2005.12.5 鹿児島
 ファソラシドレミファソ〜、と起き出して、外を窺えば・・・雪?

 雪!? 雪!!

 クルマで走れるのか不安を覚えつつともかく支度をして、駐車場へ。こんな日でも、いやこんな日だからこそ、日の出より営業である。 さすがに心配した程は積もっておらずこれなら大丈夫、荷物を放り込み、窓の雪を払い除け、いざ出動。往来の雪はすぐ融けるから心配無い。 ときに右耳は相変わらずぼわんとしたまま。左を下に寝ても駄目だった。まだまだヒコーキに乗るので不安だが、帰ったら診てもらうしかないか・・・。

 轍を付けながら、ターミナル逆サイに到着。きゅっきゅっと雪の感触を楽しみつつ、どれどれと金網越しに覗く。YSは1機しか見えないが、 三脚と脚立を引っ張り出して、まずはこれをぱちり。刻々と降り具合が変わって、望遠で寄せてるせいもあって時々猛吹雪のように霞む。 中標津で凍えた日の記憶が蘇る・・・・・2002年の春先、そうか、あれから4年近くになるんだ。最後に雪景色のYSを見たのは、 ANKの最後の年となった、つまり翌2003年の春先だったか。千歳、丘珠、そして稚内と巡った。これで見納めと、 写真の出来はともかくしっかり焼き付けて節目にしたつもりだったが、まさか南国のここ鹿児島に来て、雪にまみれることになろうとわ。

 地元らしい人がやってきた。クルマの中で無線を傍聴している様子でただの近所の人でないことは明らかだったが、 内側を巡回に来た空港職員と顔馴染みらしく、ゲート越しに親しげに話してる。昨夜掲示板でどうのこうのと、少々濃厚(笑)。 で、その方に聞くところによると、こんな雪はやっぱり、珍しいのだそうで。せいぜいちょっと雪化粧するくらい、 敷地内の地面が真っ白になることは滅多に無いと。ふらふらとやって来てそんなのに当たるとは、まーさーにビギナーズ・ラック!  こんなラッキー、頂いちゃって良いのかしらん? あとで埋め合わせがありそうで怖いくらい・・・・・いやいや月ネタ不振のおつりカナ?

 月に代わって雪ぃ!・・・もういいって(呆)。

 昨日は目まぐるしい天候だったが、強風だかで桜島フェリーが欠航だった由。あんな穏やかな内海の航路で欠航というのも、珍しいことらしい ・・・・・などと聞いているうちに、ふと思い当たる。ひょっとして、3年前の秋に初めてここへ来た時に会った人かもしれない。きっと、 いつもこんな風に、気さくに遠来の訪問者を迎えているのだろう。鹿児島ベースで活動している、その方面ではちょっと知られた人のお仲間なのだそうで、 こっちはとんと疎くて申し訳なかったが、そのサイトのヒットしそうなキーワードをいくつか教わった、あとで叩いてみようか・・・・・いや、 なにげに今回、リブレット持参だったりして。かつて碓氷峠ではリブレット50という機種を叩きまくっていたのだが、 ついこないだ記念モデルでリブラーに復帰。少々打ち難いが、撮影機材の隙間に押し込むとなると、なかなか選択肢も無く。 そういやYSツアーでPC持ち込みは初めてか。カシオペアは持って来たことあったけど。余談。

 離陸はまだ大分先だし、寒いのと濡れるのとで、ヒーター全開のクルマの中でうぅーとか縮こまっていると、ピッピッとクラクションの音。 見上げるとさっきの人が指差しているのでそっちを向くと・・・・・ああっ、エンジンかけてる! 親切に感謝しつつ飛び出してカメラを据えてると、 ひゅるるるるる・・・・・あらー、止まっちゃった。ちょっと回してみただけか。いつの間にかもう1機が姿を見せてたので、とりあえずぱちり。

 やがて出発の時間になったのだが、どうも動きが鈍い。行先の天候調査か雪かきで手間取ってるんだろか・・・・・って今度は雪落し!  慌ててぱちり。あの高所作業車からノズルで噴くヤツ、鹿児島でもやっぱり用意してるんだぁ、などとノー天気な感心をしつつ、 しかし丘珠以来3年弱ぶり、またこの雪落しが拝めるとわ・・・・・結局1時間遅れで福岡便が発ち、続く屋久島便も、 何十分だか分からないほど派手に遅れて離陸。つけっ放しラジオは、桜島が初冠雪と告げた。昨年だか例年だかより24日ばかり早いらしい。 しかし、である。市内巡りは昨日済ませ、今日は空港周辺をうろつく日に充てていたのだが、その日に雪とわ、 これを天佑と呼ばずして何とする。シカーモこれが別の日だったなら、コトによっては写真どころか旅程的に深手を負ったかもしれづ、 なかなかキワドいセンでも、あったのだ。

 雪が止み一段落したところで、一旦帰ってブランチ。でまたノコノコと出かけていき、ターミナル逆サイから流し主体でぱちぱち。 屋久島から帰って来たのが、今度は種子島へ発つ。福岡から降りて来たのが、また福岡へ・・・・・たまに1機いるだけで、 すっかり留守がちの鹿児島。JACには今一体何機残っているか分かってないヤツなのだが、ANKの丘珠発着のように路線が集中しておらず、 福岡に四国にとあちこち散るように運用されているためもあるのだろう。ともかく、かつてのYSの賑わいはもう、ここには無い・・・。

 日が射して、そのまま晴れるかと思えばまた雨が降ったりして・・・・・雪はすっかり融け、あっそーだターミナルから雪晴れ順光でも、 と気付いたのはあまりにも遅過ぎ。福岡便を見送り、また宿に帰って休憩。ちょこちょこと、ジモティっぽいノリを楽しんでみたり。 さて時々1機だけいるというこの状況、寂しい半面、つまりその直前の到着便からそのまま次の出発便に繋がるので、そこを追えば、 資料が無くとも運用が読み易いということが、あったりもする・・・・・今度の種子島からの到着便はまだ遅れを吸収出来ないのか、 30分程の遅れ。鹿児島での返しはダイヤ通りなら1時間もあり、これで吸収出来そうな。あとは乗務員の昼食時間の確保だとか、 勤務規定やらそっち方面の問題くらいだろう・・・・・などと詮索しつつ、徹子の部屋の流れるテレビを消して、 さてと、参りますか。1355発種子島行。

 その後はそろそろ西日モード、また山の上の上床公園。空は晴れ。このまま夜まで晴れてて欲しいが、例によって5分後の天気が分らぬ状態。 やっぱり「鹿児島ウェザー」ってアリなんじゃなかろかと訝る。山をバックに降りて来る様を狙ってみるも、肝心な瞬間に電池切れ。 あうー、デジのような喰い方はしないとはいえ、手ブレ補正は結構喰うものらしく、まだまだと思っているとこうなる。うーむ。 気を取り直して電池も換え、次はもっと色も出るだろうしと構えるも、今度は陰り。ふーむ。

 そろそろ夜の部へ向けて支度がてら、また宿に寄り。月没時刻は日に日に遅れ、一昨日からすると2時間20分ほど遅い勘定になるのだが、 そのようなわけで明日の用意を先に済まそうというつもりが、ダラダラと捗らづ・・・・・おっと種子島便がもう来んじゃんか!  急いで滑走路南端へ・・・・・ところがまた、遅れに遅れて40分くらいの遅延、夕闇に残る空の青みはまたお預け・・・・・またかよ。 ともかく、いよいよ着陸灯が見えて、さーてブリッジ撮法といきますか!

 びぃぃぃぃぃぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅんんんんんん。

 むむっ、手応えあり!? 少なくとも、昨日よりはマシなような気がする・・・。

 それはそうと、月! いつの間にか晴れ渡り、これは・・・いける?? 雪と月と、今日はスゴい! 気は急くがまだ位置が高い。 その前に最終福岡便の到着。こっちは定刻らしく、レンズが短いのがナニだがともかく横からの流しを狙ってみる。うーむこれはどうかな ・・・・・85mmで丁度良い他の飛行機を、いくつかトライ。何らかの蓄積になれば・・・。

 さてさて、月。まだちょっと早いが、適当な場所探し。止め場所が違う気がするのは、今日から運用が変わっているためかもしれない。 月没の方角も何度か違うようだから、昨日とは全く違う場所に三脚を据えることになった。ともかく、陰ったりしないうちに、まずは何カットか。 うーん、どうかな、どうだろ、と撮るうち段々月の位置関係やらが変わって、別のアングルを求めてうろちょろ・・・・・ん、 消防車のいるあたりがベストくさい。うー、また入れねー場所じゃんかよ・・・・・あれは昨年の秋だったか、あの時の無念が蘇り・・・・・ しかし迂回しながら金網をよくよく見れば、あれれっ!? 撮れる! うまい具合に抜ける場所があったのである。早速三脚を据える。 くそ、昨年の秋も、こっちまでよく見れば良かったんじゃんか。あー。ともかく段階露光をかましていく。

 と、サーブにブロックされてしまった。もう撮りようがない・・・・・また移動してみたが、もう1機のYSも遮られてしまっており、 お手上げ。そして、そうこうするうちに月がもやもやと消えて行き、コールド。今回は最後のチャンスと思って臨んだが、 なかなか思うようにいかないものである。しかしま、数年前には日常的にもっとチャンスがあった筈で、それをミスミス見過ごしたわけだし、 そのへんを含めてここまで来て駄目となると、まあ、かえって吹っ切れるような部分もあり。

 やれやれと宿に帰って、風呂と食事と、明日の支度などしつつ、傍らのリブレットでは、なにげにインストールしておいた「YS11で空の旅」 のデモフライトの映像。キー操作も覚束ないまま、色々アングルを変えて見守る中を、YSは桜島を横目に、種子島へ向かっている。 これを肴に、一昨日買ったまま飲み損なって冷蔵庫に入れっ放しだった「氷結チューハイ」をプシュッ。このダイヤカット缶、 とかいうのを以前JAXAのサイトで見かけてたのだったが、そのナントカ構造とかいうの、 ナルホド開けるとこの三角模様がクッキリして、などと感心しつつ、ほろ酔いの脳内飛行。