2006.9.16 福岡
 あと、2週間・・・。

 誕生月に割引を利用してどこかへ出かけるのは最早恒例と言えたが、YS目当てでのそれも、これで最後。 今更ジタバタしても始まらないのだが、福岡でぶらぶらするつもりで、そして鹿児島へ、最後の搭乗・・・・・ JACのYSとの、旅客機YSとの、お別れに。

 そういや、そもそも誕生月の恒例の元であるバースデー割引を廃止しやがった(ぶーぶー)ANAから何やらメールが来てたな。 お誕生日おめでとうだと。つまり要するにこれを機に登録されている個人情報を確認しろってことだろってまあ、それはさておき・・・、

 台風13号である。

 来やがったか。この連休を狙い澄ましたように、来やがった・・・・・JACはいよいよのラストへ向けて、 定期運用の合間にチャーター企画を入れまくり、最終便は沖永良部往復、季節柄綱渡りな部分多々、外野的に一抹の不安を抱いていたが、 台風が来たら、台風が来たら、などと言っていたら、ここで来やがった。

 言霊? うーむ。

 そら台風云々と口にはしましたさ。しかし「台風来ないかな〜」と言ったわけではないし、ヤカン持って廊下走った覚えも無い。(ぉ

 ヤツは1週間ほど前から南方をうろつき始めていたが、その日が近くなるにつれどうも怪しい感じになってきた。予報図を見ると、 お決まりの黒潮コースで予報円を並べているも、更新される度、台風は曲がらず西へ西へとチンタラ進み、予報円もそれに引きずられてる。 予報士達の、曲がれー、曲がれー、ってな声が聞こえて来そうな天気図、空振りした念でそのへんでスプーンなど曲がってんじゃなかろか、 などと思っているうち、昨日あたりからようやく曲がり始め、よしよし、そのままずーっと走ってってくれと思ったら、ブレーキ。あんだよ、 まるで連休上陸のタイミングを見計らっているようじゃんか。

 「台風飛行」・・・・・台風は来るわ桜島は噴火するわといった中、それに挑んだパイロットとYS−11の、ドキュメンタリーがあった。

 ああいうのもいいかな(馬鹿)。

 今度の台風はかなり手強いらしい。しかし毎度々々、あーんだいつも大したことねーじゃん、などと考えてしまうアマアマのお頭は、 西日本で一暴れして多少バテて関東まで辿り着くいう事実が丸ごと抜けていたりするわけだが、そこいらへんの認識は改めねばなるまい・・・・・ で、迎え撃つのである、これが。ギリギリやり過ごせるかどうか、少々スリリングなところだが、そういう状況を楽しんでるフシもあり・・・・・ 一昨年、進路を直前横断して福岡に乗り込んだ時もそんなだったか。そういえばその少し前には、 疎開先の伊丹でJA8717の方向舵がすっ飛ばされてたりしてたっけか。

 ダイヤの乱れは覚悟の上として、YS達が伊丹へ逃げてしまう可能性も考えられた。福岡で台風を無事やり過ごせたとしても、 そのまま大阪へ向かってしまえば退避中のYS達が帰って来られなくなる恐れも、ある。さらにこの頃はチャーターのツアーも企画されており、 変則運用を伴ってただでさえ機材のやりくりが綱渡り。これが破綻して、しかもツアーが優先された日にゃ・・・・・ネガティブな要素が色々浮かんだが、 一方で鹿児島着陸断念→福岡引返しという夢のような(不謹慎)フライトがふと脳裏を掠め、 とすればこれは神風か(馬鹿)と考えないではなかったが、まあ、駄目だったら駄目だったで、その時は笑うだけだと、腹を括った。 そういうのもまた、後々思い出になる・・・・・多分。

 前日の帰りが遅くなり、寝るのは諦めてぼーっとした頭で荷造りを始める。番組不毛時間帯にタイムシフトで見る「どうでしょうリターンズ」では、 釣りに行く企画らしく、一行がルリー付のYSで屋久島だったかに乗り込んでいた。ふーむ・・・・・思い起こせば5年前、大島への初めての搭乗の前夜、 たまたま点けたTVで「ビッグウィング」やっていて、しかも丁度、ANKの大島便のYSが離陸するシーン、これも巡り合わせかと唸ったのを思い出したりしつつ、 しかしどうにも、作業が捗らぬ・・・・・TV放送に拠らず台風の動きをモニタリングしたいのと、宿に篭るハメになった場合に色々作業出来るのとで、 今回リブレットも加えることにし、そのためバッグも大きいラムダ・カメラザックIVに交代。ああ。

 またまた他に思うところあり大きい三脚に、脚立に・・・・・結局またこの、重装備。最後の最後まで、軽装で出かけるのは叶わなかったか。哀しい性。

 羽田に着くと、秋雨前線の居座る中にあって、空には晴れ間。ほお。チェックインを済ませ荷物を預けようとすると、中身はカメラかと訊かれた。 そうです取扱注意でお願いしますと答えると、フィルムは出した方が良いと勧められた。なんでも荷物検査のX線が強くなったらしい。 ISO1600以下だからどうとかいうレベルでは無い話のようなので、ちぃ、折角身軽になったのにと内心舌打ちしつつ、 ベルビアやらナチュラやら30本くらいのフィルムと、装填済のカメラと、ガラガラガラとカウンターに並べ、これどーしたらいーんでしょう、 と目で訴えると、紙袋をくれた。

 手荷物の方はこれまで通りISO1600以下なら大丈夫とあったが、なんとなく不安なので機械を通さず目視検査してもらう。 広げたお店をまた畳む面倒に若干後悔しつつ、搭乗前に出発ロビーの中をウロウロしていると、土産物店に「ポスト純ちゃんまんじゅう」が。 うへ、まだあったか。これ殆ど最終ロットなんじゃなかろかと、羽田発つ前にもう荷物が増え。

 JAL1703便は34Rより駆け上がり、上昇しつつ右旋回。勿論富士山目当てで右舷窓側をゲットしての搭乗・・・・・46Aって随分後だが、 外を眺めていると、いきなり相模湾へ飛び出すことはなかったものの、どうもいつもより海岸線が近い気が・・・・・ ご自由にお持ち帰りパンフを開いてエンルートを辿ってみたりしていると、手前に滑走路・・・・・あ、厚木基地かな。なら大丈夫か・・・・・って、 海岸までなんか近いような・・・・・結構小さい神奈川県。果たして、そのうち右舷前方、翼下に富士山見ユ。風下の東側の裾野に膝掛けのように雲と纏い、 黒々と聳える晩夏の霊峰が眼下をゆっくりと過ぎる。先月登った剣ヶ峰も、しっかり見え。よしよし。

 そのうち雲だらけとなり、あとはもう、うつらうつらと・・・・・気が付くと降下を始めていた。揺れると放送が入り、 期待しつつ(をゐ)身構えるもやや肩透かしのまま、機は海の中道からぐーんとアプローチ・・・・・あの事故の橋が見える・・・・・ RW16に着陸。うー、雨だ・・・・・ん、今なんか光ったか?

 最後の最後まで出番無く邪魔なだけの三脚と脚立をロッカーに放り込み、リュックだけ・・・・・これもでかいんだが・・・・・で1タミへ向かう。 遠くでゴロゴロと聞こえる。ピカッと光ると秒数を数えだす癖があったりするのだが、ピカッ、いーち、にーい、さー・・・バドーン!  いやいや今のはクリアな音だったなと満足しつつ、懐かしい風情の1タミへ入り、送迎デッキへ。

 鹿児島から1機着いて、ここでマルヨ(鉄用語)の1機とで、朝の2機並びが見られるハズなのである。羽田を初便で発ったのも、このためである。 明日でも良かったかというとさにあらづ、チャーターのツアーに駆り出されるらしく、1機が代役のサーブに化けてしまうのだ。 屋根も殆ど無いに等しい、3階の金網送迎デッキの南端には、僅かに1、2人のギャラリーがいるだけだった。濡れるのも厭わずすかさずVポジを確保、 マルヨのJA8766、手前に天草のダッシュ8がモロカブリ、うー。向こうにはアルビノ・・・・・とつい呼んでしまうが或いはゴールデンアップル色(ぉ のANAの737。ふぅーむ初めて見たような気も。ともかくそんなところで、鹿児島便の到着を待つ。ここでのメイン機材は、金網対策機のコンパクト・デジカメ。 向かい風で水滴が付くのが厄介なんだが、肝心な時に水にやられて黙り込んだりしないだろうな・・・・・暫くすると、ぶぅぅぅぅぅぅんんんんんんぶあぁぁぁぁぁぁぁぁ ・・・・・RW16で降りてきた。誘導路を鋭角的に回り込み、まだ点いている着陸灯が濡れた路面に反射する。くぅぅ。

 天草機を挟んで2機並んだ、JA8766と、JA8768。JA8717にもう一度会ってみたかったが、中旬には運用離脱とのことだったので、 ひょとしたらもう、離れているのかもしれない。チャーターに割く余裕が無いのだから、多分もう離れているのだろう・・・・・ときに、 2機揃うには揃ったのだが、なんだか遠くないか? 前回6月に見た時にはもっと近かった気がするが・・・。

 やがて定時の0920からやや遅れながらも、鹿児島便、高知便がそれぞれ・・・・・どっちがどっちだか判らなかったが出発。 博多1タミの金網デスマッチ撮影では、コンパクト・デジカメを網目に突っ込むことしか考えていなかったのだが、何が幸いするか分からない、 悪天候のために暗いものだから、金網をぼかすための絞り開放でも十分、プロペラが止まらない程度にシャッター速度を落とせる。 本来のメイン機材でもウハウハと見送り。

 今日は終日空港に張り付くつもり。雨だし。2機の帰りを待つ間、まずは階下のレストランでブランチと洒落込んで、 座って落ち着いたところで発着の時刻など確かめる。あと気になる台風13号の動きをチェック・・・・・まだ判らんな。

 あ、受信機が無い。

 荷物をまさぐるも、出掛けにテーブル上にあった映像以降の記憶が、無い。ちぃ、またやっちまったか。今度はちゃーんと、周波数も控えてきたというに。 昔マーフィーの法則にあったっけか、伝言をメモしようとすると紙が無い、紙がある時にはペンが云々・・・・・受信機がある時には周波数が判らない、 周波数が判る時には受信機が無い、周波数が判って受信機がある時は、ヒコーキが飛んでない、うう。

 搭乗受付カウンターの前を通りかかって、ふとYSがどうのと書いてある小さな紙片が目に止まり。ご自由にお取り下さい形式で、 白黒コピーで「ありがとう日本の翼」の印、よくよく見れば「YS−11にご搭乗のお客様へ」とあり、要するにお行儀良く乗って下さいねといった注意書き。 苦笑しつつ、記念に頂く。

 返しは北端から狙ってみようか。コスモス畑が気になる。一昨年に台風を直前横断してやって来たお目当ては、ソレだった。しかし着くなり、 あろうことか目の前で刈られていたとゆー、トホホな状況に萎え萎えで終わり、昨年はもう諦めてしまっていたのだったが・・・・・ さてまだちょっと早い気もするが、もう咲いているだろか? さっき着陸する時には、よく見えづ・・・・・ まあスポッターだけというのも流石に寂しいので、ダメモトで行ってみようか。

 折り畳み傘ではどう考えても背中のリュックが濡れるのだが、撥水スプレーの効果をアテにテクテクと進んで行くと、おおっ、咲いてる!  品種には明るくないが、早く咲くらしい黄色いのはもう咲いていて、ピンクの方はようやくぽつ、ぽつ、といったところか。 たーだ、ぬかるんでて傍へ寄れづ、これでは写真的に非っ常ぉ〜に、厳しい。いっそ長靴買おうか・・・・・逡巡していると遠くに、 ホームセンターらしきが見え。うーむむ・・・・・しかしRWチェンジされるかもしれんし、などとややネガティヴ・シンキング。 そもそも入って良いのかなここ・・・・・とりあえず外から狙うとして、しかーし、どうもこう、寂しいのである。 よくよく見れば咲いているのは内側の方で、遅咲きのピンクであろう、まだ咲いていないのが、その外側を覆ってしまう。 贅沢を言うものではなかろうが、こりゃ辛い。

 遠くに青空が見えたりしていたが、こちらでも雨が止み、薄日が差す。しかしこのまま晴れるようでもなく、雲がどんどん飛んで流れ、 またいつ降り出すやら、といった風・・・・・翼端よりヴェイパーを引いて降りて行くジェット機。くぅぅ。とりあえずアプローチを後追いで狙うことにして、 鹿児島便の到着を待つ・・・・・ぶぅぅぅぅぅぅぅん・・・・・20分程遅れての到着。ただ撮りました、てな感じ・・・。それよか、20分も遅れたお陰で、 定時ならその40分後に着く高知便とは入れ違いに次の徳島への出発となるところ、イレギュラーでまたエプロンで2機並ぶんじゃ、あるまいか!?  ダイヤが乱れてくると、撮れるハズのものが撮れなくなったり、撮れないと思っていたものが撮れたりするもので、 チャンスと見ればこれはもう、動くしかあるまい。

 イソイソとまた1タミへ戻り、高知便の到着を待つ・・・・・ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・果たして、2機並び。 既に方転を済ませている先着JA8768に対し、真っ直ぐ入ってきたJA8766とで互い違いながら。乗客が降りてきて、 バスへ乗り込む様子を、バスが手前まで来て、YSをバックに乗客を吐き出すところを、ぱちり。さてJA8766の方転は・・・・・ 2機揃えるのは叶わず、JA8768、徳島へ出発。

 JA8766の方転をぱちり、松山へ発つのを見送り、予定外の邂逅は良いのだが、一方午後の本来の並びはというとこの乱れで逆に、危なっかしいような ・・・・・一抹の不安を覚えつつ、暇潰しがてら連絡バス乗って国際線ターミナル覗いて、3タミで空をテーマにした写真展やってたのでこれを覗き・・・・・ 主宰のサークルらしき名前が「撮撮撮」とあり、振り仮名を見れば「とっとーと」と読むらしく九州恐るべしといったところで(笑)、 再び1タミの金網へ。

 まず、松山往復のJA8766が先に戻ってきた。さて徳島のJA8768は・・・・・待てど暮らせど、その姿現れず、 とうとうJA8766、鹿児島へ出発。午後の並びならづ! 残念! 5分程で入れ替わりに徳島からJA8768到着。うー、惜しひ。 明日は相方はサーブに交代してしまうので、並び狙いはこれにて終了・・・・・。 今日のJA8768は遅れが雪だるま式にちびちび膨れているようで、この徳島からの到着の時点でおよそ40分程の遅延、 最後の高知往復に出かける時には、また何かあったのか50分程になっていた。定時であれば福岡へ戻るのは1910。 1タミの送迎デッキは2000で締め出し・・・・・あと1往復では回復運転(鉄用語)も厳しく、うーむむむ、微妙ですな。

 JA8768が高知へ飛んでいる間に、博多駅前の宿へ荷物を運んで、チェックイン・・・・・その前に博多駅で上り「はやぶさ」を見送り・・・・・ ニュースで台風の動きなど見ながら暫し寛ぎつつ、iモードで高知便の動きを追う。そろそろ向こうを発ったところで・・・・・ やっぱり遅れは取り戻せないようだが・・・・・再び空港へ。晴れていれば滑走路端で下から煽ることも考えていたのだが、この雨と暗過ぎるのと、 到着の遅れ必至のために、1タミからエプロン狙いを必須とすれば、そちらに絞り込むしかなさげ。到着見込は2000を過ぎそうで、かーなーり厳しいが。

 追い出されたら追い出されたで仕方あるまいと半ば諦めつつ、あわよくばちょっとだけお目溢しをという未練もタラタラ、 そんなで焦れながら待っていると、2000を回った頃、ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・よぉーし! びぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・ こちらへ折れてくる。金網にコンパクト・デジカメを突っ込んで、とにかく写せと無理矢理ぱちぱち。スポットに止まり、乗客が降りて、 整備の人が取り付き・・・・・寝支度に入って行くまで眺めていたかったが・・・・・しっかしこのカメラ、ピントが合わない。ええいくそ、 所詮はこんなものなのかもしれなかったが、なんだちきしょーと格闘していて、声がしたので振り返ると、ニッコリ笑顔の警備員氏、 続きは2タミでどうぞと宣告。締め出しコールド・・・。