***** 2017年11月4日 *****
(独り言)


 夜汽車シェルパくん。またまた走る。

 丸山変電所と紅葉のライトアップ付き。

 昨年の今頃もそのような企画があって、4往復ばかり走らせていたが、今
回は「峠の湯」とセットのツアー形式で、1往復のみの運行。撮り鉄的には
完全一発勝負で厳しいが・・・・・去る 9/30 にもツアー形式の企画があっ
たが、あの時はかなり鉄向けな濃さを売りにしていて、今回も、「文化む
ら」内で一旦停車して展望車からロクサン撮影会、途中駅の「まるやま」
でも臨時停車して、こちらは途中下車しての変電所建物の撮影会と、ター
ゲットが明確(笑)。今後はこういう方向で、内容で客単価も上げる作戦
なのかもしれない。

 一方、「近代化遺産の日」の季節で、今年も丸山変電所跡建物の内部を公
開する・・・・・のだが、例によって情報発信が殆どない。勝手知ったる
こちらとしては、そろそろだなとネットで「公報あんなか」電子版をチェッ
クするのみだが、「全国近代化遺産活用連絡協議会」の公開スケジュール
には載らなくなってしまったし、ライトアップまでやる「文化むら」も昼
間は知らぬとばかりのスルー・・・・・例によって「上毛新聞には出てた」
(笑)の同紙は、「今日から」「昨日から」といった風の記事が載るのだ
ろうが、相変わらず外の世界(敢えて言う)とはなんというか、隔絶して
いる。

 そんな中でも、「安中市観光機構」が SNS で「昨日から」と伝えたのは、
これまでからすれば前進かもしれなかったが、そもそも普段からフォロー
してなければこの情報に触れることもないし、それこそ「文化むら」あた
りがシェアなり「いいね」なりしてくれれば・・・・・とこれまたスルー。

 これは最早、シナジーだのに気が回らないというより、敢えて避けてる
のでわと訝るレベル・・・・・このあたりから、変えて行きませんか、お
金頂戴言う前に。(ぉ



 はさておき。最大のお目当ては夜汽車シェルパくんなので、夕方には間
に合えば良いのだが、そこはそれ、丸山変電所の公開もあるし、それに折
角だから・・・・・とえらい早起きして、朝っぱらから磯部〜安中で 115
系をぱちりとド鉄。妙義の山々を背景に、丁度朝日が雲から出て、さらに
何故かその一角だけ刈られずに残った金色の稲が・・・・・スバラシイ。

 我ながら、持ってるな。

 横川へ着くと「文化むら」はもう開いていて、シェルパくんは1000の始
発前の身支度中。これを丸山で出迎えるかと、カメラだの持って先へ行く。
丸山の直線に入って振り返るとざんげ岩。天候は今一つになってきたが、
色付いてるしとりあえず始発はここらで撮るかと、待ち受ける。

 変電所建物は既に開いていて、通りすがりのハイカーなどが入って行く。
それを横目に、まずはシェルパくんの返しだなと「まるやま」駅傍の紅葉
絡みの構図を物色。さらに1100の便をあーでもないこーでもないと狙って、
そのまた返しは紅葉がらみで流し撮りを試みるも、ブレは足らないわ列車
は止まらないわ、遅い、遅すぎる・・・・・以前コスモス絡めた流しで
1/8 秒まで落としてみて不足だったので、今回もう一段 1/4 秒まで落と
したが、これでも足らづ。もう駄目。ところで今日は臨時停車して乗客降
ろして見せてるようで・・・・・連携はしてるんだよなー。

 合間に変電所建物内を見学。特に変わった様子もないが、開いてると聞
いてすっ飛んできましたといった前のめりな客よりは、開いてるから入っ
て来たという通りすがり客ばかりの様子で、応対する人も、運が良かった
ですねーなんて具合で・・・・・この人知れず感が。



 横川へ戻り、ひとまずおぎのやドライブインで昼飯でも、と思ったがこ
れがたいそうな混雑で、コンビニでも行くかという気になりつつ、グッズ
類をチェックしていると、「碓氷峠めがね橋」と書かれた手拭い。紅葉の
イメージか。

 だけど、めがね橋の上をロクサンが走ってる(爆)。

 これ、ED42にキハ82でも続いてたら、萌え死にしそうなんですけど・・・。

 とはいえそのロクサンも結構ディテール押さえてる。全体のタッチがイ
イ感じなので、ツッコミつつも所望。

 コンビニでお昼にありつき、ひとまず落ち着いたところで、さて夕方ま
でどうするか・・・・・しな鉄の軽井沢駅の様子を、ちょいと見てくるか
と旧道を走ってみたが、めがね橋付近が混雑、ああ紅葉真っ盛りの三連休
だったわい、この調子では夕方に戻って来るのも危なっかしいゾと引き返
し、霧積温泉の偵察に変更。

 今日は風呂目当てでないものの、これまでに何度か入った、きりづみ館
が無くなってるそうなので、いわばトワイラな感じで・・・・・この道へ
入るのも 10年以上ぶりではないかと思われたが、新幹線の橋を造ってた
頃などを思い起こしつつ・・・・・できりづみ館、やっぱりない。綺麗さっ
ぱり、ない・・・・・西條八十「帽子」の看板だけは、そのままだった。



 シェルパくんが走り始めて10余年、その最初の年から「ホタルの里まつ
り」に合わせて夜汽車を走らせてきた。ただ梅雨時という季節柄、十中八
九が雨がらみ、良くて止み間、好天などはまず望めなかった。

 そんな中でもこれまで二度ばかり、間隙を縫うように俯瞰撮影に挑んだ
ことはあった。ぬかるんだ足元から這い上がってくる蛭を弾きながらのざ
んげ岩(11年前)、雨雲の実況データを見ながら、抜ける、もう少しで抜
けると信じて雷雨の下でしゃがみ込んでた、刎石山(8年前)。前者は銀塩
撮影、後者はデジながら1000万画素級・・・・・できれば、撮り直してお
きたい。

 一方、文化むらサイドで変化が起きているのか、「ホタルの里まつり」
以外でも夜汽車企画を始めた。まず昨年8月、いきなり丸山変電所のライ
トアップ企画で、それは始まった。次には紅葉の季節・・・・・つまり丁
度1年前に、同じようにライトアップと夜汽車。前者はまた雨に祟られ、
初めてのライティングで課題が残った風だったが、後者はそこそこの天候
でライティングも改善、この時俯瞰決行のチャンスでもあったが、ご同輩
との競合が起こらない・・・・・全然いなかった(笑)・・・・・うちに
と、まずオーソドックスなところで押さえることを、優先した。つまり一
度見送っている。

 今年の「ホタルの里まつり」でもライトアップが行われ、ライトアップ
がノーマルになった様子・・・・・シェルパくんのライトに浮かぶ様も捨
て難いのだが致し方ない。そして先の 9/30 には、ツアー形式の企画が始
まる。今回はそれに続く形だが、「ホタルの里まつり」以外としては、私
の知る限り、4度目の特別運行となる。

 で。

 少々雨がパラつく局面もあったが、天候は上向き。いよいよ再び俯瞰を、
カマす時が来たのである・・・・・ああ、来ちゃったよ(汗)。



 まずはざんげ岩である。ここからライトアップされた丸山変電所を狙う。
20年前ならベルボン・マーク7を運び上げることもしたが、流石に無理だわ
とマンフロ #190・・・・・本庄80周年記念のアレ・・・・・に落とし、予
報では北風が強まるような話も聞かれ、吹きっ晒し半端ないざんげ岩だし
もう1本要るかと、小さいジッツォ #126 を足したが、合わせるとマーク7
より重いんじゃないかなどとは考えないようにして、ともかくリュックに
括り付けた。

 山歩きというよりロッククライマー然とした人達が、自分のクルマで荷
解きをしながら、怪訝そうにこちらを見ている風なのを背に、いざ登山口
へ・・・・・最初の階段にして、こりゃ重いぞと体が訴えだし、気分まで
重くなる。最悪、途中でジッツォだけでも置いて行くか・・・。

 最近でも軽装であれば 40 分程で登れるところ、1時間くらいに余裕を
見ていたつもりが足が進まず、結局 1時間20分くらいかかって、もうバテ
バテ。見下ろすとシェルパくんが、被写体担当のロクサンが、遠く丸山変
電所が、それぞれ支度を整えている。丸山変電所の妻面、半分隠れちゃっ
てんだよな・・・。

 ともかくカメラを引っ張り出し、まずは何枚かぱちり。三脚を据え、枝
にカンテラを吊るす・・・・・厄介事は御免なので、下から見えないよう
に・・・・・幸い風はない。

 発車時刻は 1700、情景が青く沈みつつある中、シェルパくんの汽笛が
鳴った。少し進んで、被写体のロクサン手前で停車・・・・・降りての撮
影会ではないようで、乗れば見えるアングルではあったが、この暗がりで
は速度が稼げないから、止まってくれればそれだけで、有難い。時折スト
ロボが焚かれている様子だったが、そのへんはご愛嬌で。

 夜景とするにはまだまだ明る過ぎたが、それでもその間刻々と沈んで行
き、パチリパチリとそれを撮る。シェルパくんは再びゆっくり動き、ロク
サンの傍らを過ぎたところで、また止まる。今度は 2エンドを見せている
風。ナルホド。



 その間に本命の構図にセッティングする。大分暗くなってきたのでフレー
ミングがよく判らず、撮っては再生して確認。AF ましてや肉眼ではアテ
にならんので、ライブビュー拡大でキューっとピントを合わせ、水準器で
水平決めて・・・・・とやってるうちに、シェルパくんがまた動き出した。

 ちょっと読みが外れたか、と修正を加え、などと繰り返すうちに、シェ
ルパくんは「まるやま」着。木に隠れてロクに見えづ・・・・・なーんか
ワタワタしてしまったが、銀塩の時の方が、腹括って撮れた気もする。

 上信越道の橋は通行するクルマのライトに浮かび上がり、なかなかいい
塩梅だった半面、シャッターを長く開け過ぎたか、前照灯に照らされる明
るい世界と、尾灯の光跡がくっ付いてしまい、短いシェルパくんの影が残っ
ていない(汗)。

 これが、一発勝負。

 宿題になっちまったか・・・・・また来るしかないの? えー・・・。

 「まるやま」で降りてる人達は、ここからではとうとう視認することが
できなかったが、やがて発車して「とうげのゆ」の方へ向かうのを見届け
て・・・・・光跡微妙・・・・・こちらも撤収。

 返しは、ここでは撮らない。



 今回の夜汽車は 1往復のみ。チャンスは限られるが、見方を変えれば、
至極シンプルな話でもある。そして有難いことに、その間 2時間余りのイ
ンターバルが、あった。

 それだけ時間があれば、動ける。

 月明りこそあれど下山はすっかり暗闇、だが勝手知ったるざんげ岩、迷
わず降りられる。思えばここでシュプール号を撮るために買ったのが、今
なお現役なヘッドライト・・・・・富士山あたりではタングステン色も今
や自分くらい・・・・・を灯し、そろり、そろりと。

 クルマへ戻り、C-9 の中山道入口へ走る。刎石の覗・・・・・ここなら
ハシゴできる。

 リュックに括り付けてた 2本の三脚の代わりに、マーク7を抱えて、いざ。
「刎石坂」は碓氷越え最大の難所だが、それでも天下の中山道、夜道とし
ては歩きやすいのが有難い。ひいこら登り切ると「覗」、坂本から、遠く
高崎方面まで見通せる窓。

 暗がりで構図に入りそうな枝を照らしては、あーでもない、こーでもな
いと、ここいらかというあたりで、また撮っては再生のフィードバックを
繰り返しているうちに、「とうげのゆ」を出るシェルパくんの汽笛。

 まずい。ピント出して、半ばままよと上信越道と絡めて丸山の直線の光
跡を・・・・・そういえば、変電所のライトアップは終わったのか? 木
が伸びて隠れてるのか? ワカラン。

 続いて第16中山道踏切付近で、ヤードのロクサンがライトで照らされる
ところを・・・・・煮詰めの試し撮りを繰り返しているうちに、もう写っ
てる! うへえ・・・・・かくなる上はひたすら切るのみ、どうか、どう
だ。



 久々の体力勝負の余韻に暫し浸りつつ、機材を片付けて、山を降り、横
川SAで遅い夕食にありつき、一息入れる。今回の「夜汽車」は過去の撮り
直しに終始したが、それでも丸山変電所のライトアップは初めてであるし、
刎石からの眺めも、抜けの良い、8年前とは違う趣で撮れた。

 昨年から「何かが違う」文化むら。一時は「ホタルの里まつり」の運行
すら危ぶまれる話まであったが、こうして「夜汽車」が走ってくれていて、
先のことはフィードバックを得ながらのことになるのだろうけど、「呼べ
る」企画に育ってくれることを、祈る・・・・・乗らなくてすみません(汗)。



(終)