***** 2007年6月8日 *****
(独り言)


 地元の書店で、見覚えのある本を発見。RMポケットのその名も「碓氷峠」。
ありゃりゃこんなところにデッドストックがお懐かしや、と思ったら、表紙
に円くぽっちりと「廃止10年 あの伝説が甦る!」とあった。復刻版であ
るらしい。ぱっと見にはこの円いぽっち以外は変わっていない様子・・・・・
あ、裏は違うな。

 伝説か。既に伝説なのか・・・・・近頃こればっか言ってますがぁ。

 そういえば、まだ何も届きませんが・・・。(ぉ

 10年前と同じと知りつつ、表紙がちょっと違うし(笑)やはりこれも碓
氷の「その後の」歴史の一部であろうとの記念に、所望。

 パラパラと中を覗く。うう、うう・・・・・あの伝説が、ではなく、あの
日々が、俄かに甦るようでわないか(涙)。懐かしい日々、懐かしい情景・・・
・・・写真のクレジットには、碓氷の縁で出会った方々の名前も、ちらほら
と。ご無沙汰の面々はどうしてるかな・・・・・そして思わずひれ伏す(笑)
大御所サマ。

 碓氷にはスゴイ人達がいて、雑誌などでそのスゴイ写真を目にするたび、
私は溜息をついていました・・・・・かつてそう綴ったことがある。そこで
過ごす人達が羨ましくなって、というのが最初に碓氷へ出かけた動機だった。

 あれから15年になる・・・。

 その頃写真・・・・・というよりカメラか・・・・・を趣味としつつも、
特にテーマらしきものを持っていなかった。暫く遠ざかっていた鉄道に対し
て、ここへ来て少し「回帰」に傾いていた時期でもあったが、「羨ましく」
思ったのは、その「スゴイ人達」が、テーマを持って取り組んでいることに
対して、或いは「居場所」を持っていることに対して、だったのだと思う。
無論それ以前の腕前とか行動力だとか、そういうギャップへのものも多々、
あるのだけど。

 そもそもその存在を知ったのは、RM誌で連載されていた「峠の四季帳」
でのことだった。木登り、崖登り、空撮、真冬のビバーク、丸山の開墾・・・
・・・仲間でありライバルでもある登場人物達をめぐる、なんだか分からな
い級のスゴイ話が、次から次と出てくる。

 「俯瞰症」なる言葉に噴いたりもした。

 今でも思い出すのは、過って落としたバケペンのレンズの岩に当たる音が、
崖の下で長い間響いていたという話。それと、サルの屍骸に虫が湧いている
のを見て、自分も落ちたら人知れずこうなるのかと思うと、感無量であった、
という話。あとアレもあったな、晩酌しながら眺めてた16番のロクサンの
ジャンパをうっかり折ってしまい、自分で直そうとするも酔ってて手元が定
まらず、接着剤でダラダラにしてしまった話(笑)。こんなんばっかでスミ
マセン。

 こういった話を持つことも、羨ましかった気がする。

 この連載を単行本化するとかしないとか、そんな話もかつて出かかったら
しかった気がするのだけれど、あのMOOKに是非に収めて欲しかったとい
う想いは、10年後の今も変わらない。個人的過ぎるものではあったかもし
れないけれど、成果物としての作品だけでなく、そこにある「ファインダー
のこちら側」の物語、いわゆる資料性を超えた次元での、これもまた生きた
記録と、思うのだけど・・・・・どうです、この機に(笑)。

 予想されたことではあったのだが、10年という節目に、他にも色々と出
て来そうな、そんな期待もしてみたり。ああ、既に関水のロクサンがそうだっ
たか・・・・・で、特にトミックスから発売されていた、最終日を収めたビ
デオ、あれを是非とも、DVDで復刻していただきたく。忙しない日であっ
たにも関わらず、何故か静かでしっとりとした構成で・・・・・その腰を据
えて収めた造りに、マジで泣けたものアレわ。エンディングは明らかに泣か
せのテクニックに嵌められた感大アリだが、それは赦す(笑)。


(終)