2016.10.9 日本航空学園@能登訪問
 日本航空学園。

 JAC機がぽつ、ぽつと退役していく中で、そこへ引き取られて行った仲間があった。

 ずっと、そこにいるのは判っていながら、能登空港という場所柄、そう易々と気紛れでそこだけ訪ねるわけにもいかず、ついでの用というにも、さてさて真っ当な観光などロクにしない身、 何の用事を作れば良いのだと、途方に暮れる有様で。闇雲に押しかけても庫の中で見えぬではダメージ大、オープンキャンパスもアウェー感満載であろうし、 確度が高そうなのは「空の日」イベントであったが、その日程も判る時期が微妙だったり、ほぼ間違いなく毎年邪魔が入るという、間の悪い日取りだったり。 そんなこんなで、なかなか辿り着けない、遠い遠い場所なのだった。

 などと逡巡するうち、10年あまり。

 このままでは一生、行きそびれる・・・・・なんだかそんな気がしてきた。思えば五体満足・・・・・というかヒコーキの形を保っている退役機、保存機は既に巡っていて、 残すところ国内ではもうここだけ、のようなのである。ANK機のそれ以降、フェードアウトしていく現役機はほぼ網羅していて・・・・・それ自体が目的ではないにしろ、 一通り撮ってそうなくらい撮っていたし、その退役後もしつこくウォッチしていた個体もあれば、まだまだ残る空自の仲間にしても、EA/EBは怪しいが他はほぼ間違いなく網羅済。

 他方、昨今イロイロと、遠出したくなる気分もあったりで、また北陸新幹線も延びたことでもあるし・・・・・と、その切り口から寄り道候補を挙げていくと、色々ありそうだ。勿論フツーの観光でなく(苦笑)。

 そんなところで、能登空港の「空の日」イベントの今年の日程が明らかになり、これまた今年も邪魔が入る連休だったりして、かくなる上は朝一で空港に乗り付けるしかない・・・・・というわけで、 カチカチと、ANA747便を確保。ヒコーキで乗り付ける程のものかいな、という気がしないでもなかったが、とはいえこれがまた、陸路より安かったりして。スバラシイ。

 今年の梅雨明けからこっち、平日の無駄晴れと、週末は狙いすましたような雨がらみばかりで、今週もそれに漏れず、最寄の駅までは持ち堪えたものの、羽田に着いたら降りだした。 チェックインして手荷物検査を過ぎ、2タミの南ウィングの端の端の先っぽまで着いた頃にはザーザー降りで、飛ぶには飛ぶだろうけど、今回も折角富士山目当てで左舷窓側を確保したのに、 こりゃ景色どころじゃないなと観念する。

 ANA747便、A320(JA8946)の後の方の席に収まり、34Rを駆け出すその時の、窓の滴が後へ後へ流れるのを見ながら、ぐいっ、と抱き抱えられるようにして上昇、 地上が雲の中へ霞んだ頃、すぅっ、と身体が浮く。おー来た来た、と内心ウキウキしていると、コレコレな次第で揺れますと機長。これから秋雨前線を乗り越えて行くのである。 あとはもう雲ばかりで富士山も拝むこと叶わず、気が付けば日本海が見えていて、そのまま西向きに能登半島上空へ入り、旋回もなく着陸。

 と。

 エプロンへ入りしな、消防車に水ぶっ掛けられた。なんだ? なんだ? 初就航便じゃあるまいし?・・・・・どうやら「空の日」イベントのうちの、デモンストレーションであるらしく。

 それより、イター! 隣のスポットに、YS−11が。早速こちらの翼越しに、ぱちり。JA8777、白い機体に赤いロゴが入る。逆サイにはエプロン見学ツアーらしき一団がいて、 ヒコーキのカブリモノをした、ここの職員と思しき人が、こっちへ手を振っていた。

 羽田を経つ時は気温26℃程だったと思うが、秋雨前線を越えたら10℃程下がった。「夏服」の井出達・・・・・半T短パン・・・・・で来てしまったが、まだ、大丈夫。 まずはレンタカーの受付をして、クルマはそのままに展望デッキへ上がる。目の前には先程のJA8777、日本航空学園の方を見やれば、そのエプロンで2機のYS−11が並んで、こちらを向いている。 ほぼ正面なので、白い機体に鼻先の黒と、窓下の茶色の塗装そのままの2機は、まさにJAC時代それのように、見える・・・・・くぅぅぅぅ、鹿児島や福岡や伊丹での、往時の光景が重なる。 そうこうするうち、A320が羽田へ帰るというので、これをからめて、ぱちり。

 いよいよ、日本航空学園へ。空港ターミナルのすぐ隣だが、その間のスペースにはテントが並び、路上ではヨサコイだのなんだのといった具合で、賑やかなこと。 校門を過ぎ、とにかくまずはと格納庫へ向かうと、その開口部越しに、見えましたよYS−11。丁度学生の飛行を披露するところで、その出発を見送りつつ、 皆空に注意が向いてる間に(申し訳ない!)、ウハウハとYS−11との時間。魚眼で撮ったりパノラマで撮ったり、もう大変なのである。

 緑ロゴのJA8805に入ると、座席が一部取り払われて、床の一部にアクリルか何かの窓が設けられていて、操縦索や各配線などが見えるようにしてある。 説明に立っていた学生さんの話では、この機は専ら内部機構を知るための教材として使っているらしく、エンジンをかけたりすることはないらしい。 隣というかこれの前にいる、青のロゴのJA8781が、時々ランナップをするとのことで、学生さんの言葉をそのまま借りれば、古いものだからいつ壊れるかと恐々回している、とのこと(笑)。 それはともかくここでのノウハウや設備は、あのエアロラボ機の復活にも活かされている。

 コクピットを覗くと、窓越しに、こちらに尻を向けたJA8781が見える。こうしてコクピットから「僚機」が見える風景というのも、実に久しぶりなのであって・・・・・今や空自だけ。 お次はそのJA8781に乗り込んで、ほぼ現役時代のままの内装・・・・・ギャレイやトイレや、紙製の枕カバーもそのままと思われるJACの座席に、頭上の「スチュワデス」ボタン等々、 往時を偲びつつ。

 そんな間に、先程飛んでいた学生機も戻って来て、お次はここのOBでもあるという、高木雄一氏によるピッツの曲技飛行。これを楽しんだところで引き上げることにして、 能登中島のオユ10にウハウハ、羽咋コスモアイルでこれまたウハウハ・・・・・しかし能登空港の催し、素朴なところで結構盛り沢山で、なのに地方空港故か混み具合は程々。 物販に終始するようなどこかとは違って(ぉ、そのあたりがなんだか心地良く、校舎内・・・・・そういえば校舎の階段にラジコン機が何機も吊ってあって、 その中にモヒカンの「オリンピア」のエンジン機が・・・・・もまだ見るところがあったし、これはまた、再訪したくなる・・・・・そういえば、ココで持ってる筈の、YS−11コクピット・トレーナーを見てない。