2003.9.14 鹿児島
 ベッドに倒れ込んだまま、落ちた。用心の為にまず目覚ましだけは設定しておいたのだが、これがクセモノ、蚊の鳴くような(誇張ではない)音で呟くばかりで、 どー見ても課せられた役目を全く果たしていない。それでもハッと目覚めたのは本能、或いは執念というものか。我ながら少々驚きもしたが、 そういう姿勢を少しは責任あるコトへ向けたらどうかと、よく言われる・・・・・歳を食う朝の、そんな目覚めであった。じっと手を見る。

 まあ、安いのがとりえのようなBHだし・・・・・ともかく支度をして出立。空港バスは初便の次に間に合った。どうやら当初の思惑の、15分遅れに収める。 うつらうつらと揺られて、やがて空港到着。今ひとつシャキッとしない身体を自ら追い立てるようにして、早速に送迎デッキへ。さすが、 まだ飛ぶヒコーキが無いうちから開放である。スバラシイ。身支度を整える、YSやらサーブやらQ400やらを、ぱちぱち。突如EOSの1台が不調に。 2本のISのどちらもガタガタ。電池を換えるも回復せず、途方に暮れる。帰ったら修理だな・・・。

 それもそこそこに、北側のトンネル回って逆サイへ。とりあえずは順光で、エプロンに並ぶプロペラ機達と、その離陸を狙おうかと。さっきのEOS、いつの間にか復活。 以前丘珠で、レーダー波に意地悪されたことがあったけれど、その類だろか・・・・・うーむむむ。やがて次から次と、YS達が飛び立って行く・・・・・ コクピットをアップで流してみたりするも、こりゃ一朝一夕には無理臭い。しかしこの賑わいよ。それは見せ物でも何でもなく、日常の風景なのである。 レンズを向けてウハウハしつつ、今まさに、ここで、そんな「時代」に居合わせていることを、ちょっと噛み締める。歴史と呼ぶようなスパンから眺めれば、 人の営みというのは儚い。いつかは終わり、或いは変わっていく。一生という許された持ち時間の中での、そういったモノやコトとの縁。 逆に見ればその縁こそ自己の一部でもあり、それ故にある種の慈しみさえ、覚えるのやもしれぬ・・・・・それって単に自己愛の一面でわ・・・・・ぶーん・・・・・ 見上げれば青空を、上昇中の白い機影が過ぎて行く。行って来るよとばかり、朝の陽射しにキラリ。

 彼らが戻って来るまでの間に、茶畑へと移動。日も高くなってしまい、半逆光に近くちょっと空が白濁気味になるも、うまくいけば・・・どうだろね。 露出が怪しい。次に滑走路南端まで来て、陽炎立つ後姿などを狙ってみる。真後ろの方へ回るとここ、ジェットが滑走を始める際に、強風に晒される。 無論、ジェットの推力。カメラを庇いながら、ををを、すげぇ、と興奮を覚えつつも、なーんか身体に良く無さげなので、息を止める。そういえば伊丹の南端の堤に、 排気が身体に有害なのでここに立ち止まるな、みたいな看板出てたっけな・・・。下から仰ぐ格好で、頭上を過ぎるYS入れて、ワイワイワイドで自分撮り。 うーん、どうか。

 今日はギャラリーが多い。狭い道へどんどんクルマで入り込んで来る。今はまだ良いだろうけど、これが来年再来年となると、えらいことになるんだろな・・・。 にしても不思議なのは、クルマの中でじっとしている人。外回りの人が昼寝でもしてるんかと思いきや、無線を聞きながら、チラチラ外見てる。 現場まで来ていながらガラス越しでチラッと見るだけというのも勿体無いと思うところなれど、そのへんは通い慣れた人の余裕、なのやも知れづ。 鉄からやって来た身としては、時折こうして比較文化人類学的に(笑)色々と見えることもあり、これもまた、いとをかし。

 そんな中に、昨日の夕方の人が、お仲間と連れ立っているようで、どーもー、と。例によって気紛れと我侭で色々組み立てているので、とりあえずご挨拶だけ。 そろそろ西日を考えなくては・・・・・ギラリはどうだろね、と南端の延長上をウロウロ。鉄と違い線路が無いから、 実際どのへんに現れるのか見えないのが辛いところだが、幸いここは他機種も織り交ぜて便数が割とあるので、助かる。大体当たりをつけ、そのまま国道まで出、 一旦空港ターミナルへ戻って補給。そろそろ身体がキツイ。試食のさつま揚げをつまみつつ(ぉぃ、明日のオマケのプランなど練ったり。送迎デッキへ出て、 午後順光のところでぱちぱち。改めて思うに、羽田と比べて建物が低く、つまり視点も低い。タキシングも活き活きとして見える。うーむ。

 さてと、来た道を戻る。うー。先程目星を付けた辺りで荷物を降ろし、YSの現れるのを待っていたのだが、なんだか西の空に雲が出てきてしまい、 ちょっと厳しい。ギラリは無くとも、せめて西日の赤味掛かった順光・・・も無理臭い。日が出たり隠れたり、うまいタイミングで出てくれないかと祈りも空しく、 血色悪い光線状態の中で、YSが降りてきた。終了。

 凹んでもいられない。また滑走路沿いに北上して、北側のトンネル付近で離陸をシルエットで狙う。クルマ組はとうに先回りしていて、 やっぱレンタカー借りるべきだったかなと、ちょっと思う。クルマが逆に足手纏いになることもあるので、諸刃の剣なんだが・・・。 日は薄雲に透けて、昨日と似たようなコンディション。よしよし。135mmまでの標準系ズームで行こうかと思ったが、100mmからの望遠に換える。 さていよいよ・・・・・んが、滑走路の随分後ろまで下がってしまい、離陸が早い。高い。マズイ! ここで太陽は捨てるべきだったのである。 太陽に向けて待ってて、あー入らないぃ!・・・・・終了。二兎追う者は何とやら。駄目だ。今日は駄目だ。

 いやいや、まだまだへこたれないぞ。また来た道をずんずんと戻る。・・・・・と。消防施設を回り込んだ頃である。遠く着陸灯が。 なーんか見覚えある感じだよな・・・・・あ゛ー! ダイヤが少し乱れているようなのはウスウス感じていたのだが、こんな所で来られても・・・・・ 取りも直さず金網に張り付いて、滑走路を折れてターミナルへ向かうところを、ぱちり。バックが思い切りターミナルビルとはいえ、 夕焼け気味の逆光でどうにか。なーんか、ただ撮りましたって感じだなこれ・・・。またまた片付けて南端を目指す。

 夕焼けは昨日に劣らず、いや昨日より良い感じかもしれない。グラデーションとともにシルエットで撮って、 もう少し沈んだところで今日は滑走路のキラキラを入れてみようかと思うも、待てども暮らせども、来ない。もう駄目だ、とiモードで情報を撮ると、 さっきのうち1便、早着で紛れていたらしい。うー。終了・・・。さっきから闇に乗じて(をゐ)地元らしいカップルが来てチチクリ合ってたようなのだが、 邪魔したな。ごゆっくり。

 今日は生録はやめ、バルブに徹する。ターミナルへ戻り、ビルへ向かうその道すがら、昨夜狙った場所を覗くと、なんとYSでなくQ400が鎮座している。 うっそぉ。大体運用によって毎日同じスポットに納まるのかと思っていたのだが、こりゃ参った。ともかくまずは、送迎デッキへ出て、月の出までエプロン方面のバルブ。 昨日の月の出は何時頃だっけか、最初に月に気付いたのが何時頃だから、それにもう1時間弱なのかな・・・・・それより、午後から出だした雲が気になる。 もう出ている筈だろよ、というところで、昨夜狙った場所へ戻る。なんかトーイングカーで移動したようで、昨夜と同じ場所に、またちゃんとYSが収まってる。 ナルホド。さて月が見えたら即応だ、と三脚を伸ばしていると、薄らぼんやり、ソレと思しきものが見え。月だ。すかさずバルブ体制に入るも、見えたり隠れたりで、 それが月であるとはちょっとわからない感じ。何かモヤモヤとあるぞ、じゃ絵的にイマイチだよな・・・。結局、宿題になってしまったか。 次回来た時にはそこにYSがいなくて、みたいな辛酸はこれまで幾度も舐めてきたが、ともかく、「次」があることを、祈るだけ祈る。

 もう少し早く上がるつもりだったのだが、結局昨夜より遅い、終バスの1便前のバスに収まる。またまたどこだか判らない道を走りながら。 この2日間の手応えを振り返る。鹿児島空港、妙な喩えかもしれないけれど、なんだか丘珠空港がそのまま大きくなったような感じ。 恐らく地方空港を知らな過ぎるだけなのだろう。結局また宿題を抱えることになり、こりゃまた来ないと駄目だなと・・・・・ちうか、初めて丘珠を訪れた時から、 同じ所をグルグル回り続けているような気がするのだが。

 西鹿児島で「つばめ」をバルブなど。明日は鹿児島を発つ。網走に続き結局、寝てちょっと鉄しておしまいのようである。明日は今日よりも早い。ふう。