***** 2006年09月02日 *****
(独り言)



 先週あたりの新聞で刮目すべき記事が。出ましたね、出ましたよ、経緯は端
折るが、軽井沢まで走っちゃうんだもんねー宣言・・・・・色々とハードルも
あるだろうけれど、坂本の「その先」の話が、いよいよ動き出しそうである。
外野的にもその成り行きを見守って・・・・・いや、見届けたい。話の通りに
コトが進めば、廃止から丁度10年後の、復活・・・・・敢えて「新生」と呼
びたいが・・・・・10年、かぁ。

 さて。

 走ってみたかったんである、碓氷峠を。散々走ってるだろがと言われそうだ
がそれはクルマでの話であって、バイクでこう、ぐいーんと、走ってみたかっ
たんである。クルマですれ違いながら、徒歩で追い越されながら、熱い視線を
送っていたことを知る者は少ない・・・多かったら恐い。

 でま、最近久々にバイクを手に入れて、まず浮かんだのが碓氷峠の攻略。し
かし辛いことに、高速に乗れないのだなこれが。まあピンと来る向きにはお察
しの通り、そおゆう大きさなんである我が愛車は。勢いと体力だけで押し切れ
た学生時代ならいざ知らず、いきなし挑むのはおっかないので、まずは箱根辺
りから身体を馴染ませてみて・・・・・よしよし大丈夫そうだ。愛車のコンディ
ションも色々と見極めて、いよいよ、GOサイン。



 一体何時間かかるのか途方に暮れながらも「距離に負けるな、好奇心」(懐)
と己に言い聞かせ、早朝の出立。まあ箱根の2倍くらいじゃないかな多分・・・・・
前日遅くなってしまった煽りで当初の思惑より少し出遅れてしまい、目標にし
ていた「おぎのやドライブインでモーニングセット」は、どうにも間に合いそ
うにない。

 なかなか日が差さず肌寒いくらいの中都内を抜け、いよいよR17、中山道
へ出た。いやいやこっちはバイパスが充実していて走り易い。箱根となると横
浜新道の先は早いうちに抜けないと辛かったりするのだが、やっぱこっちは、
土地に余裕があるんかなー・・・・・なこと呟いているうちに、上尾、桶川、
鴻巣・・・とベルズの歌でもお馴染みの地名が続いていく。そのうち空が晴れ
てきた。よしよし。

 信号も少なくガラガラの広い道を巡航していると、深谷の文字が目に入った。
深谷・・・・・あの東京駅もどきの駅舎。そういえば納車のその日に丸の内寄っ
て記撮したっけなぁ、これも縁だわなぁ、モーニングセットはもう駄目っぽい
しなぁ、というわけでバイパスを逸れて、小休止方々深谷駅前でぱちり。思え
ばEF62のさよなら碓氷峠号だったかに乗って寄って以来か、ここは。

 再びR17に戻り巡航を続ける。そのうち見覚えのある風景になって、倉賀
野の跨線橋に差し掛かる。勾配を登りながらちらと横目に見る、あのロクサン
14号機達のいた辺り・・・・・そこはもう、線路があるばかり。

 観音様を遠くに見つつそこへ寄る余裕も無く、高崎からR18に折れ、安中
駅前でまた逸れて、その先で線路を渡って農道へ入る。地元と一部の鉄御用達
の裏道。信号など無く見通しの良い田圃道を、ひゅーひゅー言いながら走った。
シールド全開、くぅぅ、気持ちイイ! こういうロケーションにぴったりなの
だ我が愛車は。並行する信越線を、107系電車が追い越していく。



 松井田妙義IC口からR18に復帰、馴染みの風景の中を進む・・・・・
くぅぅ、とうとうここまで来たか・・・・・その昔、原チャリで初めて箱根へ
行った時、ロマンスカーのくねる湯本駅の脇に差し掛かりながら、かつて家族
旅行のクルマの車窓から眺めたそれを今自分のハンドルで見ることに、感慨を
覚えたものだったが、その感覚が今、しみじみと思い起こされた。そういえば
碓氷ドライブイン跡あたりを走る感じ、なんとなく箱根湯本へのアプローチに
似てないでもない。

 そしてようやく、横川着。もう昼に近いですがな。まずはおぎのやのGSで
給油・・・・・ここまで無給油だったが・・・・・うーむ45km/l以上は
行ってるなこれわ。スバラシイ。ついでどこかで食べようと釜めしをテイクア
ウト、ドライブインをバックに記撮。

 いざ、峠へ。

 走り慣れた道もまるで違って見える。スモークシールドの中でニタニタ顔に
なっているのは判っていたが、それは最早不可抗力と言えた。坂本のダラダラ
坂を登り切り、いよいよC1、非力なエンジン故そう楽ではないが、ともかく
ひとつひとつ、コーナーを噛み締める。うーん、たまらん。

 そしてC32を抜けると現れる、眼鏡橋。うー、来たよ、来ちゃったよ・・・
・・・ずーっとそればっかだがぁ。その雄姿の、眼前への劇的な現れ方からし
て多くの人を惹き付ける碓氷第三橋梁だが、今日はまた格別。勿論ここでも止
めて、光線の良いうちにと記撮大会。あーでもないこーでもないと、パノラマ
カメラまで引っ張り出して、優に1時間はガサゴソやってたのでは、なかろか。
家族連れの子供がじっとこっち見てた・・・。

 再び走り出し、熊ノ平のトンネル入口で小休止。トンネルから僅かに吹いて
くる、ひんやりした風に当りながら、ここで釜めしを食べることにする。トン
ネルの向こうには、夏草茂る熊ノ平構内。しばしばこのトンネルを、過去や未
来を覗く穴のように喩えてきたが、トロッコ延伸のニュースに接した今ではま
た、その晩夏の陽を照り返す情景がどこか、人恋しげにしているようにも見え。

 腹ごしらえしたところで、ついに峠、県境。やれやれ。ここから脇道へ入っ
て別荘地を抜け、見晴台へ。ふっ、あーっ、と伸びをして、お次は峠の熊野神
社にお参り。交通安全の御守りやらステッカーやら所望。やはりこうやって来
てこその、ご利益であろう。そうそう八咫烏のも。



 旧軽の人込みを掻き分け、軽井沢駅を偵察。折角なので小学校のED42見
て、中軽井沢のカインズホームを覗きたい気持ちもあったが(笑)時間も押し
ているのでやめて、矢ケ崎踏切跡を覗く。特に変わった様子も見られなかった
が、ここと駅の間、再開発が予定されていると聞く。いずれはこの見通しも無
くなるのかもしれないが、トロッコがこっちまで延伸するとしたら、どこへ着
ければ良いのだろう、単線だけでも残せないのか・・・・・商業施設となるよ
うな話だった気がするが、ならばそこの歩道に併用軌道、と考えただけでワク
ワクしてしまったが、ちょっとそれは、難しいか。

 峠道を下る。クラッチ切ってスイスイと流し、横川。時計を見れば「シェル
パくん」の最終便が降りてくるところ。ならばと立体交差のところで待ち構え
て、記撮でぱちり。今日は記撮ばかりである・・・・・などとモタモタしてた
ら、「文化むら」に入りそびれてしまった。今日はあの記念メダルを刻んでお
きたかったのだが、うーむ残念。

 横川駅でもまた記撮。しっかりざんげ岩も入れて・・・・・まだ明るいが、
往路に費やした時間を考えるに、ゆっくりしてもおられまい。ざんげ岩をもう
一度見上げ、前に向き直ってシャコッとシールドを下ろし、おもむろにスロッ
トルを開けた。



 安中までまた裏道を通り、高崎から逆サイを突く格好で前橋へ出て、R17
の伊勢崎回りの方のバイパスに乗ってみた。幾分回り道だが、走り易そうに見
えたのでかえって早いのではないかと踏んでの選択だったが、実際、心細いく
らいのところを、ただただ立派な道だけが伸びていた。こんなところでエンコ
したら、などとは考えないようにしつつ、ひたすら巡航・・・・・東京まで
何kmという数字がちびちび減っていくのを支えにして。

 いやしかし、実際のところ、日帰りでは往復するだけで一杯々々、へろへろ
である。やっぱ高速乗れないのはキツいぃ〜と痛感した次第だったが、しかし
暫くするとまた懲りずに行きそうな気がしないでも無く・・・・・おバカとい
うか、困ったちゃんである。



(終)