***** 2008年7月6日 *****
(独り言)



 翌朝。

 途中で目が覚めたりもしたが、なんだかんだで7〜8時間くらい寝たか。
結構々々。ふんっ・・・あぁーっ。

 まずは軽井沢駅を覗いて、特に変わったところ無く、続いて矢ケ崎踏切跡
の偵察。ここも特に変わりなく・・・・・線路跡の再開発は、どうなってる
んだっけか?

 旧道をトロトロと降りて行き、C128付近の様子が少し違うのでクルマ
を止めると、中尾川橋梁へ通じる道に「土砂片付け工事中」なる看板が。鬱
蒼としてた草木が除かれキャタピラと思しき跡が走っていたが、下り新線の
方へ曲がった先で何やってるかは不明。「土砂片付け」なんだろうけど。

 眼鏡橋でもちょっと写真撮って、横川まで降りるとおぎのやドライブイン
はもう開いてて、お気に入りの朝定食で朝食。



 峠の湯で朝風呂とでも思ったが、1000にはまだ相当時間がある・・・・・
ただ時間潰すのも面倒に思えて、松井田の図書館へ行ってみた。考えてみる
と初めての訪問。なんでもっと早く来なかったんだろ。

 郷土資料閲覧室を開けて頂いて、ウハウハと物色。「広報まついだ」のバッ
クナンバーで碓氷線廃止や「文化むら」オープンの記事を見つけ、「碓氷峠
の旧鉄道施設」や、「阿武止氏機関車」・・・・・2両だけ輸入したED41
を基にED42を開発してしまい、スイスと国際問題化したという話は知っ
ていたが、その「前科」が元で、交流電機の導入の際には少数での輸入が許
されず国産開発を進めざるを得なかったという話は、知らなかったかもしれ
ない・・・・・CRHを笑えるだろか?(ぉ

 「重要文化財 碓氷線鉄道施設 変電所(丸山変電所)2棟 保存修理工
事報告書」。出たぁ。噂には聞いていたような気がするが、「アプトの道」
および丸山変電所跡の、補修の記録である。その沿革から始まり、修復前の
傷みや基礎の歪み、補修方法、時代考証等々。これは濃いぃ。

 変電所跡の建物の内側の壁が塗られておらずレンガが丸見えの箇所につい
ては、近代化遺産の全国一斉公開の折には「見せるため」との説明を受けた
が、こちらの資料によると、今後内装を含めた追加の修復の可能性があるた
め、あえてここで止めている、といったような事が書いてあった。なーる。

 なんだかんだで、2時間以上過ごしてしまった。



 安中榛名へクルマを向ける。どうというわけでもないが、天気も良いしで、
駅のそばのお立ち台で「あさま」でも撮ろうかと。県道の跨線橋から、安中
榛名へ進入する下り列車を見下ろす格好のここのお立ち台、開業前後の頃は
まだこの橋が無く、駅寄りの旧道(?)の橋の方が良い塩梅だった気がする。
試運転列車を撮ったハズだが・・・・・はさておき、炎天下の列車待ちとい
うシチュエーションも、たまには悪くなく。

 西の方でゴロゴロ言ってる。方角からすると、霧積あたり大丈夫か?

 クルマから折り畳み椅子を引っ張り出し、さっきコンビニで買った昼食と
しろくまアイスを食しつつ、跨線橋で座って撮り鉄モード。んー。ここで3
本ばかり撮る。



 高崎へ出ていつもの郷土本漁り。図書館で見たようなものはさすがに無い
として、新しいものは・・・・・今回は収穫なし。

 売り場をウロウロしていてふと、眼鏡橋の表紙が目に止まり。「積算資料」。
建築材料の見積もり用の資料だろうか。こういう感じでの表紙への登場は、
まあ珍しくないパターンではあるが。

 文庫のコーナーで・・・んんっ??

 「きのうの空」。志水辰夫著、新潮文庫。

 その表紙のイラスト、どう見ても、中尾川橋梁ですがな。軽井沢側から見
下ろしたアングルで、ロクサンの単回が下り新線のトンネルから出てきたと
ころ。隣に寄り添うように旧線のアーチ橋、背後にはC128付近の国道が
見える。旧線のトンネルに覗くライトが謎だが、間違いない。

 5年も前に文庫化されてたらしい。今日の今日まで気付かなんだ。5年も
前のがこの店で平積みにされていたお陰の、縁とも言える。

 たしか、C131〜132あたりからごそごそ入ると、中尾川橋梁を見下
ろせたんだと思うが、どんな構図だったかよく覚えていない。国道を通りか
かると、知った顔が丁度斜面から出てきたことがあったのは、思い出した(笑)。

 いや、このイラストのベースの写真が、あるんじゃないか?

 それはそうと、小説の内容と関係あるんだろか?



 隣のバイク用品店で「峠仕様車」ステッカーを発見(笑)。これの「車」
だけ切り放して三脚に貼ってたりするのだが、最近とんと見かけないのであ
る、これ。横軽廃止前の熱い頃に買ったのは上野のバイク街でだったが、そ
ういえばあの店この間倒産しちゃったんだ・・・・・上野の時代も今は昔。

 給油に洗車、カインズで激安ウーロン茶他を買い込み、再び横川へ向かう
と、とうとうぽつぽつ降ってきた。遠くで雷鳴も聞こえ、そのうち本降りに。
さっき速攻でふくピカしたのが奏功(笑)。

 さて今日はどう撮ろうか・・・・・ヘッドライトがあんなだし、室内灯を
活かして夜汽車っぽく迫ってみようかと考えたが、とりあえず丸山の、上信
越道の斜張橋の下の、かつてのお立ち台の逆サイ辺りにやって来た。まずは
斜張橋からめて狙ってみるか。

 うへ、サルに囲まれた。ユサユサと架線揺すって、縄張り主張か?

 昨日とは打って変わった空模様、日没1時間前にして、大分暗く良い感じ
になってきた。そこへ初便がやって来る・・・。

 ん?? ライトが明るいぞ。

 ややっ、あーっ! 客車のヘッドライトがオリジナルに戻ってるぅぅぅ!

 さすがに昨夜の懐中電灯作戦はNGになったか、それともヘッドライトの
球が切れてたか何かで、今日になって調達できたのか?・・・・・何にせよ
こちらとしては歓迎すべきことではあったが・・・・・ちぃ、昨日の全部撮
り直しだい。



 2往復目は、昨日と同じ30kmポスト付近で待ち構える。昨日より大分
暗く、ISO1600まで上げてみるもシャッターが1/60も取れず、腕
との相談で結構厳しい。背景のざんげ岩も、時折雲がかかり、気が気でない。
ギャンブルじみてきたな・・・。

 ぼう、とカーブの向こうが明るくなった・・・・・気がするがなかなか出
てこない。1905を過ぎ、顔を出すまで5分とかからないハズなのだが、
延発か? 刻々と暗くなっている中で、数分の間に露出が1段くらい変わる。
僅かな遅れが命取りになりかねんのである。ううう。

 ぼう、と今度こそ、レールも輝き出した。焦らすようにトロトロと姿を現
す。レンズに水滴が無いのを確認し、よーしよーしよーし・・・・・かしゃ、
かしゃ、かしゃ・・・・・ん、どうだ? なんとか? ライトが雨を照らし、
スモークのような効果を見せる。んー、撮れたか?

 3往復目の往路を、今日も乗ることにした。昨日のままでは終われん。

 昨日と同じように早めに切符を買って、横川駅の気配を窺っていたが、翌
日が月曜とあってはやはり違うのか、今から来る人はいないようだった。な
らばとよゆーかまして2往復目の到着を撮ってから中へ入り、よゆーかまし
ての展望車Vポジ確保。今日は10人も乗ってない感じ。

 うむ、やはりライトが明るい。前がよく見える。

 イチかバチか、ひとつ賭けていたネタがあった。本当は昨日のうちにカタ
をつけるハズだったのだがブツブツ・・・・・丸山変電所が、見えるのかな
と。うまくすればライトに浮かび上がって・・・。

 ゴトゴトと揺られながら、いよいよ丸山変電所。んー、やはり、ちょっと
離れ過ぎていたようで、ISO3200でもっても正面は見えず、辛うじて
側面が見えたがそれ以上は無理っぽかった・・・・・かくなる上は、今度は
ミニカムでもお見舞いしてやろうか(笑)。持ってないけど。しかしこのレ
ベルならば、マグライトでも行けたか?



 とうげのゆ着。返しの前に降りてしまうつもりだった。「アプトの道」を
独り歩く。横川SAの明かりが強烈に空を照らし、レールがそれを返す。そ
ういえば廃止を迎えた後、帰る日の夜はやはりこんな風に雨が降っていて、
最後に濡れたレールを撮って、碓氷を後にしたのだった・・・・・そんなこ
とを思い出し、ダメモトで感度上げまくりの手持ちで、ぱちり。

 こんなところを夜独りで歩くのは多少心細いが、足元はしっかりしている
し、空はこんなに明るいし、それに、まだ列車が走っていた頃、夜中の丸山
でお邪魔しまーすと声に出してみたら、それ以降怖くなくなったということ
も、あった。自己暗示みたいなものだろうが、結構そんなものなのカモ。

 丸山の切通しに差し掛かると、前方に何か見えた。ホタルだ。近付いて行
くと横川の方へ向かって飛んでいて、ゆっくり目の歩調を取ると、連れて歩
いているような具合になった。逃げるでもなく、方角を変えるでもなく、こ
のまま横川まで一緒に・・・。

 あ、もしや、どなたさん?

 そんな怪談じみた(?)コトが過ぎったりしつつ、おおそうだとシャッター
を切ってみると、ひゅぅぅぅっと光跡が撮れた。ほお。

 やや夢中になって繰り返していると、最終のシェルパくんに追い付かれそ
うになってきたので、ホタルが草むらで休んでしまったのを潮に、横川へ急
ぐ。



 到着する最終便に、体験運転のロクサンが照らされるのを撮って、これで
一通り予定終了。高感度三昧の2日間であった。個人的に、デジ一眼も今後
は高感度方面しか楽しみが無い感じなのだが、これまで光跡でまとめるしか
なかったものが、違う捉え方も出来るようになればまた、をかしからずや。

 夜行シェルパくん、今年は、その定着ぶりを見届けたような心地であった。
そういえばポスターも結構見かけた気がする。さて、来年はどうしたものか
・・・・・丸山ライトアップ作戦(?)は考えておくとして、これまで撮っ
たネタもまだ煮詰める余地があるし・・・・・ふと、刎石の覗きからがまだ
だったか、と思い当たり。うへ・・・。



(終)