***** 2012年5月13日 *****
(独り言)


 安政遠足。

 昨年は初めての中止。後に、何事も自粛というのはよくないのでは、と
いう論調へ世は移って行くのだったが、この決定があった時点(3月末〜
4月初旬か)はまだまだ大災害の発生直後というべき時期で、そこで仮装
は如何なものかという声もあったと聞けば、むべなるかな・・・・・他方、
例えば信越線は安中〜横川間が2週間も止まり、再開後も間引き運転、輪
番停電がいつまで続くやらといった状況下では、自粛云々以前に実際問題
として、やはり難しかったか。

 ともあれ、2年ぶりに今年は開催。これまで「あさま」や「シェルパく
ん」と、ランナーをからめてみたことはあったけれど、そういや俯瞰で迎
えたことは無かったなー・・・・・と昨年のコピペな気分で、天候も良さ
げだし、今年は行ってしまおうか・・・・・いや、今回丁須はパスで。

 それにホレ、GWを前に「アプトの道」が熊ノ平延伸、早速歩いてみた
いのである。



 悪い物でも食べたのか昨日は急にお腹がグルグルになって、うーうー横
になって一日棒に振ってた始末で、収まりはしたもののどうもまだ、落ち
着かない感じがあって。一方朝は春先のように寒そうだわ昼はしっかり暑
そうだわで着て行く物に迷う・・・・・そういや久しくクルマで遠乗りし
てなかった、そうだ電車やめてクルマにしようか、これならエマージェン
シー(?)にも対処できるし、上着も放り込んで行けばいいし、GW後の
脱力感で道も空いてるだろ・・・・・というわけで。

 いつものように暗いうちに出て関越道・・・・・考えてみたら半年前に
訪ねた時以来のコイツでの遠出でわないか。とうに「夏服」に衣替えして
たのだが今日ばかりは寒いので季節を巻き戻す。読み通りか道は割と空い
てたようで、横川に着いたのは0700頃。

 まずは駅を偵察すると「Kaeruくん」が消えて、指定席券売機に置
き換わっており。「Kaeruくん」については、なかなかオペレーター
に繋がらないとか、繋がっても遠いところにいて土地勘がないのか話が通
じないことがあるとか、割引の証明書を掲げても先方に見えないことがあ
るとか、あれやこれやで結果「買えぬくん」になっている、という評判を
人伝に聞いていたが、高崎支社管内・・・・・に限らず・・・・・では今
年に入ったあたりから廃止を進めているらしく、当らずとも遠からず、か?

 壁に案内ポスターがあって、それによると今度の指定席券売機は取扱い
が「Kaeruくん」より制限されるらしく、これで扱えないものは磯部
か高崎まで買いに行ってくれ、の由。横川駅のみどりの窓口の廃止が6年
前、役割を「Kaeruくん」に譲ったが、その「Kaeruくん」も指
定席券売機に置き換わって、さてどこまで、下がってしまったのだろう・・・
・・・そういえばみどりの窓口の頃は、「文化むら」の割引入場券も扱っ
てたっけか。秋葉原でも交通博物館の割引入場券を扱ってたが、ああいう
感じで¥50だけ安いアレ。



 R18の道すがら、途中安政遠足の案内看板や石灰の矢印が目に止まっ
ていたが、遠足、関所まつりの幟が立っててまずこのあたりをぱちり。関
所跡の前では露店が準備中で、既に祭りの気分が漂っていて。

 早く着けたので、ざんげ岩の前に丸山変電所跡まで歩いてくる。正月来
た時にはまだだったが、その後架線を撤去した筈なので・・・・・廃止後
テンションかけっ放しで、恐らく伸びているのだろうけどテンショナーの
錘も下がって来ていて、何かの拍子に切れたら危険なので、ということだっ
たのだが、さて「アプトの道」へ入ってみると、架線を撤去しているのは
上り線即ち「アプトの道」の側のみで、しかも架線柱の上を通っている線
・・・・・そういえばあれなに?・・・・・が架かってるままなので、想
像していたようなスカスカな感じはなく、むしろ予め知ってるか、注意し
て見ないとこれ、気付かないかもしれづ・・・。

 下り線はロクサンの体験運転があるから、ある程度残しておかなければ
ならないが、丸山まで1本では繋がっていなかったハズ、つまりここまで
は必要無いハズであり・・・・・もしや、もしや?

 変電所跡までやってきたが、光線が低くて建物はまだ陰っており。コス
モスの花壇は手が入っている様子。今年もシーズンが始まりましたか。



 横川へ戻って、いざ、ざんげ岩。安中のスタートが確か0800、トッ
プランナーの通過は0900より前・・・・・旧中山道駆け上がって熊野
神社まで2時間少々は尋常ではない・・・・・なのは確実だが、大方はそ
のずーっと後なので、見栄えのする仮装ランナー目当てで登れば、時間的
に余裕はあるだろうなと。

 当初の見当より時間がやや押してしまい、少々不安になってきたが、そ
れでも登るペースはそこそこで、0930頃には到着。下界を見ると、ぽ
つん、ぽつん、と時折ランナーが通過している。やや寂しいがピーク前な
のか、後なのか・・・・・走りっぷりからすると、まだピーク前だな。

 高崎方を遠く望むと、をを走ってる走ってる! こちらを目指して、
R18を走る人達が見えてる。今見えてる場所からこっちまで走るのを想
像するだけで気が遠くなるのは日頃の不摂生の賜物であったが(苦笑)、
徐々に横川付近を通過するランナーも増えてきて、さてこちらも、始めま
すか。

 かつて第十六中仙道踏切があった付近の、今は「シェルパくん」の立体
交差になっているそのアンダーパスあたりを目当てにしていたが、幸い道
路の向う側の端に寄って走っていたから良いようなものの、それでも手前
の草木に遮られて、ちょっと見え難く。線路の下を潜って出てきたところ
を、狙おうか。

 体験運転のロクサンが通り掛かる、その下を仮装ランナーが出てくる、
カシャカシャ!・・・・・これがまた、ロクサンが折り返しでそこで止まっ
てくれるものだから、結構長いことランナーを待っていられる。ありがた
や・・・・・今更ながらに、踏切が生きていた頃、ここから狙ったらどん
なに面白かったか。当時は時間的な余裕も手持ちの機材も、それどころじゃ
なかったけれども。

 高崎方の遠くを、まだまだ走って来る。基本的に旧中山道を辿るのだが、
第15中仙道踏切は渡らず、そのままR18を進んで、おぎのやドライブ
イン手前の歩道橋を渡り、渡ったら角を折れて駐在所の前を通って線路を
潜り、関所跡を通って、「シェルパくん」の線路を潜り、松井田西中脇の
細い道からR18に合流し、坂本のダラダラ坂へ・・・・・その場所々々
で、沿道に人が出て応援してる。ランナーはそれに応えたり、その気力も
残ってなさそうだったり・・・・・上から見下ろしていてはなんだか申し
訳ないけれども、そこここで同時進行している、それぞれの「マラソン大
会」が帯のように連なっているのを一望していると、なんというか、絵巻
物でも見ているような。

 そろそろまた通過ランナーが細ってきて、もう歩いてる人が目立つよう
になり、坂本の方を見やれば、圧縮効果も手伝ってか、あのダラダラ坂を
色とりどりのランナーがずーっと連なってる。この坂では流石に、多くが
歩いてる(笑)。関所コースの、最後の最後でこの坂はなあ・・・・・い
やいや皆さん、お疲れさまでした! 向うには関所コースのゴール、くつ
ろぎの郷の賑わいが見える。



 ときに今日は陽気もいいためか、3人程登山者がここを通って行った。
2人組で「あれが温泉のあるところ」と横川SAを指差しているのにはど
うしようかと思ったが(困)、関所もアサッテな感じだったので、あそこ
の声が聞こえてくるところですよ、今日お祭りやってんですよ、とついつ
い口出し。いやしかし、今日の丁須もいい感じだろうなあ・・・。

 それと「シェルパくん」、自称(笑)DB20が復帰なのである。黄色
のピンチヒッターももういない。ただ本調子ではないので相変わらず「ま
るやま」までの区間運転。過日報道の新型機関車が来シーズン投入という
から、このDB20の「シェルパくん」としての雄姿も、今年で見納め、
なのですな・・・。

 「シェルパくん」の暫定ダイヤでは始発が後へずれて1025発、大方
のランナーが通過後になってしまうのを危惧していたが、それとロクサン
のように良い場所で止まってくれないこともあって、手応え的には・・・
・・・うーむ。

 さてさて横川駅は一通りの工事が終わったのか、スッキリとしてて。ホー
ムの屋根は結局、前より短くなったような。「文化むら」には新幹線用の
トンネル巡回車が新たにお目見え。どこに据えるのだろうと思っていたら、
鉄道展示館の改築した辺りの国道側に、上から見ると黄色いのと緑色のが
ぽつん、ぽつん、と見えた。



 下山して、まだ時間が押してる感じなのでそのまま「めがね橋」駐車場
へ。新しい駐車場を知ってか知らずか、橋の手前のC=32あたりにも結
構なクルマが。

 軽装モードで橋の上へ出て、いよいよ「アプトの道」の延伸部分へ。

 最初の第6隧道からしてもうこの区間のハイライトのようなもので、例
のシャフト付のトンネルで。煉瓦の壁が、新緑の緑色に染まってる。国道
からもその窓は見えていたが、こうして中で佇むと、外観の延長でトーチ
カにでも籠っているようなというより、森の奥にいるような趣があって、
俄に立ち去り難い未練を感じる。椅子でも持ち込んで、外光で本でも読ん
で一日過ごしてみたい、ような・・・。

 2ヶ所のシャフトをパチリパチリと撮りながら、これを抜け、橋だった
りトンネルだったり・・・・・第5橋梁は国道のC=60へ降りる階段が
あって、橋もちょっと撮れるのだが、第6橋梁はただただ上をスルーする
だけでその姿を拝めないのが残念。第6橋梁、結構好きなのだ。アーチを
挟んだ煉瓦の壁のような姿に、何故か惹かれる・・・・・ここに階段がな
いのは、考えようによっては国道から見た眺めも手付かずということで、
そこはポジティブに考えよう。



 そんなこんなで、とうとう熊ノ平。めがね橋からは僅か1.3km、そ
れでも通勤ペースで歩くわけはないのでそれなりに時間は要したか。トン
ネルを抜け、母子像の前で新下り線を渡り、上下線の間を進み、ホームの
外れ辺りでまた下り線を渡る。途中、上りホームにある「碓日嶺鉄道碑」
も、上り線を渡って近寄って見ることが出来る。

 それより何より、懐かしい・・・。

 廃止直前のフィーバーぶりのずっと前、かつてまだ色々と大らかだった
頃、変電所前のスペースは駐車場と化していて、皆思い思いに列車を撮っ
ていた。その後の様変わりを思えば、なんというか、牧歌的ですらあった。
特にこの場所への拘りもなかったので大したものも残していないが、逆に
言うと良い時期の横軽・・・・・の最後の頃だが・・・・・しか見ておら
ず、そういう意味では、その牧歌的な思い出だけの残る場所とも言えて。

 C=93の門扉からトンネル越しに、そのちょっとしか見えない視野内
の成り行きを見ていた。一頃は「シェルパくん」すらやって来そうな勢い
もあったが、廃止後15年を経ようという年に現れたのは、「アプトの道」
の延伸と、熊ノ平の開放だった。ゆっくりでも、確かに進んではいる・・・
・・・この先旧線は新下り線に転用されているので、「アプトの道」もど
うするのかは判らないが、遊歩道にする技術的問題だけで考えたならば、
旧線よりハードルは低そうである。ただ軽井沢町に跨るので要調整だろう
とか、この先は中尾川橋梁以外地味そうだとか、色々ありそうではあるけ
れど。

 階段で、C=83の駐車場へ降りられる。駐車場はめがね橋のそれと違っ
て未舗装の砂利。でその階段を降り始めるところに、建物跡らしき、ブロッ
クらしきものが見えるのだが、さてさてこれは「玉屋」跡だったかどうだっ
たか・・・。



 来た道を返し、クルマに乗って矢ヶ崎、軽井沢駅を偵察。久方ぶりに
「治安の礎」見て、バイパス下って、これまた久方ぶりに安中のカインズ
覗いて、高崎の書店覗いて・・・・・どこも特にこれといって無し。

 高崎ICから関越乗って・・・・・藤岡JCT、この壁かあ(ぉ・・・・・
上里SAで夕食。長電仕様の七味唐辛子イヤーモデル缶に触雷。



(終)