***** 2019年2月22日 *****
(独り言)


 「サムライマラソン」、観たさ。初日に観たさ。

 原作である土橋章宏著「幕末まらそん侍」は単行本で読んでいたが、史
実をベースに、その史実の隙間に巧いことフィクションを入れて行き、最
後は賑々しく大団円・・・・・だったように思う。

 映画を観るにあたって、改めて読み返すことはしていなかったが、原作
者が原作者なので「超高速参勤交代」の延長的なテイストを、ぼんやり想
像してたのだったが・・・・・ん゛ー、さて、どうするよこれ(苦笑)。

 史実や原作は、知らなかった方が良かった・・・・・そら、安中城下か
ら江戸へ向かう飛脚追いかけたら関所、などというあたりから、ああこれ
は予備知識が邪魔になるヤツだな、そこは忘れろってことだな、と気付き
はしたとはいえ、峠へ向かうのに下り坂かー、中山道が熊野神社で終点かー、
てかゴールでもないんかオイ・・・・・といった辺りも、受け流せばいい
トコロではあるのだったが、そこいらへん全部ひっくるめて・・・、

 どうよこれ。

 俳優陣は堅い。故に作りの荒さが際立ってしまって、個々の実力が、な
んだか空回りしてる。多少のご都合主義も罷り通る「勢い」も、乏しい。
となると後はアラばかりが見えてきて、これどこに着地するんだ、おいお
いそれはないわー・・・・・昔見た「将軍 SHOGUN」のような異国テイスト
といい、結局何がしたかったのやら、という大いなる謎だけが、残った。

 ああ、佐藤健の、腰を落としてスススと走る姿だけ、妙に形になってて
印象的だったな。見所はそこくらいだ。

 オール庄内ロケ、という話だけ先に伝わっていたが、公開の舞台挨拶も
そっちで行われた由、制作サイドとしては「地元」はあくまで庄内なので
あって、物語の舞台という意味での「ご当地」の安中市は「素材」に過ぎ
ないらしい。つまるところ、置いてきぼりである。

 ロケの都合は仕方のない事だが、例えば「のぼうの城」のそれのように、
最後に現代の中山道の様子でも出るかと思いきや、「安政遠足マラソン大
会」のスタートの映像・・・・・それも借りものっぽい・・・・・がチラッ
と出ただけ。安中藩の地域に踏み入れた気配すらない。安中市の「特別協
力」とは、この映像か、名前貸し程度だったのか。

 「安政遠足」に続き、金栗四三の映像が続いた時には、ポカーン。その
後日本代表のマラソンランナーの映像が続き、日本初のマラソンは脈々と
息づいている・・・・・と言いたいらしい。イカニモ取って付けた感が半
端ない。

 安政遠足から遡ることおよそ 100年、宇和島藩で「遠走」なるものが催
されたという史料が最近出てきたそうなのだが、それもさておき。

 まあこのタイミングである。

 トーキョー2020である。

 文科省方面には、話を持って行き易かったであろうことは想像に難くな
い。売れた本書いて映画も売れた作家の作品を素材にして、名のある監督
を外国から呼んで、実力ある俳優陣を揃えて、サムライハラキリ首チョン
パなガラガラポンして出てきたのが、この映画である。

 オトナの事情感満載。



 前に録っておいた、タイムスクープハンターの「風になれ!マラソン侍」
編でも見るかな。早いとこモヤモヤを上書きしたい(苦笑)。できること
なら、勝新太郎が出てた方の「まらそん侍」も。


(終)