遺伝子診断の現況とKYG協会「遺伝子診断パッケージ」のご紹介('02/08発行)

「ヒトゲノム計画」という言葉を耳にされたことがあると思います。

1990年からスタートしたこのプロジェクトは、人間の全遺伝子の暗号文字を解読し、個々の人間に組み込まれた命のプログラムや人類進化の謎に迫ろうとする遠大な試みです。

2000年6月、クリントン前アメリカ大統領は、ヒトゲノムの解読が終わったことを宣言しました。早くも特許を巡って激しい争奪戦が繰り広げられています。

遺伝子は、約3万種類の意味のある情報をもっていると考えられています。この中には病気に関する情報も含まれていますから、きちんと意味を解読できれば、病気の予知をはじめ、新薬や治療技術の開発に生かすことが出来ます。

今、医学界では「テーラーメイド(オーダーメイド)医療」が注目されています。今までの医療は、既製服を買って着るような医療でした。しかし、その洋服では合う人もいれば合わない人もいます。例えばある抗がん剤が効く人もいれば、効かない人もいるのです。その個人差は薬により、10倍とか50倍の違いが出てきます。逆にいえば、効かない人や副作用ばかり強い人というのは、そういう治療を受けてはいけないのです。

遺伝子を調べてある抗がん剤がその人に合わない(効かないとか副作用が強い)場合には使わないでおく。そして、同じ病気の患者でも、その体質に合った薬を使い分ける。これがテーラーメイド医療の基本的な考え方です。

生活習慣病は、遺伝的素因があって、環境や活性酸素によって遺伝子が傷ついて起こることが、ゲノムの解読ではっきりと解明されてきました。

すでに国内外で、EBMEvidence Based Medicine=証拠に基づく医療)の一環として、遺伝子診断を行う医療機関も出始めています。将来的には、個々の病状や遺伝的体質にあったテーラーメイド医療がますます発展していくことでしょう。

医療の分野がテーラーメイドという大きな転換をむかえつつある今、当協会も会員であるKYG協会では、医療法人財団福音医療会ライフサイエンスクリニックと提携し、このテーラーメイド医療をいち早く予防医学に取り入れ、皆様の遺伝子レベルからの健康管理にお役立ていただく為の検査パック「遺伝子診断パッケージ」を実施しています。

この「遺伝子診断パッケージ」は、1遺伝子酸化損傷検査、2血液検査(血中脂質検査、血液生化学検査、血液検査、痛風検査、腎機能検査、肝機能検査)、3生活習慣調査の3項目の遺伝子体質診断検査をパッケージングしています。遺伝子体質診断検査では、1喫煙(タバコ)をはじめとした発癌物質の感受性、2肝臓障害、依存症、発癌性といったアルコールの感受性、3体重増加の影響により糖尿病をはじめとした生活習慣病にかかりやすい体質、内臓脂肪などの体脂肪及び肥満の質の評価といった生活習慣病に密接に関わる遺伝的素因を明確にしたうえで、血液検査で現在の状態を検査するものです。

遺伝子は生物の設計図の役割を果たし、その設計図はA(アデニン)、G(グワニン)、C(シトシン)、T(チミン)という4つの塩基によって書かれています。この4つの塩基は人それぞれ部分的に並び方が違い、その並び方の違いを多型(SNIP=スニップ)と言いますが、その多型が顔の形、性格、体質といった個性を生んでいるのです。その個性の中には前述の123のような生活習慣病の発症に密接に関わる個性も含まれているのです。遺伝子解析については様々な研究機関で、様々な病気の発症や性格等に関わりのある遺伝子の配列が研究されています。当協会の「遺伝子診断パッケージ」では、現在3種類の生活習慣病に関わる遺伝子の多型を検査していますが、今後研究が進むにつれ、健康管理に意味のある生活習慣病に関わる遺伝子体質診断項目を増やしてゆく予定であると聞いています。

さらに、活性酸素による遺伝子の酸化損傷度を遺伝子酸化損傷検査で測定します。活性酸素による遺伝子の損傷が、生活習慣病の発症原因であることは明らかですので、遺伝子の酸化損傷度を知ることは、様々な病気の予知、予防に大いに役立つのです。

「遺伝子診断パッケージ」の検査結果をご報告する際には、この3つの検査結果に生活習慣調査の結果を合わせて因果関係を総合的に判断し、個別の遺伝子的素因や生活習慣に合った生活習慣改善案や健康維持・向上のアドバイスをしてくれます。

これまでに約150名(平成14年2月現在)の方が受診されているとのことです。

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