2004.9.19 鹿児島
 夜明け前の起床。間もなく秋分の時分、それに明石よりそこそこ西にいるから、普段の感覚より多少楽な気分もありつつ、今日は日の出より営業。(ぉ  目覚めは良かったものの昨夜ひっかけた缶チューハイのためか少し頭痛がするところをみると、元々弱いにしろ少々疲れているらしい。 こんなこともあろうかと持参のバファリンを飲みつつ東向きの窓から空を望むと、聊か微妙なものを含むものの、朝日は期待できないでもなさげ。

 ともかく仕度をして、クルマに装備一式放り込み、いざ滑走路逆サイへ。草の朝露に靴やらが濡れるのも構わず、金網に張り付く。振り返ると雲が ・・・・・うー、どうだろね。日出時刻をとうに回り、辛抱すること暫し、朝もやの中に、白い機体が仄かに赤く染まる・・・・・ とはいえ周囲既に明る過ぎ。うーむ、薄雲が・・・・・もっとギラギラが欲しかったぁ。後々の楽しみにしておくか。 そうするしかないのだけれど、とりあえずは明日もあるし・・・。

 さて、続々と出発する頃までにはまだ間がある・・・・・高屋山上陵、ロケハンしてみようか。ここから霧島連山方向が開けていれば、 ウハウハ間違いなし。ともかく麓にクルマを止め、参道の苔生した長い階段をひいこら登る。鬱蒼と木々に覆われて、ひんやりとした空気が心地好い。 登りきると社があり、頂上はまだ先だったが、古墳(?)であるらしく宮内庁(だったかな)名義の看板とともに柵が巡っている。 皇太子時代の昭和天皇もここを訪れたとの碑もある。ちと場違いだったか・・・・・肝心の視界は枝が生い茂るばかりで、この先は進めず、 元よりやんちゃな真似をしてまで撮ろうとも思っていなかったが、あわよくば俯瞰ポイントにという下心も、しおしおと萎えた。 頂上の向こう側が依然気になるけれど。

 出発便は隣の山の上床公園にしようか・・・・・と、雨がザザー。うー、朝からかよ。これじゃ見えないなと滑走路逆サイに変更、 雨模様が狙えるぞとクルマを走らせるも、空港の傍まで来たらこれが、パラパラと降ってるのか降ってないのかといった状況。通り雨の典型だ ・・・・・ならばとまた引き返し、もう何でも良いぞと上床公園。やれやれ・・・。

 と。

 俄に日が射して来た。あらま。東の空には入道雲。をを、入道雲など今年最後のチャンスかもしれぬ。光線的には逆光気味だけど、 じゃあヒコーキをシルエットにしてぇ・・・・・と考えているところへ、第一陣が出発して行く。そういえばここで判ったことには、 昨日のようなRW16の着陸と違って、RW34の離陸では高屋山上陵に隠れないこと。Q400やサーブの方が、 もっと上昇率も大きいのだけど・・・・・西日を受けながらの離陸に、ちょっと期待。

 到着便を狙いに、滑走路北端へ。また雨が降り出して、着陸灯狙い・・・・・・迂闊にも、立ち位置が滑走路より低いことを忘れていて、 「地平線」の向こうに沈んだ後何が起きているのか判らづ。うーむむむむ。南端へ回って高屋山上陵をバックに次の離陸を狙うも、 滑走路の途中から入ってしまい、この立ち位置からではどうにも・・・・・それよかジェットの離陸の水飛沫にゾクゾク。

 さて、予ねてからの懸案が色々とある中、今日はとにかく俯瞰ポイント探し。これといってアテがあるではなかったが、 とりあえず向こうに見えている霧島連山からではどうか、などと考えていて・・・・・しかしあまりにも距離があり過ぎ。 これは駄目であろうという公算大、ではあった。ともかく、駄目なら駄目と確認をしておこうか・・・・・そんな気分で、 標識が「霧島温泉」と指す方へと、クルマを向ける・・・・・道すがらまた嘉例川駅に寄ってみて、 丁度お昼時なので駅前で農作物やら民芸品のような諸々と一緒に売っていた自称(!)「嘉例川駅弁」を食す。列車も来たのでちょい鉄。

 さて霧島温泉までやって来た。青い空に雲の感じがさっきより良さげで、ダッシュで戻りたい衝動に駆られつつ、ともかくロケハンを。 入浴だけも可という看板に惹かれるも、ここで温泉なんぞに入ってしまっては今日のスケジュールが全部飛んでしまいそうなので見ないことにして、 霧島神宮へ向かう道へ折れてみると、くねくねとした山道の右側の視界が開けた。もしやと目を凝らすと、遠くに何やら長細いモンが横たわっている ・・・・・やややっ、鹿児島空港じゃん。やっぱ、スーパー大俯瞰出来るのかぁ。しかしここでは空港しか見えず、 離着陸するヒコーキを捉えるならば、もう少し左右の視界が欲しい。まあどこかに適当な場所はあるのだろう。どの道遠いケド。

 大体判った。霧島連山からではさらに遠過ぎるというのも、よぉーく判った・・・・・あんまし変わらんかなここまで来たら。 とりあえず、今日はもう良いので来た道を戻る・・・・・「まほろばの里」の手前だったろうか、左手の視界がぱっと開け、空港が見えた。 あっ、ここなら・・・・・さっきより良さげ。路肩にクルマを止め、カメラを出して覗いてみる。400mmじゃ厳しいが、 テレコンかまして夕焼けシルエット狙いだとかなら・・・・・時計を見ると、もうすぐ1310発屋久島行が出る・・・・・ふむ。 とにかく今後の参考にでもと、かしゃかしゃ。旋回して手前へ来ると、上床公園から見る距離感に近いかな・・・・・大体の通り道が判れば、 別のアングルも考えられそうな。

 またまた上床公園へ戻り、出発便を雲がらみでぱちぱち。今度は順光。アプローチも狙うも、やっぱり小さいな・・・。 入道雲も青い空とくっきりとしたコントラストをなし、あらためて撮る。しかしやはり、小さなYSと、入道雲のスケール感と絡めるのが、 ちと難しく・・・・・寄り過ぎてはただの雲にしか見えないし。ついでに良い形の所通ってくれないし(苦笑)。

 あー、そういや今頃、新宿で「名機伝説」のトークショーじゃないかな・・・。

 今回最初にここに来てから、そろそろ24時間・・・・・なんとも長いような。それだけ濃厚なのだろうけど、いやはや。へろへろ。 昨日撮ろうとしていた西日離陸も撮り・・・・・手応えはさておき・・・・・着陸はアップで西日ギラリと行くかと、滑走路南端へ移動。 日曜日だけあってそこそこギャラリーのクルマも詰めかけていて、すれ違いもままならないような狭い道だからそこいらへんに止めるわけにはいかず、 皆それぞれ僅かなスペースを融通し合っていたけれど、こりゃYS的にいよいよ盛り上がってきた頃が、非常に不安・・・・・ 平日を狙うという逃げもあるだろうけど、何か対策を考えておかねば・・・・・折り畳み自転車買うか(笑)。

 進入路真下付近はそんな具合ながら、順光側の奥へ進むと軽トラが1台いるきり。あれま。空はバッチリ晴れ、これはイケそうである。 カメラを取り出し、別の便で軽くリハーサル。ふーむ・・・・・どうしても引っ掛かる木が。脚立に乗ってみるも足場が心許ない。 あまり下がると別の木に遮られてこちらへ向かってくるところが見えないし・・・・・あ。鉄でよくやんじゃん、木を透かして流し撮りっての。 それだ。・・・というわけでサクっと振り抜いてみたつもりだったが、手ブレ補正が悪さするわ、手前の木でAFが誤作動するわ・・・・・ って、そんなもの切っとけ(呆)・・・・・どうもEOSメインになってから、そういう切り忘れだとか非常につまらんミスで、 失敗している気がする。はあぁ、F−1にサンニッパ、あの頃の張りつめた感覚はどこへやら(悲)。

 またまた上床公園へ取って返し、最後の離陸を撮り、少しのんびりしてから日没着陸を狙いに、またまたまたまた滑走路南端へ。 ギャラリーは大分帰ったようで、止め場所には事欠かず。近くにいたお嬢さんのグループが、こういう風にヒコーキを見たことがないのか、 キャーキャーと何やら素朴に盛り上がっていて微笑ましい。

 やがて、見慣れた3つのライトが見えた。赤から青へ続くグラデーションを過ぎって、光の地上へ、舞い降りる・・・・・かしゃかしゃ。 お次は最終沖永良部便、昨日は惜しいことをしたが、今日はもうRWも変わらないだろう・・・・・と信ずることにして、 面倒臭いiモードサイトで情報を取る。僅かに早着らしい。日没30分以上でちょっと早まったところで明るさが変わるとも思えなかったが、 早いところ片付けたいという気分も、ちょっとだけ無いでもない・・・。ギリギリ、空の青みを残せるようにと露出を測るのだったが、 これが見る見る厳しくなっていき、ISO400、我がEOS−1の露出計はf1.8開放で1/4秒だとか1/2だとか、そんなことを仰せである。 着陸速度とはいえそれでも高速なヒコーキをそんなんで切ったら、一体どんなコトになるのか、想像に難くない。 まあ、ブレブレボヤボヤなら「お芸術」を気取れば良いや。(ぉ

 来た。

 木々のシルエットが、ぼう、と浮かび上がる。・・・ピント、いいよな、合ってても関係無さそうだけど・・・・・露出、どうかな、 シャッター・・・・・ええい、ままよ。

 びぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅんんんんんんんんんん・・・・・・・

 かっっしゃかっっしゃかっっしゃ・・・・・ファインダーが光で溢れて狙い定まらづ、こりゃ「お芸術」濃厚・・・。

 さてこれからがちと忙しい。一旦ホテルへ戻り、荷物を整理して、クルマはもう返すので要る物だけを携え、再び滑走路エプロン逆サイへ ・・・・・今日はしっかり、月が出ている。よぉーし。毎度お世話様の海保情報によれば月齢は4.0、月没は2108、方位は272。 クルマは2130までに返せばよく、撮影は月没より前に終わる理屈なので、これはよゆー。それに熊本空港と違って、 鹿児島空港の営業所は空港まん前。スバラシイ。

 ともかく三脚と、カメラと、換えのフィルムにリモートケーブル、おっと懐中電灯・・・・・これらを放り込んで、いざ。

 月はまだちゃーんと出ていて、さすがに昨夜の一件で学習しているので早めに準備に取り掛かる・・・・・いや待てよ。 方角がちと厳しい。相当引かなければYSのシルエットと絡められないぞこれわ。立ち位置を変えてみるも、レーダーと消防の施設にぶつかり、 これ以上北側へ行けない。角度の微調整はいくらでも出来ると踏んでいたのだったが、こんな絶妙な位置にこの施設が来るとは・・・・・ いっそ乱入してしまえばどんなにか楽だろうと思わないでもなかったが、平穏な生活と引き換えにする程のものではない。

 ではと別のYSの陰を狙ってみるも、イマイチ闇に紛れ気味、それを出そうとするとこっちを向いた照明が煩いことこの上なく、 月はどうだろう・・・・・レーダーと消防の施設の北側へも回ってみたが、移動量が多過ぎ、ターミナル前のヒコーキしか狙えない有様・・・。

 ここまで来ておきながら・・・・・うー、困った。

 とりあえず、照明の煩い方で撮るだけ撮り、月没間近のギリギリを最初の場所からどうにか構図に収めて狙うことにする。 縦位置で狙いたかったのだが、横位置でどうにか押し込む。大きい三脚か、前玉の小さいレンズを持って来るんだったと思えど後の祭り。 金網に少しかかってしまうので、影が出ないように開放、被写界深度に追い込めばいいやというわけにもいかず、暗い中ピントにも気を遣う。 ううう・・・。情けないが自信が無いので下手な鉄砲式でとにかく段階露光しまくり。ここまで来たら1コマくらいは写っててくれないと困る。 当然フィルムも使う使う。月は低いためか光も弱く少し赤味掛かっているように見えたけれど、それはそれで妖しい感じが出るかなと思うことにする。

 そうこうするうち、月が雲に隠れてしまった。ひゅー。やれやれ、ギリギリセーフ、か? 最後の復活を暫らく待ってみたが、 そろそろ向こうの山の稜線にかかりそうなので、少し早いが撤収。ホテルで荷物を降ろし、クルマを返す・・・・・現行マーチ、 お前はなにげにAZワゴン以上のフィーリングで応えてくれたぜ!・・・・・そらそうか。ミラーを畳むスイッチも無く、 かなり安いグレードと思うが、質素でありながら貧乏臭いでもなく、なにげに気の利いた収納等々、日産のデザイン陣に少しばかり感服。 リアシート倒しても段差があるのもこの際いいや。いちびったエクステリアも慣れちゃったし・・・。エアコン使いまくり&踏みまくりで、 ウチのクルマより5割以上良い燃費、なんともはや・・・。

 はさておき、今日はどうだったかな。手応え的には、前回の借りを返した部分がある気もするし、また新しい宿題が出来たような、 気もする・・・。どうも折角のチャンスを無駄にしがちな昨今・・・。とりあえずは明日は、間違いなく借りを返してやりたいトコロ。