***** 2014年5月3日 ***** (独り言) 富岡製糸場が世界遺産登録へ、というニュース。そこへ至るにはこれま で紆余曲折があって、女工哀史は他所の話ですというポイントに腐心して いたのも印象的だったが、一時碓氷旧線まで引っ張って合わせ技にした日 にゃ、外野的にやや無理筋めいて見えなくもなかったが、その後また色々 見直しを経て、今回の運びとなり。 5年前に一度、立ち寄ったことがあった。日産製の織機(豊田が有名だ がここは日産とガイドの人が強調してた)がそのまま遺されていて、明治 の頃を彷彿させるというより、その「活きた時間」の生々しい様がむしろ 好ましく思われたのだったが、このあたりがどうなるのかも気になるとこ ろではある。ある程度の量産規模で稼働している製糸場は、国内では山形 県と碓氷に残るのみだとのことで、その碓氷の製糸場の映像が富岡で流れ ていたのだったが、直接の見学は難しいのだろうな・・・。 さて、「峠に挑む 〜碓氷峠〜」上映会&トークショー。彩の国ビジュ アルプラザという所で催された。その告知には・・・、 > 鉄道博物館の荒木氏、元国鉄運転士の土屋幸正氏、大石和太郎氏を交え ・・・などとあり。アノ方がとなればこれわ。 今日は元々厚木飛行場でヒコーキ見るつもりでいて、それも海自の YS−11は今回で見納めかもしれずこれはこれで外せないのだったが、 あれこれ遣り繰りを試みると、掛け持ち出来なくもなさそうだ。 大移動である。 朝一で厚木飛行場に並んでどうにか開場から入れるまでの時間を圧縮し、 開場したらしたで脇目も振らずにお目当てへ直行、しみじみするのもそこ そこに駅へ引き返し、乗り継いで乗り継いで遥々鳩ヶ谷、そこから歩いて やっとの現着。残念ながら上映には間に合わなかったが、トークショー前 にはどうにか滑り込んだ。 受付の人によると盛況であるらしく、予約して良かったと思いつつ会場 に入るとほぼ満席。幸い後の方に空席があってそこに納まった。 やがてアナウンスがあり、ステージには前出のお三方と、進行役のお姉 さん、そしてもう一人はテレビ朝日の勝田和宏氏。何故・・・・・タモリ 電車クラブの会員ではあったがどういう脈絡でいらっしゃるのだろう。 「タモリ倶楽部」で云々という自己紹介から入って、時折タモリの鉄が らみの話を交えつつ、子供の頃夏に軽井沢へ行くのが恒例だった由なのだっ たが、ロクサン連結するのそっち側じゃないだろー、機関士乗るのそっち じゃないぞー、適当に調子合わせてんだろーなどと聊か酷なのかもしれな いが、しかし「タモリ倶楽部」でも軽率キャラをツッコまれてたし、そん なトコロでそこはそれとして。 しかし廃止から17年目、無理からぬところは色々あって。 進行役のお姉さんは全く縁が無かったそうで、話の内容自体からして何 かと前置きを必要とする事柄が多い中、EBがどうとかOSRがどうとか、 メインのお三方が当り前のようにポンポン繰り出すものだから、後の2人 がポカーン、となることもしばしば。話の加減から予め題材の打合せはし ていたようなのだが、やはりどうにも難しい。 観客の側もコアな風な人が目に付いた一方、廃止時に生まれてなかった 世代もいたりして、「積み残し」は相当出ていたハズ。 そんな中、上り列車が矢ヶ崎から最初のトンネルへ入るところの、奈落 へ落ちるような様だとか、アリアリと思い浮かべることが出来るワタシ・・・ ・・・などというチンケな料簡じゃないから。ないってば。 ときに会場では釜めしの販売があったらしい。トークショーの面々も打 合せで食べてたそうだが、ここらはおぎのやのフットワークか。 おぎのやといえば、ロクサンの運転をしながら駅で顔馴染みの売り子さ んとの対話や、釜めしを買う乗客がなかなか終わらないでいると少し発車 を待ってあげたり・・・・・遅延といえば遅延なのだろうから「古き良き 時代」限定なのかもしれなかったが、「人」の現場とは言えたかもしれな い。 他に今頃になって気付かされたのは、上り列車では走り出してみるまで 重さが判らなかったという話。下りは横川で待機しているその傍らを、こ れから押し上げる列車が通過するので、窓越しに混み具合をある程度把握 することが出来た。たしかどこかのビデオでも、機関士のプロフェッショ ナリズムの文脈でそこに触れていたように思う。 ところが軽井沢でも待機は上り方だから、これからエスコートする列車 を見ないまま、誘導されるままに連結することになる。発車の最初の引き 出しで、ある程度は感触を得たかもしれないが、矢ヶ崎を過ぎいよいよ下 り勾配に入ったところで、おっとっとっとこれは重いゾ、ということもあっ たらしい。 そらそうだ。言われてみればその通りで、今の今まで、気付かなんだ。 話は他にも色々と尽きなかったが、あっという間に時間は過ぎて。やは り聴きに来ていた峠仲間と、茶してメシ食って、17年か知らない人が増 えてるわけだ歳食ったわけだ、などと。 (終)