2002.9.13 丘珠
 勿体ぶった前置きは止める。丘珠である。再び、いや三度・・・・・ん、何度目だ・・・・・ともかく、試される大地へ臨むのである。 今回は空港を共用する陸自の基地での「航空ページェント」という催しに絡めてみた。超割と、JASのバースデー割特を使える幸運。 エプロンから、日頃見られないアングルで狙ってみようかという魂胆だったのだが、催し自体の情報が判るにつれ、 なんだかこっちの方が面白そうになってきた。楽しむに限る。で、彼の地は既に夏を過ぎすっかり秋の陽気であるに違いないが、 こっちこそ随分と涼しくなって、ヘタするとあちらの方が暖かいのでは、などという話になっていたり・・・。なんだか読めないので衣類もちと増える。

 整理整頓とはおよそ馴染まぬ性分、荷作りは今回もえらく手間取り、アレが無い、コレが無い、などとやっているうちに睡眠の為に残された時間は2時間を切った。 毎度毎度同じ局面に見舞われながら、そしてまた同じ繰り返し。学習・・・ネズミ以下かい。はっ、と再起動がかかるは、 目覚ましの鳴る直前。こういう時の緊張を、他でも発揮したらどうかと、身近な人間に言われたりもする。どうにも、なんだか、 脳内でどっかがアンバランスなのカモ(汗)。アンバランスゾーン・・・・・これからの30分、貴方の目は貴方の身体を離れ・・・・・いかん、二度寝するところだった。

 モタモタしているうちに、京急電車の乗るつもりだったスジに乗り損なう。次を待つとこれが物凄く後になってしまい、羽田に着けばこれまた混雑。 ああ、超割最終日でしかも、連休を控えた金曜日だからか! ともかく、チェックインの列に並ぶ、やべぇ、やべぇ、と焦っているところへ、 「函館行851便のお客様いらっしゃいますかぁ。函館行・・・」はいはいはいはいっ! 助かったぁ。ちょっとごめんなさいよぉ、 列をすり抜け前に出る。荷物を検査機に通し、カウンターへ。やれやれ。

 ほっと溜息をついていると今し方呼んだ同じ人がやって来て、荷物は締め切りました、と告げた。・・・へ? リュックに三脚に脚立、 預けるつもりだったのに。機内持ち込み用にショルダーバッグとカメラも出しちゃったよ・・・・・呼ぶならもっと早く呼んでくれりゃあいいものを・・・・・ ま、ギリギリに来た時点でアレである。致し方あるまい。ともあれチェックインを済ませ、荷物を引き摺り先を急ぐ。手荷物検査、 三脚は「危険物」と見なされ取り上げられた。なんか屈辱的。うーむ面倒になってきたな。搭乗口で荷物を預けるようにとのことなので、 改札(?)でその旨伝え。中身は?、カメラです、では壊れても文句言わない誓約書にサインを・・・・・とその紙キレが無いらしくどこかへ走る係員。 イチイチ引っかかるねぇ今日は、と呆れながらも、己の遅刻に起因することを思えばただただ、申し訳なく。のたくり書体でサインをし、 ボーディング・ブリッジを急ぎ、機内へ。まだ自席へ辿り着けぬ乗客が通路に大勢、内心ほっ。あった、ここだ。前の方でラッキー。 「当機は只今、搭乗のお客様をお待ちしていたため・・・」私はもう座ったさ。ホラホラ、みんな早く座ろうね。(ぉぃ

 にしても、この便何度か乗ってるけれど、今回はいつに無く大混雑。今まででは、見渡す限り1/2か1/3くらいしか埋まってなくて、 好きな席へ移動してくつろげたのに。やはり超割最終日&連休接続、の威力か。やがてプッシュバック。ここからしばし、勝負。 いやホレ、どこかにYSの姿を認めるかもしれないじゃん。窓枠に顔を嵌め込むようにして、外を窺う。機は機種を北に向ける。 続々と離陸するは16L/R、北へ向かうこの機は、きっと16Lだろう・・・。エプロンを横目に進むも、ダッシュ8は見えたがYSはいない様子。 道路を渡りC滑走路へ向かう。滑走路に進入し曲がり切るなり止まりもせず加速開始、やがて地面が斜めに遠ざかる。

 と。

 おおっ、地上にYSと思しき姿が。A滑走路南端付近の、ANAのハンガー前のエプロン。よーし、見えたぁっ! これまでの経緯から、 見るとしたらあそこだろうと思っていたが、いやま、そんだけ。にしてもアレは、既に退役したJA8722なのか、他の機体か・・・・・ (あとで聞くところによれば、ANKマークが消された状態らしい)。

 函館着。荷物が最初に出てきた。ははーん、ナルホドねえ・・・・・いや、これっきりにしたい。荷物を受け取り、 丘珠行きのチェックインに直行・・・・・これがまたここで混雑。今日はホント、どうしたんだろ。外国語やらが大声で飛び交う中、 すぐそこに見える荷物検査機までの遠いこと。ようやく荷物を預け、待合室へ直行。起きてから何も食べていないので、サンドイッチなどつまんで一息。 丘珠からのYSが着くのを迎える。JA8744・・・また乗ったことある機体か。しばらくして、今度はロシアの飛行機が到着・・・をを、 アントノフだっけか、とガラス越しに窺うと、727を小さくしたようなジェット機がやって来た。あれがそうなんだろか。 予備知識が無いのが辛い・・・・・(曜日的には、サハリン航空のアントノフが来る日らしかったが、時刻が早く、機材もウラジオストク航空ヤコブレフ40のよう・・・臨時便?)。

 放送で呼ばれる。何か悪いことしたカナ、と心当たりも無いのに漠然とした不安・・・。チェックインカウンターまで来てくれとのこと。 あ、さっきの777の座席にレンズキャップ忘れたんだ!、すげえな判っちゃうんだ、などと勝手な期待もするも、こちとら既に待合室、どうすんだ。 とりあえず搭乗ゲートの人に訊くと、カウンターに問い合わせてくれた。なんでも今度の便が満席なので、ANAの「フレックスパートナー」とやらで譲ってくれないか、 との話。ああ、そういえばそんな登録していたわ・・・・・席を譲り他の便に変えるとお金をくれるのである。うーみゅ、帰りの便なんかで、 そういう局面を期待していたのだけど、今かぁ、今は困るな。これから現地へ乗り込むところなのだから・・・・・申し訳ないけど今回お断り。 因みに幾ら貰えるものなのかと問えば、¥10Kと。超割¥7Kで乗るのに¥10K貰ったら、こりゃ大変だぞ!? アテ外れのキャップの方は、 札幌のヨドバシで買うしか無さそうだ・・・。

 搭乗。函館から乗る回数は、羽田のそれを越えているような気が。いつものようにエプロンへ降りる。さっきのロシア機を横目に、YSに向かう。 天気は上々、もうあまりパチパチ撮る事も無いのだけど、今回は新兵器「撮れっきりコニカ・ワイワイワイド」持参、17mmのアレである。 こいつで自分撮りしながら前進(笑)。傍目は気にすまい。

 今回の座席は3D、プロペラのすぐ横、窓が一つ塞がっている席。以前3Aに乗ったことがあったけれど、その騒音といったら、 恐らくキャビン内一に違いない(笑)。やがていつもの手順で、エンジン始動、タキシング、そして東向きに離陸。雲が多く、雲海の上を飛ぶ。 流れる雲と、ぶーんと回るプロペラを眺めて過ごす。まったりと時間は過ぎて行き、高度が下がってきて、下に街が見えた。札幌市。 高層ビルがポンポン見えるのは、駅前の辺りか。ならばと目で追っていくと・・・・・ああ、あれだ、つどーむ。朝の光にキラリと光る。 これを遠く右に見ながら、飛行機は一旦石狩湾へ出て、右旋回、再び陸上に戻ると、見る見る地面が迫ってきて、もう丘珠。滑走路上に入り際、 気になる麦畑をチェックするも、さすがにもう土しか見えづ・・・来年撮り直すしかないのか・・・・・と、タッチ・ダウン。 いつもの営みに便乗しているという、淡々とした実感。タキシーウェイ脇にビデオカメラのクルーが。はてさて?

 また「ワイワイワイド」で自分撮りしながら(笑)エプロンを進み、空港ターミナルへ。送迎デッキにはぽつぽつと、ギャラリーが。 荷物を受け取り早速上へ出る。今乗ってきたJA8744が直にまた出発するので、これを見送ろうと。他のギャラリーもYS狙いなのかと思えば、 どうも視線がおかしい(笑)。スチルにビデオに、皆遠く滑走路の端を睨んでいるので、はてと思えば、小さ複葉機が見えた。ぶーん、と飛び上がって、 早速上空でくるくる回り出す。ををを、ロック岩崎のペアじゃん。ナルホド、ギャラリーはこれがお目当てというわけか。明後日のイベントに向けて、 着々と。お、スモークを出してんじゃん、ならばと、YSのバックにぱちり。

 やがて降りてきて、エプロンの隅で何やら盛り上がってる風。さっきのビデオのクルーもやっぱりこちらの取材らしい。入れ替わりにYS出発。 そのまた入れ替わりにダッシュ8「すずらん」が降りてきて、続けてYSが降りてきて「ひまわり」「すずらん」と3機並び。過渡期、を象徴するカット。 ・・・今にして気付いたコト。そっかダッシュ8は補助エンジンが付いてたんだった。止まってからが五月蝿いのね、意外と。これは発見・・・・・ちうか、 このヒトのいない時じゃないと、もう生録は苦しい。

 そろそろ滑走路南端へ移動・・・・・2階まで降りて来た時、前回訪問で観た写真展がまだ開催中であることを知る。そろそろ他も観たいカナ、 と内心勝手なリクエスト。にしても、やっぱすげーな・・・。さて、工事現場を迂回するとなると、どう回り込んだものか・・・・・歩くこと30分、 ふう。その頃になるとなんか、陰ってきて光線が苦しい。1便だけ撮って、うーん・・・・・そうこうするうち、ぽつん、ぽつん・・・・・ありゃ。 もういいや、とターミナルへ取って返す。ぽつぽつぽつぽつ・・・・・ありゃりゃりゃ。 予報に雨の気配も無かったから、これが雨具も持って来ていなかったり。ともかく急いで歩くしかない。くぅぅ。

 気配に空を見上げれば、またロックが飛んでる。通りすがりに気付いた人が、皆空を見る。食料調達に立ち寄ったコンビニでは、 前の駐車場で営業の外回りらしき兄ちゃんが「おーおーおー」と見上げてる。古き良きというか、ある種の意外性と、そして憧れと・・・・・ ヒコーキがそんな存在だった頃を、ふと想ってみたり。

 戦意喪失気味、ターミナル屋上でぼーっと過ごす。だって曇っちゃってるし。・・・・・そうこうするうちにまた日が射してきて、 エプロンのYSも午後の光に輝きだす。せめて夕方のギラリだけでも狙うとするか、と根っこの生えかかったところをまた滑走路南端付近へ移動・・・・・まあ、 今日はこれでも、まだそんなに歩いていない方では、ある。ダイヤ上では16:45着の函館からの便。このへんか、このへんか、と場所を決めて、 西の空の雲の動きを気にしながら、待つ。やがて、北から東の空を回りこんで来る機影が見えた。よーし陰るなよ、陰るなよ・・・・・いよいよ最後の旋回を終えて、 着陸灯が輝く。よーしそのまま、そのまま・・・・・びぃぃぃぃぃぃぃぉぉぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅんんんんんんん・・・・・エンジン・ナセルがギラリと光る。 背景の深く青ざめた雲に、映える。まだ日が高いけれど、それは致し方ないか。撮れたか。どうか。どうだろな。

 と。

 東の空に虹。狐の嫁入り・・・・・頭上は晴れているのだけど、西の方に怪しい雲、時折パラパラと来るのだけれど、一方でそんなオマケが。 広い場所だけあって、アーチが丸ごと見渡せる。お、とここでまた「ワイワイワイド」を取り出す。ををを、さすが17mm、入る入る(笑)。大活躍だなこれ。

 次までの間、本でも読もうかといってもぽつぽつ来るので、雲を眺めたりしてぼーっと過ごす。なんだか至福。時に単機で、 時に編隊でローパスを繰り返す、ジェットやプロペラの小型機、これも「航空ページェント」のリハーサルか。なんか良いな、この時間の流れ方。

 事前に調べたところによれば、日没は17:50、稚内からの便の到着が18:05、前倒し傾向があるにせよ、やや微妙なトコロ。西日ギラリは間に合わないにしても、 夕焼けと絡められないか・・・しかしこの雲では、どうか。そうこうするうちにやがて日暮れ。雲は多いが細切れの綿雲、空のグラデーションに表情をつけてくれる。 悪くないじゃん。いつしか滑走路にも灯が入り、振り返れば着陸灯が見えた。ほぼ真下から、グラデーション主体で後追いで狙ってみる。 びぃぃぉぉぅぅんんんん・・・くぅぅ。背後からの押し潰されそうな気配に耐えながら、フレームに入るなり連写。むむむ。 ぶぉぉぉぉ・・・向こうで音が変わる。余韻・・・・・緊張からの解放。青みを残した夕闇に、綿雲のシルエットがゆっくり流れる。

 終了。ここまで来ると駅までは遠いかなと、バス。既にバス停で時刻はチェック済である。んで通りまで出て歩いていると、近付いてくる着陸灯が。 はてさて、函館発の終便のダッシュ8にも、まだ早過ぎる・・・・・おおっ、YSだあ。なんで? なんで? ダイヤの乱れは無かったハズ ・・・・・まさか「航空ページェント」展示用かえ!? なす術も無く、見送る・・・。夕飯からや氏合流、千歳で怪しいYSを目撃とのこと。むむむ。