っていうち、エンジンが止められ、ホームの明かりも落とされてしまっ た。まさかを思いつつなおも粘っていると、「文化むら」関係者らしきクルマ が続々出て来て・・・・・ありゃりゃりゃ、今度は本当に打ち切りらしい。そ ういやさっき「とうげのゆ」発車前に、仮設照明消してたな。 終わってしまったのなら仕方がない。こちらも撤収して帰途につく・・・・・ 今回の「シェルパくん」夜間走行、天候に恵まれなかったのは、なんとも残念 だったけれど、ちょっと気になったこと。その位置付けが、傍目にいまひとつ 見えにくかったような・・・・・信越線利用客は考えていないようだったし、 ではクルマ客かというと、そもそも坂本へ直行だろうから「シェルパくん」に 乗るには「わざわざ」横川にクルマを置くか、坂本から「わざわざ」往復する ことになり・・・・・坂本の駐車場が一杯になったら横川に誘導して送迎、と いう脈絡でなら考えられるけれど、こんな空模様でなければ、そういうことに なったんだろか? #実際そういう(坂本が溢れた場合の横川送迎)位置付けだったらしく・・・・・ #すると横川の駐車状況で運転打ち切りも頷ける? ともあれ、今回の夜間走行には関係者の意欲の程が窺えるようで。今後の宿 題になった部分もあったろうけど、将来的にまたひとつの布石となったのでは、 あるまいか。思い起こせば今世紀最初の鉄道の日イベントで、トロッコ(正確 には車掌車)にお客を乗せて丸山まで入れたのも、そうではなかったか・・・・・ 今回は天候のせいで今ひとつ盛況とはいかなかったようだけれど、めげずに試 みを続けて欲しいと思う。そしてそれを、見守っていきたい・・・・・撮影の 手応えとは全く別に、その場に立ち会った一種の充実感を覚えつつ、夜更けの 関越をひた走る・・・・・早いとこ寝ないと、明日が辛い(哀)。 (終)