***** 2014年7月5日 *****
(独り言)


 ホタルの季節。

 10年目のシェルパくん、そして今年もやって来た「ホタルの里まつり」。
新機関車としては2年目の、夜汽車シェルパくん。

 ダイヤは昨年と変わらず。

    ぶ    と
    1830─┐
      ┌┘1900
    1930└┐
      ┌┘2000
    2030└┐
      ─┘2100

   #ぶ:ぶんかむら と:とうげのゆ

 昨年7/31の火災以来「峠の湯」は休業中。あの賑わいが引き算な今
年はどうなるのかと気を揉んだが、1週間前になってようやく、運転が発
表された。土曜日のみというのは変わらず、今年もフィードバック無しの
一発勝負で臨むしかなく。

 本題は日没後だから急ぐ必要は全く無いのだったが、それでは勿体無い
と貧乏性丸出しで本日も日の出より営業。この時期行楽客の足も鈍るので
楽勝ではある関越乗って・・・・・とこれが、この次あたりでトイレ休憩
入れるかと思った矢先高坂SAの分岐の目の前でいきなし事故渋滞。とな
るとこれはエマージェンシー必至だぞと、ぐーっと車線変更してSAに飛
び込む・・・・・ふうー・・・・・用を足してるとサイレンが聞こえた。



 幸い渋滞も膀胱も大事には至らず、まずは高崎駅。

 SL釜めし。

 JR東日本高崎支社とのコラボであるらしく、SL列車の運行日限定。
まず釜が違う。黒塗り。食材が全く違う。香の物も違う。ごはんもイカ墨
で黒く炊いてる。竹の箸まで黒く染めてある。いつもと変わらないのはお
手拭きくらいなもの。

 そして¥1.8Kナリの溜息価格。

 実は先月別件でこっちへ来て食べてたのだが、黒塗りの釜を、一応もう
ひとつ押さえておこうか・・・・・哀しい性である。

 ついでにお茶でもとコンコースのコンビニに入ると・・・、

 「峠の釜めしおにぎり」。

 え?

 おぎのやのあの、オレンジの掛け紙の絵柄そのまんまの袋の、おにぎり。
ただし中央の大きく「釜めし」と入る部分は「鶏ごはん」となってる。よ
くよく見ると空弁のようなおぎのや「監修」ではなく、製造元としてその
名がある。直々に作ってるのかこれ。

 袋には「数量限定」ともある。エリアを限って試しに展開してるところ
なのだろうか・・・・・いつから販売を始めてたか判らないが、いつもい
つの間にか、色々展開してるおぎのやの、身軽さというか強かさというか。



 横川へ向かう。道中R18沿いに「碓氷峠鉄道施設も世界遺産追加登録
へ!」的な看板が立っていて。富岡製糸場が目出度く世界遺産登録と相成っ
たところだが、山一つ隔てた安中側では、そんな展開が続行中で・・・・・
一度は合わせ技的に一緒に推薦対象の中に扱われていたのが、方針転換で
また外されたという経緯もあって、富岡を突破口に、という思いは残るの
でしょうなあ。

 そういえば、と久々に碓氷製糸場と近くの「製糸踏切」をチラ見して、
横川のおぎのやドライブインへ。

 紙の器の釜めしを期待したが、1100からの販売だとかでまだ早かっ
た。仕方ないので通常の釜めしを・・・・・富岡製糸場世界遺産登録記念
の掛け紙をゲット。先々月求めた「応援」バージョンの文字がちょっと変
わっただけだけど。

 今日は肌寒いのでなめこ汁も、と。

 SL釜めしは?・・・・・行き掛かり上こういうことなので、こちらは
お昼にしよう。肌寒いくらいだからそうそう傷まないだろう。

 土産物を物色してて、鉄なストラップが目に止まる。前からあったのか
もしれないが、ゴムと思しきやデフォルメされた車両が3両連なって、ぶ
らーんと下る格好のもの。ドクターイエローとかE2系「あさま」とか、
そしてEF63と189系の「あさま」。

 ん?

 違う。

 その向き逆デス。

 ロクサンは蓄電池蓋まで表現されており、つまりちゃんと向きがある。
ところがこの重連に連なるクハ189は、1エンド側つまり、横川方に連
結されているのだなこれが。

 揚げ足取りをしたいわけではないがエラーはエラー、考えるに多分、こ
ういうことではないか・・・・・一時丸山に静態保存された、2両のEF
63と189系「あさま」編成は、世の悪意に晒されて横川駅まで戻って
きた。その時防犯上の理由か何かでEF63を「文化むら」側つまりここ
では本来と逆の下り方に据え、何年もそのままに置かれた。

 事情をよく知らない人は、あの4番線にあった姿を「現役時代の再現」
と思い込んだとしても、おかしくはない。ちゃんと資料を当たれよという
部分もないではいないが、アレを見て一旦刷り込まれてしまったら、その
認知バイアスを解くのは容易ではないかもしれない。

 例えば現在「アプトの道」になっている、「文化むら」の外れの立体交
差も、あれは鉄道廃止後に造られたもので、最後の日までそこは踏切だっ
た。けれども線路は綺麗に繋ぎ直されているし、「アプトの道」の方です
らレールを敷き直した上から踏面が覗く形で舗装されているから、ずっと
そうだったかのように信じても不思議はない。

 「事実」はかくも容易く、独り歩きしてしまうのかもしれづ・・・。



 雨がポツポツな中、旧道を上る。久しぶりに眼鏡橋をぱちり。そんだけ。

 熊ノ平の駐車場付近にやたら人だかりがしてて、こんな雨の中なんだろ
う、歩け歩けの会か、と通り過ぎながらチラ見していたら、核兵器云々、
国民平和大行進・・・・・凡そそんな感じの文字が見えた。

 デモ? 熊ノ平で??

 あとで調べると、原水協の全国行脚であったらしい。そういえば今年は
ゴジラ誕生60周年・・・・・そっちを言うか。

 霧でおっかなびっくりしつつ軽井沢駅着。グッズ系物色するも特にこれ
といって・・・・・しな鉄は「ろくもん」というのが登場で、無論真田の
アレに因んでのことであろうが、平仮名にするとこの、ゆるキャラ感は。

 NEWDAYSでE7系の絵柄の缶ドロップを所望。

 北軽井沢に出ると晴れてきて、SL釜めしをまずここで平らげ、以前訪
ねた折には閉まってた観光案内所の、草軽電鉄の展示物を見学。

 その後は吾妻線旧線を行く651系「草津」などを撮り、安中榛名で
E7系やらE2系やらと、先月のトレース。ぐるーりと横川へ戻って来て、
ようやっと本日の本題に入る。

 長い。

 長いついでにしつこくおぎのやドライブインに寄る。紙の釜めしは本日
の分は終了のようで次回に譲る。今朝見てなかった、富岡製糸場関連のグッ
ズを物色すると、マスコット「お富さん」のキーホルダーが、まだ「世界
遺産登録応援」バージョンだったのでこれを所望。



 さて、今日の・・・というか今年の夜汽車シェルパくん、どこからどう
撮ったものかと一日思案していたが、有難いことに雨は止ん・・・・・雨
でなければ俯瞰も、という選択肢は今回あまり気乗りせず準備してないの
だなこれが。

 一方しばらく添乗しておらず、カメラも代わったことだし撮り直してみ
るか、とまずはそれと、あとは光線の良さそうな時間帯に走行をどこかで
・・・・・というわけで「文化むら」へ行ってシェルパくんの切符を先に
押さえる。

 夜に乗るのは6年ぶりですわ。

 3往復あるうちの最初の1往復はまだ時間が早く、これはリハーサルと
して本番は2往復目、そして3往復目の往路で乗って、終点「とうげのゆ」で
その復路を見送って締める・・・・・クルマは横川に置きっ放し、最後は
歩いて降りることになるが、まあこれは仕方ない。

 撮影ポイントは上信越道下の、霧積川越しと決めた。「シェルパくん」
のシーズン終わり頃なら西日ギラリが狙える場所だが、露出の関係で案外
空が明るく写ってしまうので、ここなら背景の山で空を切れるだろうと。

 丁度1往復目の列車が出るところだったので、例の立体交差のところで
これを見送る。背景の五輪岩が霞んで見えづ。

 さてポイントへ。この辺りで護岸工事か何かやっていた頃は良かったの
だが、それが終わってからこっち草木がボーボー、霧積川沿いに上流へ向
かう小道も、こんな日は濡れた草でびしょびしょにされそうな塩梅。今日
はそちらへは入らず舗装路の終端で狙うのだが、伸びまくりの草木で脚立
を引っ張り出さないと視界が開けない有様。足元では増水した霧積川が
ゴーゴー言ってて、これでは誰か・・・・・人間でも動物でも・・・・・
が近寄っても気配が判らづ、そんな中で迎える日暮れの、心細しきことよ。

 しかもペンライトとか忘れてるし。やる気あんのかオマエ。

 まずは1往復目の返しで、こんなもんかいなーと、ぱちり。蒼く沈ませ
た風にすると車内も真っ暗に写るくらい、まだ明るい。

 これが折り返してくる頃が丁度良かろう、と待つのだったが、その僅か
な間に見る見る暗くなって。露出を変え感度を変え、あれっ、あれっと言
ううちにどんどん落ちる。ピーカンではないから雲の具合でも変わるのだ
ろうが、西に山を控えたこの土地ならではの「落ちっぷり」というのも恐
らく多分に、あるんだろうなこれ。

 今来てくれれば、頼みますすぐ来て下さい、という思いをよそに、ぼう、
っと架線柱が浮かび2往復目の列車がやってきた頃には、露出はもうカツ
カツ、機材と腕との相談でこの先はもう後処理でなんとか、とすがる思い
で、ぱちり・・・・・うぅーやはり真っ暗かあ。

 この返しまで粘るつもりだったが、早々に試合放棄して、最初の立体交
差に戻り、半ばヤケクソで、ぱちり。敗北感に包まれつつ「文化むら」へ
向かう・・・。



 まずは夜闇に佇む「シェルパくん」をぱちり。イソイソと乗り込んで、
往路終便でもあり今年は「峠の湯」が休業ということも重なってかどうか、
大分空いてるところで先頭のデッキの真ん中を陣取る。

 車内には窓際と天井の灯りの下に風鈴が下がってる。日中といい夕暮れ
といい、走る姿からチリリン、チリリン、と聞こえてきて涼を醸してくれ
てる・・・・・今日はちと寒いくらいだったが。

 やがて発車。試し撮りを繰り返しつつ、まずはヤードへ引き上げてる、
体験運転のロクサンと、クハ189。カーブを過ぎると丸山の切通し、上
信越道を見上げ、そして丸山変電所!

 夜汽車シェルパくんに乗るのは実に6年ぶり・・・・・と先にも書いた
が、その間シェルパくんの先頭客車はヘッドライトの強化・・・・・元々
夜間走行を想定していなかったのか、ヘッドライト1灯では光量不足だっ
たようで、当初は係員が懐中電灯で照らしたり、その後自転車用と思しき
LEDライトを追加したり、さらにその後その追加分が大きくなって、現
在の3灯固定に至っているのだが、しかも6年前の記録を穿り返すと、あ
の時はメインのヘッドライトが切れてた様子で、そこと比べれば相当に、
条件は良くなっているハズなのであり。カメラも新しくなったし。

 その増灯分で、建物により光が回るかと大いに期待されたわけで。

 んが。

 線路脇に柵があった。増灯分は車体の裾の方、連結器よりちょっと上と
いった高さで、丁度柵にかかってしまうようで思った程の効果が得られづ・・・。

#後で調べると柵との位置関係はそこまでシビアではなく光線は回ってい
#た模様。ここでの失望は殆ど当人の思い込みと責任転嫁といえる。

 ああ、高速レンズが必要か。フルサイズも必要か・・・。

 列車はまだまだ進む。変電所前のカーブを過ぎ、霧積川橋梁に差し掛か
ろうかというところで、何かが横切った。

 イノシシだ。

 列車も速度を落として警笛を鳴らす。親子で数頭、堂々の直前横断。こ
こらへんでイノシシはこれまでも見たことはあったが、帰りはやっぱり国
道歩いた方が無難だな・・・・・それ以前にペンライト忘れてるし。

 更に進んで本線から分かれ、「とうげのゆ」着。その駅名が示す峠の湯
は昨年の火災以来の休業中、夜闇に薄ぼんやりとそのシルエットが浮かぶ
のみで、辺りはホーム以外ほぼ真っ暗。この変わりようは大きいな・・・。



 その変わりようを降りてぱちり。返しは昨年グダグダに終わった本線と
の合流付近で見送る・・・・・暗い。

 やれやれと終わったところで、ホタルの里まつり会場でホタルをチラ見、
鮎の塩焼きはやっぱり無いわい、と早々に退散。高崎の書店で毎度の郷土
本チェック、上里SAで遅い夕食の後午前様で車庫に入れて、気が付いた
らそのまま朝・・・・・久々にやっちまった。



(終)